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「中・短編」
Middle story(2~5話完結)

鳶に油揚げ…後編

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 ふふふふふふ、ふははははははは!
 内心哄笑したい気持ちを抑えて、俺様の包容力にうっとりしている牧野に甘く笑ってみせる。
 「…あんた大人になったよね」
 ぽわっと頬を染めた牧野が、俺を尊敬の目で見ていた。
 そうだろ、そうだろ!
 が…、
 「バーカ、これくらいで何言ってんだよ。もうガキじゃねぇし、つまんねぇことで文句なんて言うかよ」
 コツンと軽く額を小突いてやったら、「痛いなあ」とか言いながら口を尖らせてるけど、目が怒っていない。
 うふふ、あはは、の熱烈な恋人たちの図だな。
 二人でいちゃいちゃしながら、リムジンで牧野のバイト先まで。
 …しかし、おせぇな。まだ店閉め終わらねぇのかよ。
 牧野の携帯に電話が入らないことに舌打ちをする。
 「…なに?」
 「あ?」
 「いま、舌打ちしなかった?」 
 「へっ?!…い、いやいやいやいやっ!」
 つい焦って牧野がよく言ってるようなセリフ?が口からついて出る。
 …くそっ、いっそ店の後始末する手伝い要員も手配するんだったか。
 可愛い牧野の様子に、わずかな寄り道するのさえ面倒臭くなっている。
 もう俺の頭の中は、牧野にしてもらう埋め合わせで一杯だ。
 「あ、ついた」
 ちょうど、車の窓から牧野が高校生の頃からバイトしている団子屋が目に入った。
 「あれ?女将さん、店じまいしてる?もしかして…」
 怪訝に牧野が腕時計を確認するが、当然いつも閉店する時間帯じゃない。
 「ここでいいよ」
 「…店まで送るって言っただろ?」
 「あ~」
 困ったような顔がなんだか、なんかの動物にそっくりだ。
 そういえば、類の奴がよくそんなこと言ってるな。
 つーか、なんで牧野といる時に、類のことなんか思い出すんだよ、けったくそ悪い。
 向かい側に停めたリムジンから降りて、チョコマカ小走りに店へと向かう牧野の後ろを、俺もゆっくりとついてゆく。 
 「あら、つくしちゃん」
 「…お疲れ様です。あのぉ、お店??」 
 「ああ!そうだったわね。今日、優紀ちゃんの代打をつくしちゃんに頼んでいたんだったんだわ」
 …忘れてたのかよ、このオバさん。
 忘れててもいい程度の商売状況じゃあ、牧野や松岡みたいなバイトを雇う必要もねぇんじゃねぇの?
 まあ、牧野にしても松岡にしても、大学4年の今じゃあ高校時代のお礼奉公みたいなもんで、それほどガッチリとシフトを入れてるわけじゃなく、今いる高校生が入れない時間帯だけ助っ人で入ってるらしかった。
 「実は、今日は凄く商品が売れてね」
 「ええっ!?」
 「今さっき、完売したところなのよっ!」
 「か、完売ですか」 
 「そうなの、せっかく来てくれて悪いんだけど、バイト代は払うから今日は帰ってくれる?」 
 「…あ、はい。それはかまいませんけど」
 なんとな~く、俺を見上げてくる牧野の目が疑ってる気がする。
 胡乱気な上目遣いすら可愛いけど、今は真相がバレるわけにはいかねぇ。
 牧野との甘い夜どころか、怒って帰っちまいかねねぇからな、この女。
 団子屋の女将にすれば、売れるんなら誰が買おうと同じことだろうし、むしろ早々に完売して喜んでるくらいだろうによ。
 意固地っつーか、四角四面つーか、この女、頑固一徹オヤジかっつーの。
 「じゃあ、後片付けだけ手伝いますよ」
 「あら、いいの?」
 「ええ、タダでバイト代もらうわけにはいかないし、あたしもここまでせっかく来たし」
 おいおいおいおい…。
 しかし、ここで変に文句を言ったら、さっき見せてやった包容力だか大人力だかが台無しになりそうで、俺はムッと顔を顰めながらもジッと我慢することにした。
 …俺、牧野と付き合って、どんだけ忍耐力つくんだってくらいだよな。
 そもそも、こいつとそういう関係になるまでも信じられねぇくらいの期間待たされた。
 …4年だぜ。
 まさか遠距離=清い関係爆進記録になるとは、さすがのこの俺も予想だにしていなかった。
 苦難の過去を思い出して、遠い目をしちまったぜ。
 …牧野め、覚えてろよ。
 「な、なにっ?」
 俺の邪念を感じ取ったのか、牧野が妙にビクつく。
 「…いや、何も言ってねぇぞ」
 「そ、そう?て、いうか。あんた、まだいたの?」
 「…………お前な」 
 「さあ、終わったわ、ありがと」
 俺の抗議の声と女将の声が被った。
 まあ、言いたいことはいろいろあるが、終わりよければすべてよし?(謎)
 どうすっか。
 いつもだったら牧野のアパートに押しかけて…そのまま、ってやつだけど、まだ時間もあることだし、たまにはデートして、どっかのホテルに連れ込むか。
 ニヤニヤ笑いが止まらない。 
 「じゃあ、あたし帰りますね」
 「ええ、またよろしくね」
 女将と挨拶を交わしあっている牧野を待ち構える。
 やっと俺のターンだぜっ!
 「まき…」
 「牧野ッ!」
 …この声は!?
 いやいや振り向けば…。
 「類!?」
 「類」
 うっかり気勢を削がれ、口ごもったところへ、さっさか類が歩み寄ってきた。
 「やぁ」
 牧野には、牧野が『王子様の笑み』とか言うムカつく笑みを見せて、俺には…、
 「…あれ?司もいたんだ」 
 「………」
 いや、別にこいつに微笑みかけられたいわけじゃねえけどよ。
 牧野に向けていた笑顔が、いきなり俺には無表情とかっていったいどんだけなんだっつー話だよな。
 これでも俺はこいつの二十年来の親友とか、信じられねぇ温度差だ。
 まあ、俺にしても、いまさらこいつにニコニコ微笑まれてもさみぃだけだし?
 気分的には、まったく嬉しくないのは同感だった。
 どうやら類のやつも今日はオフだったらしく、珍しいカジュアルスタイルでの登場。
 が…。
 「牧野、今日、すごい可愛いね」
 「え?そう」
 そういえば、心の中では何度も連呼していたというのに、類の言葉で牧野を褒めることをうっかり忘れていたことにハッと気がついた。
 「あまりに見違えてるんで、驚いた。似合ってる」 
 「そ、そ、そうかな。…ありがとう」
 ポッと頬なんか赤く染めてるんじゃねぇよっ!!
 「てめ、類!なんで、お前、こんなところにいるんだよっ!」
 しかも俺のセリフをとりやがって!(忘れてたが…)
 「え~、だってね?」
 ね?とか言いやがって、牧野に向かって類が目配せして、それに答えて牧野までが大きく頷く。
 「うん。今日、バイトが終わった後、類とご飯食べに行くことになってるの」
 「はっ!?」




*****




 「じゃ…じゃあ、ま、またね。道明寺」
 青筋を浮かべたまま黙り込んだ道明寺に、ヒラヒラと手を振る。
 睨んでくるその顔がめっちゃ怖い。
 だ、だってしょうがないでしょ?
 あんたが、先約を優先するのが当たり前だって言ったんじゃない。
 あたしの都合も考えず、我が儘言わないって言ってたばかりだし、それなのに、その今にも襲いかかってきそうな肉食獣みたいな雰囲気はなんなの?
 そもそもあんたのスケジュールが空いたのだって、急なことだったでしょッ!
 類もあたしと同じく松方教授に師事していたことがあって、互いのスケジュールを照らし合わせて、今日、資料を譲り受けることになっていた。
 そのお礼に、類の知人が新しく始めた自然食レストランでディナーをご馳走すればいいってことになったんだよね。
 かなりの人気店で予約が必要だったけど、わりとカジュアルなお店だから普段着でいいし、お値段もリーズナブルだからあたしでも払えるよってありがたい話で…。
 「でも、良かったよ。思いついて早めに来ておいて。牧野のバイトが終わるのを待ってるつもりだったけど、ずいぶん早く終わったんだね」
 「そ、そうだね」
 背後からの視線が殺気に変わった気がした。
 ひえぇぇぇぇぇ~!!





~Fin~




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