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「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」

光のカーテンの降る夜に…あなたと。

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~だから今日も I'm so happy~


 類の仕事の関係で訪れた北欧の国。
 ちょうどあたしの仕事の方の繁忙期も過ぎて、溜め込みすぎた有給消化も兼ねての旅行だった。
 仕事とは言え、今回は珍しく余裕のある日程だという類の言葉に甘えて、彼の出張についてきてしまったけど。
 「俺もこき使われまくって、ロクにここ数年オフなんてとってなかったからさ。せっかくだから、プレ新婚旅行とかいうんでもいいんじゃない?一緒に来てくれるよね?」
 なんてあの王子様の甘い微笑みつきで甘くねだられちゃったら、あたしに選択の余地なんてないようなものだよね。
 学生時代から、類たちにはカナダだ、南の島だと何かと海外旅行にも連れ出してもらったけど、北欧はまだ未経験。
 西門さんや美作さんには、この季節は雪に閉ざされるばかりで、スキーやスノボのウィンタースポーツをするくらいしか楽しみようがない、なんて人の楽しみに水を差すようなことを言われちゃったけど、実際には全然そんなことはなかった。
 出不精で、間違っても観光とかを楽しむタイプではない類が、あたしを楽しませようとプランを立ててあちらこちらへと案内してくれたから。
 見るものすべてが真新しくて魅力的で、驚きと喜びの連続で…。
 …まさか、トナカイの橇や犬橇にまで乗せてくれるとは思わなかったよ。
 寝るのが大好き、テレビと本があればそれだけで満足している人だ。
 たぶんあたしが同行しなかったら、今回の小旅行も、たぶん日本にいるのとほとんど変わらないオフの過ごし方をしたんじゃないかな。
 …ありがと、類。
 もこもこに着込んだ防寒着の暖かさよりも、彼の気持ちに温められる。
 犬橇に限らず北欧観光自体、類自身にとっても初めての経験だったとか。
 意外なようだけど、あたし的にはもう意外じゃない。
 イギリスやフランス、NYなんかでもそうだったものね。
 類のご両親も立場がら何かと忙しい人たちだし、親子で旅行なんてほとんどしたことがなかったそうで、中学生になってF4の仲間内で遊びに行くようになるまで、ご両親の都合で呼ばれる以外には花沢のお屋敷を出ることがほとんどなかったらしい。
 もしかしたら、類のおうち大好き、超インドアな性質もそうして作られたのかもしれないね。
 だからなのかな。
 こうして一緒に犬橇に乗って、周囲の景色や犬たちの様子を眺めている類の様子は、とても楽しそうだ。
 普段の寝ることが一番大好きな彼がウソだったみたいに活動的で、あたしとの旅行を、精一杯満喫しようとしているように思えて、それがまた凄く嬉しい。
 あたしの為に…というよりも、同じものを見て、同じことをして、それを楽しんでくれたらなおのこと嬉しいし、幸せに決まってる。
 でもね、
 『オーロラを見に行こう!』
 そんなことを類が言い出した時には、さすがに驚いちゃったよ。
 街観光くらいはまあお散歩の延長みたいなものだから許容の範囲だとは思うけど、まさかそうしたものを見るために、わざわざ長距離を移動して、お泊りに出かけるなんて、あまりにらしくなくって晴天の霹靂。
 激務の過労が祟って、ついにどこかのネジの一本でも落としてきちゃったんじゃないかなんて、本気で心配してしまった。
 類にそれを言ったら、『そうかな?』なんてキョトンとして、でもそんなことを言うあたしがおかしいと、逆に笑われちゃったり。
 隣に座る類の腕に絡めて組んだ腕にキュッて力を込め直して、楽しそうな彼の美しい横顔をジッと見つめる。
 白い雪を背景に、柔らかなうす茶色の髪を風に靡かせている類の横顔は、本当に現実の人間なのかと思うほどに綺麗で眩しい。
 …こんな人があたしの恋人だなんてね。
 何度となく心のうちに思い浮かぶ感慨。
 何年付き合っても…この先、彼の言うとおり、本当にずっと一緒いられたとしても、きっといつまでたってもそんな風に不思議に思うし、感動してしまう気がする。
 誇らしい気持ちと信じられない気持ち…と。
 夢見るように恋してきた。
 類の言うことだけを信じて、真っ直ぐに彼だけを愛してきた。
 時には不安になることもあったけれど、そのたびに繋いだ手をギュッと握って『大丈夫だよ』って微笑んで、類が安心をくれたから。
 あたしの視線に気がついた類が、んって、優しい顔で振り返ってくれる。
 「どうしたの?」
 「ううん、なんでもない」
 …ただあんたを見ていたかったの。
 なんて、乙女なセリフ、とてもじゃないけど気恥ずかしくて言えやしないけど。
 ふっと柔らかく微笑んだ類の手が、あたしの防寒着のフードを深く被らせ直してくれる。
 手袋越しの手が伝えてくれる温もりと思いやり…そして愛情。
 「寒くない?」
 「…大丈夫だよ」
 極寒の地を滑るような速さで走行してるというのに、まったく寒さなんて気にならない。
 もちろん剥き出しのおでこや頬っぺた、素肌の顔は、吹きつける風が切るように冷たくって痛いくらいなのにね。
 「凄いね」
 類が犬たちへと視線を戻して、感嘆の声をあげた。
 「本当だね」
 犬橇を走らせるスキッパー(操縦者)の掛け声や雪の上を滑走する橇の摩擦音、犬たちの息遣いや吠え声、颯爽と駆けてゆく犬たちのパワーとスピードに圧倒される。
 南欧で乗った馬車やトナカイの引く橇に乗った時のように、甘い恋人たちの会話を楽しみながら優雅に散歩するというのとはまるで違う楽しさ。
 カーブを曲がるたび、凸凹を乗り越えるガクンという衝撃を感じるたびに悲鳴や歓声をあげて…今この一瞬一瞬を楽しむ。
 やがてスキッパーの制止の合図の下少しづつ橇のスピードが落ちて、犬橇は周囲を見下ろせる小高い丘で停止した。
 「…ほら、見て?」
 手を引かれて、指し示された方角へと視線を向ける。
 「わぁ」
 「今夜泊まるところ」
 凄い。
 見下ろした眼下。
 高台になってる丘から見下ろす地上には、たくさんのガラス張りのカマクラで埋め尽くされていた。
 まるで超巨大なまん丸の埋め込み外灯が、雪の中に埋め込まれてるみたい。
 「あれの一つ一つが宿泊施設なの?」
 「そ。イグルーっていって、全面ガラス張りのかまくらみたなものかな。牧野ならこういうの喜びそうだと思って」
 「うん!」
 そのとおり。
 全然演技なんかじゃなく、気が付けば満面の笑顔で、大きく頷いていた。
 



*****



 「ほえ~、本当にガラスのドームになってるんだぁ」
 大半の施設は天井部が全面ガラス張りになってるイグルーだけみたいだけど、類に連れられてこられた施設は…まあ、いわゆるスウィートルームってやつなんだろうな。
 ログキャビンにガラス・イグルーが併設された宿泊施設で、室内側とイグルーの両方にダブルのベッドが設置されている。
 …まあね、たしかにイグルーだけだとプライバシーも気になっちゃうかも?
 とはいえ半ばまで雪に埋もれちゃってるし、ある意味目的は一つなわけだから、オーロラを見る期待とこの特殊な空間にウキウキしちゃって、たぶんそれはそれで人の目なんてまったく気にならなかったと思う。
 真っ暗になって電気を点けたら丸見えだろうけど、それもお互いさまでしょ?
 「寝っころがりながらオーロラ鑑賞ができるんだね」
 それに外の寒さが嘘みたいに暖かくて快適。
 ガチガチに装備した防寒着が暑くて、すでに脱いでしまっているくらい。
 「そう。天井部は特殊な耐熱ガラスでできてるから、外気が-30℃まで下がっても、視界もクリアに見えるんだって」
 「へぇ、オーロラ見えるかなぁ」
 「今日は幸い晴れてるから、きっと見れるだろうってガイドも言ってたよ。オーロラだけじゃなく、星空自体も見ごたえがあるだろうしね」
 「ホント!?凄い楽しみだね!!」
 「そうだね」
 たぶんこの機会を逃したら、オーロラなんてもう二度と見れない気がする。
 暮れだした外をジッと見据えて、祈るように願う。
 見れますように。
 二人で自然の貴重な奇跡を見たい。
 …こうやって二人でいれることこそが、きっと奇跡なのだけれど。
 一つ一つ奇跡を重ねて、いつか奇跡じゃなく…それが必然なのだと思いたい。
 あたしがあまりに真剣な顔をしていたからか、類が小さく噴き出して、ポンポンって小さく頭を撫でてくれる。
 「ぷっ、大丈夫だよ」
 肩を抱いてくれていた手が優しくあたしを引き寄せて、髪にキスと約束をくれる。
 「もし今日見れなくても、まだ明日がある。…明日見れなかったら、来年。来年がダメなら再来年。何度でもまた来ればいいじゃない、ずっと一緒にさ」
 「…類」
 甘い囁きと熱い眼差しにカッと熱が昇って、頬が燃えるように火照った。
 目をゆっくりと閉じて、落ちてきた唇を受け止める。
 チュッ。
 優しい唇が触れては離れて、また触れて…まるでスタンプみたい。
 うふふ。
 「あ」
 仰向けていた目の裏に感じる柔らかな光に誘われてそっと目を開ければ、類のフランス人形みたいに綺麗な顔の向こうに、降るような満天の星空と、光のカーテンの乱舞が広がっていた。

光のカーテンの降る夜に…あなたと。

 「…オーロラ」
 綺麗。
 …幸せ。
 「夢みたい」
 …あたしを抱きしめてくれるあなたと一緒に、ずっと、この幸福な夢を見続けていきたい。



~FIN~



トルコギキョウ(濃い紫):希望
濃い紫のトルコギキョウ

【おいしい食事、これがみんなを喜ばす秘訣ね。】
~マージョリー・キナン・ローリングス(米国の女性作家 / 1986~1953) 参照 名言+Quotes

熊本(大分・宮崎)支援情報まとめ→http://www.aratana.jp/pray_for_kumamoto/




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類ver.あとがき)

 最終話…苦戦しました><
 いやぁ、企画中盤?まではけっこういい感じに進んでいたように思うんですけどね…。
 純愛というか、初々しい恋路線から、司ver.に合わせて付き合いを進めてゆく感じにした途端、詰まった。
 有り体に言えば、かなり書き込んでる司に比べて、類…書いてるようで書いてないんですよね、私。
 昨年、完結した『昏い夜を抜けて』は特殊バージョンですし、『パッション』にしてもまだ付き合いの序盤。
 うーむ、いきなりラブラブとか言ってもな^^;
 片思い、あるいはまだ関係の浅い状態だとわりに思いつくんですが、ラブラブ!な状態は激難しかったです、はい。
 そう思うと、わたし的にはですが、物語の恋人たちと同じように順を追って恋愛を深めてゆく方向で書くのが一番楽というか、描きやすい。
 それにはちょっと30話では足りなかったというか、起承転結での30話と違って連続性がないだけによけいに…ってやつでしたねぇ^^;
 こんなことなら司ver.の後半『つくしちゃんの怪我→旅行』のように一連の続編?的に進めた方が良かったかとか、プチ後悔。
 最後…これでも頑張りました。
 キスにつぐ、キス!とか、もっといちゃラブしたかったんですがねぇ。
 上手く思いつかず^^;
 うーん。
 まあ、そこには司ver.にアてられた感もあるかもしれませんが、やはり通常版?類でもあまり思い浮かばないので、練習不足かな…。
 いや、いったいどれくらい書いてるねん、と呆れられてしまうかもしれませんが、そんなもんなんですよねぇ。
 長編はまあ、今後執筆する予定はありませんが、また機会があれば4~8編程度の中短編でまた類を書いてみたいな、とか思いつつ、類短編30話終了です。


2016/07/06 byこ茶子
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今回の主旨からすると、類の優しさが心に染み入る感じで、とてもよかったと思います!
(上からなようでスミマセン汗)
愛する人との日常がとても愛しくて大切な時間なのだと再確認させていただきました。
最終話もまた然り。
一緒の景色を見て体験して、同じ時を過ごすという愛しさが伝わりました。
ありがとうございました。

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