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「中・短編」
Middle story(2~5話完結)

鳶に油揚げ…中上編

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 …なんだあいつ、すげぇ可愛い。
 遠目でもすぐにわかった牧野の後ろ姿。
 「…では、明日は8時に邸の方にお迎えにあがります」
 「ああ、頼む」
 返事をするのもそこそこに、車を降りたとたんうぜぇ視線が飛んできて、きゃあきゃあ女どもが騒ぎ出す。
 けど、俺の目に映るのはただ一人の女だけ。
 キャラキャラ笑って、無邪気な顔で笑ってんじゃねぇよッ。
 どんだけ無防備なんだ。
 俺がいねぇとホント、ムホホ地帯だよな、お前って女は。
 誰と笑ってんだよ。
 隣の奴?
 記憶の遥か奥底に引っかる顔。
 思い出した。
 和也か。
 なんだか、俺がNYに行く前より多少デカくなってるようで、パッと見わからなかったが、あののほほ~んとしたトボけたツラは忘れてねぇ。
 …と。
 なんだぁ?
 牧野となんか話してると思ったら、いきなり和也の奴が伸び上がり、牧野の手を両手を掴んで迫りやがった!?
 「やろうっ!!」
 猛然ダッシュ。
 半分仰け反ってはいるが、キョトンとした牧野の顔にはまったくの警戒心が浮かんでない。
 あの女…どこまで鈍感なんだよ。
 さらに気に食わねぇのが、他の女どもはかなりな距離からでも俺に気がついて、黄色い声あげて注目してるっつーのに、彼女のお前がこの俺様に気がつかねぇっていうのは、いったいどういうことなんだよっ!?
 和也もなんだかんだ、けっこう図太い野郎だからな。
 他の男どもだったら、俺の気配だけで気がついて、ちょっと凄んだだけで尻尾を巻くというのに、真後ろに立っても気づきもしねぇで、牧野にコナかけ続けてる。
 「近くの喫茶店で待ってるから、夜もどこかに飲みに行ったり…うぎゃっ」
 調子こいてる和也の頭を、ボールみたいに片手で掴んで無造作に放り投げた。
 情けねぇ悲鳴を上げた和也を見て、唖然と見上げてくるボケボケ女。
 「ど、道明寺ッ!?」
 やっと気がつきやがったか!




*****




 「…てめぇ和也、相変わらずいい度胸してんじゃねぇか。何度言ったらわかんだよ。俺の女の手を握ってんじゃんじゃねぇよ!」
 まるで猫の子をつまみ出すかのように、和也君を放り投げて、がなり立てている…いわゆるあたしの彼氏様。
 ポカ~ン。
 たぶん、あたしを横から見ている人がいたら、そんな感じだと思う。
 いきなり道明寺が現れたこともそうだけど、この展開っていったいなんなわけ?
 足元に転がっていた和也くんも、わけがわからないのか、尻餅をついたままキョトンとしている。
 「行くぞ」
 呆然としている間に、手を掴まれて、そのままズンズン、大学の外へと連れ出される。
 「つ、つくしちゃあぁぁぁんっ!」
 ハッ。
 いやいやいや、ぼうっとしている場合じゃないでしょっ!
 「ちょっと!あんたいきなりなにしてくれんのよっ!か、和也君、怪我しちゃったんじゃないのッ!?」
 振り返ろうとするけど、ほとんど速歩の状態の歩くスピードについて行くだけで精一杯で、とてもじゃないけど振り返る余裕がない。
 「うるせぇ、俺がいないととたんにキョトキョトしやがって」
 「キョトキョトって、またあんたはわけのわからないことを…とにかく!手を放しなさいよッ」
 「やだね」
 「はあ?やだね、じゃないでしょう」
 「別に平気だろ?頭掴んで投げただけだし、怪我なんてさせちゃあいねぇよ」
 …まあ、たしかに殴ったり蹴ったりしていたわけじゃないから、そりゃそうかもしれないけど。
 そうこうしているうちに、あっという間に、校門の外だ。
 「道明寺ィィィィ、覚えてろッ!!!」
 和也君の悔しそうな叫び声が、背後で聞こえた。
 …まあ、あの声の調子なら、特にひどい怪我とかしてなさそうだけどさ。
 ホントに、こいつはなんでいつもこうなんだろう。
 道明寺もそれほど機嫌を損ねていたわけではないらしい。
 チラッとあたしを見て、あたしが息を切らしてるのにやっと気が付いたみたいで、歩くペースを落としてくれた。
 こいつはあたしを引きずって歩きそうな性格をした男だけど、実際は怒ってる時でもなければそんなことがない。
 いつもあたしのチョコマカした歩幅に合わせて、ゆっくりと歩いてくれるんだよね。
 こんな時にこそ、それをあらためて気が付くっていうのも変な話だけど、こういうところがあるからこいつを嫌いになれない。
 どんなに理不尽なことをされても、横暴だって思ったって、道明寺が本当にあたしのことを好きでいて、大切にしてくれてるってわかってるから。
 「茶でも飲むか?」
 「え?あんた仕事は?」
 暇を見つけて会いに来てくれたんだとは思うけど、ゆっくりしてる暇なんてないんじゃないの?
 「相手の都合が悪くなって、予定変更」
 「へぇ?」
 そんなこともあるんだ。
 「だから、この後明日までずっとオフ。久しぶりにデートしよ?」
 ニッコリ笑ってくれる顔が凄く綺麗で優しくて、甘い視線があたしの頬を熱くする。
 …うわぁ、あたし、けっこう乙女してる?
 優紀の言うとおり、予定外でもオシャレしていて正解だったよ!
 「なんか前に、お前が入ってみたいって言ってた喫茶店があったよな?」
 「あ!」
 そうそう、パンケーキが美味しいってお店で、噂を聞いた滋さんと桜子が行って、あの口の肥えた二人でさえ唸らせた味!
 甘いものが嫌いな道明寺だけど、そこのコーヒーも美味しかったと聞いて、道明寺と行ければなあ、と思ってた。
 本当に、行けたらいいなぁ、なくらいの気持ちで、ちょっとした雑談の中で話しただけなのに、こいつったら憶えていてくれたんだ。 
 「…行く?」
 「行きたいッ」
 「じゃ、行くか」
 「うん!」




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