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この肩は君だけの為に

拍手お礼に書いた小話の総二郎バージョンです。
*****


 「や~ん、本当に西門総二郎ってセクシーだよね」
 本棚でひっくりかえっていた雑誌を棚に並べ返し、その拍子に覗いた美男の見開き写真に、同僚が身悶える。
 ただの写真だとわかっているのに、触れることも躊躇われて。
 薄っぺらい紙ごしにさえ、エロさが伝わるようなフェロモンをまき散らし、甘く微笑む美貌が本の中から誘惑してくる。
 「…きっと、ハーレム状態なんだろうね。お茶なんて、女ばかりの世界だろうからより取り見取り…ていうか、逆にハーレムの一員にでもなれたら、超嬉しいだろうなあ。羨ましいぃ~」
 バカなことを言い出す同僚を横目に、つくしはせっせと時給分の仕事をこなしてゆく。
 西門総二郎…つくしの高校時代の先輩にして、元彼の親友。
 そして今や、彼女の恋人…とかいうややこしい関係だ。
 それ以前にエロ門、エロエロ大魔神。
 高校時代にさんざん罵ったプレイボーイと、自分が今交際している事実が我ながら信じられない。
 …ホントはやっぱりカラかわれてるだけなんじゃないだろうか。
 いまだに告白されて付き合いだしたということ自体、何かのジョークなのではないかと半信半疑だった。
 そもそもつくし自身も…なぜ自分が総二郎の申し出を受けてしまったのかわからない。
 付き合うことに同意したくらいなのだから、好きだったということなんだろうか。
 いや、あれはどう考えてもその場の話の流れ、単なる勘違いにすぎなかった。
 もちろん、いままで彼が好きだと自覚したことさえない。
 なのに、
 『牧野、俺に付き合えよ』
 『え~?いいけど、どこへ?』
 そんなボケをかましたつくしに、苦笑した総二郎は軽いバードキスをつくしの唇に落とすことで、その意味を無理矢理に理解させてくれたのだ。
 その直後、炸裂した肘鉄が総二郎の鳩尾に食い込みかけたが、間一髪で読み切った男は、怖えぇ、怖えぇと子供のようにゲラゲラ笑っていた。
 けれど、その勘違いした『いいけど』が、いつの間にか総二郎の申し出に同意したことになってしまい、その後…怖いことに、本当に交際らしきことをするようになったというわけ。



*****




 今思うと、あの屈託のない笑顔。
 本当に楽しそうな顔に毒気を抜かれて、断る機会を逸してしまったのだと思う。
 そうこうしているうちに、改めて断れなくなってしまった。
 そして現在にいたる。
 もっとも交際…らしきものとはいっても、本当にらしいというだけで、往年の総二郎からしてみれば子供だましでしかないに違いない。
 バイトの帰りにバイクで迎えに来てもらって(頼んだわけではないけど、勝手に時間を見計らってやってくる)、帰りに食事に出かけ、そして家まで送ってもらう。
 休日も時間が合えば、映画を見たり、総二郎の興味ある個展を見に行ったり、普通につくしに合わせて遊園地なんかも一緒した。
 さすがに女に手慣れた男だ。
 総二郎に連れられてゆくところは、どこもかしこも楽しく飽きることがなくって。
 それがもちろん、ただその場所が楽しいだけじゃなくって、総二郎といることの楽しさ、心地よさを感じていることにつくしも気が付いている。
 それが好き…ということなら、自分は総二郎のことを好きなのかもしれない。
 でも、それは友達の好きとどう違うのか、本当に恋人を好きなことと同じであるのかわからなかった。
 つくしの知る恋は二つしかない。
 淡く美しいだけで報われぬ想いでも、ただ類に憧れているだけで幸せだった初恋。
 そして、常に嵐のようで、攫われるように巻き込まれて、あっという間に過ぎ去った熱く激しい司との恋。
 それだけに、つくしにしてみれば、自分の気持ちにも確信が持てなかったし、総二郎の本気が信じられずにいる。
 もちろん、友人の自分を相手に彼が遊ぼうと思うような男ではないことはわかっている。。
 それでも…。
 いったい総二郎はどうしたいのだろう。
 手は繋いだ。
 キス…も、軽く唇に触れる程度まではクリアー。
 さてその後は…というと、つくしの思考が止ってしまう。
 一人総二郎の写真を前に身悶えていた同僚が、ふと時計を見てつくしを振り返る。
 「あ、そろそろ18:00だね。牧野さん、上がりでしょ?」
 「うん、えっと、三島さんは閉店までいてくれるんだよね」
 書店でアルバイトを始めて一か月あまり。
 いつもは微妙に勤務時間帯が違うため、顔は知っていても互いの勤務時間が三島と重なることがなかった。
 「うん、店長もあと30分もしたら戻ってきてくれるから大丈夫。…あれ?牧野さんバイク好きなの?」
 「あ、…いや、友達がね」
 今日発刊の雑誌をレジに出し、三島に会計を頼む。
 「えっと、これ、お願いします」
 「ふ、ふ、ふ、ふぅ~」
 一々途切れさせる笑い声が怪しい。
 「彼氏でしょ?」
 「ええっ!?」
 過剰に反応してしまった。
 その様子が、三島に確信を持たせてしまったようだ。
 「な~んだ、やっぱりそうなんだ~。さっき合コンに誘っても、反応鈍かったし、なんとな~くだけど、恋する乙女な空気感じたんだよね」
 恋する乙女。
 そんな空気を発しているつもりなのどないつくしにしてみれば青天の霹靂。
 恋している自覚さえないのに、なんとも答えようがなくって、つくしは曖昧に微笑み、自分のもやもやした気持ちを考えてみる。
 けれど、どこを探してみても、三島の言う恋よりも、自分を…総二郎が自分に抱いている気持ちはいったいなんなのか、そちらの方がよほど疑問で…。
 付き合おうと言われて、わかったといって付き合っているはずなのに、どうして自分はこんなにも半信半疑なのだろう。
 「バイク乗る彼氏か~。男の人って彼女以外、バイクに乗せたがらない人ってけっこういるらしいよね」
 「…へえ?」
 つい、マジマジと三島を見返してしまった。
 しかし、三島の方は受けとった雑誌を包装し、レジ打ちをする方に気を取られてそんなつくしに気が付かない。
 つくしの方でも、それ以上何かを聞きたいわけでもなくって、それでその話は打ち止めになった。
 三島がカウンター周りの整理に気を取られている間に外に出てしまおうと、そそくさと制服代わりのエプロンを取り外す。
 ウィィーン。
 「いらっしゃいま…」
 三島の声が途切れた。





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総次郎

おはようございます 
 もう「総ちゃん」 とゆうだけで ポチしちゃいます

もちろん毎日楽しみに読まさせていただいています
これからも遠慮せずに「総ちゃん」お願いします

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