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「夢で逢えたら…全207話完+α」
ビューティフル・ライフ~番外編

ビューティフル・ライフ07~V.Day ver.

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 つくしの背中を撫でていた司の手が、止まって、うつ伏せたままのつくしの顔を覗き込む。
 うっとりとした顔で目を瞑っているつくしの顔は本当に幸せそうで、その言葉にはなんの含みもないように見えた。
 けれど―――、
 「なるほどな、お前、ババアか西田あたりからなんか聞いたのか?」
 思わぬことを言われてつくしが顔をあげると、司はため息をついてベッドから体を起こしてしまう。
 そして、司らしからぬことに、ベッドヘッドの背もたれに座って、片足を抱え込んで顔を伏せて蹲った。
 腕の隙間からわずかに覗くその美しい横顔が、ひどく苦しそうで、辛そうで…。
 そんな顔をするのはどれくらいぶりだろうか。
 けれどたしかにそんな孤独に満ちた冷たい表情も、彼の中にある顔の一つには違いない。
 つくしがキャサリン・マーベルとして、つくし自身ではない別人として彼のそばに寄り添い始めた頃に、よくそんな顔をしていたことを思い出す。
 …たぶん、私がそばにいない時も、こんな顔をしていた時があるんだろうな。
 何人の女たちが彼のそんな顔を見たのかと思えば、嫉妬も湧き起こるが、それもまた愛の持つマイナス面であることを自覚して、抑えるだけの分別も今のつくしには十分にある。
 …今は私のそばだけにいてくれてる。
 どんな彼も、どんな顔も、彼の真実を見せてくれる女はつくしだけだと信じていた。
 「まさか、要からじゃねぇだろうな?」
 実際には楓や西田、要からは何も聞いてはいなかったが、それでも司の物言いにある意味確信を深めた。
 姑やその懐刀、司自身の息子が知っている話だ。
 冗談や単なる醜聞の域などではなく、深刻なものであると。
 「…なにも聞いてないわ」
 「嘘言え」
 「嘘…っていうか、隠し事してるのはあんたの方でしょ?」
 「………」
 「バカにしないでよ」
 追い詰めるつもりなどなかったのに、最初から捻れて拗ねた態度を取る男の態度が気に入らなくて、ついキツイ物言いをしてしまう。
 …やだ、私ったら、ダメダメじゃない。
 が、すぐにそんな自分を反省して、大きく深呼吸。
 つくしも座り込んでいる司に合わせて、ベッドから体を起こす。
 「あんたってけっこうウジウジしてるっていうか、自分に自信がない男だよね」
 「………は?」
 いきなりの『喧嘩売ってんのか、てめぇ』なセリフに、司も暗い顔を引っ込め、いつもの青筋を額に浮かべて、伏せていた膝から顔を上げた。
 天下の道明寺司にもっとも相応しくない、遠いだろう評価を平気で大真面目に下す女、それがつくしだ。
 「ぷっ、プラス瞬間湯沸かし器」
 「お前が俺様をこき下ろすからだろうがよ。だいたい、俺が自信をなくすのは、この世で唯一お前のことだけだ。昔からお前に受けた仕打ちの数々が俺を…そんな情けない男に貶めるんだろ?」
 「う~ん」
 つくしにしてみれば、昔から何度も言われているセリフではあるが、いわれなき非難でどうしても理解しがたいところだ。
 けれど、たしかに自分が司のように愛情をストレートに表せるタチではない自覚はある。
 …あんたみたいに素通しガラスみたいに、っていうのは普通の人には難しいものなのよ。
 そこで、あらためて実感する。
 素通しガラス、いつも司は彼女への気持ちを真っ直ぐに表してくれて、そこには一点の曇りもなく隠す余地などなかったことを。
 「別にこき下ろしてるつもりはなかったんだけど、…まあ、ちょっと言い方に難があったか」
 「…………」
 反省してくれるのはけっこうだが、その反省の仕方にもかなり難があった。
 「じゃあ、あんたは私の気持ちを疑ってるってわけ?」
 「……なんだよ、薮から棒に」
 「まあさ、どうしても言いたくないってものを無理に聞き出そうと思ってたわけじゃないのよ、私も」
 それは本当のことだ。
 だが、黙っているのなら黙っているで平然としていてくれればいいのに、そうではないから心配せずにはいられないのだ。
 「私はあんたのこと人徳者だと思ったことは一度もないわけ」
 「………人徳者ぁ?」
 「で、理想の男性像と崇めて惚れたわけでもない」
 惚れた、いまさらそんなことで嬉しいなんて、司も自分で自分に笑ってしまうことがある。
 だが、それを恥ずかしいことだとは思わない。
 愛してる女に愛してる、惚れてると言われて、幸せであることを誇らずして何を誇るのだ。
 「あんたの情けないところも知ってる。非道なところもロクデナシなところも。…あんがい女タラシだったこともね」
 最後の言葉尻に司が複雑に顔を歪めて、しかし蹲っていた姿勢から復活してつくしを抱き寄せた。
 「…女タラシなんかじゃねぇよ。お前がいて、他の女に目もくれたことがない。つーか、お前がいない時も、ホッカイドー?代わりにしてただけで、惚れたこともなければ気を惹かれたこともないぜ?俺の人生で俺が惚れた女はお前だけだ」
 …ホッカイドー、ホッカイドー?ああ!ホッカイロかっ。
 ついどうでもいいことが気になって頭を悩まして、やっと出てきた正解に内心ポンと両手を打ち合わせた。
 おかげで司の熱烈な愛の言葉は華麗にスルーする結果にはなってしまったが、もちろん、顔は何食わぬ顔で、真剣に司を見上げたままだ。
 「じゃあ、話しなさいよ。何を隠して、ここのところあんたらしくもないシケた顔してたわけ?」
 「…シケた」
 あいかわらず歯に絹着せぬ女だ。
 しかし、そうした物言いを司に言えるのもこの世でただ一人つくしだけだったし、まただからこそ司の愛するただ一人であるとも言えた。
 もう逡巡しているわけではなかったが、何から話すべきかと言い出しあぐねている司に、まだひと押しが足りないのかと、つくしが両手で司の顔を柔らかく包み込み、小さなキスを唇に落とす。
 それに応えて、キスを深めようとする困った男の唇に手をあて、話を聞けと待てをする。
 「手のひらに吸い付くな」
 「俺の求愛行動を邪魔しようとするからだろ」
 「大事な話してるんだから、求愛行動は一休み」
 そうは言いつつ、自分は司に触り放題なのだから、つくしもまた困った女なのだろう。
 それでも、そうしたつくしの行動が、全身で司に愛情を伝えようとしているのは司にもわかっていた。
 時には言葉だけではダメな時もある。
 どんなに百万回の言葉を尽くしても、手に触れる温もりに、素肌が感じる安らぎに勝るものがない時もあるのだ。
 「結婚式の時に誓ったでしょ?」
 「……?」
 「病める時も、健やかなる時もってやつ、憶えてる?」
 「…ああ」
 結婚式での一般的な誓願。
 ほとんど形式的な意味合いに近い、この誓いには深い意味がある。
 長い人生、ともに生きる上で、良い時もあるだろう、当然悪い時もある。
 人は幸せな時、良い時には他人を愛することは簡単なものだ。
 他人を愛して容易に許すことができる。
 だが、困難な時、苦しい時にこそ、真実愛する人と二人でいる意味がある。 
 相手のマイナス面さえも許し支える覚悟があるからこそ、結婚するのだし、愛は続き、そして増えてゆく。
 「あんたを愛してるから幸せにしてあげたいと思った。あんたを幸せにしたいから結婚した。それって、あんたのいいところばかりに惹かれて誓ったわけじゃない。…それと同様に、あんたが完璧な男だなんてこれっぽっちも思ってない。さっき、言ったよね?」
 「…………」
 きっと、つくし以外の誰もが司を完璧な男だと言うだろう。
 美貌、家柄、富、才能、その他もろもろ、天が二物どころか三物も四物も与えた男と。

 だが、彼の醜さも愚かさも、弱さも…情けなさも知っていて、それを許して愛してると言える女はどれだけいるだろうか。
 答えは自ずと知れる。
 「俺に……要以外にも子供がいたと言ったら、お前どうする?」
 それでもつくしの目を真っ直ぐに見ることができなかったのか、ジッと彼の目を見つめるつくしからわずかに視線を反らして、司が口を開いた。
 「そ。で、何人?」
 「はあぁっ!?」





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