「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日③

愛してる、そばにいて0177

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 ブレーキの擦過音に続き、ガクンッと車の急停車の衝撃が続く。
 「きゃああぁぁっ!!」
 「つくしっ!!」
 危うく吹っ飛んで飛び出してしまいかけたつくしの体を、とっさに腕を伸ばした司が抱え込んで胸に庇う。 
 勢いがついた体が前部へと激突して、その痛みと衝撃に司の息が一瞬詰まって呻いた。
 が、いつの間にか道明寺邸の門前傍だったことが幸いして、停車する寸前の減速時だったから大してスピードが出ていなかったために、大事故になることは避けられたようだ。
 司の方も肩と背中をブツけただけで、特には大怪我をしていないようで、意識もハッキリしていて、慌てて覗き込んだ胸の中のつくしも、顔を青ざめてはいたが、それでもしっかりとした眼差しで彼を見上げていた。
 動揺して驚いてはいるけれど、特に怪我をしているふうではない。
 「…大丈夫か?」
 「う、うん。な、にがあったの?」
 聞かれても当然司にも答えがあるわけではない。
 『も、申し訳ありません』 
 運転手とのインターフォンに手を伸ばそうとするよりも早く、前部座席から運転手の声がかけられる。
 司は抱き抱えたつくしをそっと離して姿勢を戻し、インターフォンの電話を取り上げ事情を尋ねた。
 「何事だ?」 
 『そ、そ、れがっ』 
 むしろ事情を知っている運転手の動揺が色濃い。
 つくしも車窓に張り付き、周囲の状況を探ろうと目を凝らす。
 膝に走った痛みに、わずかに顔を顰めてボヤいた。
 「…あたたた」
 「どっか怪我したか?」
 「ちょっと膝打ったみたい。…でも骨折ったとか、そんな感じじゃないから平気。それより、あそこ」
 指し示された司も、つくし越しの後ろから窓の外を覗き込み、顔を顰める。
 敷地内に入る直前―――、暗闇と雨で視界があまりよくないが、車のヘッドライトに照らされているあたり、路上に倒れているように見えるのは人ではないだろうか。
 眉根を寄せ、司がインターフォンで運転手へと再び尋ねかける。
 「人を轢いたのか?」
 『い、いえっ、飛び出してきたのを発見して、衝突は回避できたはずなのですがっ』
 たしかに急ブレーキの衝撃は感じたが、何かにブツかった感じはしなかったように思う。
 しかし、人を轢いてしまったかもしれないショックで運転手はパニックしてしまっているようで、声が完全に裏返ってしまっていた。
 背後を伺っても、あいにくSPたちが乗っている後続車の姿がまだ見えていない。
 「ひ、人を轢いちゃったの?」
 つくしも動揺を隠せない。
 「…わからない。どちらにせよ、確認しないわけにはいかないだろう。ちょっと、出てくる」 
 「え?あ…うん」
 つくしも続こうとしたが、司に制止されてしまった。
 「お前は中で待ってろ。合図したら、救急車の手配と警察への連絡頼む」
 「う、うん、はい」
 今は司の冷静さが頼もしい。
 いつもは運転手が開けてくれるドアのロックを自分で外し、司が雨の中、外へと出てゆく。
 それを見やって、運転手も多少は頭が冷えたのか、慌てて司に付き従い、自分も運転席から降りて人影の方へと回り込む。
 …ほ、本当に人なの?
 「おい、大丈夫か?」
 倒れた人らしき影の傍にしゃがみこんだ司が一声かけ、あれこれと状態を確認している。
 …や、やっぱり、人なんだ。
 我知らず、つくしの胸が動機打つ。
 ハンドバックから取り出した携帯電話を、胸元で固く握り締め、息をつめて窓の外を見守った。
 司同様屈みこみながら、運転手もあれやこれやと人影のそばで立ち働いているのが見える。
 パアアッというヘッドライトの光が背後からやってきて、眩しさにつくしが振り向くと見慣れた車体の姿。
 どうやら随従のSPたちが、やっと追いついてくれたらしい。
 つくしが安堵の息をつく。
 司に何事かの指示を受けたらしい運転手が後続車へ、そして司がつくしの元へと戻ってきた。
 「人?」
 「ああ」
 言わずもがなな問いかけだったが、わかってはいてもあっさりと肯定されて息を呑んだ。
 「だ、大丈夫だったの?」
 「わからない。見たところ怪我はないようだが、意識がないのか応答がない。とりあえず、こちらの車に乗せて救急車の到着を待つ。後ろの連中に救急車やら警察の手配もさせたから、お前はあっちの車に乗り換えろ」 
 「え?」
 「お前がここにいてもしょうがない。SPたちと俺がここに残るから、お前は運転手と先に屋敷に戻ってろ」
 「…あ~」
 いいのだろうか?
 自分も何か救助の一役を担うべきなのではないかという使命感と、だが、冷静に考えてSPたちと司がいるのだ、自分が残ってもあまり役にたつこともなさそうだという判断とでつくしはわずかに逡巡していた。
 「とにかく、今からだと俺らが帰れるのもいつになるかわからない」
 司がチラッと腕時計を確認して、フーッと息を吐き出す。
 「22時か…こりゃ、午前様だな。お前がいても意味ねぇし、疲れてるだろうから、さっさと帰って先に寝ろ」
 ふいに、本当にふいに、つくしはなぜ自分がそちらを見たのかわからなかった。
 司の大きな体の背後、なぜかそちらが気になって、話す司から視線をずらし、つくしは「ひいっ」と小さく鋭い悲鳴を上げ大きく目を見開く。
 「ど、道明寺っ!後ろっ、後ろっ、後ろぉ―――ッ!!」




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NoTitle

今日も更新ありがとうございます。
悲鳴をあげる何かって何だろう。。何が起こってるのか謎過ぎて予想が全くつかないです。

次回更新時にわかりそうなその正体のネタバレに期待してます!

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