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「夢で逢えたら…全207話完+α」
プロミス…遠い日の約束~番外編

プロミス~遠い日の約束~011

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 好きだと言ったのに苦笑されてしまうなんて。
 「…それが、俺を男として好きだっていう意味だったら、俺も凄い嬉しかったと思うけどね」
 「………」
 言葉を探して視線を彷徨わせて、でも何を言うこともできずに結局逡巡しながらも、類へと視線を戻す。
 「困らせるつもりじゃない」
 「……うん」
 「でも、俺はただの男友達というカテゴリで一括りにされたくない」
 「類」
 「だから、あんたが忘れそうになったらたまには言ってやらなくっちゃね。司の代わりにあんたを支えたいとか、ただあんたを幸せにしたいとか、そんなお為ごかしばかりじゃないよ。ただあんたが欲しい…そう思う俺も本当なんだ」
 類らしくはないと思うのに、おそらくそれもまた彼の本音には違いないのだろう。
 本音半分…そして後の半分はやはり、彼の本音ではないのがつくしにはわかる。
 それだけの時を共に過ごしてきた。
 人間は複雑な生き物なのだ。
 「よし、決めた」
 「え?」
 「特にあんたが乗りたいものがあるわけじゃないなら、アレに乗ろう」
 山頂にそびえ立つ観覧車。
 そこに辿り着くまでも、リフトに乗る必要がある高台に位置していた。
 「俺、乗ったことないんだよね」
 「ええっ、それってマジ?」
 「マジ」
 類が再びつくしの手をとり、歩き出す。
 通り過ぎる女性たちが類を見て、囁やきあい、頬を染めて、きゃあきゃあと歓声をあげる。
 …本当、夢みたい。
 彼と知り合って4年あまりの時が過ぎて、初恋の人、親友、魂の一部の人へと関係を変えても、彼への憧れを今もつくしは抱き続けている。
 たぶんもう恋ではない。
 でも、たしかに彼のことも愛していた。
 幸せになって欲しい人。
 真実そう思っているのに、彼が幸せになるのを阻害しているのはきっと自分なのだ。
 「俺に同情するのはあんたの傲慢だよ」
 「え?」
 「あんたの目がそう言ってる。俺があんたを好きなのも、あんたが俺を愛せないのもあんたのせいじゃないし、たぶん…どうにもできないことなんだろうね」
 「……愛してないわけじゃないよ」
 不思議に照れは感じなかった。
 「そうだね。…でも、司のようには愛してない」
 「………」
 彼だけだ。
 誰もが腫れものを扱うように、つくしの前では司の話題を出すことを避けるのに、類だけは平然と司の話題を口にする。
 「俺にしても、司と同じように愛されたいわけじゃない」
 「………」 
 「俺はそんなにプライド低くないよ」
 衝撃につくしは、ハッと類を振り返った。
 「俺の気持ちは俺が決める。…あんたを好きなままでいるのも、好きじゃなくなるのも」
 「…類」
 「あんたに俺を愛してくれと頼んでるわけじゃないんだ」
 ぎゅっと握り締められた手。
 …温かい。
 たとえ司の手ではなかったとしても、十分につくしの手を、心を温め続けてきてくれたその温もり。
 「これは俺のエゴだ。俺を愛せないあんたが、罪悪感を感じて苦しんでいるのも知ってる」
 「それは、違うよ」
 「そう?」
 「ただ、あたしは…」
 「俺に恋することができないだけ?」
 そうだとは言えない。
 いや、言いたくなかった。
 彼が傷つくから?
 それとも彼が離れてゆくのが怖いからだろうか。
 けれど、不意に気がついた。
 それもまた一つのカタチ。
 もしかしたら…、いつの日か、類の情熱の前に、司への気持ちを風化させて思い出にできる日が来るのかもしれない、と。
 「それでもいいよ。俺が牧野を好きなんだ。あんたが俺を好いてくれてるから、あんたを愛してるわけじゃない。あんたが俺のせいでなおさら苦しんでいるにしろ、それでも俺はあんたを諦められないし、諦めたくない」
 もうあの日の後悔を繰り返したくないんだと、つくしに言えばまたそれも彼女を苦しめてしまうことになるのかもしれない。
 気が付けば類を見つめていたはずのつくしは、司を見つめていた。
 気が付くのが遅かった。
 親友だからと司への遠慮が、今のつくしの苦しみを生んでしまったのかもしれない。
 …あの時、司に遠慮などせずにあんたを奪えていたのなら。
 …俺なら、絶対にあんたを忘れたりしなかった。
 司が好きでつくしを忘れたわけではないのは知っている。
 それでも、どうして、なぜ、その思いを類も抱かずにはいられなかったのだ。
 だから、今度は間違えない。
 司が手を離したのだ。
 それでもつくしを追い詰めたくない思いが、類に強引な言動をとらせることを思いとどまらせていた。
 たとえ永遠の片思いをすることになったとしても、何よりも彼女の傍にいたいから。
 彼女の笑顔が見たい。
 その望みに勝る願いはなかった。
 …矛盾だな。
 そう自嘲する気持ちを綺麗に隠す。
 「…あたし、どうすればいいの?」
 ギュッと握り締め返したその手の中にもしかしたら、答えはあるのかもしれない。
 その手の温もりに、つくしはそう思った。



*****




 まだ春休みには少し間があるからか、週末の夕刻にしてはそれほど混雑はしていなかった。
 身を寄せ合ってリフトに乗り込み、スイスイと登ってゆきながら、周囲の景色を眺めて、つくしがきゃあきゃあと燥ぐ。
 「ほら、はしゃぎ過ぎたら落ちるだろ?」
 危うく乗り出しすぎて、落下しそこねたところを、類にぐっと肩を引き寄せられ難を逃れた。
 広くて大きな胸。
 いつでも彼女を守って、助けてくれた温もり。
 安心する。
 「…うん、ありがと」
 「ほら、そこにあるの、うさぎの足跡じゃない?」
 言われて視線を向ければ、わずかに残った雪に転々と小さな足跡。
 「あ!本当だ」
 「けっこうこの辺も熊とか出そうだよね?」
 「ええっ~、出ないでしょ」
 「高尾山とか丹沢でも熊が出たことがあるって」
 高尾山といえば、東京都在住のつくしや類にしてみてもごくポピュラーな山であり、ここ相模湖周辺の山々のうち城山・景信山・陣場山は裏高尾とよばれ、高尾山からの縦走コースになっていたはずた。
 「そ、そうなんだ」
 途端怯えたように周囲を見回すつくしの現金さに、類が肩を揺らして笑い出す。
 「ぶぶっ!!こんな人が多いところに現れるわけないだろ?」
 「…あ」
 「けっこうあんたって子供みたいなところがあるよね。童顔なだけじゃなくってさ」
 子供っぽさや童顔はつくしにも自覚があるところで、指摘されればムッとして、つくしはプクッと頬を膨らめた。
 20才を過ぎた女がやることじゃない。
 そんなところをまた笑われるのだろうけれど、この気の置けない友人の前では自分を繕えなかった。
 「あんたたちの前でだけだよ。あたしだって、いつもはもう少し大人な言動を心がけていられます!」
 「…いいじゃない」
 「なにがよ」
 そっぽを向いてしまったつくしの肩にコツンと頭を乗せて、斜め下から類が上目遣いで彼女の顔を覗き込み美しく笑う。
 「可愛いよ、あんたのそういうとこ。俺は好き」
 茹で蛸みたいに真っ赤になったつくしに爆笑して、類が腹を抱える。
 「ひ~、お前、その顔ってホントいつもおもしろすぎ!」
 ぶくくくくと笑う類の顔は本当に楽しそうだ。
 つくしも彼のそんな少年のような無邪気な顔が好きではある。
 けれど…。
 ボクッ!!
 拳骨一つ。
 「……いひゃい」
 類の無邪気さを愛でることと、彼の失礼な言動を許すことはまた別の次元のことだ。
 「あんたが失礼だからでしょっ!!ふんっ」





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