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「中・短編」
一日遅れのハッピー・バースディ…15話完+α

一日遅れのハッピー・バースディ01

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一日遅れのハッピー・バースディ

 CPは司×つくしです。
 原作終了後20年後。
 司37才、つくし36→37才です。
 まあ、15話完結ですので、内容は読んでみて~ってことで。
 シリアスかなぁ??
 では、お楽しみくださいm_ _m
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 「お前も彼此、10年ぶりの東京って奴か」
 バカラグラスの琥珀色の液体を見るともなく眺めていた司が、総二郎を無感動にチラリと一瞥して、一気に半分程を流し込む。
 「……おいおい、いくら酒に強いからって、そんな無茶な飲み方すんなよ」
 「別にいつものことだ。いまさら、お前につべこべお節介を言われることもねぇよ、あきら」
 小さく息をついて、さすがのあきらもいい年をした男にそれ以上の世話を焼くことは辞めた。
 本人の言うとおり、いまさらなことなのだろう。
 昔のように飢えた獣のような荒み方ではなかったけれど、コケた頬の病的な白さや深い孤独は隠しようもない。
 「離婚…成立したんだっけ?司」
 ソファの肘掛にもたれ、寝ているのかと思っていた類もいつの間にか起き上がっていて、特になんの含みもなさそうに淡々と司へと問いかけた。
 「ああ」
 「2度目だっけ?」
 「……3度目」
 「へぇ?そんなに結婚してて、まだ次もしたいもんなんだ?4度目の結婚も秒読み段階なんだって?離婚もしないうちから、次の結婚相手とかなんだか笑える話だけど」
 「…おい、類」
 揶揄る風情ではなかった。
 けれど、今の司に問いかけるにはあまりに皮肉に満ちて、そして神経を逆撫でするようなものだろう。
 「何が言いたい?」
 案の定、さっきまでまるで機械仕掛けの人形のように無表情だった男の顔が、険を帯びて、不機嫌に歪められる。
 「ん?そのまんまなだけ。結婚経験のない俺なんかからすると、どういう心境なのかな、って思ってさ」
 類の顔はどこか大真面目にも、逆に不真面目にも見える。
 どのみち、この男は元来そうした奴なのだ。
 それを咎めたとしても、無邪気なふりで煙に巻くだけで、言いたいことを堪えたりはしない。
 たとえ、誰が相手でも…それが30数年来の親友であり、かつての恋のライバルだった司が相手だったとしても。
 「心境?そんなもんはねぇな。家の都合でくっついて、用済みになったら別れる…それを繰り返していたら、3度目だった。ただそれだけのことだろ。4度目にしても同じ。もしかしたら、どっかの誰かのように2桁、3桁になるのかもな」
 自分のことだというのに、まるで他人事な物言い。
 「ハッ、いいじゃねぇか。…結婚、ってところがアレだけど、生涯最高の女神を探して放浪するのもまたロマンってやつじゃねぇ?」
 重い空気を変えようとか、総二郎がわざとらしく茶化す。
 が、左右双方、絶対零度の視線を浴びせられ、肩を竦める。
 「ツマンネー連中。一々真に受けるなよ」
 「お前の与太の方がよほどつまらないよ。その調子で、千人切りとやらを達成したんでしょ?で?、そのお前の言う女神とやらはお前の前に現れたわけ?」
 わかっていて突っ込む類のいけずな物言いにも動じず、総二郎がニヤリと笑う。
 「バーカ、男は常にチャレンジャーなんだよ。どんなにイイ女が現れても、次に出会う女は、もっとイイ女かもしれない。そうだろ?あきら」
 「…俺にフるな。まったく、どいつもこいつも、久しぶりに顔を合わせてもっと和気藹々とできねぇのか」
 「「「ぶっ」」」
 思わず噴き出したのは、3人同時で、口にしたあきら本人でさえ苦笑せざる得なかった。
 和気藹々…あまりに自分たちには不似合いな言葉だ。
 それでも、互いに互いが唯一気の置けない親友たちであることは確かなのだ。
 もっと若い頃には、その不似合いな和気藹々という言葉さえ似合う空気が存在した…ある一人の女を中心にして。
 「東京支社の立て直しだっけ?お前がわざわざ出張るほど、ヤバイんだ?」
 「なわけあるか。俺の威勢が煙たいんだろうよ、ババアも」
 司も来年…年を明ければ38才になる。
 いまだ現役を張る母親との間の軋轢も目立つようになってきていた。
 新旧の幹部たちが相争い2派に分かれての権力争いの行方は不透明ながらも、それなりの均衡を保っている。
 どちらにせよ、いずれ司の下にすべての権力が掌握されるのは間違い。
 「まあ、小母さんはそうだろうけど、お前にしては殊勝じゃねぇ?」
 総二郎のいうとおり、今の司が唯々諾々と母親の決めた人事に従ういわれもなければ、必要もないはずなのだ。
 「……焦ることもねぇだろ」
 「なんかあるのか?」
 司が手の中に弄んでいたグラスに残っていた酒を一気に煽って飲み干した。
 「さあな」 
 「ふぅん、そう言えば、マンション新築したんだろ?世田谷の邸、出るんだ?」
 「へぇ、珍しいな。住まいなんて特にこだわらねぇお前だから、NYでも家建てたり、マンション買ったりしてなかっただろ、司」
 あきらも首を傾げるとおり、今まで司は邸から出ることはほとんどなかった。
 どのみち年のほとんどを出張に明け暮れて、一箇所に定住することはないのだ。
 それは結婚生活を営んでいる時期も同じで、どんな女とも一緒に暮らしたことなどないも同然だった。
 「新しい女房と、人生をやり直すつもりなのか?」
 大真面目に問いかけたのは、あきらの友情だった。
 長く人生を投げていた友への思いやり。
 「ハッ、なんだよ、人生をやり直す?バカバカしい。単なる気分転換に決まってるだろ?新しい女房もなにも、どうせ政略結婚…相手の女の実家の持ってるラインが欲しいだけの話だ。一緒に暮らすなんてごめんだね」
 吐き捨てる言葉尻に宿ったわずかな嫌悪は本物だった。
 それを痛ましげに見やり、それでもあきらは言わずにはいられない。
 「……お前も哀れな奴だが、それに付き合わされるお前の結婚相手も気の毒だ」
 「まったくだな」
 いまだに一期一会を繰り返し、結婚してはいても、誠実な夫とは言い難い総二郎さえもが思わず同意する。
 だが、フンと鼻を鳴らした司の心には響かなかったのは明らかだった。
 たった一人…そんな哀れな男である彼の人生そのものだった女が彼の元を去った日から、司の心は凍りついているのだから。
 …わかってる。すべて俺のせいだ。
 そう思う心の片隅で、自分を見捨てた女を忘れられない。
 恨みに思わずにいられず…腹立たしいことにいまだに彼女が恋しいのだ。
 「そういえばさ、俺、この前、牧野に出くわしたよ。この東京でね」





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