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「夢で逢えたら…全207話完+α」
プロミス…遠い日の約束~番外編

プロミス~遠い日の約束~005 

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 ずっと知っていたのに、見ないふりをしていた。
 傷つけたくないから…というのは言い訳で、本当は類を傷つけることで自分が傷きたくなかったから。
 …ううん、違う。
 それさえも多分違うのだろう。
 この心地よい関係を壊したくなかった。
 司に去られて傷ついた心を支え癒してくれる青年の手を離したくなかった、そんなズルイ自分を自覚して、そしてそんな彼女を類が見破っていたことにいまさらながらに気がつかされる。
 「あたしっ」
 「……待つって言っただろ?」
 待つ。
 そう言ってくれる彼の優しさに甘えてここまで来てしまった。
 だけど…。
 「とりあえず、もうこんな時間だし、こんなところであれこれ言ってるのも近所迷惑だろ」
 「…類っ」
 「はい、これ」
 手の中にポイッと無造作に投げ渡された、特徴的な包装紙に包まれたその小さな小箱は、以前に雑誌に載っていたこともある海外の有名菓子店のチョコートで、確か桜子だか滋にお土産でもらって、類にも美味しいとおすそ分けした覚えのあるものだ。
 「これって…」
 「ちょうどあきらがスイスに出張だって言ってたから、頼んでおいた」
 「ええ~」
 そういえば、ここのところあきらを見かけていなかったか。
 もっとも、英徳を出てからは、類以外のF4メンバーとは以前ほど顔を合わせることもあまりなかった。
 「近いうちにまた集まろうってさ」
 「そうなんだ。…あの、チョコありがとう」
 「お礼ならあきらに言って?」
 もちろん言うつもりではあるけれど、それにしても頼んでくれたのだから、類にもお礼を言うのは当然のことだ。
 …覚えてくれてたんだ。
 ほんのりと胸が温かい。
 そんなつくしの素直な気持ちが類にも伝わったのだろう。
 キツかった類の口調も和らぎ、優しい笑みを浮かべてくれた。
 「明日という日もあるんだから、あんたは早く部屋に入って体を休めなよ、ね?」
 ポンと肩を叩かれ、つくしが引き止める言葉を思いつく前に、ヒラヒラと片手を振って類が踵を返す。
 「じゃ、俺、帰るから。また明日ね、牧野」
 「あたしっ、あたしね!類ッ」
 「ずっとだよ」
 「え?」
 振り向かない類が、一瞬だけ立ち止まって独り言のように呟きを零す。
 チラチラと降る淡雪が、彼の柔らかな茶色い髪を白く飾っている。
 類の白い肌が雪あかりを受けて、まるで闇夜に浮かぶ灯火のようにつくしの目に映った。
 「ずっと待ってる。あんたが俺に振り向いてくれるまで、5年でも10年でも…それこそ何十年でもあんたを待ち続けられるよ、きっと俺はね」
 「……類」
 「あんたに司を忘れて欲しいわけじゃない。司を想ったままのあんたでいいから、俺にあんたの笑顔を取り戻させて欲しい。それだって無理強いするつもりなんかじやないよ。ただあんたがまた顔を上げようと思えた時に、俺がそこにいるということを、覚えていて?」
 それ以上、何をつくしに言うことができただろうか。
 たしかにつくしもまた、彼のことを愛していたから。
 司を想う気持ちとは違うところで彼のことが大好きだったのだ。
 けれど…そう思う気持ちとは裏腹に、類にはけっして言う事のできないもう一つの真実が、心の奥底からこみ上げて胸を塞ぐ。
 …それでも、あたしはこのままでは、あいつを諦められないの。あんたを見ればあいつを思い出してしまう。その度にどうして、ここにあいつがいないんだろうって思ってしまうのよ。
 つくしはたまらず両手で顔を覆った。
 なんてひどい自分。
 類の気持ちに応えられないのに、一人でいる苦しさに彼の気持ちを利用してるくせに、司を忘れさせてくれないのはあんただと、密かに恨んで…。
 だからといって、つくしにどうすることができただろう。
 類の前からいっそ消えてしまえれば…そう何度思ったことか。
 けれど出来なかった。
 つくしの中の弱さが、類への親愛が、いつもそんな彼女を引き止めたのだ。
 彼の真摯な想いを知ればこそ、彼を振り切る勇気さえ持てない自分は、なんて優柔不断で卑怯なのだと責めてはどうすれば良いのかと迷い惑った。
 生ぬるい涙が頬を伝って、指の間から溢れた。
 そこにはもう、彼女の涙を拭ってくれた熱い手の主はいないというのに、それでも待たずにはいられない自分が愚かだと…つくしはいつまでも立ち尽くして涙せずにはいられなかった。




*****




 「えっと…」
 自分に関わりのあるお知らせはないかと、掲示板にざっと目を通し、特になさそうだとその場を離れかける。
 が、ふと目についたポスターに妙に惹かれて、しばし佇む。
 今まで自分自身に余裕がなかった。
 だから自分に誰かを助けられるなんて思いもよらなかったから、気がつくことさえなかった一枚のポスター。
 そこには、こう書かれていた。
 『世界を変えることはできないかもしれない。…けれど、せめて自分を変えることはできる』
 「青年海外協力隊…」
 「つくしッ!」
 ドンッ!!
 「うぎゃっ」
 「わっ、ちょっとっ!?」
 気を抜いていたところへ、いきなり背後からドツかれ、危うく掲示板に激突しかけてしまう。
 ドツいた超本人が慌てて腕を掴んで引き戻してくれなければ、固い板との熱烈キッスは免れなかったかもしれない。
 「……沙紀ぃ、あんたね」
 「ははは、ごめんごめん。って、いうか、つくしったら何をそんなにボウッとして熱心に見てたわけ?」
 つくしが見ていたポスターへと沙紀も視線を投じて、小首を傾げた。
 「ああ…これかぁ」
 「南米とかアフリカの医療後進国への医療支援メンバーの募集。うちの大学でも応募者募ってたんだね」
 「そうだね。…つくしって、こういうの興味あったっけ?」
 沙紀が不審げなのも当然だろう。
 おそらくこのポスターはかなり以前から貼られていたに違いないのに、つくしが話題にしたことがなかった。
 つまり、そういうことだ。
 だから苦笑して、つくしもうーんと曖昧に首を傾げる。
 「興味がある、っていうほどでもないんだけどね。なんとなく目を惹かれたからさ」
 「それならいいけど…なんかさ、それ、やっぱりあまり集まり良くないらしくって、かなり強引に応募者募ってるみたいよ」
 「え?」
 「ほら、ここの学長ってかなり野心家だから」
 教育者もまた人間であり、人が集まればそこには野心もあり、また人の暗部も蠢いてた。
 とはいえ、一介の医学生であるつくしには関係ない話だ。
 「ふぅん、そうなんだ。ま、そういう裏事情知ったって、あたしたちはただ毎日あくせく勉強するだけでしょ」
 「だね。って、つくし、あんた余裕かましてるけど、村尾教授のレポートもう書き上がったの?」
 「うぐっ、痛いところを突かれた」
 「ええっ!!?じゃないでしょっ」
 ふざけあい小突き合い、笑い合ってつくしと沙紀はその場を離れた。





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