FC2ブログ

「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉に変えて010

 ←百万回の微笑みを愛の言葉にかえて009 →百万回の微笑みを愛の言葉にかえて011
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 日付は毎日更新しているかのようですが、実際はちょっと間が空いちゃいました^^;うう、追いつきたいぞ~。とりあえず、第一章は、司とつくしの遠距離恋愛は続行中です。その間に類君は頑張れるかなあ?
*************************************************

類SAID)
 牧野を連れ帰って、しばらくすると外出していた家族も次々に帰宅してきた。
 何かと牧野に負担を強いることも少なくない肉親だけれど、手を取り合って苦労性の娘の退院を喜んでいるのを見ていると、どんなに迷惑をかけられても牧野がこの人たちを見捨てられないのも仕方がない気がする。
 あきらのところを除けば、家族との温かい交流なんて望むべくもなかった俺たちからしてみれば、なんとも奇異なようなこそばゆい光景だった。
 そもそも牧野の場合、嫌々じゃなく、どんな苦労も愛する人たちのためにはあまり苦を感じてないんじゃないかと思う。
 いつでも自分よりも周りの人間のことばかり優先して、テンパって苦しんで、でも『あたしは雑草』と笑いとばせてしまう強くて綺麗な魂を持った女。
 「…ですよね?類さん」
 牧野の顔を見つめたまま、ついつい自分の世界に入り込んでいた俺は、進に呼びかけられてふと我に返った。
 「…?なに?」
 首を傾げて見返すと、進は真っ赤に赤面してしどろもどろになる。
 ん?
 「うう、なんか、調子狂うな…。男に見つめられて赤面しちゃう俺って…」
 何やらブツブツ言いながら、しきりに照れている。
 さすがは牧野の弟。
 思ったことが全部、口から出てしまっている。
 「なに?進」
 「いえね、姉ちゃん、病院にいた間、ずっと携帯オフにしてたらしくって、一度も道明寺さんと連絡とってなかったて言うんですよ」
 「…へえ?」
 「実は朝、道明寺さんから携帯に連絡あって、俺、姉ちゃんが今日、退院って道明寺さんに言っちゃって…」
 「牧野、退院のこと、司に言ってなかったの?」
 そういえば俺も、ここのところ牧野の見舞いに病院へ日参する他にも、花沢の仕事の関係で忙しくしていて司と連絡をとっていなかった。
 司のことだから、牧野の方から連絡を入れなくっても、うるさいほど自分から連絡を入れたがるだろうし、そうでなくってもあきらに逐一状況連絡を入れさせているもんだと思っていたけれど。
 牧野は困ったように曖昧な笑みを浮かべて、ちょっと俯いた。
 「あ~、言ってなかったっていうか、病院だし、なんだか携帯の電源入れておくのってNGなことみたいだったから…」
 「でも、個室じゃん?道明寺さん、すっごい驚いてたよ?突然、学校で電話入った俺も驚いたけど」
 「司、怒ってた?」
 「はは、怒っていたっていうか…」
 進の顔がちょっと青ざめてヒクついているのは、怒鳴り散らしはしなかったけれど、かなり威圧されたってところかな?
 傍若無人な司も、牧野の家族には気を使っているみたいで、この弟に対しても、司にしては信じられない程にあたりは柔らかい。
 「ゴホン、まあ、ともかく、折り返し姉ちゃんから連絡入れますって言っておいたんだけど、道明寺さんもここのところ忙しいらしくって、たぶん連絡入れられても通じないだろうから、また、姉ちゃんのほうの携帯に連絡入れるから、電源入れておくように伝えてくれってさ」
 「あ、そ、そう。うん、わかった。進、ごめんね?」
 「いや、いいけど。俺、道明寺さん、好きだし。あの人、すげえよな。俺らとそんなに年も違わないはずなのに、あっちこちの外国に行って、バリバリ仕事もして、偉い人たちにも会うんだよね?あ、類さんも、凄いと思うけど」
 「うん?俺?」
 「うん。類さんも、学業の傍ら、家業を手伝って、やっぱりあっちこちの外国行ったり、もう仕事しているもんね」
 「へえぇ、そうなんだ?」
 牧野が目を見張って、俺をちょっと尊敬したように見上げる。
 …そんな風に見られると、俺もちょっと照れる、かな。
 確かに、あれほどの巨大財閥を一身に背負って、病身の父親に代わって重責を担っている司は俺も凄いと思うけど、俺が社会に出る準備のために親の庇護の下に仕事を仕込まれているのなんて、俺たちのような立場のジュニアにとっては当たり前のこと。
 「…仕事っていったって、まだまださわり程度だよ。俺たちだってまだ学業が本分だし。でも、司は確かに凄いと思うよ。高校生の頃からは想像もつかないほどに頑張っている」
 「そうなんだ…」
 「うん。記憶を失っている牧野にこんなことをいうと、いらないプレッシャーになるかもしれないけど、それって全部、司にとっては牧野と一緒にいるための努力だからさ。本当はいま、一番牧野の傍にいたいと思っているのは司だと思う。それができなくて、牧野に自分のことを思い出してもらうなり、もう一度自分のことを知ってもらうなりできなくてどんなにか歯がゆい思いをしていると思うよ。だから、牧野も、司が努力する機会をホンのちょっとだけでも与えてやってくれない?」
 俺が言うことではない気はするけどね…内心の気持ちに自嘲の気持ちがこみ上げる。
 でも、これが俺の役目なんだし。
 「…うん、あたしもちょっと、ううん、実はすっごい戸惑いを感じているんだけど、いまさら皆があたしと道明寺…さんのことについて嘘を言っているとも思ってないし。道明寺…さんともちゃんと話さないとな、とは思ってたんだよ?」
 「わかるよ」
 「まあ、確かに、外国にいる道明寺…さんとの連絡手段は携帯電話くらいしかないんだから、ずうっと電源を入れてなかったっていうのはひどかったと思う。なんか、いつ電話がくるかと思うとすっごいプレッシャーで」
 何を言っても怒鳴られそうで、あの青筋の浮かんだ道明寺さんの顔を想像すると、すっごくおっかないんだもん…そう続けて情けない顔をする、上目遣いの牧野は凶悪に可愛い!
 俺ってSっ気はないはずだけど、ホント!牧野のこの困った犬顔に弱いんだよね。
 「ぶっ!ククク、いろいろアンタって面白いけど、いい加減、道明寺…さんって、いちいち言いづらさそうにさん付けするのやめたら?わざとらしすぎて、変だよ?」
 「えっえぇ~、いやあぁ、うーん。確かにね、あたしも、なんとなーく、さん付けは言いづらいかなあって思うし、本人にもやめろって言われたんだけど。ほら、あんたと違って、ケガしてから全然会ってないし、ロクに話もしてないから、今のあたし的に初対面みたいなもんなんだよね。やっぱり、完全に呼び捨てにするのもそれはそれで抵抗あるかな~って」
 「ふ~ん?司はそれこそ気にしないと思う。あんたらしくないかなとは思うけど、好きにしな?どのみち、もうすぐ司もこっちに戻ってくるつもりらしいしね。あんたも、やっと司からの電話に出てやる気持ちになったんでしょ?」
 「出てやるっていうか、一応、さっき帰ってきてすぐ部屋で携帯の充電は…した」
 「へぇ~。電源いれた?」
 「う、それはまだ」
 「そろそろ、充電できてるよ。電源、入れておいてやれば?」
 「う、うん」
 ちょっとヤダな~という空気を漂わせながら、しぶしぶ牧野は椅子から立ち上がった。
 はああ、っとあからさまにため息をついているのって、そんなに司から連絡くるのイヤ?
 まあ、それこそ気持ちはわかるけどね…牧野の中では、あの野生化した野獣の司しか記憶にないんだもんね。
 それも自分と出会う前の赤の他人だ。
 …司、不憫な奴。
 「あ!そうだ、姉ちゃん、ごめん!」
 「なに?進」
 「部屋のテレビ電話のコンセントも入れておいて?この間、美香が遊びに来ててうっかり線に蹴躓いちゃってさ。どうせ姉ちゃんも、まだ帰ってなかったから道明寺さんからも連絡こないだろうし、いいっかと思ってそのまんまにしてあるんだ。ほら、姉ちゃんも戻ってきたし、そっちに連絡入れてくれるかもしれないから、戻しておいて?」
 「…え?テレビ電話??」
 振り返った牧野の顔が固まった。


つくしSIDE)
 じ~っと手の中の小さな機械を見つめて、溜息をつく。
 操作方法は…どうやら充電の時と同じで、キレイさっぱり頭から消えた最近の出来事や知り合いの事とは異なり、戸惑うことはなさそう。
 意を決して、この1週間真っ黒だった画面に光を入れる。
 ドキドキドキ。
 …。
 …。
 …。
 「…はあああぁぁぁぁぁぁ」
 ガックシ。
 脱力~。
 何をやっているんだか。
 電源いれたからって、道明寺が超能力者でもあるまいに、速攻連絡を入られるはずもない。
 って、いうか、たとえ超能力者で、こちらに連絡がつくとわかったからといって、喜び勇んで?あるいは怒り狂ってか…即刻、電話を入れるほどこちらに関心があるだなんて自意識過剰だよね。
 だいたい、いまNYって何時なんだ?
 こちらは今、午後17時。
 確か時差は11時間くらい?
 ということは、ことは夜明けの4時か、5時ってところ。
 普通の人間は寝てるっつぅの!
 自分で、自分に突っ込みを入れて、そういえば、テレビ電話はどこだと狭い室内を探す。
 テレビ電話ね~、時代は変わったもんだ。
 ちょっと寝てる?間に、携帯電話が普通に普及して(漫画の中でつくしちゃんは、初期の頃、ポケベルを渡されてましたよね?いろいろ時代考証に矛盾がありますが)、いまや、一家に一台のテレビ電話なの!?
 あ、あったあった。
 進はどうやら置き場所に困って、パイプハンガーの下段にコードを纏めて置いておいたらしかった。
 とりあえず、これを繋いでも、今日すぐに道明寺から電話が来るということはなさそうだ。
 なんだか、逃げてるな…と自分でも自覚しているけど、正直、どうやって道明寺と向き合ってよいのかわからなかった。
 あの蛇の目をした学園の独裁者だということは除いても、いきなり自分を憶えていない女に婚約指輪を渡す男だしな…。
 類や他の友人たちの話によれば、あたしが憶えている頃…高校生の頃の道明寺とはまったくの別人。
 あの頃と比べれば、雲泥の差があるほどに人が変わったらしい。
 そうは言われても、この前見た時の威圧感、俺様な態度、どう見てもあたしが恋人!?はおろか、友人に選ぶ人種とは思えない。
 まあ、それを言ったら、F3や滋さん、桜子だって、今までのあたしの交友関係から対局にいる人たちだけどね。
 F3だって、付き合ってみれば悪い人たちじゃない。
 それどころか人種の違うあたしを平然と仲間として受け入れ、ちょっと疑問に思うところもないではないけど、とても親切にしてくれている。
 道明寺だって、恋人だったくらいなんだから、あたしが好きになる要素があっただろうとは思うのだ。
 まさか、あたし、あの顔やスタイルに惚れてた、なんてことないよね?
 いや、お金とか?
 …ママたちじゃあるまいし。
 ちょっと、自分を疑ってしまった。
 まあ、確かに、道明寺の容貌は改めて意識してみると、いままで見てきた男性像を覆すほどの美形だと認める。
 額に青筋浮かべてなかったら、思わず見惚れちゃうほど綺麗な顔していたよね…好みじゃないけど。
 高校生になるまで恋愛経験もなく、初恋もまだだったあたしに好みってあるのかと自分でも疑問だけど、どうやら、恋人の?道明寺は好みのタイプじゃない!
 そんなんありか?って気もするけど、顔だけ…だけでもないな、空気というか雰囲気なのかな、困ったことにいわゆる好みのタイプというのは、どうやら類なのではないかと気が付いてしまった。
 うう、まずいよ。
 ただのメンクイなのかも。
 類のあのビー玉のような目で無邪気に見つめられると、顔の紅潮が止められない。
 何気なく触れてくるあの綺麗な手や、王子様のような甘い顔が近づくだけで、胸がバックバク、ドキドキする。
 まさか、あたし、類に恋している?
 でも、見ているとその現象はわたしだけでなく、ママや、パパ、進まで!?というか、わが一家全員の現象のようで、単に牧野家のツボに入るタイプだったのか。
 とりあえず、コンセント差しておこうっと。
 つい、忘れがちになるテレビ電話のコンセントを差し口にさして、やれやれ。
 明日になったら、また道明寺からの連絡がくるのではないかとビクつかないといけないかもしれないけど、とりあえず今日のところは心の平安を保てそうだ。
 朝、4時じゃあね。
 「つくし~、ご飯できたわよぉ」
 「あ!はい、今いくぅ」
 パンパン、と意味もなくジーパンをはたいて立ち上がった背後で、ぶ、ぶっ、ぶぅー、という不吉な低音が鳴り響いた。

◇交流・意見交換 『こ茶子の部屋』へ
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ

↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2


関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【百万回の微笑みを愛の言葉にかえて009】へ
  • 【百万回の微笑みを愛の言葉にかえて011】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【百万回の微笑みを愛の言葉にかえて009】へ
  • 【百万回の微笑みを愛の言葉にかえて011】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク