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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第三章 忘れえぬ人①

夢で逢えたら086

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 駆け足で訪日を果たし、折り返すようにアメリカへと帰国した司は、その予定外の寄り道を取り戻すために、常日頃以上の激務に邁進せざる得なかった。
 一日休めば3日、3日休めば1週間はその影響を被る。
 昨夜夜半に帰宅した司は、一日の疲れを溜息一つで誤魔化し、今一つ目覚めきらぬ疲労に怠い体をベッドから起こした。
 もう半月近く、あの女と顔を合わせていない。
 花沢物産主催のパーティ会場で顔を見かけただけで、会話をしたこととなるともうすでに3週間近くになる。
 もとより、司が会おうとしなければ、この広大な道明寺邸の中。
 いつまでも顔を合わさずともすむ環境なだけあって、何のためにこの邸に無理やりに引っ張り込んできたのかわからなかった。 
 何のために…自分の思考に苦笑する。
 何のためも何も、一人息子の要のために連れてきた医者だった。
 だが、本当に最初から要のためだけだったのか。
 司は、疲れを振り切るように頭を一振りすると、熱いシャワーを浴びるためにベッドを出る。
 今日は夕方までの予定を順調にこなせば、後の時間と明日一日は久しぶりのオフだ。
 ここのところ彼の頭を占めていることを実行するために、まずはその相手を確保しなければ話にならない。
 秘書の山之内が邸へと迎えに来るまでに、まだ多少の時間がある。
 バスローブを羽織り、洗面所の鏡を見つめコロンを手首の裏や腰につけながら、今日一日の自分のスケジュールと女医の予定を脳裏で確認した。
 

 とりあえず司は出社の前に、ここのところ女医同様ご無沙汰していた一人息子の顔を見ることを優先した。
 ここのところ母親の恭子がべったりと張り付いていたため、意図せずして遠のきがちになっていた息子だったが、いったん気持ちを傾けてみれば司とて可愛くないわけではない。
 母親に甘やかされたせいか、久しぶりに顔を合わせた息子は、どこか司に対してよそよそしい気がした。
 「…どうした?」
 「え?何が?」
 「なんか、変じゃねぇ?体の具合でも悪いんか?」
 含みなく言ったのに目元を揺らした要は、そのまま俯き唇を噛みしめた。
 「要?」
 「うん、体の調子は悪くないよ。朝倉のおじい様のお宅でも全然大丈夫だったし…お父さんは、ここのところ忙しいの?」
 「ああ、まあ、俺が忙しいのはいつもだけどな。けど、最近は約束してたのに、どこにも連れていってやれなくて、悪かったな」
 要を気遣う台詞に、少年も固くなりがちだった表情を綻ばせて、大好きな父親に小さく微笑む。
 「ううん、仕事だもん、しょうがないよ」
 「ま、明日は一日オフだから。また、お前の主治医でも誘って、どっか行こうぜ?」
 「…キャサリン?」
 「ああ。前にデカイ水族館に連れてってやるって、確か言ってたよな。日帰りじゃあちょっとキツイかもしんねぇが、あの医者に相談して…」
 「それって、お母さんとじゃダメ?」
 「あ?」
 眉根を寄せた司の顔には、わずかな不快感が浮かび始めている。
 チラチラと司を伺う要もそれには気が付いていたが、ここのところの父親との良好な関係と、自分の幼い頃からの望みに後押しされて言わずにはいれない。
 「俺、キャサリンとじゃ嫌だ。お父さんと俺と…お母さんの三人で出かけたい」
 「やめろ。お前と母親が出かけるのは、規制しない、今は。だが、俺は真っ平御免だ」
 「で、でも…」
 言いつのろうとする要をその視線で押しとどめて、司はキッパリと言い切る。
 「お前の母親は俺には真っ赤な他人だ。昔は確かに夫婦だったこともあったが、昔も今も、俺にとっては何の意味もないことだ。お前も憶えておけ」
 少年の密かなる願いさえも切り捨てるような父親の冷酷な物言いに、要は息をのみ、虚ろな眼差しを向けた。
 そんな幼気な我が子の哀しみを抑えた様子に、さしもの司も良心の呵責に耐えかねて、冷たく突っぱねた声音を緩めて、少年に阿るように、その頭に片手を添える。
 「お前が母親と出かけたりするのは、咎めたりしねぇよ。俺も思うところはいろいろあるが、よくよく考えりゃ、確かにお前にとっては母親には違いねぇんだもんな。なんだったら、前にお前、誘われてたろ?母親の再婚相手に。しばらくだったら、ドイツにも遊びに行ってもいいぞ」
 「…っ!」
 「ま、それもお前の主治医の許可がとれれば…」 
 「…俺が邪魔なの?」
 そろそろ時間かと、自分の腕時計を確認していた司は、少年の絞り出すような苦鳴のような声を聞きのがした。
 「あ?」
 「キャサリンがいるから、お母さんとは一緒にでかけたりできないの?」
 「何言ってんだ、お前?」
 司の纏い出した冷たい空気に怯えながらも、口に出してしまったものは元には戻せない。
 「誰だ?お前にいらねぇ、入れ知恵してやがんのは。恭子か?」
 「…お母さんは関係ないよ。お父さん、キャサリンが好きなの?あの女…前に、お父さんの婚約者だったあの女の時みたいに、キャサリンと結婚するの?」
 要の初めてみる反抗的な顔に戸惑いつつ、その眼の奥底にある不安を司は読み取れない。
 だが、少年の口に出された言葉が、いままで思いもしないことでありながらも、心の底のどこかを見透かされたようで、司はとっさに二の句がつけなかった。
 「今は時間がねぇ。お前とは一度、腹を割っていろいろと話さなきゃならねぇことがあるみたいだな。」
 「俺にはないよ」
 「要」
 「もういいよ、俺、明日は出かけたくない。明日はお母さんと、ブロードウェイにオペラを観に行くことになってるから」
 「そうか。じゃあ、水族館はまたにいしよう。…はしゃぎ過ぎて、あんま無理すんなよ」
 自分によく似たクルクルの頭を、クシャクシャッと撫でて、司は踵を返えす。
 すぐに背中を向けてしまったから、少年の泣き出しそうな切ない表情には気が付くことができなかった。


 少年の部屋を出ると、ちょうどメイドの一人を従え、雑談しながら歩いてくる恭子と出くわした。
 数日、夫の待つドイツに帰国した恭子だったが、婚家とはどう話がついているのか、すぐに戻ってきた。
 そして、まるで親子の離れていた間のブランクを感じさせない親密さで、わが子の傍らに張り付いていた。
 特に顔を合わせたとて、恭子に話などなかったが、先ほどの要の様子に一言いわずにはおれない。
 「…おい」
 元夫の忌々しげな表情に黙礼をして、通り過ぎようとした恭子は怪訝に視線を向けた。
 「ごきげんよう。いつにもまして、あまり麗しくはなさそうね、あなたのご機嫌は」
 「…年中、別れた女房の顔を自分の邸で見かけちゃあな。お前、どういうつもりだ?」
 「何がかしら?」
 「いつまでこんな生活を続けるつもりかは知らねぇが、要によけいなことを吹き込んでんじゃねぇだろうな?」
 「余計なことってなに?いつまで…と言われても、あなたと私の契約は、要に対する面会権と、この邸への自由な出入りのはずでしょ?それに対して、あなたにとやかく言われる謂れはないと思うけれど?」
 司の冷たい視線にも、恭子は捉えどころのない笑みで、サラリといなす。
 「要の親権を自らお前が放棄した時から、あいつの養育監護権は俺にあることを忘れんな。いつでも、お前の影さえ要の前から排除することだって俺にはできんだ」
 「…あなたが、あの子の養育監護権になんて興味があるなんてね」
 小さく笑った恭子の声には、自嘲とも嘲笑ともつかぬものがある。
 「でも、本当に、あなたにとってあの子は必要かしら?」
 「…なに?」
 「あの子がもし、私とあなたとの復縁を望んでいるとしたらどうするつもり?」
 恭子の何の感情も含まないガラス玉のような無機質な視線が、司に真っ直ぐに注がれた。

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~ Comment ~

わぁぁぁぁ(>_<)
この後が気になって今夜眠れないです!←多分睡魔に負けます。
司頑張って!!
つくしちゃんもそろそろ司に真実を教えてー!
本日も2回更新ありがとうございました。
明日もこんな幸せが味わえるなんて幸せ過ぎます。

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くろうさ様^^

楽しんでいただけたようで、嬉しいです^^
司君も吹っ切れてしまえば、あとは全身するのみの猪突猛進の人なので、あとは行け行けGO!GO!
野生のカンも戻って、つくしちゃんに教えられずとも真実へと近づくでしょう。

そろそろ三章も折り返し、司君はもう目覚めはじめてますが、今度は4章にかけて、つくしちゃんの葛藤へと突入してゆきます。
また、明日もよろしくです♪

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tomo様^^

要君の中でも混乱と戸惑い、苦悩が渦巻いていると思います。
親の都合で家族は離散し、親の思惑で振り回されいる><
この章一番のかわいそうな人ですね、要君。(←自分で書いてますが)
そして、つくしちゃんもまた、自分の意志ではないとはいえ、結果的に要君の父親を奪ってしまっている
(真面目に恋愛しているならまだしも)立場上、つらいところです。
でも、やがては要君も、幼いなりにつくしちゃんやパパの苦悩を理解し、また、自分勝手ではあっても自分を愛する母親の愛に、グレずに自分なりの幸福を見つけてくれると思います。ええ、少なくても司君みたいに赤札貼ったりしないですよw

るるるん様^^

いつも応援ありがとうございます^^
とても、嬉しいです。
身に余るお言葉も、面はゆいけど、とっても書く意欲の力になります。
はは、拍手1番手か。
たまに時間がズレちゃったりして申し訳ない限りです^^;
一番ゲットのおりには、ぜひ、お知らせくださいませ。なんちゃってw
これからも、つたないながら一生懸命書いてゆきたいと思いますので、よろしくです♪

のなか様^^

はは、ガンバですよ、のなかさん!なんちゃって。

スマホだと確かに、なぜか拍手ボタンやランキングボタンが見えないときがありますよね。
なんでだろ^^;
とても熱烈な応援の言葉嬉しいです。
これからも拙いながらですが、一生懸命書いてゆきたいと思っていますので、よろしくです♪

翔様^^その2

次回は、恭子さんの思惑がチラリ?と透けて見えてきます(いえ、ある方のコメントに
そのままズバリとネタバレっちゃってますが)。
要君も混迷の中にいますが、やがては彼も賢い子ですので、いろいろと吹っ切ってくれると思います
(てか、本当はパパとママがなんとかしてやれよ、みたいな^^;)。

明日も2話更新頑張りますので、よろしくです♪

マルチーズ様^^

ふふふ、鋭いですねぇ。
マルチーズさんのご推察、ピンポーン。
しかも、いままでいた後継者がTT
さらに恭子さん自身にも事情があります。
まあ、そんなわけで?恭子さんは婚家のバックアップを受けて、
要君を諦めるわけにはいかないんですねぇ(ネタバレしすぎ?)・
最終的には、恭子さんも土星のネックレスの行方を話すことになるのですが(たぶん)、その頃にはおそらく司君にとってはどうでもよくなっていることだと思われ。彼は確実な物証よりも野生のカンの人。
天性の臭覚でつくしちゃんの正体に気が付きます。もう、ヒントは各所に
ちりばめられてますしね^^
日本語が不自由といえば、私も素で誤字脱字が多くて^^;
司君に間違わせなくても、普通に間違ってたりTT
司君の方は、ほら、もう30代も半ばだし、若い頃よりは日本語に堪能になってないかなあ、なんて?

いつもマルチーズさんや皆さんの応援が、私のエネルギーの源です^^
これからもよろしくです♪
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