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「中・短編」
犬も食わない…30話完

犬も食わない18

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 「あ、わりぃ」
 謝られたらよけいにどうしていいかわからない。
 もうあたしの頭は沸騰通り越して、もう全部白髪になっちゃってるんじゃないかと思える程の衝撃度。
 「…ちょっと前に、親しい女友達に似たような相談されたからさ」
 「…………」
 もう何も言えずに、片手を顔に当てて、まるで高熱を出したように火照った顔を隠して俯いてることしかできない。
 まさか、男の子にそんなことを言い当てられちゃうなんて。
 「…別にさ、Hってそんなに重要なことじゃないよ」
 「え?」
 気を使ってくれてるからだろう。
 同じ方向を歩いて喋ってるんだけど、あえてあたしを見ずに真っ直ぐ進行方向を見たまま松木君が話し出す。
 「まあそりゃあさ、好きな女の子とHしたくない、とかいうのはすげぇ痩せ我慢だとは思うけど」
 「………」
 「少なくても、本当にその子が好きだったら、待てるもんだし、無理強いなんてできない。…嫌われたくないからさ、我慢できるよ」
 …道明寺も言ってくれた言葉。
 「逆に、牧野がその気になって、迫ってもいいんじゃない?」
 「っ!」
 「いや、カラかってるんじゃないから。大真面目な話」
 「…松木君」
 「俺だったら嬉しいよ。人間てさ、結局どんなに好き合ってても、互いの気持ちなんて見えないもんだから、口に出して言わないと伝わらないってことあるんじゃないかな?ボディトークってよく言うけど、素肌と素肌が触れ合って感じあえる愛情っていうのもきっとあると思うんだよね」
 「………」
 …口に出して言わないと伝わらない。
 いつも道明寺は思ったことを口に出してくれる。
 それに比べて、あたしはどうだろう。
 恥ずかしいとか、悔しいとか、…どう思われてるだろうとか、そんなことばかりで言いたいことの半分も言えないことも多くて、くだらない意地ばかりはって口喧嘩になってしまう。
 「でも、意外な牧野の悩み」
 「…悩んでないよ」
 「そうか?」 
 「そうだって」
 そんなんで悩んでるなんて、恥ずかしすぎるでしょ…図星だけど。
 「でも、牧野、彼氏のこと本当に好きなんだな」
「えっ、そんなこと…」
 からかうように言われて、焦って反論しかける。
でも、いつまでもそんなんじゃ、きっとダメなんだ。
あたしは大きく頷き直す。
 「ううん、やっぱり好き。凄い大好きなの!」
 「うへ、声デカッ」
 「はは、ごめんごめん」
 つい気張って怒鳴っちゃって、松木君が片耳に指先を突っ込んでうるさそうに片目を瞑った。
 「…とと、エミからだ」
 「なんだって?」
 「エミも、友達ともうすぐ別れるから、迎えに来てって」
 「ええ?本当?…じゃ、あたしはここまででいいよ」
 駅は目と鼻の先、もう階段が見えている。
 「いや、でもさ。酔っ払いも多いから改札まで送るよ」
 「いいって、今行くって連絡して?」
 だいたいこの時間帯なら、いつもバイト帰りに一人で行き来してるんだもん。
 あーだこーだ言いながら、メッセージを入れている松木君を横目に、なんとはなしに周囲を見回す。
 土曜日だから、かえって平日よりこの時間帯はまだ人通りも多いよね。
 …と。
 「…………」
 ど、どうして気がつかなかったんだろう。
 周囲から悪目立ちしている一点に、視線が釘付けになってしまった。
 「じゃ、俺、ここから引き返すね」
 「えっ!?」
 「だから…」
 「ああっ!!そうね、そうだったね!!うんうん、またねっ!」 
 人集に気がつかないうちにと、無理矢理に松木君の背中を押し、方向転換をさせる。
 「ま、牧野??」
 松木君の面食らったような様子には、この際お構いなしだ。
 この場合、松木君もだけど、遠巻きにされた人集の中心人物が行動を移す前に…が正解だよね。
 …あたしに気が付いてない、とか?
 たとえ真っ直ぐに、こちらを向いていて、これだけの距離があっても刺すような視線を感じているにしても、そう信じたい、あたし。
 「あれ?あの黒集り…」
 「じゃあね!松木君、また来週ッ!!ほらほら、グズグズしてるとエミちゃんを待たせちゃうよッ!!?」




*****




 べ、別に何も悪いことしてるわけじゃないし…。
 なんとはなしに、疚しいのは突き刺さるようなこわ~い視線のせい。
 でも、それさえも気のせいかもしれなくって、単純にやっぱり疚しいのかも。
 グズグズしてるとこちらに来られてしまう。
 松木君とは別れたのでそれはそれで困ることはないけど、なんとはなしに、あいつの方からアタック?を受けるよりは、自分から出頭した方がいい気がして、衆人環視の人集りをかき分けるようにして、気持ちソロリソロリと近づけば、やっぱりあたしに気がついていた、道明寺がクイッと顎を横へしゃくった。
 …リムジンあったのか。
 そりゃそうか。
 こいつが足もなしに現れるはずもない。
 どんなに人の頭の間でもこいつの姿は見えるのに、これだけデカイ車体に気がつかないのも面白いもんだと思う。
 でも、不思議なことに、こいつのことだけはどんなに人ごみの中でも見つけられる自信がある。
 そりゃ普通の男じゃない。
 どこにいても人波に埋もれたりしない目立つ男だけど、それだけが理由なんじゃない。
 黒集りをかき分けるのにあたしはかなり苦労したのに、道明寺が寄りかかっていた壁から起き上がり、視線を一巡させただけで、人垣が崩れ、道が現れた。
 …モーゼの十戒かっつーの。
 もっとも、視線で道を開けない猛者は、実力行使に痛い目を見るハメに落ちる運命が待ち構えているだけだけど。
 「……乗れよ」
 「あ、うん」
 車のドアを開けてもらって、言われるままにあたしはリムジンに乗り込んだ。





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