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「中・短編」
不屈のヴィーナス…28話完

不屈のヴィーナス06

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 「へぇ、県立高校の生徒なんだぁ」
 「はい。わりと東京近郊なんですけど、緑なんて見えちゃうすっごいド田舎!」
 「東京って言ったって、場所によりけりだよ。一応小笠原諸島なんかも東京都のうちだしね」
 「ええ?島って、東京に?」
 「そう、行政区的にだけだけどね。そこまでいかなくても、山手線の内側下半分以外はけっこう田舎じゃない?」
 「あははは、本当だ!」
 和気藹々―――しているのは、西門&美作、リサ&ムラちゃんの4人だけ。
 道明寺たちに連れて行かれたのは、もちろんそこいらにあるファミレスやファーストフードなんかじゃなくって、こいつら御用達のシャレたカフェ・バーってやつで、一応は制服のあたしたちを慮ってかクラブとかじゃなかったけど、リサたちにしてみれば物珍しくキョロキョロと見回して、始終上機嫌。
 そこには初めてきた大人な雰囲気の高級店に酔ってるだけじゃなくって、目の前にいる極上の男達に目が眩んでるせいもあるんだと思う。
 革張りのフロアソファに対面して、道明寺の両サイドに西門さんと美作さん、あたしの両サイドにリサとムラちゃんが座ってるんだけど、あたしと道明寺はむっつり座ったまま、もちろん会話なんてあるはずもなく、どうにも気不味いあたしは西門さんたちの話にも乗れずにいた。
 「ええっ?大学生じゃないんですか?」
 「うん、高3」
 「うっそっ。同じ高校生なんかにとても見えない」
 「そ?」
 「「はい」」
 美作さん余裕で笑って頷いてたりするけど、あんたたちはあたしらと同じ高校生なんかじゃないでしょ。
 しらじらしいっつーの。
 たしかに年齢的には年が近いかもしれないけど、生活そのものも違うし、そもそも内面からして全然違ってる。
 それでもフェミニストというよりは、単なる女ったらしなこの連中なら、『女』というだけである程度は許容範囲が広がっているのかもしれないけど、あたしの真ん前で睨んでくるこいつにとっては、あたしたち庶民なんて虫けら以下、話す価値もない相手だろう。
 …こんなふうにむっつり黙り込んでるくらいなら、なんであたしたちを誘ったりするわけ?
 あたしたち…っていうか、リサとムラちゃんを誘ったのは西門さんたちだけど、追い返さないってことは許容したってことだろうし、本当に気に食わないのなら、こいつの性格なら威嚇でもなんでもしてくるはず。 
 リサたちが話しかけもガン無視しているとはいえ、とりあえずは怒鳴りつけたりはしていなかった。
 …って、いうかさ。
 「お前ら、さっきから何睨みあってんの?」
 苦笑している美作さんに尋ねられて、あたしは目の前のムカつく男から視線を外して、カフェテーブルの少し赤黒っぽい色合いのオレンジジュースをズズズッと啜った。
 「…睨み合ってなんかいないし」
 「誰が、睨むかよ」
 睨んでんでしょ!あんたはっ。
 いかにもお前なんか睨む価値もないといった言い方に、言い返しそうになったけどグッと堪えた。
 こんなところでまた言い争いになって、あげくに暴れられたらいい迷惑だ。
 今回はリサやムラちゃんも同行させちゃったし、万が一巻き添えを食らわすわけにはいかなかった。
 「…なんか飲むかよ?」
 「は?」
 「ジュース、もうないだろ?」
 「…ああ」
 そういえば。
 とてもじゃないけど喋りたい状況じゃなかったし、そうとなれば手持ち無沙汰でついつい飲み物を飲むくらいしかやれることがなくって、いつの間にか他の人たちより速いペースで飲み干してしまっていた。
 「喉渇いてたし…これ、すごく美味しいね」
 基本食べられればなんでも美味しく食べられるし、飲めるあたしだったから特に口が肥えてるわけではなかったけれど、お店の雰囲気だけでなくこのジュースがなんか普通のやつじゃなくって、特別に美味しいのはわかった。
 「そうか?俺は飲んだことねえぇけど、ここのブラッドオレンジジュースは、フランスのリヨンから直接輸入してるやつで、糖分、酸味、バランスの3拍子揃った最高級の味わいっつーのが売りなんだぜ。お前にはビミョーな味わいの違いなんて、わかりゃしねぇだろうけど、女どもにはかなり人気あるらしいな」
 …はいはい、そうですか~。
 どうせ、あたしは多少の味の違いなんてわからない超庶民的な舌の持ち主ですよ。
 一々あんたは一言余計なのよ。
 嫌味ったらしい得意げな顔しやがって。
 ホント、むかつく男だ。
 でも、リサやムラちゃんはそうは思わなかったらしくって、
 「ええっ?そうなんですか?」
 「そうなんだぁ」
 きゃあきゃあ道明寺の顔に見蕩れて、感心したように歓声を上げている。
 あたしの空のグラスを見て、ノンアルコールカクテルを頼んだリサとムラちゃんが羨ましそうだ。
 「じゃあ、今度はリサちゃんたちもこれとったら?」
 「え…でも」
 目と目で相談しあってる。
 英徳の子達とは違う。
 こんな高級店の一杯千円以上するジュースなんて、何杯も気軽に頼めるような懐事情じゃなかったし、期待はしてるんだろうけど、さすがに最初から奢られるのが当然って顔してオーダーするほど厚顔じゃなかった。
 「どうせ払いは俺たちなんだから、気にしないで好きなのオーダーしなよ?」
 「え~、そんなの悪いですぅ」
 あきらかにホッとして嬉しそうだけど、一応は社交辞令。
 「いいって、俺たち意外に懐具合に余裕あるから平気だよ」
 ニッコリ。
 リサたちの顔を見れば、西門さんの甘い誘惑にうっとりと惚けてしまっている。
 「…けっこうだよ、西門さん。自分の分くらい自分で払うし、あたしたち、もうそろそろ帰るから」
 両サイドからポカンとした、呆気にとられた視線。
 …なんで、そんなこと言うのよ?
 リサたちの心の声が丸聞こえ。
 リサたちには悪いかもしれないけど、あたしの常識では知人以下の人たちに奢られる常識はない。
 「なんだよ、牧野。相変わらず堅ぇな」
 「あんたたちの懐具合がどうでも、あたしには関係ないもん」
 懐具合がどうでも、には西門さんばかりか美作さんにまで苦笑されてる。
 そりゃそうだろうね。
 この連中の懐具合なんて、あたしやリサたちの親でさえ遠く及ばない。
 …自分で働いてもいないくせに、まったくこのカエルどもがっ。
 「リサ、ムラちゃん、もう帰ろう。そろそろ7時だよ?」 
 「…え、でも」
 「リサたちが帰らなくても、あたしはもう帰るから。親に夕飯はうち食べるって言って出てきてるし、それを破るつもりはないよ」
 ちょっとつっけんどうな言い方になってしまったかもしれない。
 この子達と親しくなりたいな、と思って出てきたお出かけだけど、こういう事情になってしまったら仕方がないか。
 もう道明寺に出くわしただけでも想定外だったっていうのに、どうしてこの人たちと楽しくもないのに一緒にお茶しなきゃなんないわけ?
 それに道明寺たちと知り合いだとリサたちに思われてしまったことで、起こりうる副次的なあれこれが思い浮かんで、あたしは一気に憂鬱になってしまっていた。
 「つ、つくしちゃん」
 迷ったみたいだけど、さすがにあたし抜きで、ほとんど初対面に近いこの人たちのところに残る勇気はなかったみたい。
 あたしたちの高校でもサバけた女子のグループに分類されるような子達だけど、特殊に派手というわけでもなく、わりと普通の女の子達。
 いかにも只者じゃない風情のこの人たちが相手じゃ、荷が重いよね。
 「…あたしたちも帰るよ」
 「うん」
 「それなら家ま…」
 送るとか言い出そうとしている西門さんを遮り、お札と小銭を財布から取り出しながら声を張り上げる。
 「じゃ、お先に。さ、リサもムラちゃんも、駅まで急ごう!」」





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