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「中・短編」
Middle story(2~5話完結)

鳶に油揚げ…中下編

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 「…でね、松方教授のお手伝いをすることが多いわけなの」
 「へぇ?いいように使われてるだけなんじゃねぇの?」
 「そんなことないわよ、凄く勉強させてもらってありがたいと思ってる」
 「そっか、よかったじゃん」
 にっこり笑って、道明寺が頷いてくれる。
 そんな顔が凄く優しくて、綺麗で…つい赤面してしまいそうになったのを、慌ててアイスティを啜って誤魔化した。
 テーブルに頬杖ついて、あたしの話を聞いてくれる道明寺。
 いつも喧嘩ばかりしてるみたいに、桜子や滋さんなんかは思ってるみたいだけど、さすがのあたしたちも『いつも』喧嘩ばかりしているってわけじゃなくって、こういう恋人同士のフツーの穏やかな時間が大半なんだよね。
 こいつは意外なほどに優しい。
 そりゃ、西門さんや美作さんみたいにおしゃべり、ってタイプじゃないけど、あたしの話をちゃんと聞いてくれて、ポツリポツリとでも、頷いたり返事を返してくれる。
 それを聞いて、またあたしが話し出すのを楽しそうに聞いてくれるから、あたしも気分良くついついたくさんお喋りしちゃうんだ。
 「…なんだよ、急に黙りこくって」
 つい物思いに耽ってしまって、怪訝に首を傾げられてしまう。
 …まさか、あんたの優しい顔が甘くって、照れてるなんて言えないよ。
 「ううん、一気に喋ったら、喉渇いちゃってさ」
 「ぷっ。機関銃みたいだもんな」
 「失礼ね!」
 「貶してねぇよ。お前の喋ってんの聞いてるの、俺、好きだし」
 「…………」 
 気分は、ひ~、勘弁してよ、だよね。
 しかも、こいつの場合からかってるわけじゃない。
 「照れるなって」
 「…照れてない」
 「ふっ……そろそろ、行くか」
 道明寺が席を立つ。
 「え?」
 「いつまでここで茶を飲んでるつもりだよ。もう彼此2時間近くここにいるじゃん。そろそろ場所変えようぜ?」
 「ええっ、もうそんなに時間たった?!」
 久しぶりにこいつに逢えたことが嬉しくて、楽しくてつい時間を忘れてしまったけれど、腕時計を確認してみると、なるほどもう2時間近くこのお店にいたことになる。
 「それとも、もう一個パンケーキ食いたい?」
 「いやいやいやいや…」
 いくらなんでも、そりゃ女子として終わってるでしょ!
 …まあ、一緒にいるのが滋さんとか女友達だったらもう一個くらい楽勝でいったかもしれないけど。
 滋さんと桜子が太鼓判を押しただけあって、ここのパンケーキは本当に絶品だった。
 それは置いておいて…。
 「あのさ、ごめん。言いそびれてたけど、あたし、この後バイト入ってるんだ」
 「…………」
 別に不機嫌になったわけじゃないけど、道明寺が片眉を上げたのに少しだけビクつく。
 せっかく会いに来てくれて、デートしようって言ってくれてるのに、またご機嫌損ねちゃうかな。
 仕方ないことだとは言え、できたらあたしも道明寺と喧嘩したりしたくなかった。
 「えっと、団子屋さんのバイトなんだけど…」
 「ふぅん?お前、いま、あそこには週一で土曜日しか行ってないんじゃなかったっけか」
 「まあ、そうなんだけど、…優紀に代打頼まれちゃってさ」
 ついおずおず言ってしまうあたしって、かなり弱気になった?
 昔だったら、平気でこいつに「だって、しょうがないでしょっ!」ってくらい言い切ったと思うのに、顔色を伺っちゃうなんてアレなんだけど。
 でも、やっぱり社会人になったせいか、今日の道明寺はなぜか余裕たっぷりで、しょうがねぇなと小さく苦笑するだけで怒らなかった。
 …社会人になったのは昨日今日じゃないし、ちょっと前も似たようなことで青筋立てて起こってたのに、今日はどうしたのよ、こいつ。
 「じゃ、とりあえず、バイト先まで送ってやるよ」
 「…そのぉ、いいの?」
 「まあ、しょうがねぇ、頼まれたんだろ?先約が優先なのは当たり前じゃねぇか」
 「う、うん」
 ほ、本当にこれが道明寺の言葉!?
 以前のこいつなら、
 『お前は彼氏とバイトどっちが大事なんだ!』
 『何が何でも、俺が最優先なのが当たり前だろ。お前は俺の女じゃねぇのかよっ!!』
 『俺よりも他を優先する?ふざけんなっ。先約だろうが、後約だろうが断っちまえッ!!』
 この反応が当たり前で、いつも喧嘩になっていた。
 あたしだって、道明寺を優先したい。
 だけど、たとえ彼氏が相手にしたって、何事も約束は約束。
 約束に優先順位を付けるとしたら、どちらを先にしたかで、それを安易に破ったりするなんておかしい。
 ところが、道明寺はそうじゃない。
 俺様が一番!
 俺が良ければすべてよし。
 まあ、社会人になって、多少そこも矯正はされていたけれど、あたしに関してのことには相変わらずの俺様方式だった。
 なのに、
 「お前の都合も考えず、我が儘言ったりしねぇよ」
 「道明寺…」
 「でもバイト先まで一緒にいたいから、文句言わずに送られろよ?」
 「うん!ありがとう」
 や、優しい~。
 差し出された手に手を乗せ、席を立つ。
 いや、こいつが優しいのはたしかにいつものことだけどさ。
 それにしたって、こういうこと…自分と過ごす時間を、どんな理由であれ、あたしが断ると烈火のごとく今までは怒っていたのに、なんて成長したんだ!
 これで些細な喧嘩を繰り返すようなことはなくなるのかもしれない。
 あたしだって、喧嘩なんかしたくないんだもん。
 自然、ニコニコ、嬉しくて笑みがこみ上げてくる。
 一緒に連れ立って、お店を出て道明寺の顔を見上げる。
 視線に気がついた道明寺がチラッとあたしに視線をくれて、
 「…なんだよ?」
 「ううん」
 「言えよ」
 「…あんた、大人になったよね」
 「バーカ、これくらいで何言ってんだよ。もうガキじゃねぇし、つまんねぇことで文句なんていうかよ」
 コツンと小さく額を指で小突かれることさえ、嬉しいとか。
 なんか、うふふ、あはは、のバカップルの世界みたい。
 でも繋がれた手を引き寄せて、腕に懐く。
 ちょっと驚いたみたいだけど、道明寺も嬉しそう。
 あたしだって、日々、成長してるんだ。
 …照れ屋なあたしだけど、たまには素直になれる時だってある。
 「そのかわり…」
 「うん?」
 「この埋め合わせはしろよ?」
 「…埋め合わせって」
 ニヤリと艶めいた色が滲んで、言葉の意味を悟る。
 道明寺が日本に帰ってきて、とっくにそんな関係になってて今更なのに、そんな風に匂わされたら赤面してしまう。
 「約束な」
 腰を引き寄せられて、頭のてっぺんにチュッとされる。
 もうっ!
 そんなことされたら、断ることなんてできないよ。
 「……しょうがないなぁ」
 二人で待っていてくれた道明寺家のリムジンに乗って、バイト先へ。
 ピッタリくっついて、時々軽いキスをして、あたしは甘い時間を堪能した。
 なんか、あたし、凄く恋してるって感じ?




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