「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日②

愛してる、そばにいて0160

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 「マジかよ…」
 「ああ」
 他人事であるはずのあきらの方が頭を抱えてしまった。
 よもや10年間その気配もなかったというのに、今になって、過去の記憶を取り戻したというつくしの話は、見ず知らずではないあきらにとってもかなり衝撃的な出来事だ。
 「それって…、いつ?」
 「あ…、もうかれこれ一ヶ月以上前のことになるか」
 「もしかして、例の誘拐未遂事件がきっかけか?」
 記憶喪失などは、事故などを契機に引き起こった場合、似たような事故や状況下で記憶を取り戻すことが多いと、あきらも聞いたことがあったのだ。
 「たぶんな」
 「たぶんな、って…お前、一ヶ月以もそんな大事なこと、ずっと俺らにも言わねぇなんて、ずいぶん水臭ぇじゃねぇか」
 「当人の俺らにしても、まだ、互いに消化しきれていないことだからな」
 「……そうか」
 たしかにそれはそうだろう。
 ただでさえ、記憶喪失など普通の事態ではない。
 本人はもちろんのこと、その人間に関わる身近なものたちにとっても、大変な事態であることは間違いなかった。
 ましてや、司とつくしの事情には、並々ならぬ過去が横たわっているのだ。
 「どうすんだ、お前?」
 「……どうする、か」
 タマにも聞かれた問いかけ。
 あの時、司はどう答えたのだったか。
 「どうするもこうするもねぇな」
 それがタマも言っていたセリフだったことに気がついて、司が鼻を鳴らして自嘲する。
 あきらはどう思ったのか、そんな司の様子に眉根を寄せ、小さくため息をついた。
 「離婚は…」
 「してくれって言われたな」
 「…っ!?」
 「ま、あいつにしてみれば当然のことだろうけどな」
 諦めているわけではない。
 けれど、あきらの目から見た司の顔は、狂うほどに盲愛してきた妻に、三行半を突きつけられた夫にはとても見えなかった。
 「いいのか?」
 「いい?」
 あきらの言う、いい、とは何を意味するのだろうか。
 「いいも、悪いもねぇよ。…俺の気持ちは固まっている。10年前から何一つ変わることなくな」
 「だけどよ」
 「俺にくだらねぇ常識だの偽善じみた説教するだけ無駄だ。そんなこととっくにわかってんだよ。けど、そんなのわかってたからってなんだって言うんだ」
 「…………」
 「そんなもんであいつを諦められていたくらいなら、とっくに諦めてたさ」
 「司…」
 …あいつを壊してしまう前に。
 16年間の過去をすべて忘れ去ってまで、現実から…司から逃れたいと追い詰めてしまう前に。
 たとえつくし自身を不幸にさせてしまうとわかっていても…それでも、諦められなかった。
 彼女がいなければ、生きている意味さえ、もはや見出すことができなくなってしまっていた自分のためだけに。
 ―――エゴイスト。
 まさに、誰にどう言われても司はかまわなかった。
 「それに…」




*****




 「あ…その」
 つくしが言葉を詰まらせる様子に確信を得たのか、探るようだった桜子の目が納得へと傾いたように感じたのは気のせいだったのか。
 「あの、それは…」
 「お母さん、出たよぉ」
 しかし、絶妙なタイミングでの戒の呼び出しに、つくしの言い訳が中断されてしまった。
 いいわけ?
 どんな言い訳があっただろう。
 …どうしよう。この人に、話しても大丈夫なの?
 あまりに桜子という女性のひととなりに関して、情報が今のつくしにはなさすぎた。
 「もういい?」
 「…うん、いいよ。ズボン一人であげられる?」
 「もちろんだよっ!」
 元気いっぱいに返事を返す戒の頭を撫で個室を出た。
 しかし、恐れ慄く彼女の気持ちとは裏腹に、そこにはすでに桜子の姿はなくって、つくしはホッと小さく安堵に息をつく。
 「さ、手を洗って?」
 「うん」
 だが、トイレから司たちのもとへと戻ろうとしたところへ、桜子が慌てて戻ってきた。
 「あ、良かった、間に合いましたね」
 どんな言葉から口火を切ればいいのか、あるいは空っ惚けて知らないフリをしてしまおうか、そんな思案がつくしの脳裏を過ぎった。
 つくしの困惑と逡巡をよそに、人見知りをして警戒顔の戒へと桜子が微笑みかける。
 「これ…」
 桜子の手のひらに乗せられていたのは、かなり精巧な細工を施したミッキーのキーホルダー。
 色合いも華やかで、ところどころにあしらわれたキラキラ光る石は、もしかしたら本物の宝石なのかもしれない、そんなことを疑わせる高価そうな一品だった。
 「わぁ、いいなぁ」
 思わず戒が歓声をあげる。
 そんな子供に桜子がニッコリ笑って、
 「よかったら、差し上げます」
 「「ええっ?」」
 異口同音、母子の声が揃う。
 が、すでに戒の目はキラキラとして、臆面もなく桜子の手の上のキーホルダーに手を伸ばしてしまっている。
 「ちょっ、ダメよ、戒」
 「いいんです。気に入っていただけたなら、どうぞ」
 「うんっ!」 
 「戒っ、キーホルダーが欲しいなら、後でショップで買ってあげるから」
 見ず知らずの人(ではないのかもしれないが…)に、おいそれと高価な物をもらうわけにはいかない。
 とはいえ、いくら高価であろうとたかだかキーホルダーには違いないなかったが。
 「これ実はなにげに、非売品なんです」
 「え?」
 「今ちょうどここのホテルで、スウィートに宿泊したカップル限定のプレゼントミニ企画が行われていて、どれがもらえるかはランダムなんですが、これが一番あたりのミッキーなんです」
 「「ええっ!?」」
 思わず戒と二人で食いついてしまう。
 が、だがしかし、
 …それって凄い貴重なものじゃないの?
 ただ金を出したとかいうよりもよほどの価値が有る。
 「ぬいぐるみはたくさん抱えてらっしゃっいましたし、ミッキーの帽子も被ってましたけど、キーホルダーは身につけていらっしゃらないようでしたので、良かったら…と思いまして」
 「…でも、そんなせっかく当たった大事なものを」
 戸惑って遠慮するつくしに桜子が小さく笑って、もう貰うつもり満々の戒の足元へとしゃがみこんで、ズボンのベルトループにさっさと通してしまった。
 「私は特にディズニーキャラクターのファンというわけではありませんし、喜んでもらえる人に貰ってもらった方がいいですよ」
 それでも一応子供ながらに遠慮しているのか、おずおずと戒が尋ねる。
 「…いいの?」
 「はい」
 「やったぁ!ありがとう」
 もう戒の顔はここに来て以来笑み崩れて、ただでさえご機嫌なのに、何度も何度も腰につけてもらったキーホルダーを眺めては、桜子へも愛想を振りまいている。
 もはやこの一件で、戒の桜子への心象は大幅UPで、やはり子供のことだ、あっという間に打ち解けてしまったようだ。
 「もう、戒君と桜子はお友達ですね」
 「うん!桜子好きっ」
 子供が食べ物や物で釣られるのは、貧富を問わぬ真理らしかった。




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※プレゼント企画に関して完全に創作です。またホテルやパークに関する詳細も、一応は検索していますがけっこう適当ですので、ご容赦をm_ _m
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毎日更新ありがとうございます!!!つくしと道明寺の今後が気になって仕方ありません!!!次回も楽しみです!

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