「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日③

愛してる、そばにいて0185

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 「司」
 片手をあげ、こっちだと合図してくるあきらに応え、そちらへと向かう。
 「思ったより早かったな。総二郎ももう来てんのか?」
 促されるままに、バーの奥、VIPルームへと足を踏み入れる。
 「よ、久しぶりだな」
 「俺の東京本社副社長パーティ以来か」
 「そうだな、けっこうになるか」
 挨拶を交わしつつ、総二郎の両サイド、それに向かい側に座っている艶やかな女性陣にジロッと視線を流し、司が無言の威圧を加える。
 興味津々でこのあらたに加わって美男を見つめていた女たちが、そのいちべつで息を呑みすでに半ば腰を上げ浮き足立ってしまう。
 それには総二郎も苦笑して、両サイドの女性たちそれぞれの肩を引き寄せ、髪にキスを落として、甲高い嬌声をあげさせては艶然と微笑みかける。
 「ごめんねぇ~、席外してくれる?」
 「ええっ?」
 「怖いの来ちゃったからさ」
 「…でもぉ」
 鼻にかかった女がそれでも媚を含んだ目を司へと向ければ、ギロッと殺気のこもった視線が返って、今度こそ半ば転げるようにソファから立ち上がって、部屋から逃げ出す。
 それを見て、他の二人も慌てて、そのあとを追った。
 ただし、総二郎の右隣にいた女だけは、懲りもせず、
 「あ、後で時間ができたら携番に電話してね」
 「ああ。またね」
 お気楽にヒラヒラと片手を振る男の誠実さも欠片もない笑顔に誑かせながら、最後の女も司を迂回するようにして、部屋を出て行った。
 「……相変わらずだな、総二郎」
 「そうか?お前はずいぶん変わったみてぇだけど?」
 ソファに両腕をかけたままふんぞり返っている総二郎の向かい側に、司も腰を下ろした。
 「司、お前、何飲む?」
 すかさず聞いてくるあきらに片手を上げ、自分でさっさとテーブルの上に乗っていた空のグラスに氷も入れず、ウィスキーボトルから琥珀色の液体を注ぎこみ、一気に半ばまで飲み干してしまった。
 「おいおい、水じゃねぇんだから」
 「司には水と変わんねぇだろ」 
 「お前まで、総二郎と一緒に相変わらずのおイタか?」
 「バカいえ、今の俺は桜子一筋なんだよ。女たちの相手をしてたのは、もっぱら総二郎一人だ。
 手際よくテーブルの空き瓶やら空のグラスをざっと端に寄せたあきらが苦笑して、自分も酒のグラスを片手に二人とは別のソファへと腰を下ろした。
 「とりあえず、久しぶりのF4再会に乾杯でもすっか」
 「類がいねぇけどな」
 「…総二郎」
 さっきから挑発的な総二郎の態度に、あきらが小さく吐息を落とす。
 「死人みたいな顔色しやがって…大したザマだな司」
 「…ケンカ売ってんのか」
 「誰がお前みたいな体力バカに喧嘩なんか売っか」
 息をつき、総二郎も姿勢を正し、態度を改める。
 「文句くらい言わせろ。こっちは、つい先週まで京都の禅寺で御篭りで、シャバの空気を満喫する間もなく働かされてたんだ。やっと一息ついて、誰か女でも誘って2,3日のんびりしようかと思ってたら、お前の強引な呼び出しだ」
 「…なにがのんびりだよ。さんざん京都でのんびりしてきただろうが」
 「はあ?!冗談言うな。まるで出家僧みたいに煩悩とはいっさい切り離されたあげくに、飯は精進料理、精神鍛錬だかなんだかしらねぇが質素倹約通り越して、俺へのなんか嫌がらせじゃねぇかっつう時代錯誤な一ヶ月を過ごさせられたんだぞ。…実際嫌がらせだったんだろうが。ともかくその間、どっかの使役夫並みの重労働に励んでたんだよ、俺は。なんで茶人の俺がそんなことしなきゃなんだっつーのっ!」
 最後はグチグチだ。
 司もあきらも、類もそれなりにこの数年間は走馬灯のように駆け足で過ぎ去って、学生時代とは大いに異なる生活を送っている。
 それは既婚者であるかなしか以上に、激しい環境や立場の変化によるものだったが、この友人だけはほとんど変わらない。
 さすがに学生時代ほどの奔放さはないようだが、それでも自由気儘、好むとも好まざるとも関わらず、あいかわらずの生活を送っていた。
 「お前は女に現を抜かしすぎてるんだよ」
 「よく言うぜ。がっつりハマり込んでるのはお前の方だろう。一人の女に入れあげて、溺れて溺死しかけてってそれでもそれが良いって言うんだから、どんどけマゾなわけ?お前」
 「…………」
 「けっきょく、謹慎は解かれたのか?」
 あきらの問いに両肩を竦め、
 「元々後援会へのパフォーマンスみたいなもんだったからな。そもそも俺の女癖云々を言うなら、家元であるオヤジはどうなんだってなものだし、ようはオヤジを締められなかった連中の鬱憤ばらしで、俺にお鉢が回ってきたってだけだから、もういいかげんいいんじゃねぇの?」
 「なるほど」
 「で?ロクにこの10年間音沙汰もしなかったお前が、急にどうしたんだよ?しかも、前回会ってからそんなに経ってもいねぇっつーのに、お前のその変わりようって何?そんなにお袋さんのカミさんいびりがひでえの?」
 「…………」
 「…………」
 切り出さない司に、あきらと総二郎が顔を見合わせ、仕方なくあきらが口を開く。
 「牧野の記憶が戻ったそうだ」
 「…………」
 たぶん何を言われたのか即座には理解できなかったのだろう怪訝に眉根を寄せてあきらをジッと見ていた総二郎が、司へと視線を流す。
 前屈みに片手で持ったグラスを弄んでいた司が、残りの酒を一気に飲み干す。
 「司、無茶飲みはよせよ」
 「俺にとっては水みたいなものだ。お前も知ってるだろ?」 
 「はぁ、普段はそうかもしれねぇけど、お前、最近体調あんまりよくねぇんだろ?」
 日本に帰国して数ヶ月。
 おそらく仕事的には一時期よりは落ち着いたのだろう
 しかし、司の場合肉体的な疲労よりも、精神的なストレスの方が大きのは明らかだ。
 10年前とは違うが、摩耗して影を帯びた横顔が、いま彼が置かれている状況の過酷さ…苦悩を長年の友人である総二郎やあきらに露呈していた。
 「マジか、司」
 「……ああ」
 「記憶って…もしかして、それでお前、牧野と気まずくなってんのか?」
 その現実の状況からはおおきに差し引かれた形容詞に、司がうっすらと笑みを浮かべる。
 自嘲の笑。
 「気まずくどころか、俺のことを憎んでる」 
 「「……」」
 「憎んで恨んで嫌って、俺じゃなく…今でも類に惚れてるんだそうだぜ?」




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