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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第三章 忘れえぬ人②

夢で逢えたら103

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 久しぶりに道明寺と花沢の共同プロジェクトの合同会議で顔を合わせた司は、いつもとかわりがなく傲慢で自信に満ち溢れ、強いオーラを放っていた。
 だが、ふと見せる柔らかい表情が、視線の温かみが、人間らしい感情の流れが、類に違和感を感じさせた。
 やだなあ、司のことをこんなにわかっちゃってる俺って…。
 自分で自分が気持ちが悪くて、苦笑が洩れる。
 それは幼馴染みの親友という間柄からくる共感ではなく、同じ女を愛し、同じ女ゆえに長く闇に留まっていた者同士ゆえのことだった。
 気が付けば、内心ではまったく関係ないことを考えていようとも、問われれば答え、必要事項は自然に指摘して時間は過ぎていた。
 それは生まれながらのジュニアとしての教育の賜物なのか、しらっとした顔で多方面に神経を張り巡らすことのできる彼の生まれながらの資質なのか自分でも定かではなかったが、司の満ち足りた顔を見て類は再び苦笑した。
 「…なんだよ、俺の顔なんてジッと見やがって。気味が悪いじゃねぇか」
 「いや、別に。お前の顔なんて見飽きてるけど、なんか締まりのない顔してるなって思ってさ」
 類のズケズケした物言いに、ピクピクと蟀谷を引くつかせる。
 彼のトレードマークともいえる青筋が浮かび上がらないのが不思議なくらいだった。
 司も大人になったってことかな。
 「で、どうだったよ、今日の会議は?」
 「ま、あんなもんなんじゃない?俺としては道明寺の出資率の方が大きいから利益も大きく寄越せっていうのは一概には乱暴な意見だと思うけど、ある程度は妥協は必要なのは確かだからね」
 「ぬかせ。当然のことだろうがよ。金を出す奴が大きな利益をいただくってのは当たり前だろ?」
 「…事業はすべて金だけってわけでもないだろ?特殊建築資材のヨーロッパにおけるシェアは花沢の方が上だ。今回のコンセプトが大都会に出現した南欧のリゾートである以上、アメリカの石切り場で切り出した石灰岩てわけにはいかないんだから、そこに花沢の存在意義がある」
 「はっ」
 友人とはいえ、こうしたビジネスの場に共に立てば、しのぎを削りあう敵手でもある。
 だが、仕事を一歩離れれば、どんなにブランクがあろうと、気の置けない幼馴染みであり、互いの心を誰よりも理解しあう親友でもあった。
 仕事が一段落つき、類にその後の予定がないことから、司の夜の会食までの時間をNY本社での司の執務室で過ごすこととなった。
 「…わりいな、バーで一杯でもやれればいいんだが」
 司にしては珍しい謝罪に、類の透明な眼差しが注がれる。
 「明日は雨が降るね。司が謝るなんて」
 「言っておけよ」
 片眉を上げ、備え付けのミニバーからミネラルウォーターを取り出した司は、類に差出し、ソファには座らず、執務室の全面窓から望む夕日を眺めた。
 「…お前、キャサリン・マーベルの何を知ったんだ?」
 唐突にかけられた言葉に、類は何の反応も示さない。
 「何をって、Dr.の何のこと?」
 「惚けんなよ。あいつに口止めでもされたか?昔から、お前はあいつの言うことには言いなりで、他人になんか興味ねぇくせに、あいつだけは特別だったよな」
 …言いなりね。
 わざと毒を含んだ言い方をする司に呆れ果て、類はハアァァーッとわざと大げさにため息をつく。
 「…そんなのお前だって同じことでしょ?自分以外の人間みんな虫けらくらいの扱いのくせして、彼女のことになるとまるで気が違ったように慌てふためいてさ。NYでは冷酷非道の悪魔の申し子とか言われてるんでしょ?」
 凄い言われようだね、と類はからかう様に微笑んだ。
 「ふん。好きなように言わせておくさ。で、どうなんだ?」
 「…司はさ、どこまで知ったの?」
 「すべて…と言いたいとこだが、どうだかな。相変わらずあの女は素直じゃねぇし、追いかければ逃げる、頼れと言えば突っぱねるような女だからな。どうして、そんなに頑なに俺に正体隠す必要があるのかわからねぇな」
 心底不思議そうに言う司に、類は困ったように小首を傾げた。
 「大真面目にそんなことを言うのがお前らしいったら、お前らしいか。牧野がそれ聞いたら、お前のせいだろって、蹴りいれられるんじゃないの?」
 「…っ」
 サラリと出た「牧野」の名前に司は、一瞬彼らしくもなく言葉を途切らせる。
 だが、動揺を類に知られるのがシャクで、そのまま何食わぬ顔で会話を続けた。
 わかっていても、こうして類に肯定されると、指先が震えるのを抑えられない。
 それは喜びなのか、怖れなのか…。
 「あいつは20年近くたっても、かわらねぇよな。この俺に蹴りやら拳やら、いまだに平気で暴力振るってくる奴なんてあいつくらいなもんだぜ」
 「…ふふ、お前がそれを許すのも牧野に対してくらいだしね」
 「で?あいつの生体標本はどう使ったんだ?」
 「ん~。進のね、生体標本と照らし合わせて、DNA鑑定した。兄弟判定のね」
 司は思わぬ名前に、大きく目を見開く。
 「弟か。あいつ、元気か?」
 「うん。いま、俺んとこで働いているよ。すごい優秀な社員」
 「…そうか」
 つくしの弟なら優秀なのも当たり前だ。
 ここまで運命が絡まりあわなかったら、司の片腕になっていたかもしれない人間だった。
 だが運命というものはどこまでも気紛れなものなのか。
 「ね、司。抹茶ちょうだい?」
 「はっ?」
 唐突にされた要求に、司は目が点になるが、素直に言われたとおりにキャビネットを漁り、要求されたものを探す。
 「インスタントものしかねぇぞ」
 「そりゃあねぇ。こんなところで総二郎がたてたバリの抹茶が出てきたら、総二郎が泣いちゃうでしょ」
 笑って、ちゃっかりミルクも要求し、自分で抹茶ミルクに仕立てて、一人で和む。
 「ん~、やっぱ、総二郎のお茶が飲みたい」
 「…たまに日本にも帰ってんだろ?」
 「まあね、お前と違って、俺の本来の本拠地は日本とフランスだからね」
 真面目な話をしていたはずなのに、急な話題転換に、司がペースを崩されてしまう。
 仕事に関してはどんな局面にも冷静さを失わず、常時自分のペースを保つ司だったが、ことつくしに関することや、この幼馴染みと相対するとどうも調子が狂う。
 「お前がDr.の正体を知ったこと、牧野は知ってるの?」
 だから、またも唐突な話題の振り戻しに、司は返答に困った。
 「…いや」
 「なんで言わないの?意趣返し?お前を騙していたことへの…」
 「なんじゃそりゃ、意趣返しって。なんで、俺がそんな質面倒臭いことしなきゃならねぇんだよ」
 「…ま、お前ならそうか」
 恋愛に関しては真っ直ぐストレートなこの男は、策略めいたことを好まない。
 愛すれば真っ直ぐに、どこまでも追ってゆくのみだ。
 まるで一つ覚えの猟犬のように。
 「言わないわけ?」
 「ああ、今んとこ、あいつが俺に知られることを望んでいないなら、別段追いつめるつもりもねぇ。もちろん、永久に知らん顔してるってつもりでもねぇが、急ぐこともねぇだろ?」
 俺は17年間もアイツを失っていたのだから。
 それに、第一…。
 「司はそれでいいの?」
 「俺にとってはどっちでもいいんだよ。牧野つくしだろうと、キャサリン・マーベルだろうと。アイツはアイツだ。だから、アイツが自分をキャサリン・マーベルだというのならそうなんだろうし、アイツの意思を尊重する。俺は牧野だからあの女に惚れたんじゃねぇ。たまたま惚れた女が、過去に牧野つくしと呼ばれていたキャサリン・マーベルていう女だっただけだ」
 司の答えはいつもシンプルだ。
 そして、答えを出すのはいつだって直感。
 それだけに早くて、気づくのにさえ遅い自分とは雲泥の差だった。
 彼女が自分に恋をして、自分がよそ見をしている間に、彼女はいつの間にか司のものになっていた。
 静を愛していた自分も真実なのだから、何の後悔もないが、時折、あまりに単純明快な友の、それゆえに強く彼女を惹きつけた率直さに羨望と嫉妬を憶える…今がちょうど、そんな時だった。
 「…どちらにせよ」
 「あ?」
 「どちらにせよ、お前は牧野のことを知ったんだ」
 類の目が真っ直ぐに、司の目を捉える。
 鋭くなる司の眼差しを、正面から見返し…、
 「これでフィフティ・フィフティだ。お前がDr.の秘密を知らないうちは卑怯な気がして俺は遠慮してた。でも、もう遠慮しない」




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ゆっち様^^

はは…、類君のお話は、皆さんを泣かせたいと思っていますが、どうでしょうねぇ。
上手く、泣かせることができるでしょうか…。

一応朝と、土日は本編で、不定期にはなってしまいますが(本編終了までにはもちろん、終わらせないと^^;)
平日pm.18:00に類君の番外編をお送りしようと思っています。まあ、本編の過去編なので、別に読まなくても
問題ないですし、どう転んでもコメディではないので読み飛ばしていただいても大丈夫です^^

ゆっちさんもインフルや、胃腸炎にお気をつけて^^!

キリ様^^

こんばんは^^
読んでいただけて、とても嬉しいです。

今年のインフルはAとBの混合型で、それでタミフルはダメだそうですねぇ。
おっしゃるとおり、リレンザはOKだそうですが。
検査に関しても早すぎてもダメ、遅すぎても薬が効かないと、本当に厄介な病気です。
うちも過去に何度か、早すぎて検査結果にでてこないのでもう一度次の日に来てくださいと言われたことが
あります。
昔は、解熱後2日程度で証明もらえば学校に行けたと思うのですが、今は5日だそうで、
ピンピンしている息子がとっても煩いです><
励まし、ありがとうございますm_ _m

いやあ、読むのはつかつく好きなんですが、ずっと同じ登場人物で書いてると、なんだか
思考が固まってきそうなんですよね^^;
馴染みのキャラで書きやすいは書きやすいんですが、ずっとシリアスを書いていると
飽きてきちゃうのと一緒で、少しづつ『類つく』や『総つく』、『あきつく』果ては?
『総優』も書いていこうと野望を持っています。
書けるかなあ。
まあ、でもやっぱり一番萌えるのは『つかつく』なので、書きたいお話のストックは
司君バージョンしかまだあんまりないんですけどね^^;
『つかつく』バージョンストックは山ほどあります!書ききれるか…^^;;

キリさんもお体にお気をつけて^^!

のほほん様^^

司君の中で、おそらくヒントとなるピースはマーベルと出会った(再会)当初からかなりあったのだと思います。
でも、彼はつくしちゃんの死のショックで、野生のカンも人間としての感情のほとんども
失っていたため、つくしちゃんをかぎ分けることができず、だからこそ、新しい出会いとして
マーベル医師を愛し、つくしちゃんの過去の幻影ではなく、現在の生きざまを愛せたのだと
思います。
私的には、彼女だったらどんなに変わっても愛せるではなく、彼女だったから愛したのではなく愛した人すべてが
彼女だった…の方が今回はしっくりいったので、こういったお話になりました。
まあ、違うシチュエーションでは、また違う解釈の愛を描くこともあるかとは思いますが。
類君も少しは積極的に押してゆかないと、彼なりのつくしへの想いの終焉は見れないと思いますので、
精一杯に頑張ってもらいたいと思っています。…結果見守る愛に戻ってしまったとしても、やるだけのことは
やらないとね。

理子様^^

こんばんは^^
お祝いありがとうございますm_ _m
金メダル!超うれしい~。
要君は今が一番つらい時。
ついついつくしちゃんに当たっちゃうわけですが、根は悪い子ではないし賢い子なので、
近い未来にわかってくれるはずです。

我が家の子供も、どうやら長男のみで他は移らなかった模様。
でも、まあ、実は次男も怪しかったんじゃないかと思いますが、今のところ他に感染者はいないので
一安心。でも、インフルは毎年タイプが変異して、本当に厄介な病気ですよね…。

理子さんもお体に気を付けて、お互いに元気に春を迎えたいですね!
もう年末年始の胃腸炎は嫌…w

こえび様^^

類の参戦…ばりばり行きたいところなんですが、もうしばらくは宣戦布告だけで、中々登場はありません。
彼の猛攻?は4章メインかな。
なにせ、アンフェアは嫌だとか言って敵(=司)に塩送っちゃうような人ですからねぇ。

番外編ですが、類つくチックとはいえ、基本がつかつくなので、あまり生々しいことは書かないと思います。
初体験とはいいつつ、Rは書かないかなあ。一応つかつくなので。
でも、こういうのって、司君との対比を読みたいものなのか、とか悩めたり^^;

お気遣いありがとうございます。
我が家の息子も、すっかり完治して、体力余り状態。
明日から通学再開なので、親の方がホクホクしていますw

こえびさんもお体にお気をつけて。
これからもよろしくです♪

はな様^^(1/27

いつも応援ありがとうございます^^

類の番外編はまあ、確かに微妙な位置づけの話ですよねぇ。
つかつくファン主体の「夢で逢えたら」の番外編でありながら、類つく的なお話。
かといって、つかつくベースなので、もちろん類とハッピーエンドはありえなくて、しかも、
けっこう類君が気の毒な話(になる予定)。類つくファン的にも、けっこう痛いかと。

いまのところ、中々更新できていませんが、なるべく早く進めていきたいと思っていますので、
なまぬる~い目で見守ってくださいませm_ _m
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