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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第三章 忘れえぬ人①

夢で逢えたら095

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 ひーは~^^;
 なんとか、予告通り二回目pm.12:00の更新を達成!やれやれ。
 いよいよ、司君のマーベル医師への疑惑が始まります。
 司君はつくしちゃんに気が付くことができるでしょうか?
***************************************

 要の診察時間が近づき、つくしはキャビネットに置かれた置時計の時間を確認する。
 まだ少し、いつもの時間よりは早いが、使用人からあらかじめ、要の調子が悪いようだと聞いていた。
 どのみち、呼ばれない限りは、要には交代で二人の看護師が付いている。
 以前だったら、朝食の相伴に呼ばれて、他愛ない雑談などの合間に体調確認をしていたので、わざわざ診察という形をとらずとも、要の体調は把握していた。
 今では、要とそんな風に過ごす時間はまったくなくなってしまった。
 それでも、恭子が来た当初も、数回は恭子を交えて朝食や時には他の食事も相伴したりしていたのだ。
 生まれながらの御嬢様であり、名のある名家の奥方である恭子は華やかな美貌に反して気さくで、陽気だった。
 いきなり、つくしにビンタをかましてきた女とは思えない。
 さすがに、気位の高そうなところもあったが、少なくても要の主治医であるつくしに対する敬意は忘れず、丁重でもある。 
 確か、司より3才年下で、つくしの実年齢より1年年下だったが、桜子を思い起こさせる印象があった。
 …なんだろ。見た目は全然違うし、桜子より腹黒そうじゃないんだけど。
 当の桜子が聞いたら怒り出しそうな失礼な物思いだったが、それに連想して日本に残る友人たちを遠く思う。
 滋さんどうしてるかなあ。この前のパーティでは来てなかったけど、忙しいのかなあ。
 優紀はもう結婚したんだろうな。
 桜子や総二郎たちに聞くわけにもいかず、切ない思いがしたものだったが、よくよく考えたら類に聞いてもいいわけだ。
 あの類が、古馴染とはいえつくしとの縁が切れていた優紀の現状を知っているとも思えなかったが、滋のことくらいは大企業間の繋がりで情報が入っているだろう。
 とりあえず、要の顔を見に行こう。
 昨日手に入れた「ロックオブエイジズ」のパンフレドを手に、今日こそは他愛ない会話を要とするぞ!と妙にリキを入れて立ち上がる。
 確か以前に、「ウィキッド」の公演を見に行ったと言った時も、素直じゃなかったけど興味を示していたように思う。
 『ずるい、俺もキャサリンと一緒に見に行きたい』
 そう拗ねて言う要が可愛くて、次は連れて行こう、道明寺の許可がとれるかな、なんて思ったのを思い出し、溜息を零す。
 なんで、こんなになっちゃったかなあ。
 理由はもちろん、わかっている。
 男女の恋愛感情や嫉妬、愛憎には鈍いつくしだったが、人の感情の機微に疎いわけではない。
 それどころか、きめ細やかな思いやりで人の心の哀しみをよく感じ取り、共感することができるのが彼女だった。
 要の屈託を思い、ついでその元凶の男を思う。
 「はあああぁ」
 知らず知らず大きな溜息を再度洩らし、誰も見ていないというのに廊下をキョロキョロと見回す。
 幸い、使用人の誰も通りかからなかったようで、いつもは誰かしら近寄ってきて短い雑談を交わす、顔馴染みのメイドたちの姿もなかった。
 今更、本当に今更、惚れてるから結婚してくれだなんて、あの男は相変わらずどうかしてる。
 そして、それが不快なわけではなく、心のどこかでドキドキと初心な少女のように高揚している自分が怖かった。
 心の奥底深くに埋めた何かが、再び蘇ってきそうで、つくしは深まる混迷にどうしたらいいのかわからない。
 正直、戸惑いばかりが大きく、とてもじゃないけどまともに返事などできなかった。 
 そうだ、なんで、私ったら断らなかったのだろう。
 返事など決まっているのだから、困惑などする前に『結婚はできない』とそう一言いえば良かったではないか。
 しかし、あの男の性分からして、『結婚はできない』、『ああ、そうですか』で済むんだろうか?
 驚いてまごついていたらいつの間にか『OK』だということになって、危うく承諾したことにされそうだったくらいだ。
 曖昧な態度でいたら、絶対にマズイ。
 にもかかわらず、つくしは即座に断りの言葉を出すことができなかった。
 断るべき。だいたい、恋愛感情はもうないはず。
 そうは思うのに、司の真摯な顔や子供のような嬉しそうな顔を思い出し、拒絶することに躊躇してしまう。
 「なんで、私がこんなこと、悩まなきゃならないのよっ!本当にあの男が現れてから、私の人生、また波乱万丈で。ホント!ムカつく。あのドアホッ」
 心の中で言っていたつもりが、いつの間にかまた口から出ていて、自分でギョッとする。
 と、要の部屋に到着する前、最後の曲がり角をまがったところで、見慣れた人影が目に入った。
 要のところで会話する司と恭子は、別れた元夫婦とは思えないほどに、親密そうでよく似合っている。
 ここに要が一緒にいたら、完璧な家族の肖像というやつなのだろう。
 そういえば、道明寺の誕生日パーティの時も、人をわざわざパートナーに引っ張りだしておいて、恭子さんに張り付いてたな。
 なんとなく、面白くもない気分になる。
 ついであの日はロバートも現れたんだっけと、嫌なことを思い出して苦虫をつぶしたような顔をしてしまった。
 と、恭子が司に身を寄せて、男の襟首に縋りついた。
 「…あ」
 キスしていたように見えた二人の姿に、ついつくしは声を上げてしまった。
 振り向いた二人の顔にバツが悪く、かといってそのまま回れ右して立ち去るのもおかしい。
 仕方なしに、先ほどまで二人のキスシーンは見なかったことにして、つくしは二人に会釈して近づいた。
 「よう、はよ」
 「ごきげんよう、Dr.マーベル」
 「おはようございます。道明寺さん、恭子夫人」
 いつもは使わないさん付けに、司の眉根が怪訝による。
 つくしはつくしで、余人がいるところで、雇い主である司を呼び捨てにするわけにいかないのだから、整合性はあるはずなのだ。
 なのに、なんとなく、身の置き所のないようなこの気持ちはなんだろう。
 「えっと、要君が体調を崩していると聞いているのですが」
 「ええ。エレンが見てくれていて、Dr.を呼ぶほどではないと言ってくれたので、様子を見ていたのですけれど」
 「はい、聞いてます。今はブレンダに交代してます?」
 何気ない会話を交わしながら、恭子とつくしが部屋へと入っていこうとするのに、司はとっさに女医の腕を掴んだ。
 「なに?」
 ビックリした顔のつくしに、司は数度瞬いた。
 「あ、いや。俺、今日から出張で3日ほどいないから」
 「あ、ああ、そう」
 要の主治医でこの邸のホームドクターに過ぎないつくしに、一々報告してくる司の態度を恭子に不信に思われないかと、つくしは視線を泳がせる。
 だが、恭子はすでに要の部屋へと入っていて、そんな二人の奇妙な間に興味を示していなかった。
 「えっと、他に何かある?」
 「え、いや、別に」
 「そ、そう。じゃあ、手を放してくれる?」
 言われて素直に手を放す司の顔はどこか茫然としていて、様子が可笑しかった。
 だが、つくしはつくしで、さきほどの光景を見た時の自分に走った感情に動揺していて、司を観察するどころではなかった。
 なんだ、この既視感は。
 何度となく、この女を見る時に、触れた時に沸き起こった既視感。
 自分と恭子の様子に誤解をしたことはすぐにわかったが、その誤解を解こうとして司は固まった。
 ようやく絞りだした挨拶だったが、司の頭はその瞬間の衝撃に囚われていた。
 そして、思い当たる。
 「…牧野を最後に見た時の顔だ」
 刺された後、退院して邸に戻った司を見舞いに来てくれたつくし。
 ちょうど、入院時からまとわりついていた女が来ていて、何かを喋っていた。
 その何がつくしの琴線に触れたのだろう。
 つくしと出逢って、彼女の涙など見たことがなかった。
 気丈な女だった。
 どんなに司に苛めらても、哀しくても悔しくても、辛くても、司に涙を見せたことがなかった。
 なのに、ポロポロと涙を零し、静かに泣く彼女の涙が綺麗だと、場違いにも思った記憶がある。
 記憶が戻ってから、何度、彼女があの時何を思い、何を泣いたのかと考えつづけ、苦悩した。
 何が、彼女をあれほどまでに絶望させ、道明寺司という自分の存在を抹消させてしまったのかと。
 涙こそ零していなかったが、あの女医の顔に重なった顔。
 …お前は誰なんだ。

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お前は誰なんだ

こ茶子さま

ドキドキが止まりません。。。

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もうすぐかな⁈

司君の野生的な本能で感じることが、間違いが無いんですよね(^ー^)ノ って事は核心に近づいてきているのでしょうか?
うーん~_~;つくしの気持ちが分かるからまだまだ2人のハッピーエンドは遠いんでしょうね…

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ころ様^^

ご心配ありがとうございますm_ _m
お陰様で、息子はインフルではなかったらしく(いや、もしかしたら保菌しているのかもしれませんが…)、
早退したくせに、家に帰った途端にピンピンしてゲームしまくっていました><
しかし、休日あけて、月曜日登校したものの、学級閉鎖…。
行ったと思ったら、連絡網が回ってきてお迎えにTT(1年生なので)。
明日明後日休みという、連休状態。
他に二人いる子供は学校ですけどね。
ころさんも、インフル他には、くれぐれもお気をけて!

「夢で逢えたら」は基本的にはシリアスなのですが、あのカップルですので、シリアスになりきらず、
司君も完全復活で、一人でも甘々になってくれるはず!(←えっ?w)
いつも応援大感謝ですm_ _m
どうぞ、これからもよろしくお願いいたします♪

ゆっち様^^

やっと、ここまでやってきました。
でも、まだ、つくしちゃんの正体割れてないんですけどね。
まあ、司君のカンが戻ってますので、早晩気が付いてくれると思います。
お楽しみに♪

はまゆ様^^

開き直った司君はもう全開です!

いままでは材料があって引っかかることがあっても組み立てることができなかったことが、次々と司君の
前に湧き上がってきて、真実にと近づいてゆきます。
類君のようにズバリとした答えがつきつけられるようなもの(ホクロなど)はありませんが、
一緒に過ごした時間や魂が彼とつくしちゃんを繋ぐはず。

もうすぐ、その時がきます^^
どうぞ、お楽しみに♪

のほほん様^^

もう司君は突進するのみですからねぇ。
一つ気になりだせば、いままでもいろいろなヒントがあったので、それを拾い集めてゆくのみです。

もうすぐ、つくしちゃんの正体が司君にバレる時がきますので、お楽しみに♪
のほほんさんもお体にお気をつけて♪

tomo様^^

もう司君の特徴の一つともいうべき、つくしちゃんへの野生のカン。
つくしちゃんにしてみても、そうそう司君ほど強烈でなおかつ熱愛してくれる相手に出会えませんからねぇ。
嫌いで別れた相手じゃないわけだし。
なんだかんだで、司君を忘れられなかった上に、またも熱烈に求められたら女心的に揺れちゃいますよね。
まあ途中意に沿わぬことはありましたけど、それこそ体の繋がりからってやつもあるだろうし。

恭子さん、彼女も、彼女なりにという部分があるんです。
ただ、結果、つくしちゃんへと余波があったりもしますが、恭子さんは基本的に司君からつくしちゃんを引き離そうとしているわけではない。むしろ、二人に今は別れてもらっては困るんですねぇ。もっとも、
いろいろ情報を仕入れて見えてる人なんで、つくしちゃんに対しては複雑な気持ちもあるだろうし、司君に対しても古傷がうずくので、いじわるしたい部分もあるにはあるだろうと思います。

みんなハッピーエンドにできれば最高なんですが、どうなることやら…。でも、できるだけ、
皆が皆なりの幸せを見つけられるラストにしたいと思います。
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