「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」
司②

つくしちゃんの悩みごと

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~だから今日も I'm so happy~


つくしちゃんの悩みごと

 「ん…」
 小さな寝言にギクリ。
 しばし、息を潜めて物音を立てないように様子を伺ってると、すぐにスースーって寝息が聞こえてきて、ホッとあたしは息を吐いた。
 昨夜もずいぶん忙しかったみたいだし、道明寺の眠りは深い。
 …忙しいのに、どうしてこいつって。
 はぁ~。
 ポッカリと小さく口を開けて眠る寝顔は、子供みたいに無邪気で可愛い。
 いつもは鋭い眼光の三白眼が隠れるだけで、ずいぶん印象が違う。
 ホント、こいつって綺麗な男だよね。
 こいつの本性なんてとっくによく知ってて、この綺麗な顔にも見慣れて免疫のあるあたしでさえ、ついうっとり見惚れちゃうんだから。
 いやいやいやいや…、グズグズしてる場合じゃないでしょ。
 裸の胸もとを隠すために引き上げたシーツを掴み直し、そっとベットから降りて床に立ち上がる。
 「…っつう」
 瞬間下腹に走った疼痛に、思わず呻く。
 いてててて。
 …あ、そだ。
 それでも一応は、すっかり肌蹴てしまっている掛ふとんを道明寺の裸の肩にかけ直してあげてから、ベッドを離れた。
 その間も、いつ道明寺が目を覚ましちゃうんじゃないか、とかドキドキしちゃって、彼が身動きするたびにビクリと動きを止めては、寝入っているのを確かめて、ギシギシと軋んで痛い体を叱咤して動き出す…を繰り返す。
 「はぁ~、なんとか脱出成功かな」
 どうにかこうにか道明寺が寝ている寝室を脱出した時には、節々の痛みやら鈍痛を訴える下腹に辟易しつつ、安堵にすっかり脱力してしまっていた。




*****




 『…なんで、俺を起こさないで、一人で帰ったんだよっ』
 大学の授業も終わり、桜子や滋さんたちとバーでお酒を飲んでいた夕方。
 さすがに午前中は忙しかったらしく連絡が来ていなかったけど、午後からチラホラ携帯に電話が入り出して、なんとかとることができた道明寺からの着信。
 「あ~、…いや、あんたも疲れてるだろうし、一人で帰れるからさ」
 一応はテーブルを挟んで向かい側に桜子と滋さんが座ってるから、道明寺の声は届いていないとは思う。
 だけど、ニヤニヤ笑って興味津々で聞いてるのは明らかだから、とてもじゃないけど、下手なことは言えないって、ヒヤヒヤしながらの通話。
 …うう、失敗した。
 席を立って話すんだったな。
 何度も連絡をくれたし、こっちも折り返していたけど、タイミングが悪くて電話に出られなかったものだから、つい着信に気がついて速攻通話ボタンを押してしまっていたんだよね。 
 いまさら席を立っても、逆に電話口に張り付かれてカラかわれちゃうのがオチだろうし。 
 『ま、いいや。お前、今バイト先?』
 「あ~、いや。実は、飲みに出てて」
 『…あ?』
 トーンが一つ下がった気がした。
 …うっひぃ、まずいかも。
 案の定、
 『聞いてねぇぞ』
 「えっと、きゅ、急だったからさ。その、あたしじゃなくってバイト先の都合で休みになってね?それでまあ、急遽時間空いちゃって」
 どうせ、あんたに連絡しても、学生じゃないんだからあたしに合わせたりはできないだろうし、第一電話通じなかったじゃんと、あれこれ頭の中で言い訳を並べ立てる。
 『まさか、一緒にいるの男じゃねぇだろうな』
 「は?」
 なに、言うことそっちなの?
 まあ、道明寺なら当然か。
 はぁ~っと、わざと大きく溜息を吐いて聞かせてやる。
 これはこれで、こいつの悪癖っていうか、心底うんざりしてるところではあるから、まんざら演技ってわけでもなかった。
 「…桜子と滋さんだよ」
 『本当かよ?嘘つきやがったら、ただじゃおかねぇぞ』
 「嘘って、なんで、あたしがそんなウソつかないといけないのよ?」
 なになに~?って滋さんが、電話を代わろうかとジェスチャーをしてくる。
 …いやいや、いいっす。
 滋さんなんかにかわられたら、何を言い出されるかわかったもんじゃないよ。
 『…なら、いいけどよ。じゃあ、飲みが終わったら、俺に電話よこせよ』
 「え?」
 『俺の方も今すぐにはまだ帰れねぇけど、俺明日、午後出だし、帰り拾ってく』
 …うえぇっ!?
 「い、いや、いやいやいや、そ、それは無理ッ!?」
 『ああっ!?』
 「え―ッと、そのそう!このあと、うちでお泊まりの女子会することになってるから。そ、そう、そうなのよ!男子禁制だから、あんたはダメなのっ」
 我ながら意味不明。
 『…お前、何言ってんだよ?』 
 「あ、お酒来たっ。またあとから電話するから、し、仕事頑張ってね!」
 『お…』
 何か言い出される前に、無理矢理に通話を切ってしまう。
 「はぁ~ッ」
 溜息。
 「…………」
 ニヤニヤニヤ。
 「…………」
 ニヤニヤニヤ。
 「いつ先輩のおうちでお泊りの女子会をすることになったんですかねぇ」
 「うう」
 そ、それはですねぇ。
 「いいね!お泊まり会!!優紀ちゃんも誘えばよかったねぇ~」
 二人の視線が痛い。
 「「で!?」」
 キラーン。
 二人の目が光ったって思うのは気のせいじゃないよね。
 「ラブラブの彼氏を振り切って、避ける理由ってなになに?つくしったら、とうとう司に愛想がつきた?」
 「先輩、いったいどういうことなのか、話してもらいますよ」
 「はう」




*****




 とはいえ、実はあたしとしても聞いてもらえて良かったかも。
 いや、すっごく話しづらいことだったから、突っ込まれてしまったのは複雑ではあったんだけどね。
 …しかも、とてもシラフで話したいような話じゃないし。
 桜子や滋さんと話している間も、ブーブー、携帯の着信は鳴りっぱなしで、ついにバイブどころか電源そのものを落としちゃったり。
 …ごめん、道明寺。
 「ブ―――ッ!!さ、さすが野獣!!そ、そんなことで悩んでいたとはっ!」
 吹き出した滋さんがテーブルをドンドン叩いて、大笑い。 
 「し、滋さんっ」
 こっちは恥ずかしいやら情けないやら、酔ってても羞恥心を完全に拭えていないのに、それでも頑張って話したのにぃ!!
 「…滋さん、さすがにそこで笑うのは先輩がお気の毒ですよ」
 「桜子」 
 同情とも憐れみともつかぬ複雑な表情の唇の端が、ピクピク笑いそうに引き攣ってるんじゃ、説得力無いでしょ、桜子、あんた。
 「だから、話すのイヤだったのにぃ!!あんたたちが、話せ話せって言うからッ」

 もう最悪~。
 両手で顔を隠してテーブルに突っ伏した。 
 「だってさ、どんな喧嘩したのかと思ったらさ」
 「…まさか、道明寺さんのHが激しすぎて体がもたいないとか、先輩がそんなことを言い出すなんてねぇ」
 「しっ!しい~~っ!!」
 ああああああ…。
 我ながら真剣に悩んでたからって、なんてことを口にしてしまったんだか。
 でも、それだけ追い詰められてもいたし、大マジな悩みだった。
 それなのに…。 
 「そんな恨めしそうな顔しないでくださいよ」
 「ごめんって、つくし」
 「……まだ、顔笑ってんですけど?」
 あたしの恨みがましい声音にさすがに悪いと思ったのか、桜子と滋さんが顔を見合わせて苦笑した。




*****




 そう…あたしの目下の悩み、道明寺との夜の生活。
 いや、今のところあいつも忙しいし、あたしも学業とバイトの二足の草鞋でそうそう会う機会もないし…え~、そのぉ、そういうことをする機会もそんなに頻繁にあるわけじゃないんだけどさ。 
 あいつが帰国して数ヶ月…やっとその、そういう関係とか?あいつ自身にも慣れてきて、妙な緊張はすることはなくなったんだけど、その…そうなんだよね。
 「いやあ、意外だなぁ。司っていかにも肉食系だから激しいだろうとは思ってたけどさ、そっかぁ。Hど!下手なんだぁ」
 「…いや、下手かどうかは」
 あたしにはわからない。
 「まあ、下手っていうより、慣れてないだけじゃないんですか?道明寺さんも先輩も」
 「う…」 
 「そっかぁ、どっちも初心者だもんねぇ」
 根掘り葉掘り聞かれって、ついついお酒の勢いも手伝って、かなり恥ずかしいことまで暴露してしまった気がする。 
 慣れてない…たぶん、それも本当だとは思う。 
 「でも、乱暴なわけじゃないんでしょ?」
 「…うん、それはそうだよ」 
 たぶん、凄く優しくしてくれてるんだよね。
 いつもいつも、こっちが恥ずかしすぎて死ねるってほど、そのぉ、あれやこれやいろいろやってくれてるのは初心者のあたしにもわかってる。 
 でもさ、それ自体もえ~、めちゃめちゃ恥ずかしいし疲れるし、ぐったりって言うかさ。 
 「気持ちよくないんですか?」
 「き、気持ちっ!」
 とんでもない質問に固まった。
 でも、毒喰らわば皿まで…と、
 「…い、い、んだとは思う」
 「「………」」
 「思うんだけど…」
 死んじゃうっていうか、なんていうか、気持ちいいはいいんだけど、だんだんその気持ちよさが辛くなるというか…。
 5年とは言わないまでも、かなり長い間プラトニックな関係をあいつに強いてきた反動なのかな…、とにかく、え~っと、な、何回もしたり、激しいし、タフ、その他もろもろ。
 「なるほど、司ったら盛りがついた猿状態なわけだ」 
 ようはそういうことなのよね、うう。




*****




 あれからあたしの悩みから、桜子や滋さんの彼氏とのあれこれの話に飛び火して、気が付けば同じ店で延々4時間も居座ってしまっていた。
 「ま、そこはいずれ慣れるだろうし?もっと、落ち着いても来るんじゃない?」
 「そうなのかなぁ」
 「…でも道明寺さん、まだ20代ですよ」
 「だね。まだまだ真っ盛りだ」
 「…………」
 「あはは、つくし、た~いへん~」、とか滋さんに明るく笑われてしまった。
 あたしも話しているうちにだいぶ免疫がついたというか、慣れてきたのかだいぶ平気になってきてはいた。
 …ま、お酒が入ってなきゃ、とても人に話せるような内容じゃないんだけどね。 
 みんなで店を出て、店に入った時には夏の夜長でまだわずかに日があった空もすっかり月が出て、いい時間帯。
 「どうします?もう一軒行きます?」
 「…うーん」
 「つくしんちでいいじゃん」 
 「え?マジで女子会するの?」 
 あれはさすがに二連チャンで道明寺にお持ち帰りをされるのはキツかったあたしの口からのでまかせで、全然本気じゃなかったのに、いつの間にか桜子もすっかりその気になっていて、優紀にも電話するかなんて言い出している。
 …まあ、いいけどさ。
 明日は休みだし…。 
 と、
 プップッ―――、
 車のクラクションの音に、何気なく三人揃って視線を道路に向けて。
 「あ…」
 「ありゃ」
 「…まあ」
 すぐそばの路地に停車した、スポーツカータイプの外車の運転席から、見慣れた超絶美形。
 「ま、こういうのも鍛錬?慣れだよ、慣れ!」
 し、滋さん。
 バンと背中を叩かれ、豪快にカカカッって笑ってるけど、それって思いっきり他人事じゃない?
 さすがに滋さんのように無責任な感じではなく、桜子が気の毒そうに小首を傾げて、それでもあたしを道明寺の方へと押し出す。
 「まあ、そういうことでもあるし、逃げてもしょうがないことなので、少しづつ先輩も正直な気持ちを伝えて、少しづつ二人で試行錯誤してゆくしかないんじゃないでしょうかねぇ」
 「…うう」 
 試行錯誤って…そんな、あんた。 
 「だって、道明寺さんのこと好きなんでしょ?それとも別れます?」
 『性の不一致っていうのは、実際によくあることですしね』、と飲んでいる時にも言われたっけ。
 でも…。
 「別れないよ」
 っていうか、別れられない。
 だって、道明寺のことが好きなんだもん。
 そ、そういうことだって、もちろん嫌いとかイヤなわけじゃない。
 ちょっと…まあ、激しすぎるっていうか、度が過ぎてるっていうか、朝までコースとかが辛すぎるだけで。
 「それなら話合わなきゃ。中々セクシャリティのことは面と向かって話しづらいし、女性は言わなくてもわかってもらいたいってところはありますけど、なにごとも口に出さなきゃ伝わるものじゃありません」
 「桜子」
 桜子の顔はさっきまでのものとは違い、真摯だった。
 「牧野」
 ゆったりとした動作で、道路を横切って歩み寄ってきた道明寺に呼びかけられて振り返ると、優しい笑みの大好きな男が真っ直ぐにあたしの側に立って、くしゃりと髪を撫でてくれる。
 「道明寺…」
 「楽しかったか?」
 「うん」
 あんたのことが大好き。




 「今日もうち泊まれよ?俺、明日、朝ゆっくりできるし、お前休みだろ?」
 色を含んだ艶っぽい眼差しでニヤッと笑われて、ひくり。
 ふんふんとか、運転しながら鼻歌なんて歌っちゃってるよ!
 そんなにあたしと一緒にいれて嬉しいんだ、とかほっこりあたしも幸せな気持ちになれるけど…。
 で、でも、これとそれとは別!
 どうしたら…はぁ~。
 こうしてあたしの悩みは、これからも続く。




~FIN~



バラの蕾(白):恋するには若すぎる、少女時代
白いバラの蕾

【いつか空の飛び方を知りたいと思っている者は、まず立ちあがり、歩き、走り、登り、踊ることを学ばなければならない。その過程を飛ばして、飛ぶことはできないのだ。】
~ニーチェ(ドイツの哲学者、古典文献学者 / 1844~1900) 参照 名言+Quotes

熊本(大分・宮崎)支援情報まとめ→http://www.aratana.jp/pray_for_kumamoto/




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司はすごそうですよね笑
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