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「愛してる、そばにいて」
第2章 罪②

愛してる、そばにいて0097

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 仁王立ちして睨んでくるつくしに、とんでもないと総二郎とあきらが首を振る。
 「よせよ、お前を連れ込んでなんかしようとするほど、俺らは命知らずじゃねぇって」
 「司に何されるかわかりゃしねぇし、それ以前に、お前に女なんて、俺ら欠片も感じねぇよな」
 総二郎の物言いは失礼なものだったが、つくしにしてもそれは重々承知なことではあった。
 「ただ、ちょっと人目を避けようとしただけ」
 「………なによ?」
 総二郎がそのまま芝生の上に、腰を下ろしてしまった。
 あきらはと見れば、少し迷ったようだが、完全には腰を下ろさないスタイルで座り込んだ。 
 「お前も座れよ」
 「なんでよ」
 「立ってると目立つだろ」
 「いいわよ、どうせ大した話じゃないんだから、さっさと話せばいいでしょ」
 かなり邪険な自覚がつくしにもあったが、そもそも総二郎やあきらと話すような大切なことなど、つくしには何もあるはずがないのだ。
 彼らの口から出るのなら、司の話だと容易に推測できるし、それならば、よけいに聞きたい話でもなかった。
 勝手に話せとばかりに、指示に従わないつくしに、二人が苦笑いする。
 司ほどではないが、彼ら二人もそれなりに学園の人間たちには恐れられて、敬われているF4のメンバーだ。
 そんな彼ら二人に、そんな口を聞けるのは彼らの仲間内か、つくしくらいなものだろう。
 最初のうちはそれでも多少緊張が見えたつくしだったが、ここ2ヶ月近くの関わりで、かなり総二郎とあきらにも馴染んで、だいぶ遠慮がなくなっていた。
 ため息をつき、総二郎とあきらも結局立ち上がる。
 「わかった。じゃあ、率直に言うな」
 「…………」
 「あいつの気持ちも、わかってやってくれないか?」
 意外にも口火を切ったのは、いつも気遣い役のような立場のあきらではなく総二郎の方だ。
 総二郎への印象といえば、おちゃらけたスケコマシといったものしかなかったが、思わぬほど真摯な表情につくしが息を飲む。
 「気持ちって」
 「司の気持ち」
 「……………」
 もちろん話題の内容が司のことであることなど先刻承知だったが、よもやそんなことを言い出されるとは思わず、つくしが絶句する。
 「実際に、司とお前に何があって、今みたいな状態…っていうか関係になってるのか、俺らも正直全部が全部把握しきれてるわけじゃねぇ」
 「………そう」
 「が、ある程度は察してるし、お前の気持ちもわかってるつもりだ。…司の気持ちも」
 何が言いたいのだろうか。
 唐突に口にされた意外な話の展開に、つくしがボンヤリと総二郎を見返す。
 横合いからあきらも口を出した。
 「一時期のお前の状態を思えば、同情も禁じえない」
 その言葉を聞くだけで、その『察している』に含まれるものがどの程度のことか、わかるというものだ。
 …けど、同情はしても、何をしてくれるつもりもなかったってことだよね。
 そしてこの口ぶりを聞けば、それは過去のことだけでなく、現在進行形でもあるということなのだろう。
 同情はしていても、司の意思に逆らってまでのことではない。
 …それはそっか。
 もちろん、総二郎とあきらは他の学園の生徒たちとは立場が違った。
 司に遠慮する部分もまったくないわけではないのかもしれなかったが、もし彼らがその気であったなら、その遠慮さえも乗り越え、対峙することも厭わなかっただろうし、実際できただろう。
 それをしないということは―――。
 「が、俺らはあいつの親友だ」
 …ようはそういうことなんだよね。
 「結果的に、お前には何もしてやれなかった…やれていないことは申し訳なくも思うが、司はあれでもそう悪い奴じゃないんだ」
 …悪い奴じゃない?
 何を基準に言っているのか知らないが、笑える話だ。
 そして、本当に笑ってしまった。
 「ぷっ、悪い奴じゃない?」
 「……いいところもある奴とも言うかな」
 「なるほど」
 少なくても、総二郎やあきら、おそらく類にとってもそうなのだろう。
 …なんたって、ああいう男だって知ってても、親友してるくらいなんだもんね。
 ようは同じ穴の狢というだけのことだ。
 「俺らが言うことじゃねぇのかもしれねぇけどさ」
 「…じゃあ、やめておけば?」
 つくしらしくない冷たい声音に、あきらが言葉を詰まらせる。
 勝気な少女だとは思っていた。
 けれど、こんなふうに、切って捨てるような言い方をするような女ではなかったように思う。
 司が変えてしまった。
 溌剌とした明るさを苦悩に染め、笑顔を曇らせた。
 司のために安易に口利きをしようなどと思った自分たちの浅慮を一瞬で悟らせるに十分な昏く陰鬱な目。
 「もう、あたし、行ってもいい?」
 「……司は、たぶん、お前のことを真剣に好きなんだぜ?」
 追いすがる総二郎に、眉根を寄せたつくしは本当に意外そうだった。
 が、ああ、と頷く。
 「人のものを欲しがるんだっけ?」
 「…………」
 総二郎が言葉に詰まって、あきらが慌ててフォローしようとか口を開いた。
 「牧野、お前、それって」
 「なんか納得できたかも、それ」
 「…………」 
 「好き…っていうのとはちょっと違うと思うけど、まあ、あいつなりにあたしのことを可愛がってるつもりなのかもね?」
 意外すぎるつくしの言葉。
 けれど、その表情が言葉の内容を裏切っている。
 ひんやりとした声音にはたしかな自嘲…そして皮肉がチラついていた。
 「たまに可愛いとか言ってくるしね」
 「そ、そうなんか?」
 …あの司が。
 自分たちでフっておいて、総二郎もあきらもあからさまに驚いているのが可笑しい。
 もちろんつくしは、少しも面白くも楽しくもなかったけれど。
 「それに、けっこう満足そうだもん」
 「満足そう?」
 「そう。道明寺のことだから、あんたらにも自慢してそうだと思ったんだけど、それほどじゃないのかな」
 「「…………」」
 つくしの口から何が飛び出してくるにせよ、その声音の冷たさに含まれた小さな震えが、けっしてその言葉が彼女の本意ではなく、それどころか彼女自身を傷つける刃であることを総二郎とあきらに伝えていた。
 「牧野、やめ…」
 止めようとするあきらの言葉を遮るように、つくしが一気に言い放つ。
 「みすぼらしいボンビー女も、俺が磨いてやればそれなりに見れるだろ?とかなんとか、そんなことあんたらに言ってるんじゃないの?」




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