「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」
司②

唯一絶対の女

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~だから今日も I'm so happy~


 「わりぃ、待たせちまった」
 「え?あ…うん、平気」

 牧野と待ち合わせたカフェ。
 珍しく雑誌を見ていたらしい牧野が、俺の声掛けに俯けていた顔を上げ目を瞬かせ…ひと呼吸置いて我に返ったみたいに返事を返す。
 パタンと見入っていた雑誌を、さりげなくテーブルの上から椅子へと移動しているのを俺が見るともなく目で追っていると、困ったような顔をした牧野はやっぱりどことなく様子がおかしい。
 「…なに見てたんだよ?」
 向かい側の席へと腰を下ろそうとして…、やっぱり思い直して、牧野の隣に腰を下ろす。
 「ちょっ…なに、こっちに座ってんのよ」
 「別にいいだろ…それ、寄越せ」
 逡巡してたけど、俺が言いだしたら聞かねぇのは、こいつも先刻承知だ。
 しょうがなさそうに小さく息を吐いて、俺の視線から隠すように手を置いていた雑誌を掴んで、無言で差し出してくる。
 「…なんだ、ゴシップかよ。お前こんなの読むの?」
 わりと本を読むのは好きなのは知ってるし、スマホでいくらでも電子書籍が読めるこの世の中で、いまだにレトロな単行本を持ち歩いてるのは知ってたが、こういう類の雑誌をこいつが持っているのを見たのは始めてだった。
 「読まないよ」
 「は?今、読んでたろ」
 「もらったから」
 「もらったぁ?」

唯一絶対の女

 特に興味もクソもねぇけど、見るともなくパラパラっと捲ってゆくと…見慣れたよく見る顔に出くわす。
 何食わぬ顔でアイスティを啜っている牧野の横顔を、俺は何とも言えねぇ気分で眺めた。
 「…これ」
 「別に、珍しくないよ」
 雑誌に載っていた見慣れた顔は、毎朝邸や牧野のアパートの洗面所の鏡の中で見る俺の顔。
 そして、どこかで見たような見ないような…派手な顔立ちのどこぞの令嬢。
 …たしかに珍しくはねぇな。
 NY時代も、さんざん根も葉もないことを書き立てられちゃあ、まことしやかに近々結婚だなんだと、俺は4年間で両手の指では足りねぇくらいの女と婚約したことにされていた。
 最初の頃は、俺も雑誌に載るたびに牧野に電話したり、フォローしたり。
 あまりに目に余るものは雑誌社にねじ込んで訂正記事を書かせもしたし、あらかじめ察知できれば差止めさせたりもしたが、こんなもんは何しても枚挙がないもんだし、牧野は牧野で気にしてないからと苦笑するだけだったから、そのうち放置するようになっていたんだよな。
 それが…。
 「もらったって…誰にもらったんだよ」
 桜子や滋じゃねぇよな?
 「…知らない人」
 「は?なんだ、それ」
 「まあ、顔は見たことはあるか。でも名前も知らない、見も知らない女の子がたまに押し付けてきたり、ちょっと席外した隙に、勝手にあたしの荷物に紛れ込ませてきたりするんだよね」
 …高校時代は机や下駄箱によくねじ込んであったけど、とか付け加えやがる。
 「あんたが日本に帰ってきてから…っていうか、あんたが大学に何度か顔を出してから、こういうのあんまりなかったんだけど…」
 「…………」
 ようは嫌がらせをされてるってことだよな?
 もともとは俺の赤札がこいつへの嫌がらせの発端だった。
 さらに俺と付き合うようになって、こいつがしなくてもいい苦労を背負い込むようになったことは、俺もわかっている。
 いつでも明るい笑顔で大丈夫だと言うその影で、どれだけ傷つくことがあっただろう。
 俺もついこいつの表面的な強さに忘れがちになるけど、こいつが強いだけの…自分で言ってるように雑草みたいにしぶとかったり逞しいだけの女じゃない、時には驚くほどに脆い女であることは、長い付き合いの中で俺も重々承知していた。
 …今も、平然としてる顔をしてるけどよ。
 「俺は言い訳するつもりはねぇ」
 「…まあ、そうだろうね」
 まったく…と呆れたような顔は俺を責めてもいねぇし、意気消沈してるわけでもなかったけど、俺は腕を伸ばしてこいつの華奢な肩を抱き、胸へと引き寄せた。
 「ちょ、ちょっと!」
 「言い訳しねぇのは、俺にやましいことが欠片ともねぇからだ」
 「わかってるって!ここ、公共の場っ!」
 俺の言葉より、周囲の目が気になるらしく、キョロキョロと人目を気にして、抱き寄せている俺の体を押しのけようと身を捩って、手で俺の胸を突っぱねてくる。
 「…けど、お前になにも聞くなってことじゃねぇぞ」
 ハッと牧野が俺の顔を見上げた。
 「俺は嘘をつかねぇし、お前に隠すことは何一つない。だからと言って、お前の不安を無視して泣かせる男じゃねぇんだよ」
 「道明寺…」
 「不安なら俺に聞け、なじれ、問い詰めろよ」
 「…………」
 頼りなく揺れる大きな目が、これまでどれだけ心無い悪意に傷つけられ、不安を堪えてきたかを俺に教えてくれる。
 …お前を守りたいのに。
 「俺は…」
 「わかってるよ」
 「牧野?」
 「あんたはあたしに嘘をつかない」
 「…………」
 泣き笑いみたいに無理に笑った顔が、すげぇ無理をしているのに、…けど、しっかりと俺を見つめ返す眼差しが強い光を取り戻していて、俺はその輝きに魅せられ視線を反らすことができない。
 「あんたが本当にあたしを捨てて、他の人を選ぶなら…」
 「ありえねぇっ!」
 力いっぱい否定する俺の手の甲を、牧野の小さな手が上から包んできて、ぐっと握り締められる。
 「…あんたは正直に言ってくれる。こんな雑誌に載る前に、ちゃんとあたしにあんたは本当のことを言ってくれるのをあたしは知ってるから…あんたがあたしに直接言ってくれること以外は、あたしはなにも信じないの。…あんたを信じてるから」
 …バカ言ってんじゃねぇよ。
 信じるなら、お前以外のどんな女にも目もくれねぇ、お前以外何一つ大事なものなんかねぇ俺を信じておけよ。
 そんな強い目をして、他の女を選ぶなら…なんて、たとえ仮定でも言うんじゃねぇっつーんだよ。
 牧野の後ろ頭をぐっと掴んで、俺の胸へと押し付ける。
 「…アホだな」
 「なによ」
 「どうせ信じるなら、骨の髄まで俺のことを信じてろよ。俺の気持ちは…お前以外の全部を捨てると言った高校生の時と微塵も変わってない。いつでも親も財閥も会社も縁切りしてやるよ」
 …お前がいなければ、俺の人生そのものが意味のないものになってしまうってことをいい加減お前も悟れよ。   ホント悟れねぇ女だよな、お前ってヤツは。
 ポンと軽く牧野の後ろ頭を叩いて、小さな手を握ったまま席を立つ。
 「道明寺?」
 「行くぞ。こんなところでつまんねー雑誌読んでんなよ。俺様の貴重な時間を無駄に費やしてねぇで、デート行くぞ」
 「もうっ、自分が遅れたくせに、ホント、偉そうなんだから!」
 いいんだよ。
 俺は偉そうじゃなくって、本当に偉いんだから。
 その偉い俺様が唯一絶対無くしたくないものが、お前なんだってこと、いつかちゃんと自覚しろよな。



~FIN~



アスター(紫):恋の勝利、私の愛はあなたの愛より深い
紫のアスター

【時間を自分のものにしてしまえば、多くの人が、一年でできることを過大評価していること、そして、十年でできることを過小評価していることがわかるだろう。】
~アンソニー・ロビンズ(米国の自己啓発作家、コーチ、講演家 / 1960~) 参照 名言+Quotes

熊本(大分・宮崎)支援情報まとめ→http://www.aratana.jp/pray_for_kumamoto/




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ちょっと泣けちゃいました。
信じてる、信じてる、だけどね、ってとこですよね。
不安で揺れ動く乙女心がいつまでたっても好物です笑
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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