「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日③

愛してる、そばにいて0192

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 「………」
 やはり、司は総二郎にも話していたらしい。
 昔からツルんでいた悪たれどもだ。
 どうやら大人になってもツーカーの仲なのだろうと、皮肉に思う。
 そのわりには、つくしに対してどこか疚しいとでもいうような痛ましげな顔を見せるあきらとはまるで違う反応だった。
 「ウソ」
 「……は?」
 「昔馴染みってことを除けば、お前けっこうイイ女だし、テンションが下がるってとはねぇな。別にアゲアゲになるってこともねぇけど」
 ついマジマジと総二郎の顔を見上げながら、彼ほどあからさまではなかったが10年前の面影との相違を照らし合わせていたつくしは面食らって目を瞬かせる。
 「それってお礼を言うところ?色気を感じてくれてありがとうって?」
 「ん~~、いや?」
 なぜ疑問系?
 「色気は…ないな。この前顔を合せた時はまあ、ずいぶん大人の女に成長したもんだと、正直驚いたもんだが。またお前、雰囲気がずいぶん変わっちまってるぜ?戻っただけなんだろうが、なんかのオンオフの切り替えみたいに、ある意味見事なもんだ」
 さすがに女道楽をし尽くして、多くの女たちと交際を重ねてきた男だ。
 言う事が違う。
 彼女の言動に不審な顔をする人間はいたが、雰囲気が違うとまで言い当てる相手はこれまでいなかった。
 それよりもつくしにとって気になるのが、
 「この前?」
 やはりあきら同様、記憶を取り戻す直前、日本帰国後のつくしとも最近顔を合わせていたのかということだった。
 「そうか。お前は、憶えてないんだっか。司の東京本社副社長就任パーティで、お前とは2,3ヶ月前に一度会ってんだよ。10年前の記憶がなくって、司の奥さんしていたお前な。若奥様~ってふうに、いい感じで色気も出来て、ずいぶん綺麗になったと司に褒めたっけな、そう言えば」
 「………」
 若奥様。
 いやな呼称だ。
 覚悟を決め、開き直ったとは言え、やはりそう呼ばれることはいまだに顔を歪めずにはいられなかった。
 「で?お前、やっぱ司と離婚したいって思ってんの?」
 「…道明寺から聞いてるんでしょ?」
 「いや、聞きはしたが、自分はそのつもりはねぇの一点張りで、お前がどうとかは答えなかったな」
 「…………」 
 やはり、と思う気持ちと、なぜ、と。
 どうして、あの男は自分にこんなにも執着するのだ。
 高校生の頃ならばともかく、今の司なら自分自身の魅力と力でいくらでもどんな女でも手に入れられるだろうし、従順な女もあるいは反抗的な女でも世の中にはいくらでも美質のある美女がいる。
 司なら選り取りみどりなのだ。
 自分に膝を折らないから、あるいは自分に逆らい続けた女だからの一言では流石に説明ができないことにつくしも気がついていた。
 だからといって、司が言うとおり、たとえ真実つくしを愛しているにしても、その想いはあくまでも一方通行で、つくしは彼を愛していないどころあ憎んですらいる。
 そんな女とともに居続ける不毛を、ほんとにあの男は望んでいるのだろうか。
 …一生だよ?
 一生、憎みあって…あるいは夫と呼ぶ人物を恨み続けて過ごす年月の恐ろし虚無の深さに、身震いせずにはいられない。
 「司のヤツ別れねぇって頑張ってんだろ?」
 「…ふぅ」
 溜息を禁じえない。
 「お前もだんまりか?」
 「また、あいつの気持ちを考えてやれ、とかあたしに忠告するつもりなの?」
 10年前の光景が蘇る。
 総二郎は覚えてもいないかもしれないが。
 だがしかし、
 「…いや、俺には関係ないことだし」
 憶えていた。
 総二郎らしくない淡々とした物言いには、少年の日とは異なり、つくしへの同情さえも含まれてはいなかったけれど
 「そうだね、関係ない。だから、口を出すのは辞めて。ここにあたしが来たのは、あくまでもお茶を習うためであって、10年前がどうだとか、今のあたしや道明寺がどう考えてるのだとか、そんなこといっさい必要ないことだし、聞かれたくもない」
 司の依頼だとはいえ、自分の都合で師事させてもらって、たいがいな言い草ではあったが、そこはつくしもハッキリとさせたい事柄ではあった。
 …西門さんにどうこうしてもらいたいなんてこれっぽっちも思わないし、わかってもらえるはずもなければ、わかって欲しいわけでもない。
 これ以上、よけいな詮索は無用だとの断りのとおり、つくしは無難に話を変える。
 「えっと、桜子は?もう来てる?一緒に来ようって誘ったんだけど、寄り道したいからって今日は別々に来ることにしてたんだけど?」
 「ああ、さっき連絡が入って、人に会ってて少し遅れるから、先に始めていてくれってさ」
 「そうなんだ」
 長い廊下のどれくらいだろうか、日本庭園に面した一角、風情のある茶室に案内される。
 …自宅に日本庭園があるなんてね。
 たいがい豪華さで言えば道明寺邸で慣れたものだったが、総二郎の屋敷には伝統や格式があり、道明寺邸とはまた別の感慨を感じる。
 「入れよ」
 「…あ、はい」
 おそらく着物姿で、まだ茶道に慣れていない…と思われるつくしに気を使ったのだろう。
 庭園の奥に見える躙り口から出入りするタイプの東屋ではなく、広間の茶室と呼ばれるわりと広い部屋へと案内された。
 あるいはそこには、道明寺家の若夫人への配慮があったのかもしれない。
 促されるままにつくしが総二郎の真横を横切った拍子に、微かに香った香りに、総二郎が顔を顰めた。
 「それ…」 
 「え?」 
 「司を色仕掛けかなんかで籠絡するつもり?逆効果な気がすっけど」
 「色仕掛け?籠絡?」
 なんのことを言われたのかわからず、怪訝につくしが総二郎を睨みあげる。
 その顔で、まったくの見当違いであることに気がついたのだろう。
 苦笑して、
 「いや…俺の勘違い、か。…お前、今コロンつけてるだろ?」
 「あ」
 すっかり忘れていた。
 いつの間にか習慣となっていて、風呂上がりに化粧水をつける感覚で身にまとうようになっていたのだ。
 「どんな理由や…思惑があるにしろ、ここに来る時にはその匂い落としとけ」




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