「イベント」
愛人~2016年夏

Broken Heart~哀情~ 【あきら×つくし】

 ←Broken Heart~慕情~ 【あきら×つくし】 →Broken Heart~真情~ 【あきら×つくし】
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

※写真:by ulyankina
愛人

→ asuhanaさんのあきら編【明日咲く花】 へ
→ Gipskräuterさんのあきら編【gypsophila room】 へ
→ みかんさんのあきら編【天使の羽根(みかんの箱)】 へ




※大したことはありませんが、冒頭R18への導入部的表現がありますのでご注意をm_ _m
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
 …何もかも、忘れさせて。
 大きな手が髪を梳いて、先ほど自分が巻きつけたスカーフをスルリと抜き去った。
 ふぁさりと肩先に落ちたつくしの長い髪を、あきらが何度も柔らかく撫でてくれる。
 …この手が好き。
 柔らかく喉のくぼみに埋まった唇が、チュウッと痕にならない程度の強さで吸っては舐めるのに悶えさせられては喘いだ。
 「ぁ……ん……あ…きら」
 「……いい?」
 「いい…あぁ…あっ、はぁ…ん…ああっ」
 羽のようなタッチで彼女の素肌に触れては、次の動作に移るたびに、彼女の目を覗き込んでそう聞いてくれる彼に応えたいとつくしは懸命に頷いた。
 あきらの長くて繊細な指先や熱い唇、彼女のささやかな乳房を押し潰す逞しい胸の温もりが施す快楽に耽溺するつくしの目から、ポロリポロリと悦びの涙が溢れ出す。
 そんな彼女の涙を優しく吸い取ってくれる彼が誰よりも愛おしい…と。
 「泣くな」
 「…あきら」
 「泣くなよ、泣かないでくれ」
 「あきら…あき…らハァッ」
 「そんな顔で泣くくらいなら、俺を選んで俺のための悦びの涙を流せ」
 情熱的なキスを受けながら、ワンピースのジッパーを手際よく下ろされ脱がされる。
 熱くヌメる舌と舌を絡めあい、互いの唾液を啜りあって飲み干しては、さらなる喉の渇きを覚えて―――。
 キスとキスの合間の忙しない息遣いに、いっそうの情感を煽られた。
 まるで全身が溶鉱炉のようだ。
 夫との交接では感じられなかった感覚と快感に、声を抑えられない。
 …どうしてこんなに気持ちがいいの?
 淡白さを優しさと勘違いしていた。
 伸ばされない手を気遣いだと寂しさを堪えた夜。
 それは違うとこの目の前の美しい人が教えてくれた。
 丹念に触れる手で、眼差しで…言葉で。
 「綺麗だ。…つくし、もっと乱れて、俺で感じて」
 「あ……ぁっ…あ…は…んん…ぁあっ」
 丹念に素肌を辿る唇と手の愛撫に、つくしが仰け反った。
 水音がする。
 熟れて淫らに濡れた女の秘芯が疼いて、男を待ち望む音。



*****



 火照った素肌をシーツに包まって休めて、うつ伏せたまま情事の後の疲労と虚脱感にボンヤリと浸ってしていたつくしは、背筋から尻のラインまで辿る手の動きに肌をさざめかせた。
 「ん、美作さん、まだ…触らないで」
 「ふっ、もう‘美作さん’に戻っちゃったのか」
 「…だって」
 「この部屋では、‘あきら’って呼ぶ約束だっただろ?」
 「………ぁ」
 言葉とともに腰にチュッと軽いキスを落とされ、官能の火がわずかに蘇る気配に、つくしが胸元を大きく喘がせ慄く。
 いつもそうだ。
 性には淡白だと思っていた自分。
 それがこの端正な美貌と淫蕩な手技を持つ男の手にかかると、指先のホンの一撫で、キス一つでいとも容易く燃え上がり、淫蕩な一匹の雌となる。
 そのまま伸し掛ってジャレついてくる手や唇を鬱陶しく払うが、なおも執拗に迫って絡み付いてくるあきらの意外な稚気に、結局向かい合わせに抱き合った状態でつくしも笑ってしまった。
 「もうっ!意外にベタベタなんだからっ」
 「意外に…って、いまさらだろ?」
 額と額を合わせ、瞳の奥を覗き込む。
 再びキスを交わして…欲望の火が互いを飲みこないうちにと、あきらが抱きしめていた彼女から体を退かし、自分の体の上につくしを引き上げギュッと胸に抱き締めた。
 不思議に欲望を伴わない温もりだけを感じる抱擁。
 温もりと慈しみ…愛情だけがそこにある。
 「……なに?」
 不審げなつくしの目での問いかけには答えずに、あきらはベッドヘッドの棚に手を伸ばす。
 そして、胸に置かれた小さな手をとり、愛しげにその指に触れた。
 つくしの戸惑いを無視して、あきらは彼女の薬指に嵌っていた結婚指輪を抜き去ってしまう。
 「美作さんっ!?」
 「あきらだろ?」
 指輪を取り返そうと暴れられる前に、素早くあきらが別の指輪を今度はその薬指に通し、指輪の嵌った手にキスを落とす。
 「え?」
 「うん、ぴったりだ。よく似合うよ」
 「…ぴったりって」
 呆然と指先を顔の上に翳し、つくしが目を大きく見開く。
 それはまるで、星そのもののように煌めいて…既婚者であるつくしに不釣合いに輝いていた。
 「ちょっと、どういうことよ、美作さんっ」
 「…だから、あきらだって」
 「み・ま・さ・か・さん!!」
 頑固な彼女の反抗的な言い返しに苦笑する。
 「あたし、こんなの困るよ…」
 つくしも本音の本音…心の奥底の内心ではとても嬉しいかった。
 しかし、理性がそんな本音を固く戒め、素直な気持ちを封じ込めていた。
 二人はこんなものをやり取りする関係ではなかったはずなのだ。 
 そして何よりも…、
 「あたしは結婚、してるのよ?」
 「…そうだな」
 いわずもがな、つくしが既婚者であることは、当然あきらも承知している。
 彼女の‘結婚’の実態がどうであろうと、つくしは一度たりともこれまで結婚指輪を外したことがなかったし、隠してもいなかったから。
 そもそも二人のこうした関係の始まりからして、『マダムキラーの本領を発揮して見せてくれない?』とかいう無茶苦茶なつくしの要求に、遊び人のあきらが応じたからだったはずだ。
 ただのセックスフレンド。
 ただ…それが、学生時代の友人だったというだけのことで。
 あきらにとって、その関係の始まりはどんな気まぐれからだったのか。
 大学を卒業して企業経営者、大企業のジュニアとして醜聞を忌避して、とっくに不倫からは足を洗っていた彼がつくしの誘いにアッサリと乗ったのは。
 本気ではなかった…それも多分違う。
 互いに酒の勢い、ショックを受けた脳がなした愚行。
 ヤケだったとはいえ、たしかにそうした相手を物色していたつくしが出くわしたのが、高校時代の昔馴染みだったあきらだったというのはいったいどんな運命の皮肉だったのだろう。
 『あたしをセフレにして?』
 『…いいよ』
 大切な友人だったはずの二人の新しい関係の始まりは、そんなお軽いものだった。
 「俺はお前に惚れてる」
 「…っ!?」
 いきなりの直球に、つくしは二の句が付けずに息を飲んだ。
 「ど、同情なら」
 つくしの見当違いの言葉にあきらが小さく笑う。
 「…のはずがない。どんなお人好しでも同情で結婚はできないよ。ああ、お前ならできるか」
 「あたしだってできないよ…」
 「そうか?どちらにせよ、俺はそんなお人好しじゃない。たとえ長年のダチが相手でも無理だ。…お前にとって、一時の慰めを求める相手は誰でも良かったのかもしれないが、俺にとってはそうじゃなかったってことだ」
 「み…まさか、さん」
 「たぶん…再会した時にはもう惹かれてた。友達としてのお前が好きだった。でも、お前はお前が思うよりずっと魅力的な女だ。友情が恋に変わったって少しもおかしくないだろ?」
 あきらの顔は真剣だった。
 おそらくその気持ちも同様に。
 そして…たぶん、つくしもまた心の奥底では。
 しかし、そうした自分の欲求に素直に従うことができずに、周囲への気遣いで我を抑えてしまうのが彼女だった。
 「あたし、あたしはっ…」
 「さっき波止場のところにいたのって、お前の旦那だよな?」
 「……………」
 「で、一緒にいたのが、お前と結婚する前から続いているとかいう愛人だろ?最初からお前たちの結婚生活は破綻している。月一の不妊治療だとかなんとかの名目で東京に来て互いによろしくやってるにしても、そんな夫婦生活いったい何の意味があるんだよ」
 …意味。
 それは自分こそが知りたいことで、あきらに問われてもつくしにも答えられる言葉など何もなかった。
 ただ…。
 「恩があるってか?親父さんの借金を、亭主の実家に肩代わりしてもらったからか?」
 「…どうして、それを」
 尋ねかけて、あきらなら調べようと思えばどんなことでも簡単に調べられることに今更ながらに気がついた。
 それを司のようにあからさまにしないだけで。
 …そうだよね。
 たぶん、高校時代、英徳を辞めて姿を消した彼女の行方もまた知っていたのだろう。
 知った上に、彼女の気持ちを尊重して疎遠になってくれた。
 記憶を失った司に去られた彼女の心の傷を気遣い…彼女の身勝手を受け入れてくれたのだ。
 「女房の家族が困っていれば、亭主やその実家が助けるのは当然のことだろうし、恩に感じることじゃない」
 「でもっ」
 「それよりも、お前たち夫婦のことだろ?結婚前から付き合ってる女がいて、今も続いてるとか、お前本当にそれでいいのか?」
 「…………」
 「どんだけその女にお前の亭主が入れ込んでんだか知らねぇが、曲りなりにとも自ら望んで結婚した女を抱きもしない男に、なにを義理立てする必要があるんだ。お前がいつまでもそんな顔をしていて、いつまでも俺が黙っていられると本当に思ってたのか?」
 震えるつくしの体を抱きしめ、背を撫であきらが掻き口説く。
 「好きだ、愛してる。これからは俺がお前を守るから…だから、俺を選んでくれ」
 …この手をとっていいの?
 抱きしめてくれる温もりに身を任せて揺蕩っていたい。
 けれど―――。
 「あたし…」
 たくさんの過去がまるで走馬灯のようにつくしの脳裏を駆け巡り…通り過ぎてゆく。
 あたしは、あなたを…。




web拍手 by FC2




→ asuhanaさんのあきら編【明日咲く花】 へ
→ Gipskräuterさんのあきら編【gypsophila room】 へ
→ みかんさんのあきら編【天使の羽根(みかんの箱)】 へ
関連記事
総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【Broken Heart~慕情~ 【あきら×つくし】】へ
  • 【Broken Heart~真情~ 【あきら×つくし】】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【Broken Heart~慕情~ 【あきら×つくし】】へ
  • 【Broken Heart~真情~ 【あきら×つくし】】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク