「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」
司②

Unison

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~だから今日も I'm so happy~


 牧野のバイト先、学習塾のあるビルの向かい側の路上に車を停めて15分くらいか。
 たぶん同僚と、中学生らしい生徒に囲まれて建物から牧野が出てきたのが見えた。
 予定外の早帰りだったから、特に牧野に連絡してなかったし、俺にしては珍しく自分で運転してきた車だったから、あやうくそのまま素通りされかける。
 …おいおい、いくら連絡してなかったからって少しは気にしろよ。
とか、多少は不満に思わなくもないが、まあ、いつものことなので苦笑して諦めた。
 車から降りて、大声を張り上げる。
 「牧野っ!」 
 不審げに振り返った牧野の顔があっと驚いて、すぐに笑顔になった。
 …なんだよ、可愛いじゃねぇかよ。
 いつもは可愛くねぇことしか言わねぇし、間違っても俺に甘えるようなタマじゃない。
 時々、こいつは俺のことを本当に好きなのか、と不安にさせられることも珍しくないくらいに素っ気ない女だけど、こういうところかなわないと思う。
 ギャップ萌え?っていうの?
 本当に何気ない、俺からしたらなにも特別なことじゃない些細なことに嬉しがって、喜んでくれる。
 その幸せそうな笑顔が、わかりにくいあいつの気持ちの=なんだって、俺にも最近わかるようになってきた気がするんだよな。
 ハァハァ息急き切って駆け寄ってきた牧野が、俺を見上げてニッコリ笑った。
 「ど、どうしたの?ハァ…フゥ…きょ、今日は夜から会食があるから、ハァハァ…帰るの、遅くなるって言って…フゥ…なかったっけ?」 
 「ああ。会食相手が体調不良とかでドタキャンなったから、内勤の仕事前倒しで片付けてきた」
 「そ…、そうなんだハァ…良かったね」
 アハハハと笑う汗まみれのほっぺたに片手を当て、張り付いている髪をかきあげ耳にかけてやる。
 ぷっ。
 走ったことで赤らんでいた顔がとたんに赤みを増して、まるで茹で蛸みたいじゃねぇか。
 落ち着きなく視線を彷徨わせて、上目遣いに俺の様子を伺ってくるその顔に俺の胸までもがドキドキと高鳴った。
 「…道明寺?」
 「いや、んな焦って喋んなくても、息が整ってからにしろよ」
 「だってさぁ」
 「ま、いい。とりあえず、早く乗れよ?」
 助手席のドアを開けてやると、目をまん丸くして首を傾げてやがる。
 「え?もしかして、あんたが運転してきたの?」 
 「そりゃそうだろ」
 運転手もいねぇのに、どうやって他に車を動かすんだよ。
 「え~、そうなんだ。珍しくリムジンじゃないと思ったら」 
 物珍しげにキョロキョロと車体を見回している牧野の背中を軽く押し、手を貸して助手席に座らせて、俺も運転席に乗り込む。
 「ふぅん」
 「どうだよ?気に入った?」
 「…うーん、あんたに似合ってるかな」
 「………」
 微妙な答え。
 どういう意味だよ。
 深い意味はないらしく、「おお~、なんていうか凄い地面に近いんだねぇ」だの、「スポーツカーは居住性最悪とか聞いたけど、さすがあんたの乗ってる車だね。これって特注?」だの、車の中を見回してペラペラ喋ってる牧野は、多少硬さは目立つがそれでもそれなりに楽しそうだ。
 …ま、牧野だからな。
 それで納得する俺もなんだけど。
 「ほら、シートベルトしろよ」
 「え?あ…うん」
 ボヤボヤしてるから、俺が伸び上がってシートベルトを止めてやる。
 「……えっと、ありがと」
 もしかして、こいつ、なにげに緊張してないか?もしかして。
 ふいに思い当たった。
 俺が東京に帰国して、まだ3ヶ月。
 何度かデートもしたし、それなりに夜も過ごしはしたけど、馴染むというほど、他の普通の恋人たちのようにはデートしたり会ったりしてやれてねぇ。
 …俺が帰国したばかりの時もえらく緊張してやがったもんな。
 一時期は、俺が動くたび、触るたびにガチガチで、初めはそれが新鮮で初々しくて可愛いと悦に入ってた俺も、逆に俺への気持ちが離れたせいでの他人行儀なんじゃないかと悩んだこともある。
 でも、俺も昔のガキの頃の俺じゃないし、思い起こしてみれば、高校生の時の…付き合い始めた頃のこいつもそんな感じで、ちょっとした軽いキス程度でも恥ずかしがって、そんなことさえ、そうそうさせてくれなかったことを考えれば当たり前のことなんだよな。
 車を発進させて、しばらくはそうやって意味もないあれこれをペラペラ喋っていた牧野だったが、次第にリラックスしてきたのだろう、落ち着いて話すようになってきた。

Unison.jpg

 「そういえば、高校生の時にもあんたとこうやってドライブしたね」
 「…ん?そうだったか」
 「ほら、あんたの誕生日パーティの後」
 「ああ」
 あったな。
 その後、いろいろありすぎて、マジでジェットコースターみたいな毎日だった。
 退屈でつまんなくて、イラつくばかりだった俺が、こいつがそこにいるだけで楽しくて、一瞬一瞬が輝いているように思えた。
 …今も、それはあんまり変わらねぇけど。 
 「無免許で運転とかありえなかったよね。…って、まさか、今も無免許とか言うんじゃないでしょうね?」
 ギョッと俺を見上げてくる大真面目な顔に笑っちまう。
 「あるわけねぇだろ」
 「だよねぇ」
 ホッとして、また、昔話だの、大学であったことやバイト先の話、そんなたわいない話を、よく次から次にってくらいに思いつくままに喋ってくる。
 内容なんてロクに聞いちゃいねぇけど、その楽しそうな明るい声音が、俺の疲れやストレスを和らげて、俺まで楽しい気持ちにしてくれるんだよな。
 「ねぇ?ちゃんと、聞いてる?」
 「聞いてるよ」
 さすがに、「ああ」と「へぇ」の繰り返しで、あとはせいぜい聞き返しばかりじゃ不満だったらしい。
 ムッと頬を膨らめて、睨んでくる。
 取り澄ました社交界の女どもなんか目じゃねぇほど、その生き生きとした目の輝きとかクルクル変わる飾り気のない表情に魅せられる。
 が―――、
 「もういいよ。どうせ、あたしの話なんて、くだらないばかりであんたには興味なんてないよね」
 …やべぇ。
 うっかり鼻の下伸ばして流してたら、本格的にムクれられてしまったらしい。
 「くだらなくなんてねぇよ」
 「いいよ。どうせ、バリバリ仕事してるあんたにしてみれば、あたしなんて子供っぽいだけだろうし…適当に生返事するくらいなら、ちゃんとつまらないって言ってよ」
 泣きそうに顔を歪めて、そっぽを向かれちまった。
 ザッと周囲を見回して、道路の状況を確認する。
 …ま、此処なら路駐しても問題ねぇだろ。
 方向指示を左に出して車を横に寄せ、ブレーキを踏み込み駐車する。
 「おい」
 「………」
 「牧野」
 さすがにガン無視するってほどには怒ってないようで、膨れた顔のままチラッと俺を振り返る牧野の方へと覆い被さるようにして唇へとキスをした。
 チュッ。
 「っ!?」
 軽く唇を触れ合わせてわずかに離して、目と目で見つめ合って、もう一度唇へと。
 驚いて見開いていた目が2度、3度と瞬きを繰り返す。
 「…目、くらい閉じろよ」
 クスッと笑ったら、呆然としてぼんやりしていた目が我に返って、テンパり出す。 
 「な、な、な、なんで、キ、キスッ!?」
 両手で口元を覆って、ひっくり返った声を出して、もうこいつの頭の中パンクしそうってところなのかもな。
 「落ち着けって」
 「…だって。あたしばっかり、バカみたいに狼狽えて、あんた呆れてるんじゃないの?」 
 挙句の果てに、検討違いのことを言い出した。
 「バ~カ」
 涙ぐんでる目元を拭って、ツンと額を突っ突いてやる。
 「どう…みょうじ?」 
 「余裕なんてあるわけねぇだろ?」
 お前の前では大人ぶって、平然としてる顔をしてるかもしれねぇけど、…でもいつだって、お前の前では俺だってガキみたいに余裕なんてねぇんだ。 
 けど、そんなことを一々口でなんか説明できるかよ。
 牧野の体を抱き寄せ、顔を胸元に押し付ける。
 「…ドキドキしてる」
 「ああ、当然だろ?俺はお前にめちゃめちゃ惚れてんだ」
 「道明寺」
 「お前だけじゃない」
 「……あたしだけじゃない?」
 「ああ。お前が俺に見惚れてドキドキしてるみたいに、俺もお前に見惚れて…それだけで一杯いっぱいで、お前の話の内容まで頭にいれる余裕がないだけなんだよ」
 俺の言葉に目を見開いて、…だが次の瞬間にはぷっと笑ってくれる。
 そんなお前が愛おしい。
 ガチガチだった牧野の体の力が抜けて、くたりと俺の胸へと体を預けてくれる。
 「…しょってる」
 「あ?」
 「あたしがあんたに見惚れてるって…」
 「違うか?」
 俺の胸に伏せていた牧野の顔がゆっくりと上がって、俺の大好きな笑顔が広がる。 
 伏せられてゆく瞼の震えがお前の答え。
 恥ずかしがり屋のお前がたとえ言葉にしてくれなくても、俺は知ってる。
 俺がお前に惚れてるように、お前も俺に惚れてるんだってな。
 俺のただ一人の女。
 ―――あたしのただ一人の男。
 そう告げてくれる顔を柔らかく撫でて、俺は甘い吐息を吐く唇へと唇を寄せた。



~FIN~



サボテン:内気な乙女、秘めたる情熱、枯れない愛、燃える心
サボテン

【疑わずに最初の一段を登りなさい。階段のすべて見えなくてもいい。とにかく最初の一歩を踏み出すのです。】
~キング牧師(米国の牧師、公民権運動の指導者 / 1929~1968) 参照 名言+Quotes

熊本(大分・宮崎)支援情報まとめ→http://www.aratana.jp/pray_for_kumamoto/




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※Unison…ユニゾン。音楽用語。「1つの音」の意味。2つ以上の音が同時に重なった場合をいう。
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くまもんっ子様

こんばんは。
初めまして。
今回の震災に際して、ご心痛お察し申し上げますm_ _m
皆さんの苛立ち、恐ろしさ、また遣る瀬無い想い等、まさにお察しすることしかできず、微力な私です。


そんな微力な私ですが、私なりにせめて私の世界で一緒に楽しんで下さる方々へのメッセージが今回の企画『だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに』となっております。
よろしければ、こちらをご参照くださいm_ _m

→ http://toloveyou.blog.fc2.com/blog-entry-1852.html

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こういう風に、素直にストレートに言葉にして伝えてくれる司ってすごいですよね!
本当に尊敬です。
わたしはどちらかというと、困ったつくしちゃんタイプなので…
タイトルつけるのも大変なのですね!
皆さんタイトル考えて~企画があったらのりますが、ダメですよね…笑
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