「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」

Will you marry me?

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~だから今日も I'm so happy~


 両手のひらを顔の前に掲げて、ハア――ッ、息を吹き付ける。
 白く吐き出された息がホンの一瞬だけ指先に温もりをくれるけど、あっという間に効力も失せて、かじかんだ指先をゴシゴシ擦って、また息を吐きかけるを繰り返す。
 時々雪もチラつく、冬の日の午後。
 わずかに晴れ間も見えて、明るい日差しに誘われるようにして、類と二人、久々の散歩に出た。
 指先が冷えがちなあたしには手袋は必需品。
 手袋どころかコートにムートンのあったかブーツ、耳にはもこもこのイヤーマフまで、完全装備で出てきたつもりだったのに、手袋の中身が冷たいまんまじゃあね。
 うーん、ホッカイロも持ってくるんだったなぁ。
 類と暮らしてからも暮らす前も、こうして二人で何気なく散歩に出ては、近くの公園に立ち寄って、ぼんやりと何時間も過ごす。
 公園で遊ぶ人たちを眺めたり、たわいない話をしたり、天気のいい日にはお弁当を持ってピクニックを楽しんで日向ぼっこしたり、お昼寝したり。
 なんだか笑えるよね。
 超セレブな類のデートの実態がこんなごく庶民的なチープなものだなんて、きっと誰も思わないだろう、なんてさ。
 「なにやってんの?」
 「…あ、類」
 「はい」
 類がドサリとあたしが腰掛けていたベンチに腰を下ろして、手に持っていた缶を差し出してくれる。

 …温かい。
 手のひらで包み込んだミルクティの缶のじんわりとした熱さに、思わずほぉ~っと息をつく。
 手の中のささやかな温もりが、全身を温めてくれるようで、優しい幸福感に満たされる。
 大げさかもしれないけど、こういうのが小さな幸せってやつ?
 サプライズな出来事も悪くはないけど、大好きな人が隣にいてくれて、その彼とただこうして一緒にいられるだけで、それだけで嬉しいし、幸せだもの。
 「ごめん、待たせちゃって。寒かった?」
 「あ…、ん~、そんなこともないんだけど。ほら、あたしって冬は指先の血が凍っちゃうからさ」
 ひどい時には色まで紫色に変わっちゃって、ジンジン痛くなってきちゃうんだよね。
 「昔はそうでもなかったよね?」
 「…そうだねぇ」
 そう、高校生の頃は、それほどでもなかったと思う。
 冷えの原因にコレってものはないらしいけど、よく言うのが食の乱れとか、過度なエアコンによる体の冷やし過ぎや運動不足、ストレスっていうから、もしかしたら社会人になって、一日中空調の効きすぎたオフィスでデスクワークをしてるせいかもしれない。
 食生活もなるべく気をつけてはいるけど、やっぱり忙しい時は類じゃないけど、どうしても抜いてしまったり、不規則になりがちだしね。
 それほど仕事熱心なつもりはないけど、職場でも独身のあたしはどうしても頼りにされがちで、早い時間にマンションに帰っても類がいないことも多いから、つい頼まれれば残業を断ることができなくって、ここ数年のあたしは女子社員の中でも一二を争うワーカーホリックだった。
 いつの間にか、そんなこんなで寒さに弱い体になってしまったのかも。
 「そんなことだとこの先、もっと苦労することになるかもしれないし、一度専門医に相談しようっか?」
 「え~、専門医?」
 そんなのいるのぉ?
 冷えって特に生き死に関わるものじゃないし、どうしても病気っていう気がしないから、専門医とか言われてもピンとこない。
 「そりゃいるよ。…いずれ妊娠したり、子供産んだりってことも考えたら、ちゃんと看てもらった方がいいでしょ?俺もずっと日本にいられるとは限らないし、北欧圏とかもっと寒さに厳しい地域に転勤になることだってあるだろうからさ」
 「…………」
 妊娠とか、子供とか…類の転勤とかって、サラッと言われてしまったけど、え~、それって?
 類の海外転勤なんて考えたくもないけど、…恋人とはいえ、結婚もしてないんだから、類がどこへ転勤になろうと、あたしには直接関係ない話だよね?
 思わずマジマジと類の綺麗な横顔に見入ってしまったけど、少し先で犬の散歩をしている親子連れを眺めていた類が、ん?ってあたしを振り返った。
 類と目が合ってしまいそうになったけど、なんとな~く自分が物干しげな顔になっている気がして、いたたまれずに視線を反らす。
 今の…将来を考えない今のこの恋人同士って、関係が不満なわけじゃない。
 ずっと一緒にいようね、って言ってくれる類を信じていないわけじゃないけど、ここ数年…あともう少しで30才が間近に見えて、なんとはなしにあたしと…類の未来ってやつを考えて、暗澹とした気持ちになることがあるなんて、類には絶対に知られたくなかった。
 「あ~、そうだ。注文してた物って出来上がってた?」
 話題を変えたくって、さっき類がショップに取りに行っていた物の話を振る。
 「うん、バッチリ」
 そのわりには手荷物がない。
 何を買ったんだろ?
 …あたしも、再来年には30才になる。
 周囲の友達や同僚もチラホラと結婚をして、もうすでに小学生の子供がいる、なんて話も聞いて、昔のように無邪気にその幸せを祝うだけではいられなくなった。
 …再来年のあたしはどうしてるんだろう、とか。
 …5年後のあたしたちは、まだ一緒にいられるのかな、とか、だよね。
 類も大企業のジュニア。
 あたしには特に隠すこともないけど、言うことがない『ジュニアの結婚』という問題。
 きっとそれなりに周囲からの外圧もあるんだと思う。
 類とあたしの交際のことは、もちろん類のご両親にも知られている。
 類のご両親には、道明寺の時のように強硬に反対されてるってわけじゃないけど、歓迎されているわけでもないってことは、なんとなくわかっていた。
 何度か、引き合わせようとしてくれたけど、なんだかんだでそれが実現できてないってことは、そういうことだよね?
 『ごめん、どうもスケジュールの都合がつかなくなったみたいで』、『アクシデントで、日本滞在期間が変更になっちゃったんだ』とかなんとか、何度となく実現しなかった顔合わせ。
 一度や二度だったらそういうこともあるのか、って思うけど、それが社長のお父様だけならともかく、ご両親共で、こう何年も続いたら、ああ、そうなんだって、鈍感なあたしだってさすがに気が付くよ。
 …歓迎されてない。
 そりゃあそうだ。
 無言で差し出された手に、?と顔をあげれば、優しい微笑みを浮かべた王子様。
 「そろそろ、行こっか」

Will you marry me?

 「…あ、うん」
 類の手に引っ張りあげられて、そのまま握った手を類のコートのポケットへと入れてもらう。
 「今すぐ飲みたいってほどじゃないなら、それ、俺と手を繋いでない方のポケットに入れて、少し手先を温めなよ?」
 「そうだね」
 いつもはひんやりと冷たい類の手が、ミルクティの温もりで温められたのか温かい。
 …でも思い起こしてみれば、類の手って冬はそれほど冷たいわけじゃないんだよね。
 不思議な気がするけど、基本、平熱が低いだけで、あたしみたいに冷え性ってわけではないらしい。
 …ん?
 手の甲に何かゴツゴツしたものが触れる。
 類とあたしの手を入れてもたっぷりとしたコートのポケットの空間が、そういえば少し窮屈な気がした。
 「あれ?」
 怪訝に眉根を潜めたあたしの声に気がついた類が、ふっと小さく笑って、握っていた手を離して、ポケットから手を抜き出す。
 「ポケットに何か入ってる?……これ」
 なんとはなしに興味を惹かれて、手のひらに握り込めるサイズの小箱を引き出した。
 「え?」 
 まさか。
 自分のポケットからも反対側の手を引き出して、手の中の小箱の蓋を、そっと押し開く。
 「これ…」
 「…もらってくれる?」
 呆然と見上げた類の顔が、珍しく照れくさそうに赤く染まっていた。
 彼の大きな両手が、小箱を握ったあたしの手を柔らかく包み込む。
 「俺と…結婚して?」
 思わず握り締められた手に見入いったまま、硬直してしまって無言でいたからか、ジレた類に手を揺すぶられてしまう。
 「いいよ、って言ってよ?」
 …いいよ、って言ってって。
 なにげに拒否権がないのに、小さく笑ってしまいそうだ。
 でもホンの少し不安そうな類の顔に、なんだか…無性に泣きたくなってしまったのはなんでなんだろう。
 悲しいわけじゃない。
 苦しいわけじゃない。
 辛いわけじゃないのに、締め付けられるようなこの胸の痛み。
 嬉しいのに、幸せなのに…それなのに、言葉が詰まってとてもそれを口にできない。
 「牧野?」
 「……っ、あたし」
 握られていない方の手で口を覆って、溢れてしまいそうな嗚咽を堪える。
 そんなあたしを柔らかく抱きしめてくれるその温もりと力強さに…涙が溢れた。
 「その涙は、否定的な意味の涙じゃないよね」
 ブンブンって、何度も何度も首を縦に振って、言葉にできないせめてもの気持ちを一生懸命に伝える。
 大好きなあなたに。
 「もう全部なにも心配しないで大丈夫だから、だから、胸を張ってお嫁においでよ。俺と、結婚してくれるよね?」
 「……はい」
 ぱああっと広がった類の晴れやかな笑顔が、まるで空から差し込んだ陽の光のようにあたしの心に鮮やかに…明るく焼き付いた。



~FIN~



コチョウラン:幸福が飛んでくる
コチョウラン

【どんなに暗くても、星は輝いている。】
~エマーソン(米国の思想家、哲学者、作家、詩人 / 1803~1882) 参照 名言+Quotes

熊本(大分・宮崎)支援情報まとめ→http://www.aratana.jp/pray_for_kumamoto/




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※Will you marry me?=プロポーズの言葉。ちょっと強気に?「結婚してくれるよね」
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プロポーズシチュはいつ読んでも幸せな気持ちになりますねー!
お嫁においでよ、が類っぽくていいなぁと思いました!

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