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「中・短編」
甘い毒(1話完結)

Poison~アロマ~

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 「ふぅん、結局、司のパートナーを、あそこにいるなんたらコーポレーションの令嬢に譲っちゃったわけだ」
 「譲ったっていうか、仕事上の付き合いなんだもん。しょうがないでしょ?それに…不慣れなあたしより、ああやって場に慣れた人と一緒の方が道明寺だって恥をかかなくって済むし…」
 自分でもやせ我慢だと思う。
 パーティが嫌いなのは本当だ。
 けれど、類とつくしが向けた視線の先、長身の司にエスコートされた女が、隣にたつ完璧な美貌の男をうっとりと眺め、誇らしげに満面の笑みを浮かべている。
 光沢のあるノーブルなタキシードが、男の日本人離れした抜群のスタイルを際立たせ、通り過ぎる綺羅な美女たちの目を釘付けにしていた。
 彼の周囲には望む望まざるに関わらず、いくらでも極上の女が集まる。
 それは彼女の隣で優美に微笑み、優しくエスコートしてくれている青年も同様だった。 人も羨む美貌と家柄、財産、地位、何一つとっても誰に過不足を取ることなく、どんな女も思いがまま。
 そんな司が選んだ女…それが彼女、牧野つくしだった。
 …わかってる、そうだよ、仕事なんだから。
 ちゃんとわかってるはずだし、自分がそう男を宥め送り出したはずなのに、気が付けば視線で彼と彼に腰を抱かれた女を目で追ってしまっている。
 今まで他の女に目移りされたことなどない。
 それどこかむしろ、いつもは通りすがりの男性にすら嫉妬しているのは司の方だというのに。
 そんな彼の顔を見れば、、時々愛想笑いに口の端を歪める程度で、どう見てもご機嫌麗しいはずもなく、それなのに、嫉妬するなどバカバカしいにも程がある。
 …でも、本当に似合ってる。
 気がつかれていないと思っていた。
 腰を抱いていた類が、ぷぷぷと吹き出して、怪訝に顔をあげる。
 幸せそうな一対の恋人たち。
 周囲の人間たちにはそう見えたかもしれない。
 つくしにはそんな気もなく、またそう見られてしまっていることさえまったく気がついていなかったけれど、類が悪戯っぽく微笑んで、彼女の耳元へと囁いた。
 「……お熱いね」
 「えっ!?」
 「さっきから、司を見ているあんたの目、まるであいつが焼け焦げそうに熱いんだけど?」
 カッと顔に熱が上がる。
 言い当てられた恥ずかしさに、つくしは両手で頬を包んで顔を隠す。
 ざわめき。
 何事かと顔を上げたつくしの視線の先―――周囲の人間たちを奮然と蹴散らし、視線のひと睨みで道を開けさせた司が歩み寄ってくる。
 瞬間…彼女の中で生まれた不思議な磁力。
 まるで周囲の人間たちが消え失せてしまったかのように、他の誰も目に映らない。
 「てめぇ!この浮気女ッ。ちょっと俺が目を離した隙に、なに類に色目使ってイチャコラこいてんだよっ」
 「はあ?」
 驚きのあまり面食らって、咄嗟に言葉が出ないつくしの二の腕を司が掴み、ざわつく周囲の人間たちを来た時とは逆方面へと突き飛ばす勢いでかき分け、会場の出口へと向かう。
 「ちょっと!あんたいきなり何言いがかりつけてんのよっ。つーか、あんたのパートナーはどうしたのよっ!?」
 「うるせぇっ」




****




 男が激しく腰を揺らし、彼女の中へと大きく深く突き入れ、自身を解放する。
 低く呻いて堕ちてくる逞しい背を抱きしめ、縋り付いた。
 恋しくて、愛しくて、…幸福な時間。
 長く綺麗な指先が生み出す底なしの快楽。
 我が物顔で彼女の中から熱い欲望を引き出し、一匹の雌へと変える唇の淫らな誘惑。
 まるで依存性の毒のように、彼女の心と体を蝕む。
 …誰も見ないで。あたしだけのもの。
 触れているところから、溶けて一つになってしまえればいいのに。
 この熱と抱擁を知る以前には、ただただ自分の変化が怖くて恥ずかしいばかりだったはずなのに。
 それが過ちだと、気がついた時にはもう手遅れだったのに違いなかった。
 それなのに、口を開けば、素直になれなくて、可愛い女でいることができなくって。
 「あっ……やっ」
 絡む足と素肌を滑る指先、首筋を滑る唇の熱さが、鎮まりかけていた彼女の欲望を再び沸き立たせようと蠢く気配に声をあげる。
 「……も、もう無理だよ!」
 押し止めようと伸ばした指先さえも捉えられて、口づけられば、それだけでももう息が荒いで…。
 「嫉妬してたんだろ?」
 「し、嫉妬なんてしてないもん」
 「そうかぁ?スゲェ顔して、俺のこと睨んでたぞ?」
 「ぐっ……あ」
 抗う間もなく体をひっくり返され、今度は獣の姿勢で挑まれる。
 もう何度頂点へと押し上げられたのか、体力の限界に悲鳴をあげ、あっという間に再び訪れた頂点に、倒れ伏すように白いシーツへと崩れ落ちた。
 背筋を辿って、髪を撫でる手の優しさ。
 キスを落とされ、後ろ抱きに抱きしめられる。
 体は重いのに、不思議に心が軽かった。
 「どうだ、俺の愛情感じただろ?」
 「……やりすぎだっつーの」
 「よく言うぜ。チュッ」
 嬉しそうに笑う彼の無邪気な顔に、ふふふと自然に笑みが溢れた。
 首に回した腕に力を込めて、くすぐったさに体をよじる彼女に懐いてくる。
 さっきまで彼女を男の色香で惑わし、思うままに翻弄していた男が、一瞬で少年に変った。
 彼女だけに見せてくれるたくさんの顔。
 「あ!マズイっ」
 キスをしようと顔を寄せてくる男の顎下を撥ね退け、腹に肘を入れて慌てて飛び起きた。 
 「ぐえ~」
 「あ、ごめんっ」
 おざなりに謝って、ベッドを抜け出す。
 「類、置いてきたままじゃん!」
 「…そんなん適当に帰っただろ?」
 慌ててベッドの下に落ちたドレスを身に付ける。
 ガクガクする腰に一人赤面して、それでも司を怒鳴りつけた。
 「バカッ!わざわざ今日のために、東京に帰るの一日伸ばしてNYに留まってくれたんだからね!わ、シャワー浴びてる暇ない。あんたも早く戻りなさいよっ」
 「おいっ!」
 呼び止める声も無視して、猛然ダッシュでドアへと駆けてゆく。
 それでも一応振り返り、
 「じゃ、あたし先行くから!!」
 「…ちぇっ、また類のやつに見惚れてんじゃねぇぞ!」
 ドアを閉める間際、怒鳴りつける男の声にクスリと笑った。




****




 つくしが部屋を出たとたん、さっきまで明るかった部屋が急に火が消えたように寂しくなった。
 耳を澄ませても、元気な足音も明るい声ももう聞こえず、司はボスンとベッドに転がりフテくされる。
 …つまんねぇ。
 クソ面白くもないパーティ。
 つくしをパートナーに伴えるならまだしも、香水臭い媚び媚び笑いの女を片手にぶら下げなければならない苦々しさ。
 フケることを思い決め、布団を被り司は目を瞑って不貞寝を決め込んだ。
 …が。
 「ちょっと、待て」
 ガバリと起き上がる。
 やっぱり類と二人っきりになんかしておけない。
 さっき見た光景が脳裏に浮かび上がる。
 まるでお似合いのカップル然といちゃついていたやがった二人。
 「おいこらああ!てめぇら、許さねぇぞぉぉぉぉっ」




****




 「…やりすぎだっつーの」
 さっき司に抗議したセリフを、もう一度呟いて、誰も見ていないというに一人照れて、頬を熱くする。
 一歩足を踏み出すたびに、ギシギシと体が軋んで、人に言いたくもない体の奥底が甘く痛んで重怠い。
 …まったくもう。
 気を抜けばつい顔が緩んで思い出し笑いをしてしまう。
 …どうしてあいつったら、あんなにスケベなの?
 そう思うのに、それが嬉しいなんて、もしかして自分もけっこうスケベなのかもとか思って、一人身悶える不審な行動をしてしまった。
 …やっぱ、カッコイイよね。
 人々の中で颯爽と立つ彼は、誰よりも魅力的で息を呑んで見惚れてしまうほど。
 それなのに彼女を見て輝いた笑顔が、彼の気持ちを容易に教えてくれて、あっという間に彼女の気後れ払ってくれた。
 …好き。
 …愛してる。
 まるでビームのように、彼の目のから溢れる気持ちに心が満たされる。
 熱い抱擁が彼女に自信を与えてくれた。
 「…あれ?戻ってきたんだ。牧野」
 「えっ!?」
 「どうしたの?なんだか、すごいニマニマしてるけど?」
 「……………」





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