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「中・短編」
不屈のヴィーナス…28話完

不屈のヴィーナス~完

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 「…なんか言えよ」
 なんか言えって。
 「いや、そんなムクれたみたいな顔して謝られてもね」
 「ぐっ…なんだよ、気に入らねぇのかよ?」
 気に入らないって、本当にこれが謝ってる態度だろうか。
 それでも…。
 「ぷっ!」
 「っ!?」
 「……くくくく、あんた凄い茹で蛸みたいに真っ赤」
 天下の道明寺司様が似合わない粗末なちゃぶ台に座って、窮屈そうに縮こまりながら、顔を真っ赤にして謝罪している。
 なんとも奇妙でおかしな光景。
 「うっせぇ」
 心なしか声音まで照れて、小さかった。
 ひとしきり笑って…そしたら、不思議なことに、今朝までのもやもやがスッ~と消えていた。
 あたしもたいがい単純だとは思うけど、赤札張って集団でイジメをしたことさえ許したんだ。
 言葉尻の一つや二つを根に持ったってしょうがない。 
 ある意味慣れ?諦め?悟りかもね。
 「なあ」
 ズズズズズっ、粗茶は粗茶でそれなりに喉を潤すって観点では卑下することもないのよ。
 ちゃんと水分不足は補ってくれるんだから、文句を言ったらバチが当たる。
 そんなわけのわからない理論を心で呟きながら、飲み干した湯呑に、さてもう一杯飲もうかな、なんて急須に手を伸ばした。
 「なあって」
 「…なによ」
 コポコポコポコポ。
 うーん、やっぱり出がらしになると美味しいとは言い難いな。
 「…出かけねぇ?」
 「へ?」
 「今日行く予定だっただろ?」 
 「あ、ああ!」
 そ、そういえばそうだった。
 今日は本当なら、こいつと一日デートをする約束だったんだっけ。
 どこに行くか…は、ある程度は希望は出したけど、詳しくはこいつにお任せ。
 一応海外だの、わけのわからない度外れた場所は却下したから、それなりにはあたしにも合わせてくれてるはず、だよね?
 「行かね?」
 「……ん~」
 どうしようかな。
 すっかりあたし的には、この話はポシャッたものと思っていたから、全くなんの準備もしていなかった。
 でも…、期待に満ちた、それでいて不安にも揺れているような顔で、返事を待たれるとなんだかその期待を裏切るのは悪いことのような罪悪感がこみ上げる。 
 たいがいこいつがいつも強引にあたしを振り回すのに…そう思うのに、なんだか可哀想なような…。
 …あたしも、実はそれなりに楽しみに、してた。
 なんだか気恥ずかしいからそんなこと、とてもこいつ本人には言えないんだけどさ。
 「泊まりとかは無理だよ?」
 「ああ!」
 「……それに、あんまり遠くとか、夜遅くなるのも勘弁して」
 「わかってるよ」
 満面の笑み。
 うはっ。
 なんていうか、こいつの笑顔って凄い威力がある。
 普段、それこそ真冬の雷光みたいに、温度がなさそうな顔してるから、そう余計に思うのかな。
 無邪気な笑顔が可愛い…とか?
 「じゃ、そうと決まれば、行くか」 
 立ち上がった道明寺に手を差し伸べられる。
 「…って、いや、悪いけど、ちょっとだけ待っててくれない?」
 「は?」
 いくらあたしにだって、それなりにメンツってものがある。
 まあ、メンツもなにも、デートするその相手に思いっきり部屋着のこの姿を見られちゃってるわけだけどね。
 …あ、危なかった。
 もう10分早かったらパジャマのままだよ。
 とはいえ、こいつには昔熱を出した時にパジャマ姿を見られているし、一緒の部屋で寝たこともあったんだな、そういえば。
 黒歴史の中にも、なんだかグレーなんだか、紫みたいなビミョーな色合いの記憶もあった。
 「て、ことで、あんたは車で待ってて?」 
 「…いいよ、ここで待ってる」
 「そ?」
 テレビもないこんな部屋にいるより、よほどいろいろなものを完備した道明寺家御用達のリムジンにいたほうがよほど快適そうだけどな。
 「俺にはこれがある」
 ポケットから取り出したのは、今時の最新型のスマホ。
 そっか。
 まあ、たしかにスマホがあれば、某かの娯楽にはなるもんね。
 「…そういえば、お前、ケー番教えろよ」
 「け、ケー番?」
 「メアドも。携帯買ったんだろ?」
 「…ははは。よく知ってるね」
 「類が言ってた」
 「花沢類が?」
 なんだか険悪な雰囲気だったくせに、けっきょくこいつらって仲いいんだよね。
 ま、幼稚舎の頃からの友達だっけ?

 女の友情はけっこう男を間に挟むと脆いというけど、男はどうなんだろ?
 なんだかおかしなことになってたけど、それって平気なもの?
 この人たち的には許容範囲なのかな。
 まあ、人のことはおいておこう。
 「じゃ、とりあえず仕度してくるから、あんたは待ってて」
 「おう」
 上機嫌な顔がうんうんと頷く。
 頬杖ついた姿もカッコイイんだな、なんて。
 うへ、あたしったら今何を思った?
 少し前のあたしにとってのこいつは、もう二度と関わりあいになりたくない奴。
 デートするなんてありえない話だったのに。
 月曜日のこととか、まだまだ気がかりな問題は山積み。
 でも、…今はたしかに、そんな山積みの問題は横に置いておいて、道明寺とのデートを楽しみにしている自分がいる。
 「えっと、化粧ポーチ、化粧ポーチ」
 普段はお化粧なんて、もちろんして学校にいったりしていないから、勉強机の引き出しの奥を探って手前へと引き出す。
 卓上スタンドミラーに向かって右左。
 「うわっ、しまった」
 頭頂部でトサカみたいになっている寝癖に小さく悲鳴を上げる。
 あたしったら、あたしったら…こんな頭であいつの前に出てたわけ?
 そりゃ、いまさら何を取り繕うって感じもであるけど、これはさすがに恥ずかしすぎる。
 「もうっ、予告もしないでいきなり家になんて訪ねてくるからっ!」 
 ぼやきつつ…でも、あたしのこんな頭や格好なんて気にせずに、あたしとデートに行けるってことにだけ喜んでいたあいつの顔が思い浮かぶ。
 今はまだ…道明寺が好きとか、付き合うとか、そこまで考えることはできないけど。
 「よし!お団子にまとめちゃおう」
 なんだかウキウキした気持ち。
 花沢類を想っていた時とはまた違うトキメキ。
 これも青春ってやつじゃない?





~Fin~





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あとがき)

いや、やっと終わった><!
って、なにやら、ほとんどのお話でのセリフだったり^^;
しかし、この高校生ものかなり苦戦しました。
いや、苦戦していない作品なんてたぶんないんですけどね。
途中で先が見えないというか、やはり高校生はかなり辛かったかな。
たぶん私がそうであるように、読者の皆さんも高校生は遥か遠い昔。
そして、書いてる私自身も高校生の頃なんてほとんどもう記憶の彼方。
どうにも重ね合わせずらいんですよね。
うーん。
これがまだ、同じ高校生でも、エロ?に走る目的だった『Fly me to the haven』シリーズの『ドキドキの法則』とかそっち方面だったら良かったんですがね。

実はこの作品、ある作家さんに影響されて書き始めました。
うちのサイトにもリンクさせていただいているイラストサイト様なのですが、お話もとてもお上手でね。
そのうちの一作(今は掲載されてませんが)にえらく感銘を受けたんですよね。

ご本人が言うところによると、少女漫画的ラブコメ小説ですかね?
今までの花男二次とは違うというか、原作とはまた違うストーリーの花男のようで新鮮でした。
パクると言ったら言い方が悪いかもしれませんが、作風をイメージさせていただくことはよくあります。(まあ、あくまでもイメージなので、自分以外の人が似てると思うかはまた別です)
少女漫画風かぁ~と目指したんですが、どうでしたかね?
私的にはこの傾向はかなり難易度高かったので、しばらくは…という感じ^^;
いつか再チャレンジすることもあるかもしれませんが、これにて『不屈のヴィーナス』完結です。



え?ここで?って?
いやいや、デートに漕ぎ着けて、とりあえず司君のこと好きかも?でいいかな、なんて?え?ダメダメ?
いやあ、淡い恋を書きたかったんで。
恋のはじまり?の分岐点からして、これから楓さんに出くわしたりいろいろありそうですからねぇ^^;
あまりに原作に沿っちゃうのもなんですし、真逆に進んでゆくのもね。
シリアスだとけっこう割り切れるんですが、ラブコメだと原作と同じジャンルなだけに、なんだか原作を踏襲していない感が強くなっちゃって違和感があるんですよね^^;
変なこだわりですが、やはりラブコメは原作が最高だ!



では、皆さん、次の作品でお会いしましょう♪


by こ茶子
2016/01/20 完
2016/01/30 公開





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またまた素敵な作品を発見😆✨✨
この司、けなげでほんとに可愛い!!
完結しちゃったけど、続編が読みたいです〜😍
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