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「愛してる、そばにいて」
第2章 罪①

愛してる、そばにいて0074

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 「ど、道明寺…」
 「…本当は下のレストランで飯食ってから見せようと思ってたんだけど、お前が元気ないみたいだったからさ」
 「あ、あの…」
 「少しくらい休ませようと思ってたんだけどな…クソッ。我慢できねぇ」
 小さく罵り声を上げた司が、つくしへとむしゃぶりついた。
 この展開を予想していなかったといえば、嘘になることに気が付く。
 意識しないようにしていた。
 だが、司の真意がなんにしろ、ただ貢がれて…それで終わりのはずがないのは、さすがにつくしだってわからないでいられるほどには馬鹿ではない。
 「ぁあ……あ。や、やめ…て」
 「やめらんねぇ、飯は後でこっちに運ばせる。だから…」
 熱い手がワンピースの布越しに胸の膨らみを覆って、強い力で揉みしだき、反対側の手でつくしの顎を抑えて、彼女の首筋に埋めた唇で肌を辿り出す。
 押え付けられてなんかいなくても、恐怖を染み込ませられた体はまともな抵抗などできるはずもない。
 人は思った以上に肉体的痛みや苦痛に弱いものだから。
 ましてや、司によって何度となく味合わされた絶望と恐怖…そして敗北感はまだ、記憶にも真新しい。
 ガクガクと震える足が、体を支えられない。
 司に抱きすくめられ、むしろ窓に押し付けられていなければとても立っていられなかっただろう。
 滲んだ視界に、東京の夜景が禍々しく歪んだ。
 …た、食べられちゃう。
 自分はこの背後で自分を貪り食っているケダモノに、骨まで食い尽くされるのだという恐ろしい予感…いや確信か。
 「ハァ…すげぇ柔い」
 はあはあと耳元でつかれる荒い息遣いが、つくしの素肌に鳥肌をたせさえ、なおいっそう嫌悪と恐怖を煽る。
 最期のトドメを受ける瞬間の、草食獣さながらの悲哀。
 「…お、お、お願い…お願い…ぅうっ」
 泣きたくないのに嗚咽がこぼれて、うまく言葉にできない。
 それでも懸命に司へと訴える。
 「道明…寺、 聞いてよぉ、ヒクッ…ぁう……お願いだから!」
 「…ああ?」
 首筋を舐めては吸い付いていた司が、それでも上の空で返事を返す。
 「……い、言うこと…、き、聞く。あんたに逆らったりしないし、あんたの言うとおりにする!だから、お願い。あたしを、うちに…あたしを自分のうちに、か、帰らせてぇっ!」
 「帰る?」
 オウム返しされる言葉に、抱きすくめられながらつくしがブンブン首を縦に振る。
 …お願い。
 それだけを願って。
 「ダメ」
 「え…っ!?」
 「やっぱ、それナシ」
 ショックに空転する思考に絶句しているつくしの体をくるりとひっくり返して、司が抱きしめなおす。
 そして、そのまま立ったまま硬直しているつくしの体を横にずらして、ゆっくりと床へと押し倒した。
 道明寺邸と同じく毛足の長い絨毯は、その衝撃を吸収して、つくしに痛みや怪我を負わせることなく受け止めてくれる。
 呆然と見上げた司の顔が影になって、その表情は見えない。
 けれど、つくしもその顔を見たいとは思わなかった。
 自分を食らう獣の舌なめずりする顔など見なくてもわかったから。
 ぼわんという耳鳴りがして、司の声さえもどこか遠ざかる。
 …ああ、このまま。
 このまま、なんなのか自覚のないままに、体と心が分離して現実から乖離してゆく。
 「ずっと、俺のそばにいろよ。………俺だけを見て、俺だけのものになって、俺だけを好きになれ。そしたら、大事にしてやる。どんなものだって手に入れてやるし、どんなことだってしてやる。大事にするから」
 「…ぁやっ……」
 司が体をズラした拍子に、夜景の光が司の顔反面を照らし、彼の表情をつくしに見せた。
 甘い…甘い、夢見るような顔。
 ゾッとするほどに優しく、自分の中の狂気に耽溺した一人の動物的本能に支配された男の醜悪な貌。
 「…そんな顔すんな」
 柔らかな手つきでつくしの頬を撫で、いつの間にかまた涙が流れていたのだろう彼女の目尻を拭う。
 「なぁ、泣くなって」
 「だったら…お願い、こんなことやめてよぉ」
 …なんでもくれるって、してやるって言ったのに。
 司が目の前にチラつかせて、結局与えてくれなかったもの。
 ―――自由。
 わかっていたことなのに、またも裏切られて希望を打ち砕かれ、なすすべなくつくしが泣きじゃくる。
 しかし身勝手な欲望に囚われた男には届かない。
 つくしの涙にたじろぎ彼女を憐れむ気持ちよりも、自分の欲望を優先して、誠意のない言葉でつくしを宥めようと実のない言葉を吐き続ける。
 「今度は平気だから。…優しくするし、乱暴にしない。痛くしねぇ」
 涙が溢れた。
 涙が溢れて、溢れて…止まらないのに、だがその言葉に力が抜け脱力した。
 つくしの恐怖も悲しみも、絶望も一顧だにしない…理解しない男の身勝手な言葉。
 どうせ抗っても、この男にはかなわない。
 逃げ出そうと叩いても蹴り上げても、暴れても…走っても、この男の力の前では無力なだけの自分はすでに思い知らされてしまっている。
 引き倒されて、殴られて無理やり引き裂かれた記憶が、彼女から抵抗する意欲も勇気も完全に奪い去っていた。
 だから、ギュッと目を閉じ、現実の全てから目を背ける。
 何も見たくはない。
 何も聞きたくない。
 何も感じたくないから。
 ただこの地獄のような時間が過ぎてゆくのを待って待って…。
 司がつくしのすべてを食らい尽くして腹を満たし…彼女のことを忘れてくれるまで…ただ待つのだ。
 人形のようにただ横たわるつくしのワンピースを、司が迷いのない手つきで脱がせてゆく。
 つくしの背にくぐらせた腕で彼女の体を軽々と持ち上げ、ファスナーを一気に引き下げ、逸る気持ちそのままに手早く彼女から衣類を剥ぎ取ってゆく。
 それでも、彼女の恐怖をこれ以上煽らないようにか、初めての時のような手荒さは控えられ、いくぶんか丁寧だった。
 「…すげぇ、なんかガキの頃もらったプレゼントみてぇだわ」
 素肌に触れる空気がわずかに肌寒く感じる。
 けれど、小刻みに震える体はおそらく寒いからなんかじゃない。
 ガサガサッ、シャッ、バサッ、ガチャガチャッ、バサッ。
 つくしを全裸にしてしまった司が、自分も衣服を脱ぐ気配に体の震えが大きくなるのを抑えられない。
 どんなに押し殺しても押し殺してもなくなってくれない感情に、なお涙が溢れた。
 どうせどうにもできないのなら、感情も感覚も、本物の人形のようにすべてなくなってしまえればいいと思うのに、その願いはかなわない。
 目を瞑っていても自分の裸を眺めている司の視線を感じる。
 怖いのに恥ずかしくて、悔しくて情けない気持ちはなくなってくれない。
 ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえ、すぐそばに男の吐息と熱気を感じる。
 厭わしい男の熱い体が、つくしの体に重なり、その手や唇が這い回り始めた。
 ―――ああ。ああ。このまま、この瞬間にいっそ。
 それが貪り食われる前の、つくしの脳裏に思い浮かんだ、最後の思考だった。




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