「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日②

愛してる、そばにいて0158

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 あきらと腕を組んでいる女が、ニッコリとつくしへと微笑む。
 花が開くよう…まさにそんな形容詞が似合うような可憐な美女だ。
 「先輩、お久しぶりです。ひどいですよ、すっかりお見限りで」
 気さく話しかけてくるコケティッシュな美女の親しげな態度に、つくしは驚いて目を見開いた。
 …誰?
 「なんだ、あきら、お前日本に帰ってたのかよ」
 「薄情なヤツだな。…とっくの昔に戻ってたよ。で?お前は家族サービスか?昨日?今日これから?」
 「昨日だな。一日ランドの方を練り歩かされた」
 「はは、そりゃ、さぞや混雑でイラついたろ。昨日は時期的にも繁忙期の上に、久しぶりにいい天気に恵まれた休日で、特に混んでたらしいからな。しかし、お前がディズニーランドねぇ」
 笑い合う顔は、互いに気安く柔らかい。
 物珍しく自分を見上げている戒の視線に、あきらが気がついて視線を向けると、戒は怖じけて両親の間に隠れてしまった。
 「今日は、息子君も起きてるな」
 前回一家であきらに出くわした時には、スイスからの長旅に疲れて戒は司の腕の中で眠り込んでいた。
 だから、戒にとってのあきらは、まだ初対面の未知の大人でしかない。
 「お前もここに泊まってたのか?」
 「ああ。例によってお袋が妹たちと来る予定で、ここの最上階のいつものスウィートを予約してたんだよ。けど、急にオヤジに呼び出されてドタキャン。せっかくだっつーんで、俺も珍しくオフとれたし、桜子も空いてるっていうから、昨晩遅くにこっちに来て一泊したんだ」
 肩を竦めるあきらはどことなく不本意そうだ。
 「ふぅん?戒、挨拶しろ。俺のガキの頃からの親友の美作あきらとあきらの婚約者だ」
 父親に促され、興味津々の大人たちの顔を見回して、戒が居住まいを正す。
 「道明寺戒です。よろしくお願いします」
 小さな体が綺麗な角度で腰を折って、挨拶する。
 幼いながらにどことなく堂々とした態度には、司の血筋を強く感じさせた。
 「よろしくな。君の父上とは、君くらいの年齢の頃から友達だ」
 柔らかく笑って、あきらが戒の頭をポンポンと小さく叩く。 
 その横で、お人形のような美女も腰を屈め、戒の顔を覗き込んで挨拶した。
 「三条桜子です。初めまして、どうぞ、お見知りおきを。私は戒君のお母様とは友達ですから、今度お茶をご一緒いましょう?」
 「…え?」
 思わず声を上げてしまったのは戒ではなく、…つくしの方で、怪訝な顔のあきらと桜子が首を傾げている。
 「お母さんと友達なの?」
 人見知りの戒は、すでにつくしの手を取り、その背中に隠れたがって警戒心バリバリだ。
 それでも、‘お母さんの友達’という一言が戒をその場に押し止めていた。
 「ええ、そうですよ。ね?」 
 ね、はつくしへの相槌。
 けれど、つくしにはまったく身に覚えのない相手。
 それでもあきらの婚約者だというのだから、以前までのつくしであれば、交流があってもおかしくはないのかもしれない。
 つくしの中でのあきらと言えばあくまでも司を介しての関係で、それなりには親しくもあったが、その人となりや個人を知る機会はといえばそれほど多くはなかったように思う。
 ただ、司、類、あきらともう一人の総二郎とツルんでは、親の威勢を借りて他人に迷惑をかける甘ったれの悪たれどもという認識で、総二郎と一緒に女の尻を追いかけてばかりの女たらしだった印象しかなかった。
 当時を考えれば、こんなお人形のように可愛いらしいお嬢さんと婚約して、平凡とは言えなくてもまともな社会人生活を送っているなど青天の霹靂だ。
 …美作さん、やっぱり、この人もずいぶん変わったんだよね、きっと。
 外見的にも高校時代には繊細な美少年チックだった美貌が、今や大人になって、いかにも洗練された青年実業家然としていた。
 「…先輩?」
 「あきら、俺たち、あんま時間ねぇんだ」
 「え?あ…あぁ、ずいぶん早いな」
 あきらが腕時計の時刻を確認して、小さく肩を竦めている。
 「お前も今日は仕事だろ?」
 「俺は、今日がオフ。午前中一杯ホテルでのんびりして、あとは適当にシーでも回ったら銀座あたりでデートして帰るつもり」
 「はっ、…羨ましこったな。そんなに美作商事は暇なのか?」
 皮肉る司にあきらが苦笑する。
 もちろんお互いにジャレあいの範囲だ。
 「バカ言え。家族サービスに励めるお前より、よっぽど忙しいって。こっちはほとんど一ヶ月ぶりのオフなんだよ」
 …この人たちって、いまだに仲いいんだ。
 子供の頃からだというから、ずいぶん長い付き合いだと半ば呆れて感心する。
 いかにも彼らは、似た者同士の悪友共だったからだ。
 …今もあんまり変わってないのかもしれないけどね。
 おそらく見た目ほどには。
 「先輩と戒君は、道明寺さんをお見送りされて、今日もこちらで一日過ごされるんですか?」
 「え?」
 小首を傾げた桜子に尋ねられ、一瞬つくしは言葉に詰まってしまった。
 別に普通に答えればいいのだが、この見知らぬ美女相手にどう自分の変化を悟られないように話せばいいのか、と。
 「あ、…いえ、その、道明…しゅ、主人と一緒に帰ります。戒も幼稚園がありますし」
 友達…と言われているのに、あまりに他人行儀だっただろうか。
 しかし、桜子の見た目や立ち振る舞いからして、あきらに似合いの良家の子女なのは間違いがない。
 …あたしの友達なんて、本当?
 けれど、つくしだとて道明寺家の若妻として、10年間を過ごしてきたのだ。
 スマートフォンの履歴やタマたちから見聞きしたことからして、引きこもって暮らしていたわけではないらしい。
 そうであれば、本性に合わない友人知人が普通にいてもおかしくはないだろう。
 「あの…先輩?どうかされたんですか?」
 怪訝な顔が、何かを探るように見ているようだと思うのは穿すぎだろうか。
 …どうしよう。
 もしかしたら、司からあきらにはつくしのことが伝わってしまうのかもしれなかったけれど、彼女としては見も知らぬ相手に自分の事情を事細やかに話したいとは思えない。
 また、それが許されることなのかさえもわからないのだ。
 あきらと雑談を続けている司を、知らず知らずに頼って見てしまう。
 「お母さん」 
 が、ツンツンと手を引っ張られ見下ろせば、意外なところから救いの手が差し伸べられた。
 「お母さん、俺、トイレ行きたい」
 「へ?」
 「一人じゃできない方だから、一緒に来て」




*****




 トイレに行きたいという戒に付き添って、つくしが席を外してしまった。
 桜子もそれならば自分もついでに化粧でも直したいからと気をきかせたので、時間がない中で、司とあきらが二人っきりで残された。
 朝食に出てきたあきらはもちろんのこと、簡単にチェックアウトを済ませた司は、それでもう手持ち無沙汰になって、近くの柱の影によって立ち話をすることに。
 どうしても人目を引くことは避けられないが、それでも周囲を固めた物々しい男たちが、一般客の視線を遮っている。
 しかし、まだ早い時間帯。
 それほど人の行き来がないことがせめても、というところか。
 「パーク内で暴漢に襲われた?!」
 驚いて思わず声を上げたあきらを、司が一べつで黙らせる。
 あきらもすぐにその視線の意味に気がつき、自分もさっと周囲を見回し謝罪した。
 「わりぃ」
 「いや。…まあ、襲われたって言っても、怪我をしたわけでもねぇし、犯人の男も偶然、俺を見つけて、逆上しての暴挙ってヤツだったらしいけどな」
 「犯人は…」
 「うちのSPがすぐに捕まえて、速攻警察」
 「…そうか」
 あきらにしてみても他人事ではない。
 さすがに道明寺財閥程、なり振り構わない冷徹な経営方針をとっているわけではなかったが、やり方によっては恨みつらみを買ってもおかしくはない立場だ。
 明日は我が身。
 だが、今はそんなことよりも、親友の身の上を案じて、あきらは顔を顰めた。
 「それって、この間、お前の妻子が誘拐未遂されそうになった、あの一件と根は一緒なんだろ?」




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