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「中・短編」
犬も食わない…30話完

犬も食わない12 

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 受け取ってねぇよ。
 そんな言葉を期待していたんだって、こいつの言葉で気がついた。
 「…しょうがねぇだろ、あきらたちがとってねぇ講義のノートのコピーもらっただけだし」
 「は?受け取ったの?」
 「だから、ノート」
 ノートにしてはやけに馬鹿でかかったけど。
 あたしの心の声が届いたのか、こいつにしては少し疚しそうに、あたしから視線を反らせてボソボソと説明しだす。
 疚しい…というのももちろんあたしの被害妄想かもしれない。
 あたしだって、借りられる友達がいて、学校を休むことがあれば、友達からノートを借りたりすることだってきっとある。
 …まあ、英徳でそれは望むべくもないけど。せめて和也くんと同じクラスだったらね。
 それはともかく。
 「てわけで、あとは参考資料とか、ついでにな。なんか、弁当とかもよこそうとしやがったけど、そっちは受け取ってないから」
 …やっぱり、お弁当もあったのか。
 欲しいものだけもらって、あとは受け取らないあたりやっぱり普通人の常識とか感覚とかとは無縁な奴だけど、あたし的にそれを咎める気にはどうしてもなれなくって口を噤む。
 「…もしかして、今までもあったの?そのノート借りたり、とか」
 「借りたりはしねぇよ。一々返したりかったりぃ。コピーとかは、まあ別に俺から頼んだわけじゃねぇけど、以前にどうしても仕事抜けられなくって、けっこうヤバ目の講義をスキップした時に、同じ講義とってる奴が寄越してきたから受け取ってよ、それからか。類やあきらとは珍しく違う講義だったし、そもそも総二郎とは学部自体全然違うしな」
 「そう」
 それがたまたま?それとも必然的にか、女の子だったというわけだ。
 もしかしたら、その中には男の子も混じっていたかもしれないけど、普段、物を受け取らない、愛想をしない道明寺とお近づきになれるかもしれないチャンスだもん。
 そりゃ、山と列をなしたことでしょうね、と皮肉に思う。

 「家庭教師もついてるわけだし、どうしてもなきゃならねぇってもんじゃねぇ。お前が嫌なら、もう受け取らねぇよ」
 「…いいよ」
 「今までどおり、女どもと口もきかねぇし?」
 …やっぱり、女の子か。
 それはともかく。
 「いいって、そんなことしてくれなくっても。あんたもやっと世間並?の人付き合いってものを学び出したってことでしょ。いいことじゃない」
 「ムクれんなよ」
 くしゃくしゃっと頭を掻き回されて、
 「やめてよっ!」
 叩き落として、一歩離れる。
 …別にムクれてるつもりなんかない。
 「お前のヤキモチも珍しいな」
 「…ヤキモチなんて焼いてないからッ!!」
 「とか言ってるうちに、そろそろやべぇな。お前、うちまで送ってくから、乗れよ」
 なんだかんだと、車の前で立ち話してしまっていた。
 横に立って待っていた運転手の永井さんが、あたしと目が合って、生ぬるい微笑みをくれる。
 …は、恥ずかしい。
 人の前でくだらない痴話喧嘩。
 当人たちにとってはそれなりに真剣なことでも、人からしてみればいかにもバカップルの戯言なんだろうな。
 「…いいよ、忙しいんでしょ?」
 「いいから、乗れ。それくらいの時間あるし」
 強引に背を押され、どうせ言いだしたら聞かないんだからと、押し問答してるよりはさっさとこいつの命令に従ったほうが、結局は時間のロスにもならないかと諦める。
 「いつの間にか話変えられちまったけど、バイト」
 「は?」
 すっかりあたしの脳裏からは消えていたけど、コイツの中ではしっかりと刻み込まれていたらしい。
 「男がいるバイトなんて、絶対に許さねぇからな。さっさとやめろよ」
 はぁ~~~…………。




*****




 空を見上げては溜息。
 乙女なキャラってわけではないけど、なんとはなしにここのところ、妙に我ながら乙女チックというかセンチメンタルな気分に陥ってしまっている気がする。
 「………はぁ」
 「この寒いのに物好きにも、こんな寒い場所でため息とか…。後ろ姿がよけいに寒々しいよ?」
 「って、自分だって物好きでしょ」
 しかも、大学生になってまで高等部の非常階段に現れるって、いったいっどういう人よ。
 「花沢類、どうしたの、その大荷物」
 「ん?この間お弁当ご馳走になったお礼」
 ズシンと手渡されたのは、どうやら重箱らしく、5段重ねでいったい誰が食べるんだってくらいの重量と大きさだ。
 「わお。メールしてくれれば良かったのに」
 そうしたら、お弁当作ってこなかったのに。
 「俺も食べるし」
 「ん~、二人でも食べきれるかな。桜子とか和也君とか呼んでもいい?」
 「……………お好きに」
 けっこう間が空いてた気もするけど、もともと道明寺にしてもこの人にしても、人に慣れにくい猫みたいなもので、どちらにせよ一々気にしていたら誰も呼べないから無視することにする。
 …まあ、桜子にしても和也くんにしても、知らない仲じゃないし。
 そもそも気が向かなければ、一緒に食事してても口も効かないんだから、ノープロブレム。
 「で?」
 「で???」
 すっかり頭はお昼休みのランチへと。
 花沢家のお重ならさぞや豪華なんだろうな、とか、美味しそうだなとか、まだ蓋も開けていないというのにあれやこれやを思い出してウキウキだ。
 「…なんかお弁当で、すっかり気持ちは晴れちゃったみたいだけど」
 「え?」 
 ははは、そういえば、さっきまでセンチメンタルがどうのと自問自答していたな、あたし。
 「溜息なんてどうしちゃったの?…司に浮気でもされちゃった?」





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