「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」
司②

腕の中の温もり

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~だから今日も I'm so happy~


 「ちょっとぉ、大丈夫?」
 ラグに直接座り込んだあたしの腰に両腕を回して、膝枕に突っ伏していた道明寺の顔がわずかに動いて、薄らと目を開く。
 酔いでぼんやりした目が眩しそうに瞬いて、「ん~」って呻いたと思ったら、またあたしのお腹へと懐いて目を閉じてしまった。
 「……しょうがないなぁ」
 ガッチリ押さえ込まれた状態なので、身動きとれない現在のあたし。
 まあ、相手はぐてんぐてんに酔っ払った酔っ払い。
 無理矢理に振り落とそうと思えばできないこともないんだろうけど、さすがにそれはちょっとしたくない。
 半ば背面に反り返った状態で、片手で体を支えながら精一杯に片腕を伸ばす。
 なんとかソファに畳んで置いてあったひざ掛けに手が届いて、ホッと小さく息を吐き、寝っ転がっている道明寺の体の上に広げてかけてあげる。
 …まったく、こんなところでゴロ寝してるくらいなら、さっさと着替えてベッドで寝ちゃえばいいのに…。
 少し前まで、お気に入りの大きなクッションを抱えて、テレビを見ていた。
 映画のクライマックスの手に汗握る展開に、ついつい夢中になってしまって、こいつが帰ってきたのにすぐに気がつけなかったんだよね。
 『ただいま』の声で、ようやく道明寺に気がついた。
 上の空で『お帰り』をした途端、上着を脱いだだけの酒臭い男がいきなり転がってきて、しがみつかれてしまったというわけ。
 なんとはなしに目に掛かってしまっているクルクルの前髪が気になって、そっとかきあげるようにして梳いてあげると、気持ちがいいのか、険しかった眉間のシワがわずかに薄くなった気がした。
 「珍しいね、あんたがここまで酔っ払うなんて」
 「ん…まじい酒しこたま飲まされて、悪酔いした」
 「え~、しこたま…って、あんたザルでしょ。いったい、どれだけ飲まされたのよ」
 「ウィスキーのボトル、一人で2本は空けたな…」
 「…うげっ」
 どれくらいの時間で飲んだんだか知らないけど、こういう人たちっていったいどういう肝臓してるの?
 思わず呆れるよりも、感心してしまった。
 とはいえ、珍しくはあっても、実はこういう道明寺も初めてではなかったりする。
 たぶん…酔って動けないっていうよりも、酔以外の別の理由で動きたくないんだろうな、って思うことがたまにある。
 だいたいここまで一人でちゃんと帰ってきてるわけだし、話しかければそれなりにしっかりとした口調で受け答えしてるもんね。
 日頃傲岸不遜を地で行く俺様男のくせに、寂しがり屋だってことは昔から知ってたけど、それでも、あんがいデリケートっていうかメンタルなことが理由で体調を崩すこともある男だってことは、こうして一緒に暮らすようになってから知った。
 …歳月っていうのもあるよね。
 だから、今はただ甘えたいだけ。
 ごく平凡な一OLにすぎないあたしには、大企業の副社長なんて重責を担っているこいつを手助けしてあげたり、力になることなんてできないけど、せめて少しでもストレスや疲労が軽くなるように、あたしのそばでは寛いで欲しい。

腕の中の温もり

 頭を撫でているうちに、少し荒かった息遣いがちょっとづつ穏やかに落ち着いてきたみたい。
 規則正しい呼吸に、眠ったかな、って。
 「ね、もう寝た?」
 声を潜めて、聞いてみる。
 「…寝た」
 「もうっ」
 寝たら答えるか!
 「本格的に寝ちゃう前に、ベッド行こうよ」
 さすがに一晩、こんなところで転がしておいたら風邪をひいちゃうし、あたしだって足が痺れちゃう。
 「…キスして」
 「は!?」
 「キスしてくれたら、起きる」
 …マジですか?!
 甘く強請って、潤んだ目が誘惑してくる。
 ただでさえ整って綺麗な顔をしているっていうのに、そんな顔されたら逆らえないよ!
 凄まじい磁力。
 ついフラフラっと、切れ長の目元に唇を寄せかけて…、
 プルルルルルルル、プルルルルルルルッ。
 「ぎゃっ!」
唐突に鳴り響いた固定電話の呼び出し音に驚いた。
 思わず立ち膝になってしまった膝から、抱えていた道明寺の頭を床の上に取り落としてしまう。
 ゴンッ。
 「いってぇっ」
 「うぎゃっ」
 慌てて抱え直そうとしたけど、不機嫌そうに顔を歪めた男が、すでに体を起こしていて、ブツけたらしいこめかみを抑えながらボヤく。
 「てめぇ、疲れて悪酔いしてる人間に、たいした仕打ちしてくれるよな」
 「ええ~、わざとじゃないでしょ、わざとじゃ」
 「いや、お前が俺を邪険にするのはいつものことだろ」
 すっかりヤサぐれてしまって、恨み節。
 まったく…失礼しちゃうよね。
 片膝を立てて、座り込んだままブツブツ言ってる姿が、どうみてもイイ年こいた大人じゃない。
 …も~、しょうがないなぁ。
 固定電話の呼び出しの方はいつの間にか留守電に切り替わったようで、どうやら携帯に出ない道明寺に業を煮やした美作さんからの電話だったらしい。
 『おい、司、大丈夫かよ。ずいぶん、お前、相手に無茶ぶりされて飲まされてたろ?悪酔いしてんじゃねぇの?』
 云々。
 そっか、今日は美作さんも一緒だったんだ。
 …相変わらず、気遣いの人だよね。
 昔は、他人なんて知らねぇ、俺が正義だ、王様だ、ってくらいワガママいっぱいだった道明寺も、社会に出てたくさん我慢することや努力しなければならないことに直面するようになったらしい。
 普通の人でもそれってかなりキツイことだと思う。
 そういうことに耐性がなかったこいつにとっては、なおさらだったんじゃないかな。
 …しょうがないか。
 疲れて悪酔いしてしまっているらしいお子ちゃま男の傍らに腰を落として、そっと、片手をその逞しい肩に置く。
 「……?」
 照れるからあんまりこっちを見て欲しくないんだけど。
 そんなことを思いながら、もう片方の手をお酒でほんのり赤く染まった頬に添えて、唇を寄せる。
 頬にチュッ。
 怪訝そうだった顔が、びっくりした顔に変わって…そして、本当に嬉しそうな顔へと変わった。
 ん、てあげられた顔や、瞑られた目が、他の場所にもしてくれと強請ってくる。
 誘われるように、微かに震えを帯びている瞼にも、チュッ。
 毛穴の一つも見えない、綺麗に鼻筋の通った高い鼻先にもチュッ。
 顔中にキスの雨を降らせて、最後に、薄らと開いたカタチのいい唇にも、軽いキスを落とす。
 「……たんねぇ」
 「酔っ払い」
 危うく抱きすくめられてしまう寸前、腰を落として、捕まらないように逃げる。
 …こんなところで捕まったら、絶対床の上に押し倒されてとんでもないことになっちゃうじゃないっ!
 それでも逃げきれなかった片手を掴まれて、引き止められてしまった。
 「起こして、牧野」
 「この甘ったれっ」
 クスクス上機嫌に笑う王様の手を引っ張って、「よいしょっ!」と引き起こす。
 もちろん、あたしの力だけでこのデカい男を起こすことなんて、とてもできはしないんだけどね。
 あっさりと起き上がった道明寺が、さっきまでのウダウダはどうしたんだという勢いでしゃっきりと立ち上がって、今度はあたしの手を引いて寝室へと歩き出した。
 「…ちょっと」
 「寝ようぜ」
 「寝ようぜって、一人で寝なさいよ」
 とかなんとか言ってても、結局はこいつのおねだりにはかなわない自分がいる。
 すっかり気を取り直したらしい、上機嫌な男の手に掴まれた手をギュッと握り直して…、さて、どうやって明日の朝日を見ることなくこいつを寝かしつけようかと悩む。
 …あしたも仕事だっちゅーの!
 こいつの体力は底なしだもん。
 うっかりほだされてこの男の気が済むまでつきあっちゃったりしたら、明日の太陽が黄色く見えること間違いなしだ。
 「眉間に皺寄せるな」
 「…絶対、あたしは寝るからね」
 ふふん、なんてご機嫌に笑っちゃって。
 「すぐに眠気なんて吹き飛ばして、俺のことしか考えられなくしてやるよ」



*****



 一夜明けて…。
 「うおおおおおぉぉぉ!!この俺様としたことがぁっ!何もしねぇで寝ちまったっ!!」
 「まあ…そういうこともあるでしょ」
 凄い酔ってたしね。



~FIN~


 
アスター(赤):変化を好む
赤いアスター

【元気が一番、元気があれば何でもできる!】
~アントニオ猪木(日本の元プロレスラー、実業家 / 1943~) 参照 名言+Quotes

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あはは!
坊っちゃんの悶絶っぷりが伝わってきます!
深夜なのに笑ってしまいました!
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