「だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに」

君の笑顔が花咲くように…

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~だから今日も I'm so happy~


 夢を見た。
 夢って言っても、もちろん‘将来の夢’とかそういうんじゃなくって、夜寝る時や昼寝の時に見る夢。
 いまさら何を、って思われちゃうかもしれないけど、俺って眠りが深いのか、あんまり夢を見ることってないんだよね。
 だから珍しくって、ついつい記憶に残ってしまったのかな。
 なんとなく夢の内容が気になるっていうか、気が付けば考えてしまっていた。
 内容は…まあ、大して意味はないものだったし、特別に変わったものではなかったように思う。
 年頃の男としては、ごく普通の夢だよね。
 牧野とデートする夢。
 そりゃあ、そのデートの場所とか、していることからすれば、俺らしくないといえば俺らしくないものだったかなぁ。
 …しかも、なんでこの真冬に海なんだよ、とか?
 でも、夢の中ではドンピシャな季節らしく、浜辺には凄い人ごみ。
 よく牧野が話していた、芋の子洗い状態の海水浴場ってやつなんだろう。
 そのわりに、海で遊んでいる俺と牧野の周囲にはまったく人がいなくて、二人っきりなのは、そこらへん夢だから。
 シャチだかクジラだか、等身大くらいのビニールの浮き輪に牧野が跨ってて、それを俺が押したり、あるいは二人で乗ってジャレあったり、キスしたり。
 うーん、夢は本人の願望の現れとかいうよね。
 もしかして、単なる欲求不満ってことだったりするのかも。
 俺は学業と仕事の両立、牧野はバイトと学業、それぞれ忙しくて、もちろん、俺的にはカノジョと思うように会えないことは不満だったよ?
 でもなぁ、俺って間違ってもアウトドア好きってわけじゃないよねぇ。
 牧野の方は、けっこうそういうのも好きなんだろうけど、俺の性格を知ってるから、あえてそういうデートをしたいとか言ってこない。
 たまには牧野もそういうふうに遊びに行きたいんじゃないか、とか、俺なりに気を使って声をかけてみても、
 『いいよ、たまの休みに人ごみとか行きたくないでしょ?行きたければ、優紀や滋さんたち誘って遊びに行ってくるし』
なんて、凄く理解のあるカノジョ。
 実際そのとおりだし、牧野にしても物臭な俺を引き出すより、松岡たちと出掛けた方が気楽で楽しいのかもしれないよね。
 それに松岡たちだけじゃなく、バイトの合間にそのバイト仲間や、ゼミの友達と遊びに行ったりすることもあるみたいで、俺の方でも特にそういった付き合いを規制するつもりもないから、あえて俺が付き合ってあげなくてもいいか、って納得してた。
 そりゃあさ、さすがに合コンとかに行くって言うんなら俺ももちろん止めるけど、牧野はそういったタイプの女じゃないから、俺もよけいな干渉や束縛は控えてる。
 「お、珍しいな」
 「ん」
 物憂く肘杖に顎を乗せたまま、声の方向に視線だけ向ける。
 いつものことだから、別にあきらもそれでどうだとか言うこともない。
 さっさと俺の隣の席に腰を下ろして、通りかかったウェイトレスを呼び止めている。
 「牧野、一緒じゃねぇの?」
 コーヒーを注文して、あきらが手に提げていた紙袋をテーブルの上に置いた。
 妙にファンシーで小ぶりなその紙袋は、まあ司や総二郎が持つよりは違和感ないけど、女にやるか、あるいはもらったものなんだろうなって、見るともなく眺める。
 「…今日はバイトだって」
 「へぇ?こんな時間から?」
 本当だったら、まだ4限目。
 いくら苦学生だからって、生真面目な牧野が講義を休んでまでバイトに励むことなんてめったにないことなんだけど、家庭教師をしている受験生の子が大詰めだそうで、どうしてもと頼まれてしまったらしい。
 基本お人好しで、牧野自身は単位に余裕もあるから頼まれたらイヤとは言えなかったんだろう。
 …つまんない。
 正直な気持ち。
 久しぶりに牧野の顔を見て、あの子供みたいに開けっぴろげで明るい笑顔を見たいって思ってたのにな。
 すっかり温くなってしまった紅茶を啜って、これからどうしようかと思案する。
 こんなところでボウッとしてるより、家に帰って寝ようかな、とか?
 「いつもにもまして、眠そうだな。夢見でも悪かったか」
 「別にそんなことはないよ」
 悪い夢だったか、いい夢だったかと言われればいい方だったと思う。
 少なくても夢の中の牧野は楽しそうだったし、俺もそんな彼女を見ているのは嬉しかった。
 ただ、あまりにも非現実的というか、そういうシチュエーションって、付き合いだしてからも俺たちにはなかったことだから、自分が意外だったのかもしれない。
 …もしかして、俺ってそういう願望あるのかな、とかさ。
 いかにも恋人同士なデートとかしてみたいって?
 自分で自分に吹き出してしまいそうになった。
 …ありえない。
 あまりにおかしくて、なんとなくそんなたわいない夢の話をあきらにしてみた。
 『マジかよ。お前がねぇ、変われば変わるもんだよな、そんな夢見るなんて』
って感じで、思いっきり呆れられるか、笑われるか。
 ところが、あきらは思いの他たいして反応しなかった。
 ただ微妙な顔で、「ふぅん」って言っただけ。
 それでなんとはなしに、それ以上話すことがなくなって、俺もそろそろ帰るかと腰をあげかけた頃――、 
 「これ」
 これ…で指し示されたテーブルの上の小袋。
 「牧野に渡しておいて?」
 「なに?」
 「うちのお袋と双子たちから」 
 「…おばさんたちから?」
 いかにも可愛らしい女の子女の子したデザインは、あきらの母親たちの趣味まんまだったけど、でもどうして牧野に?
 「お前、年末年始はフランスだったんだろ?」
 「ん、仕事でね。一応、4回生になるまでは、学業専念って話になってるはずなのに、そろそろいいだろ、とか言われて、無理やり出張命令」
 そこんとこはあきらも同じなんだろうな。
 わかるわかる、と苦笑してる。
 「で?それがなに?」
 「それがなにって、お前、聞いてねぇの?」
 あきらのその呆れたような物言いが、なんとなく癪に障る。
 まるで、俺が牧野のことに無関心で、あいつのことを何も知らないかのような物言いじゃない?
 「牧野、誕生日だっただろ?」
 「……え」
 ポカンとした俺の顔に、俺の返事なんて聞かなくても全部を察したんだろう。
 「牧野のヤツ、親父さんたちが忘年会だとかで留守にしてて、弟も旅行中で一人だって言うからさ。うちに呼んだんだよ」
 「…なんで、お前?」
 「たまたま…かな。俺は彼女とのデートの帰りだったんだが、お袋から新作のケーキを試食しろって連絡きてて、街をブラついてるあいつに出くわしたから、ちょうどいいとばかりにうちに誘ったんだよ。で、何気ない会話で、あいつ、誕生日だっていうじゃないか」
 それで、それを知ったお袋さんが急遽、牧野の誕生日会を催したってことらしい。
 その時は本当に急なことだったから、もちろんプレゼントなんてものはまったく用意してなくって、恐縮する牧野に、あきらのお袋さん自慢の薔薇を花束にして持たせたそうで、この紙袋の中身はその時に渡せなかった誕生日プレゼントということらしい。
 …なんで、言わないんだよ。
 自分が聞かなかったくせに、言わなかった牧野を責めてしまう。
 たぶん、このこともあきらからとかじゃなくって、牧野本人から聞いたんだったら、こんな気分にはならなかった。
 うっかりしていたとは言え、そんな大事なことに気がつけなかった自分を反省して、ちゃんと牧野に謝れたと思う。
 …それも言い訳かもしれないけどね。
 なのに、今の俺は申し訳ない気持ちより、なんだよ、どうして彼氏の俺が彼女の誕生日を知らなくって、他の男から聞かなきゃいけないんだよ、とかそんな理不尽な怒りに支配されていた。
 「お前さ、もうちょっと、女心っていうか、牧野に関心もってやれよ」
 こんな時には、あきらのいかにも訳知り顔な察しの良さが逆に鼻につく。
 「なにそれ」
 「お前が悪気ないっていうのは、俺はわかってるけどよ。お前のマイペースは、時には女には酷だってこと」
 「…………」
 「デートとかも、お前、合わせてやるってことしないんじゃねぇの?」
 「そんなことないよ」
 少なくても、牧野がしたい、って言うことに反対したことないし、嫌だと思ったことはない。
 けど…。
 「牧野って気遣いの女だからさ。基本、お前が望まないことは、無理にやらせようとはしないよな。けど、あいつだって、年頃の女なんだ。理想のデートとか、彼氏にしてもらいたいこととかだって、夢見ることあるはずだろ?」
 気が付けば怠惰になってた気がする。
 牧野が何も言わないのをいいことに、彼女の気持ちを探ることを怠っていた。
 笑顔の向こうにある、寂しそうな顔を見逃していたのかもしれない。
 そういえば夢で見た光景は、テレビだったか雑誌で見た光景…それも、牧野と一緒に見た光景だったんだと気がついた。

君の笑顔が花咲くように…

 『…わぁ、楽しそうだね』
 あの時、俺はなんて答えたんだったかな。
 『海、一緒に行く?』
 『え?いいの?』
 でも、無理しなくていいよ、って言いつつも、嬉しそうにパァッと顔を輝かせた彼女を可愛いって思ったんだっけ。
 それなのに、日々の忙しさや日常にかまけて、そんな彼女との約束を俺はまだ果たしていなかった。
 …ふいに、本当にふいに、牧野に逢いたくなった。
 いつも彼女に会いたい、彼女の顔を見て、声を聞いて、たわいない話を聞いて、…そんなふうに思ってるけど、でもなんだか、今の俺は無性に牧野に逢いたくて、逢いたくてしかたがなかったんだ。
 「…帰るのか?」
 「迎え行く」
 「そっか」
 誰を…とはあきらも聞かない。
 カフェの出口に向おうと立ち上がった俺に、わざとうっかり忘れておいた小袋を押し付けてくる。
 「俺からじゃねぇんだから、もってけ」
 はぁ~、まあ、しょうがないか。
 「…了解」
 渋々受け取って今度こそ立ち去ろうとした俺に、あきらがふいに思い出したかのように声をかけてきた。
 「そうだ。お前、…さっきの、逆夢ってやつかもしれないぞ?」
 「逆夢?」 
 「ああ。恋人が出てくる夢っていうのは、案外天邪鬼でな。彼女といちゃついてたり、キスしてたりする夢は凶夢なんだってさ。…お前油断してると、牧野に愛想尽かされるかもな」
 ニヤリと笑った顔は、俺を焚きつけようとしてるんだろうけど…。
 「あきら」
 「ん?」
 「お前、夢占いとかに詳しいとか、気色悪すぎ。もしかして、オトメンとかそっち方向に方向転換するつもりなの?」




*****




 「あれ?類どうしたの?」
 家庭教師をしている家から出てきた牧野が、俺を見上げてキョトンと目を瞬かせた。
 「迎えに来た」
 「は?」
 口までポカンと開けて驚いてたけど、でも、すぐに嬉しそうに笑って、小走りに俺のそばへと駆け寄ってくる。
 …そうだよね。
 逢いたかったら、俺から逢いに来ればいいんだし、以前はそうしてたんだ。
 牧野がそばにいてくれるのが、会いに来てくれるのがあたりまえになって、俺に合わせてくれるのを当然みたいに受け取っていた。
 手を差し出せば、ほんのりと頬を染めて、素直に手を差し出してくれる。
 「…待っててくれれば、お屋敷まで行ったのに」
 「だって、早く逢いたかったからさ。たまには、ぶらぶらウィンドショッピングとか、外でデートしようか」
 「え、いいの?」
 「うん、行こう」
 ぱああっとおひさまみたいに明るい笑顔に、俺の気持ちも晴れ渡った。
 「あ、そうだ。牧野、誕生日…」



~FIN~



ラナンキュラス(黄色):優しい気遣い
黄ラナンキュラス

【自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。】
~ゲーテ(ドイツの詩人、小説家、劇作家 / 1749~1832) 参照 名言+Quotes

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感謝

はじめまして、いつも楽しく拝読しています。0歳児の子育ての合間に癒されまくりです!
そして被災された皆さんのために行動を起こされたこ茶子さま、本当に素敵ですね。
こ茶子さまのすべてのCPにハマっていますが特に類つくの大ファンです。新参者が言うことではないかもしれませんが、ずっと連載して頂けたらとっても幸せです。今後ともよろしくお願いします!

う…
ちょっとグサグサと反省を促す内容でした笑
夫に合わせてもらうばかりで、夫のやりたいこととか、二の次さんの次…
一番は子供たちなんですが。
果たして夫のしたいことをあえてとった時間なんていつ以来か…
たまには奥底の気持ちを推し量ることもせねば。
ありがとうございました!

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