「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」

ビタミン+愛情

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~だから今日も I'm so happy~


 ゴホン、ゴホン。
 ボウっとした頭を叱咤して、なんとか脇に挿した体温計を確認する。
 「あぁ、ダメだぁ、こりゃ」
 39.6℃。
 温度を確認しただけで、もっと熱が上がった気がした。
 頭はガンガン、熱で潤んだ視界に映った天井は滲んでる。
 「…ハァ、どうしよ」
 日頃丈夫さだけは取り柄にしてるつもりだけど、さすがにこの状態では空元気も出ずに溜息ばかり。
 なんとなく無意識で伸ばした指先が触れるシーツの先は、ひんやりとした感触が返ってくるばかりで、いつもはそこにある大きな体の温もりがないのがひどく寂しい。
 「類が出張中で良かったよ」
 ホント、そう思うのにね。
 今回は、フランス、ドイツ、イタリアと、類にしては長い長期出張で先々週からヨーロッパへ。
 たぶん明日か、明後日には帰って来るとは言っていたけど、よほど仕事がつまっているのか、ここ2,3日ほとんど音信不通状態。
 それでも物臭な彼が、朝起きた時と夜寝る時、こっちの時差にあわせてメールをくれるのが嬉しい。
 …どうしよ、明日、もし帰ってくるなら風邪移しちゃったらマズイだろうし。
 実家に帰るべきだよね。
 でも、どうにもこうにもこの怠さを押して、体を動かす気力が沸かない。
 こんな時、一人暮らしだったら迷わずママに来てもらうんだけど、さすがに親とは言え彼氏と暮らしている彼のマンションに勝手に呼ぶのは躊躇する。
 かと言って…、
 枕元の携帯を確認して溜息。
 『おはよう。とりあえず予定の行程はこなせたから、そっちが仕事終わった頃にまた電話するね。帰りの日程だけど、ついでだから少し寄り道をして、他のところも視察してから帰国するかも。ついでにやることやっちゃって、来月の出張をスキップしてオフが欲しいだけなんだけどね。じゃ、俺は寝るね、また後で、お休み(※1)』
 いつものおはようメール。
 類が帰ってこないなら、このままマンションに居座ってても大丈夫だろうけど…、
 「…ハァ、逢いたいなぁ」
つい携帯電話を握り締めて、愚痴が溢れてしまう。
 潤んだ目尻からポロリと涙が溢れて、いつもだったらそんなことで泣いたりしないのに、どうにもこうにも熱で浮かされた頭は悲劇のヒロイン路線を突っ走ってしまっているみたい。 
 …とはいえ、もう時間は8時近く。
 いつまでもグズグズと意味もないペシニズムに浸っている場合じゃない。
 どう考えたって今日は仕事に行くのは無理そうだから、とりあえず会社に連絡して…。


*****



 コンコン、コンコン。
 自分の咳き込む声が夢現にどこか遠くで聞こえる。
 あれから会社に電話して欠勤の許可を取り、朝食を摂る気力もなく寝入ってしまった。
 途中、何度か電話やメールの着信音が聞こえた気がするけど、とてもじゃないけど起き上がる気力なんてなくって、そのまま寝入っていたから、目が覚めた時、自分以外の気配があったことに驚いてしまった。
 …え?まさか、類。
 「ああ、良かった。目が覚められたんですね。よく寝入ってらしたから、お食事にお起こしするのもどうしようかと思ってたところなんですよ」
 お薬の時間もありますし…と言われて、目を瞬かせる。

 いまいち鈍っていた頭に思考能力が徐々に蘇って、それがいつも類のお屋敷で見慣れた古参のメイドの松尾さんだということにやっと思い至った。
 「え…とぉ?」
 うひゃ、我ながら凄い声。
 詰まったような喉の奥からのしゃがれた声に、顔を顰めてしまう。
 「驚きましたよ。坊ちゃんから連絡を受けて、慌ててこちらに伺いましたけど、牧野さまのお熱があまりに高くて」
 「え?」
 映った視界には、松尾さんだけではなく、さっき寝入った時には影も形もなかったはずの点滴が――。
 …ど、どうして?
 あたしのそんな内心の疑問を察してくれたようで、松尾さんが経緯を話してくれた。
 詳しいことは坊ちゃんがお帰りになってから…と、前おいて、松尾さんが知ってる範囲でだけど。
 それでわかったことは、どうやらいつもは朝一(類にとっては寝る前だけど)にくれるメールに、あたしが返信しなかったことから、あたしの体調不良が知れたらしい。
 いつもはあたしも起きるなり、類に『おやすみなさい』メールを送るんだけど、今朝はとてもじゃないけどそんな余裕がなくって、類からのメールを読んだだけで、あたしからは返信できなかったんだよね。
 それで、類が不審に思って、その後何度か電話してくれたものの、寝込んでいたあたしは一切応答しなかったから、かなり彼を心配させてしまったとか。
 松尾さんの話を聞いて携帯をチェックしてみれば、履歴は類の番号で一杯。
 …うわっ。
 ただでさえ忙しい人で、たぶん電話をくれた時間帯は真夜中を過ぎて疲れきっていたはずなのに…。
 申し訳ない気持ちなのに…それなのに、じんわりとした温かな気持ちがあたしの心に染み入って、さっきまで悲鳴をあげていた最悪の体調さえもが和らぐ気がした。
 「牧野様が応答されないことを不安に思われて、牧野さまのお勤めの会社やSPに連絡をとられたそうです」
 あたしの会社は…ともかくとして、なんでそこにSP?とか思いつつ、それで類もあたしの病欠を知って、お屋敷に連絡を取って松尾さんと花沢家の主治医を派遣してくれたそうだ。
 「ただの風邪だとお聞きになって多少は安心されたみたいですけれど、ずいぶん心配されて、私の方にも先程から何度も問い合わせが」
 「え?そうなんですか?」
 「ええ」
 にっこり笑った松尾さんの顔が、『愛されてますね』と言ってるみたいで、自分の勝手な思い込みかもしれないのに無性に照れてしまう。
 でも、あたしにもそんな類の行動が、彼のあたしへの愛情のように感じられて、それだけでもう風邪なんか吹っ飛ぶ気がした。
 「後で、お電話してさしあげてください」
 「……はい」
 手の中の携帯電話をぐっと握りこむ。
 あたしの方の履歴は朝方に集中してたけど、先程から何度か…って松尾さんが言ってたってことは、あっちはあまり寝られなかったんじゃないだろうか。
 あの寝るの大好き、いつでも寝ることが第一優先みたいな男が…本当に嬉しく、幸せで。
 …あっちは、今、まだ6時頃かぁ。
 まだ出勤はしてないだろうけど、あたしのために夜明かししたかもしれない類を電話で叩き起こしたくなかった。
 せめてメールでと、メールを開けばこちらにも、何通ものメール。
 『大丈夫?』
 『まだ熱は高いの?』
 『風邪だって聞いたよ。ひどい病気じゃなくって良かった』
 『ちゃんと食欲はある?薬飲まないとダメだよ?』
 等々、まるで子供に言い聞かせるような文章に、小さく笑ってしまう。
 笑っちゃうのに、熱で緩んだ目尻に涙が浮かんだ。
 …類に逢いたいよぉ。
 そんな弱気な自分を、鼻先に手の甲を押し当てスンと鼻を啜ってグッと耐える。
 「さあさあ、じゃあ、お食事をして、お薬を飲んでしまいましょう」
 「あ、はい、すみません」
 ギシギシ言う体をサポートされながらなんとか起こす。
 まだまだ体は熱いし、関節の節々も痛くて全然体調なんてヒドイはずなのに、心が軽いからかさっきよりはずいぶんいい気がした。
 差し出されたトレイを受け取って、思わず、え?と松尾さんを見上げると、松尾さんが茶目っ気たっぷりな顔で、苦笑していた。
 「坊ちゃんからですよ。風邪の時には桃の缶詰(※2)と、牧野様が常々言ってらっしゃるからと」

ビタミン+愛情

 「……ははは」
 …たしかに言ったな。
 ただしそれは、多少体調が落ち着いて元気が出たらのこと。
 あんまり絶不調の最中にクドイ甘さの缶詰を食べたいとは思えなかったけど、類の気持ちが嬉しい。
 「たぶん今はお粥だけで十分で、まだそうしたものはお食べになりたい気分ではないと思いますけど、そこは坊ちゃんのお気持ちですから。食べれそうなら一口なりと召し上がってさしあげてください」
 「はい」
 いつもは甘すぎるほどに甘い缶詰の甘味が、ほんのりと優しくあたしの口の中に広がった。



~FIN~



モンステラ:嬉しい便り
モンステラ

【ぼくの人生は塗り絵みたいだ!毎日新しいページに新しい絵があって色を塗るんだ…。】
~チャールズ・M・シュルツ(米国の漫画家、スヌーピーの作者 / 1922~2000) 参照 名言+Quotes

熊本(大分・宮崎)支援情報まとめ→http://www.aratana.jp/pray_for_kumamoto/




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※1イタリアと東京の時差は7時間で、東京の方が進んでいます。なので、朝つくしが起きた時には、類の方は一日の終わりで前日の真夜中。

※2こんな記事発見!→http://entabe.jp/news/article/2074
『風邪をひいたら桃缶』、こ茶子のうちではこういう常識?はなかったんですが(りんごのすりおろしかな、うちは)、世ではよく言うので検索。
要点は、桃の缶詰はフレッシュな桃とビタミン含有量が同等かそれ以上だそう。
風邪にはビタミンとも言いますから、そこからの根拠なんですねぇ~ガッテン、とマメ知識w
でも、わたしはフレッシュフルーツならともかく、熱出してる時に甘いものやクドイもの食べたくありません^^;


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桃缶本当に良かったんですね!
こんなに心配されたら嬉しいだろうな~。。。
愛されてるのが伝わりますね!
まぁそれくらいつくしちゃんの風邪が珍しいのかもしれませんが笑

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