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 「俺はあんたに会うのはごめんだが、あいつらにあんたが会いに来るのを止める気はないし、その権利もねぇだろうよ」
 「……道明寺さん」
 つくしと凌だけを雅也に会わせるのが嫌だと言って、来たくもないのにここへと訪れた男の言う言葉だろうか。
 だがふいに、雅也は悟る。
 司がこのことを言いに、この場に来たことを。
 感謝を…そして、変わらぬ恩義を忘れないと、彼は言っているのだ。
 …ま、自分のテリトリー限定ってところが、けっこう心狭いけどね。
 「事務所やあんたの個人的なことで、なにか俺に協力できることがあったら、俺のところに一報くれ」
 司の懐から出された名刺へと目をやり、雅也がふっと微笑む。 
 そこに記されていたのは、以前にもらった対外的な名刺ではなく、プライベートナンバーの記された個人的なものだった。
 「…過分な申し出ですね」
 「俺の気持ちだ」
 だが、雅也は受け取らない。
 「言ったでしょ?あなたに礼を言われることでもなければ恩義を感じてもらうことでもない、と。あるいは、あなたにお願いすることがあるかもしれません。でも、それは恩義や貸し、そんな理由からではなく、ビジネスのテーブルで対等な立場で、あるいは、あなたにとってメリットある取引相手として相対させていただきたいと思いますよ。その時に、話を聞いてやってもいい、それくらいの便宜を計ってくださるくらいがありがたい」
 あらためて司が雅也を見返す。
 つくしが10年間夫と呼んだ男。
 今までとはまるで違う感慨を持って、雅也に対峙する。
 口角をあげた司の顔は、楽しげだった。
 「面白い男だな、あんた」
 「そうですか?」
 「バカじゃねぇの、とも思うが、嫌いじゃねぇ」
 「……嬉しいですよ」
 招待客たちの接待をしていたつくしが、あまりに遅い雅也にしびれを切らして、再び顔を見せる。
 「ちょっと!!とっくに享のところに行ったのかと思えば、何、油を売ってるのよ、雅也さん!!もう招待客もほとんど揃って、あとは新郎二人のお出ましを待ってるだけなんだからね!」
 「はは、ごめん。今行くよ」
 司へと会釈して通り過ぎかけ、ふと立ち止まる。
 「誕生日なんですか?」
 「………」
 「いつ?」
 答える義務はないが、特に隠すことでもない。
 「…31日だ。今月の」
 「ああ、その辺は熊本の新しいショッピングモールの完成が間近で、つくしが出向く予定だったか。40才?」
 「…39才だ。今年で」
 怪訝な司に、雅也がニッコリ笑う。
 「じゃあ、ボクからも30代最後の誕生日に、素敵なプレゼントを」
 「…いらねぇよ」
 貰う義理もなければ、たとえあってもいまさらプレゼントなどもらいたい年でもない。
 だが…。
 「そうですか?きっと、あなたにとって、何よりも嬉しいプレゼントだと思いますよ」
 「なにを…」
 「あそこの物件は、ボクも見ているのでね。たまたま事務所をカナダと日本に分けて活動しているから、つくしの担当になっているけれど、代表はいまもボクだ。…つまり、立ち会うために熊本に出張するのはボクでもいいんですよ」
 「……っ!?」 
 「ボクが代わります。ちょっと調整が必要だから、そう長い休暇はあげられないけど、2,3日ならつくしとの甘い休暇をあなたにプレゼントしましょう」 
 思わぬ相手からの思わぬ提案。
 つくしが素直にその提案を受け入れるかという問題はあったが、司にしても喉から手が出るほどに魅力的な申し出だった。
 「つくしが承諾しねぇ」
 「おや、スケジュールに空きができた彼女に、あなたを優先させる自信がないんですか?」
 かなりズケズケと言われ、司が射殺しそうな目で雅也を睨むが、当の雅也の心臓には毛が生えてるらしい。
 「冗談です。彼女はそういう女性だ、珍しいことにね。愛よりも義務や責任を優先するのがデフォですから。恋人を後回しにするなんて、唯一ボクにとって彼女の気がしれないところですよ」
 「ふん」
 そのとおりだし、常々司も思ってきたことだが、他人に言われるのは面白くない。
 鼻を鳴らして否定もしないが、同意もできずに司が不機嫌に黙り込む。
 ところが、
 「いいですよ、そちらもお引き受けます。丸2日、彼女のスケジュールに空きを作って休暇をとらせてみせますよ。3日目…は、あなたの魅力次第?」
 「…なにが、目的だ?」 
 「お礼です」
 「礼?」
 「そう、以前にいただいた」
 自分の唇に指先をあて、ウィンクする。 
 「てめぇっ!」
 瞬時にその意味を悟って、いっきに蘇った記憶に司が憤怒する。
 「休暇」 
 「ぐっ」
 「…あ、でも、一つ目はともかく二つ目は貸しになるから、代価をいただこうかな」
 「代価?」
 ギラリと目を光らせた司へと悪戯っぽく笑って、雅也が司の懐へといっきに入り込む。
 「なっ!」
 いつかの悪夢再び。
 武道一般を習得して、並みの人間よりもはるかに喧嘩慣れしているはずの司が、いとも容易く懐に入り込まれてしまった。 
 「ボク、合気道の有段者なんです」 
 海千山千の経済人たちにすら心を読まれない司が、この男にはいとも容易く心を読まれてしまう。
 おそらく、それもつくしが関わる故なのだろう。
 そうでなければ揺れる心さえ消え失せ、機械人形へと変化してしまうのだから、心を読まれようもその心さえなくなってしまっていたに違いなかった。
 「貸しは、あなたの口……」
 さっきは自分に当てていた指先を、司の唇の方へと伸ばし、妖艶に微笑む男の顔に怖気が走る。 
 「じょ、冗談じゃねぇっ――ッ!!!」
 「…に合った料理を出す、レストランを紹介してください」
 「は?」
 「最近、贔屓にしていた店がどこも軒並み味が落ちましてね。さすがに音に聞こえたメイプルや、5ツ星ホテルの料理は美味いけど、デートには定番すぎて飽きてきましたからねぇ」
 ニッコリ。
 ふと司は思いつく。
 さきほど、雅也が誰かに似ていると思ったことを。
 …こいつ類に似てるんだ。
 物柔らかな美貌だけではなく、真顔で平然と司をおちょくるふざけた根性がよく似ている。
 「て、て、て、てめぇっ――ッ!!!!!!」
 「じゃ、ボクはこれで」
 「ちょっとぉ!!司!!さっきから、何騒いでるのよっ。しかも、いつまでも雅也さんを引き止めて!あんた、式を手伝いに来たの?やっぱり邪魔しにきたわけ?!」
 くくくと笑いながら、つくしの横をすり抜けてゆく雅也の後ろ姿に、司は中指を立てかけ…、
 …いや、やべぇ、シャレになんねぇ。
 司の39才の誕生日は、どうやら、それなりに彼の希望どおりにはなりそうではあった。





~Fin~





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 あとがき)

 本日の司君Birthday記念の第三弾!(本日の更新としては5、6、7回目)
 そろそろ皆さんお気づきでしょうか?
 司君誕生日9ヶ月前『ブルー&ハイ(司40代)』→2週間前『PURA VIDA(司20代)』→1週間前(司30代)のこのお話で、司の誕生日へのカウントダウンとなっています。
 まあ、カウントダウンどころか、実際はすでに何十回目だかわからない誕生日の当日ですが。
 本当は一話一回完結で、カウントダウンしていくつもりだったんですがねぇ^^;
 まあ、60~80代の話も一応考えたものの、「は、80代、これって萌える?」とか思っていたので、ま、いっかな、と。
 書くとしたら『陽のあたる処シリーズ』の1/31もののほのぼのでしたので、これはこれでありだとは思いますけどね。
 ちなみに、1/31は!?…
 ●シューベルトの日
 ●五つ子誕生の日
 ●防災農地の日
 ●晦日正月,晦日(正月最後の日)
 どれも書くものに困るな^^;
 あえていえば、5つ子の日?つかつくの子供が五つ子とか!?そりゃ、驚くなw
 いつかギャグで書くのも面白いかもしれませんが、…ありましたよ、ありましたよ!
 なんとこの日は、
 ●愛妻家の日
 でもありました。
 もしかして、神尾先生はこれを知っていて、この日を司くんの誕生日にした?
 まあ、そのうちいつかこれを題材に書く日もあるだろうな、というところで。
 あとは、イレギュラーで、明日第一回目で10代の司の誕生日当日話になります。
 これは、書いてみたもののまだ未完のシリアス作品なだけに、お話自体はまあ普通に?誕生日話なんですが、どうも背景からして暗くなってしまったので、誕生日には相応しくなかろうと持ち越しました。
 ええ、わかった方もいらっしゃるかな?
 ラスト(2/1のイレギュラー)の誕生日シリーズ?短編は『愛してる、そばにいて』の番外編。
 なにやら、この番外編とはまったく関わりのないあとがきとなってしまいました。
 とりあえず、次の回のお話もお楽しみに!


2016/01/22 執筆
2016/01/31 公開

by こ茶子





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