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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
それでも貴方を愛しているから番外編(短編)

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※「それでも貴方を愛してるから」番外編です。
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 「ふわぁ~」
 窓辺に立って、明るい朝の光の射しだした街の景色を眺めながら大アクビする。
 まるで光のグラデーションのように、夜から朝へと少しづつ色合いを変えてゆく異国情緒の街の様子は、何度見ても見飽きないと静かな感動をつくしへともたらす。
 景色を眺めるつくしの姿と言えば、濡れたままの長い髪をバスタオルでターバン巻にして包み込み、すっぴんのままバスローブ一枚、スリッパ姿。
 いくら起き抜けとはいえ、とても他人様に見せられるような格好ではなかったけれど、どうせ見る人間なんていないんだからと、若い女にあらざる緩みよう。
 シーンとした静寂の中に、ガタっという物音がしたと思ったら、隣室のドアが開いてまもなく、つくしの佇む部屋のドアが内側へと開けられる。
 振り返った先、眠そうな顔を手で撫で、あくびをする司だった。
 …ま、それ以外ありえないんだけど。
 気だるげな男の姿は、いつにもまして色香が増し、見慣れた彼女にすらゾクリとした何かを呼び起こしそうな艶を放っている。
 「…なんだよ、お前、ずいぶん早い時間から何やってんだ?」
 「ん~、なんか目が覚めちゃって」
 「お前、ここから見る景色好きだよな。いつでも見れるのに、よく飽きねぇな?」
 「はは、だって、綺麗じゃない」
 呆れた顔の司は肩を竦めるだけで、特にはそのつくしの言葉を肯定も否定もしない。
 「シャワー浴びたのか?」
 「あ、うん」
 眠気も覚めたのか、咎める顔で司がつくしの傍らへと歩み寄り、頭にまいたバスタオルをとって、ワシャワシャと…それでも柔らかな優しい手付きで彼女の髪を拭いてくれる。
 「バカ、風邪引くだろう。いくら常夏の国って言ったって、北部とは違ってこの辺の夜と昼の寒暖差はハンパじゃねぇんだ」
 「…もう、わかってるよ。あたしだってコスタリカに住んで、もう2年近くにもなるんだよ?あんた、いつも心配性すぎ」
 第一、道明寺邸と同様、完全空調が施されたこの二人の部屋で、寒さで震えるなどということがあるはずもない。
 それでも、やはり急な寒暖差に肌寒さを感じることもなくはなく、それを司が心配してくれているのはわかっているのだが、つくしにしてみれば少々心配症すぎるのが難なのだ。
 …子供じゃないっつーの。
 「お前がボケボケしてるから、いやでも心配性になるんだろうよ」
 手を引かれて、寝室へと連れ戻される。
 「ちょっと、待ってろ」
 ベッドにつくしを座らせた司が席を外して、ドライヤーを手に洗面室からすぐに戻ってきた。
 そのままさっさとコンセントを繋いでしまうと、自分もベッドに腰を下ろして、つくしの髪を乾かし始めてしまう。
 「…ちょっと、いいって。自分でやるからドライヤー貸して」
 「黙ってろ。終わったら、もう一度寝直すんだから、グダグダ言ってねぇで、さっさと髪を乾かさせろよ」
 「……ハァ」
 言い方は俺様だが、やってることは甲斐甲斐しい。
 つくしは彼と暮らし出すまで、司がここまで献身的な男だとは知らなかった。
 たしかに、それまでもつくし限定ではあるが、極めて優しい男だったし、彼女のために何かをすることを惜しむような男ではなかった。
 けれど、…たぶん、コスタリカに来てからの司は、時間に追われることが減り、心身ともに余裕ができたからか、本来の彼らしさが前面に出て、なおさら情熱的な男になった。
 つくしへの愛情はすでに熱愛を通り越して、盲愛といべきが溺愛の域に近いものがある。
 …ちょっと、鬱陶しいところもあるけどね。
 「誰が鬱陶しいって?」
 「へっ?」
 おどろおどろしい声に顔を上げれば、青筋を浮かべた司が、ちょうどドライヤーのスイッチを切ったところだった。
 「まさか、俺のことじゃねぇよな?」
 どうやら、心の声をまたも口に出していたらしい。
 「は、はははははは。そ、そんなわけないじゃん」
 疑わしげな司の視線を意識しながら、腰の近くまで長く伸びた黒髪を肩から前へと回して、クリクリと弄んで見せながら愛想笑いを返す。
 「髪!そ、そうそう、髪よ、髪。ずいぶん伸びたし、今度は少し短めのヘアスタイルにしようかな、なんて?」

 おもねって自然に上目遣いで見上げるつくしの顔に、てきめん司の顔が見る見る赤らんで照れ出す。
 …あたしの十人並みの顔で、こんな表情してくれる男なんてあんたくらいだよね。
 あまりにあからさまなその表情に、呆れと…嬉しさを含んで、つくしはついクスクスと笑い出してしまった。
 「なんだよ?」 
 「なんでもな~い」
 「言えよ」
 「だから、なんでもないって」
 たわいないことで笑い合い、たわいないことでジャレあって、そうやってこの異国の地で、たった二人ずっとともに過ごしてきた。
 そして、きっとこれからもずっと。
 永遠に…。
 「言わないと、こうだぞ?」
 クスクス笑うばかりで、ちっとも真面目に答えようとしないつくしの体を司が抱き込んで、ぎゅうぎゅうと力を込めベッドへと二人倒れ込んだ。
 つくしを潰さないように、片腕をベッドについて体重を支えつつ、それでも彼女をガッチリと押さえ込んで逃げ出せてくれない司に、つくしが唇を尖らせて苦情を言う。
 「ちょっ!苦しいって」
 「なんで、笑ってんだよ?答えないからだろ?」 
 「もう!あんたって、ホント、粘着質でしつこいんだから」
 「…今度はくすぐるぞ?」
 「ええ~~っ!?」

 わざとくすぐるマネで大きな手をつくしの顔の前でニギニギと蠢かす司に、つくしも「降参、降参」と返して、その手を両手で握って押し返す。
 互いの薬指に輝く銀の指輪があたって、カチンと小さな音を立てた。
 幸せの音。
 「ただ、幸せだって思ったの。あんたとこうして生きていけることが、あたし、凄く嬉しくて、幸せ」
 「…つくし」
 「司、あたしを幸せにしてくれてありがとう」
 美しい人が浮かべる優しい笑みは、なんて綺麗なんだと、あらためてつくしは見惚れた。
 「俺も幸せ。お前がくれる笑顔や優しさが作ってくれる毎日が、楽しくて嬉しくて…すげぇ幸せだ」
 かつて未来など夢見ず、ただ闇の中を彷徨っていた少年が、つくしを見下ろし幸せそうに笑顔を輝かせる。
 チュ、チュッ、とつくしの額や頬、鼻の頭、顔中にキスを落とす。
 そして、華奢なその背中を支えて反転し、互いの位置を変え、ゴロリとベッドに寝転がった自分の上へとつくしを乗せてしまった。
 「…これ、脱いじまえよ」
 「ええ?」





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