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「愛してる、そばにいて」
第2章 罪②

愛してる、そばにいて0078

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 …あ、あたしまさか、おしっこしちゃったの?
 そんなはずはないとわかっていて、それでも信じられない思いに、恐る恐る、何かが伝い落ちる足の間に指先を這わせる。
 ヌルッとした馴染みのない粘性の感触。

 ガタガタと震える体が先に悟ったのが先だったのか、それとも…。
 怖じける心を奮い立たせて、巻きつけていたタオルケットを開いて、自分でもしかとは見たことがないソコへと視線を落とす。
 足の間のヌメる滴りを、指先で掬い取るように目の前に翳す。
 白く濁るそれは、オクテなつくしでも容易に想像し得るあきらかな陵辱の証。
 「あ…ぁあっ…ああっ――あああああっ!!」
 ガタガタガタッ。
 腰から力が抜け、腰砕けに再び床に座り込みかける。
 実際に、洗面台に背中が当たって支えにならなければ、もしかしたらそのまま倒れてしまっていたかもしれなかった。
 「…いや、いや、…そ、そんなぁ、いやあああっ」
 片手で押さえた口からは、悲鳴じみた嗚咽か溢れて、とても耐えることができない。
 股の間からトロリと再び、白い粘液が溢れて、つくしは堪らず洗面台へと振り返って、嘔吐した。
 「うぐっ、うげえぇぇっ、げっ、げっ」
 …いや、いや、いやあぁ。
 何も吐くものなどなくなっても、それでも黄色い胃液がこみ上げて、嘔吐く苦しみにまた吐き気がこみ上げる。
 自動センサーで流れ出す水がそれを流しても流しても、次から次に吐き出された吐瀉物が水の色を汚らしく染め、苦しさと悔しさ、哀しみ、その他もろもろのつくし自身でわからぬ理由で、彼女を涙させた。
 「…あ、洗わなきゃ。全部、綺麗にしなきゃ」
 胃液もすべて吐き出しつくしたのか、一滴の雫さえ口から吐き出すことができない。
 胃の中が焼けつくように熱く感じる。
 鏡に映った涎と涙、吐瀉物に塗れたつくしの顔はまるで、一気に10才も時を得てしまったかのように生気を失い、幽鬼のように顔色は土気色だった。
 フラフラと壁に何度も体をぶつけながら、シャワー室へと転がり込む。
 おぼつかない手つきでバルブを回し、冷水を流す。
 夏とはいえ、冷たい水は弱ったつくしの体にはキツ過ぎた。
 だが、今のつくしは水の温度などまったく気が付いていない。
 体の中へと注ぎ込まれたその汚液を洗い流す、ただそれだけで頭が一杯で、ロクに触れたこともなかった股間の中へと手をいれ、懸命にゴシゴシと擦り合わせて洗い清める。
 気遣いのない手付きに、傷ついていた入口がまた血を噴き出して、鋭い痛みをつくしに齎す。
 けれど、それさえも今の彼女にはどうでもよかった。
 ただ、ただ…ただ。
 ただ一つのことだけが、頭の中を巡り、恐怖にパニックする彼女をさらなる恐慌へと陥れていた。
 …ああぁ、どうしよう。
 赤ちゃんができちゃう。赤ちゃんができちゃったらどうしよう!!!
 「ああうぅ……あああっ、うううっ」
 …助けて。助けて、助けて、助けて、助けて、助けて!!
 誰か、助けて。
 つくしは呼び続けた。
 誰とも知れぬ、救い手を求めて、体中を洗い流しながら、けっして来てはくれない助け手を求めて、ただ泣き濡れ呻き続けた。




*****




 …寒い。
 体中をゴシゴシと擦って洗い、歯の根の合わない寒さに我に返ったのはどれくらいの時が過ぎてからだっただろうか。
 心の上げる悲鳴よりも先に、体が根を上げて、無意識に湯のバルブも捻って温かい湯を流す。
 ペタンと座り込んで、見るともなく、雨あられと降り注ぐ湯の雨を見つめて続ける。
 冷え切っていた体が温まるとともに、少しづつ冷静な思考が戻ってきた。
 …泣いてる場合じゃない。
 真っ黒な闇が足元に広がって、自分を飲み込むビジョンに打ちしがれながら、それでも、唯々諾々と破滅を待っているわけには行かない。
 …考えなきゃ。
 体の傷はいくらでも癒せる。
 心の傷も痛くても、希望さえあればまだ耐えることができるだろう。
 けれど…。
 自分は女なのだと、思い知らされた。
 恐ろしい程の自覚。
 司が避妊のことなど全く念頭になかったことは、自分に残された痕跡からもよくわかる。
 初めての時は、それどころではなかったし、過酷な虐待につくしもその事実を気が付くことができていなかった。
 司は自分の非情な行為がつくしを妊娠させてしまうかもしれず、さらに深い傷を負わせることになるなどとは、まったく思いつきもしないのか。
 あるいは、たとえ理解していたとしても、しょせん家畜の如き蔑んでる女がどうなろうと構わないのかもしれない。
 …あたしを輪姦させようとしたり、あたしの体を好き勝手に弄んで玩具にしてる男だもんね。
 今はそれなりにつくしを気に入っているのか、妙な遊びに耽っているようだが、飽きればいつものように金か何かで片付けるつもりなのだろう。
 それはそれで、早期に飽きてくれるのなら、つくしにしてみても、それこそ望むところだ。
 だが、そんな諦観を突き崩す一つの可能性。
 妊娠。
 その言葉を思うだけで、震えが止まらない。
 まだ17才の少女には、本来受け止めきれない過酷な現実の、さらに先に突き抜けたところにある恐怖。
 もうこれ以上、ひどいことなどないと思っていた。

 けれど、つくしが女である以上、けして逃れることのできない事象。
 つい数ヶ月前まではキスもまだ未経験で、偶発的な司とのファーストキスにさえ涙した。
 それが妊娠の心配までさせられるようになってしまった、この信じられない現実。
 好きな人に告白して、あるいは告白されて。
 デートして、手を繋いで、笑い合ってキスをして…。
 そんな高校生らしいささやかな夢が一瞬で奪われた。
 そして今は、そうした男女交際がなんとも遠く、まるでつくしには手の届かない蜃気楼のように思えた。
 家畜のように繋がれて、弄ばれて、壊されて…。
 ふいに司に扇動されたクラスメートたちのイジメが脳裏に蘇った。
 つくしを傷つけるために、教室の黒板に書かれた中傷文。
 『牧野つくしは男好きのインラン。2回子供を堕している』
 そんなたわいなくて、笑えない悪質な悪戯。
 真実ではない時には、憤って腹を立てればそれでよかった。
 だが。
 「はぁはぁはぁ…あ…ダメ、いや…どう、したら」
 ありえる未来。
 このまま司の玩具で居続けてしまえば、そんな未来が真実になり得る。
 あるいは、テレビやドラマのように、子供を産ませて愛人に囲い続ける、そんなことがありえるのだろうか。
 この日本で?
 だが、道明寺財閥の威容を思えば、どんなこともありえそうで、それがまた恐ろしい。
 子供を孕んでその子を堕胎することも、また出産することも、つくしには受け止め兼ねた。
 …ま、まさか、もう妊娠しちゃったとか、そんなことないよね?
 考えるとそれだけで、呼吸が苦しくなって、息遣いが荒いで涙が溢れそうになる。
 …どうしたら、いいの。




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