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「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」
あきら

優しい関係

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~だから今日も I'm so happy~


 「はぁ~、カッコイイよね。あきら王子」
 「…ホント、いつものスーツ姿もストイックで、いかにも仕事がデキる男って感じで素敵だけど、オフスタイルの彼も予想以上に良すぎぃ」
 「こうなるとあの女性モデルが妬ましいっていうか、絡みを見てるとムカついちゃうかも」
 「あははは、ホント!不思議よねぇ、専属のモデルだとどんなにカッコ良くてもそんなもんだと割り切れちゃうのにねぇ」
 きゃいきゃい燥いでいるスタッフらしい女性陣の後ろ、照明器具の影のあまり目立たないところからスタジオを眺める。
 …ハァ、来なきゃ良かったかな。
 そんな消極的なことが、頭に過ぎってどうしても憂鬱な気持ちが拭えなくってついため息が溢れてしまう。
 美作さんがモテることなんて、いまさらなことだし、以前はまったく気にしたこともなかったはずなのに。
 自分の気持ち一つでここまで変わっちゃうものなんだなぁ。
 …しかも、いまだにあたしとあの人の関係は、ただの親友でしかないというのに。
 「はい、終了。お疲れさん」
 「お疲れ様」
 「お疲れ様です!」
 カメラマンの人の終了の合図と同時に、スタッフの人たちと次々に挨拶を交わした美作さんが、こちらへと向かってくるのに気がついて、つい咄嗟に背中を向けて、スタジオを飛び出してしまう。
 …あたしったら。
 「はぁ~」
 「…なに、ため息ついてんだ?」
 「ひっ」
 ポンと肩を叩かれて、飛び上がってしまって背後を振り返れば、あたしの珍妙な言動に苦笑している美作さんが。
 「…あ」
 「もしかしなくても俺を待っててくれてるって喜んでたのに、何も言わずに帰るつもりだったのか?」
 軽くなじられてしまう。
 「…待ってたわけじゃないよ」
 「へぇ?」
 全然信用していない声音。
 「なにしてるの?美作君。打ち上げ行けるんだよね?」
 スタジオから続いて出てきたスタッフさん。
 美作さんを見て、あたしを見て、怪訝な顔をしている。
 「あ…はい。すぐ行くんで、先に行っててください」
 「あれ?もしかして、例の噂の彼女?よかったら彼女も連れておいでよ」
 「ありがとう、そうさせてもらいますよ」
 何食わぬ顔で勝手に受け答えなんかしちゃってるけど、本当に恋人でもないあたしが公の場に彼女ヅラして行くことなんてできるはずがないし、とんでもない話だ。
 …それにしても、この人も、すっかり社会人の顔になったな。
 そんな事を思う。
 元々お坊ちゃまにしては愛想は悪くない人だったけど、仕事のためとは言え、モデルの真似事までして、たぶんこの人からしてみれば格下の相手にもちゃんと礼節を守って対応できている。
 さすがは未来の経営者?
 F4で唯一、多少なりとも常識を持ってる男?(これは褒めてないか)
 如才無いよね。
 「…美作さん、あたし帰るよ」
 「ん?どうしてだ?」
 「どうしてって…」
 「俺の撮影見に来てくれたんだろ?」
 「…バイトで来ただけだよ。Aスタジオの方にアレンジメント届ける仕事があったから」
 これはホント。
 今、あたしは大学に通う傍ら、美作さんに紹介してもらった花屋で配達のバイトをしていて、たまたまこの人が自社の広告塔となってモデルを務めることになった撮影現場に来る仕事があったから来ただけ。
 別に美作さんの撮影を見るために、というわけではなかった。
 ただ…、この配達をするのがどうしてもあたしじゃなきゃダメってわけじゃなかったし、美作さんに見に来て欲しいって言われていたことが脳裏の片隅にあって、あえて立候補したことをこの目の前のこの人に言うつもりがなかったというだけのことだ。
 「それでもいいよ。見てくれたことには変わりないし」
 あたしのつっけんどうな物言いにも気を悪くした風情もなく、肩を抱かれて歩くように促される。
 「…あたし、行かないよ」
 「タダ飯が食えるぞ?」
 …あたしは欠食児童か。
 それはともかく。
 「だって…」
 「バイトだって、今日はこれで終わりだろ?」
 美作さんが紹介してくれたバイト先だけに、仕事場のある程度のスケジュールはこの人にも把握されていて、とても嘘は言えなかった。
 でも…。
 「あたしなんかが行ったら、場が白けちゃうよ」 
 「ん?なんで」
 「…そのさ、さっきの人もほら」
 彼女だとか?
 言わなくてもあたしが言いたいことや思ってることなんて、カンのいい美作さんには察せられてしまう。 
 たぶん、あたしの今感じているモヤモヤの理由も、どうしてこうして意地を張ってしまうのかも、たぶんあたし自身よりずっとわかられてしまっているんだろうな。
 美作さんに告白されて、ずっとこの人との関係を崩すのが怖くて、見ないように、気がつかないようにしてきた自分の気持ち。
 「白けたりなんかしないさ。俺、前々から牧野のこと、職場の奴らとかスタッフの人たちとかにも話してたし」
 「は?」
 「もう何年も片思いしていて、アタック中の彼女がいるってさ」
 「っ!」
 ハッと振り仰いだ視線の先で、真剣な目をした美作さんの切なげな顔に出会う。
 魅入られてしまう。
 あまりに美作さんが優しげに、愛しそうにあたしを見つめるから、…だから。
 「そんな困った顔するなよ。ただ、俺はお前が好きなだけなんだ」
 「…あたし」
 「追い詰めたいわけじゃない。でも、遠慮しすぎて優しい兄貴の地位になんか甘んじるつもりはないんだ」
 くしゃりと撫でてくれる大きな手の感触は、それでもやっぱりどこまでも優しくて…、追い詰めないと言ってくれる言葉のままに、いつも美作さんは最後の最後で折れてくれるんだよね。
 今まであたしが知らなかった優しさ、温もり…守られているという安心感。
 いつでも突っ走って、矢面に立って踏ん張らなければ生きてこれなかった。
 でも、…美作さんといると、そんな意地を張る必要はないんだと、言葉だけじゃなく全部で包み込んでくれるから…だから怖いの。
 本当のあたしはそんなに強くはないから。
 ただ、そうやって突っ張ってこなければ、とても一人で立っていることなんてできなかっただけ。
 今更、ぬるま湯のような柔らかな優しさに浸かってしまって…もし失ってしまうことになったら、あたしはもう二度と一人でなんて生きていけないかもしれない。
 「守るよ」

優しい関係

 「…美作さん」
 「お前が俺を選んでくれさえすれば、俺は絶対にお前を一人で置いてどこにも行ったりしないし、一人っきりにしたりしない」
 「………」
 肩を抱いていた手が、スルリと降りて、あたしの手をとってくれる。
 大きな手。
 初恋のカレのひんやりと冷たい手でもなく、あたしを一人残して行ってしまったあいつの熱い手でもない、柔らかな温もりを持つ優しい手。
 ぐっと握り締めて…けれど、決して痛くはない強さで握ってくれる気遣いに絆される。
 「少しづつでいいんだ。少しづつ、俺を受け入れてくれ」
 「あたし、昔に比べればたぶんずいぶん大人になったと思う。だけど、大人になってもやっぱりあたしは、何も持っていないあたしのままで、この先もずっと変わらないし、変われないよ?」
 …変わりたいと思ったこともあったけれど、でも、今このあたしがあたしなんだ。
 けっしてあひるは白鳥にはなれないし、もうあたし自身も、自分らしくないものになりたいとは思わない。
 「いいんだ。お前はそのままで、そのままのお前が好きだから」
 あたしが見つめれば、優しく微笑み返してくれる柔らかな美貌。
 「…俺は自信があるんだ」
 「自信?」
 「そう。きっと…お前は俺を好きになれるよ。俺を好きになってくれさえすれば、絶対にお前は幸せになる」
 いつもの美作さんらしくない言葉…ううん、一見物柔らかそうでいて、やっぱりこの人もあの傲慢俺様御曹司たち、F4の一人なんだものね。
 「…幸せになれるかな」
 「幸せに‘なれる’んじゃない、‘なる’んだ」
 見上げるあたしの視線を真っ直ぐに受け止めてくれる人をジッと見返す。
 けっしてあたしから目を反らさないで…見つめ続けてくれる人。
 「さ、タダ飯食いに行こう」
 「…ぷっ」
 食うに困るどころか、贅沢三昧の御曹司が何言っちゃってるんだか。
 「そうだね、せっかくのご招待だもん。美味しいものをたら腹いただかなくっちゃ、損だよね?」
 「お、ようやくその気になったか。じゃあ、食いっぱぐれないうちにさっさと行こうぜ」
 「了解」
 …いつかきっと、あなたの広げてくれる両腕の中へと飛び込んでいけるだろうあたしが容易に想像できる。
 でも今はまだ、この友人という名の曖昧で優しい関係を許してくれるあなたに甘えて、握ってくれている大きな手をギュッと握り返した。



~FIN~



リナリア(姫金魚草):この恋に気づいて
リナリア

【あなたにめぐり逢えて ほんとうによかった 生きていてよかった 生かされてきてよかった あなたにめぐり逢えたから つまづいてもいい ころんでもいい これから先 どんなことがあってもいい あなたにめぐり逢えたから ひとりでもいい こころから そういって くれる人が あれば】
~相田みつを(日本の詩人、書家 / 1924~1991) 参照 名言+Quotes

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~ Comment ~

あきら王子ー!!!
かっこよすぎでキュン死しそうでした!!
やっぱり結婚するならアキラかな?!←ナニモノ笑

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