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「中・短編」
Middle story(2~5話完結)

Stole my heart 中編①

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 「…まったく、だから飲みすぎんなって言っておいただろうよ」
 かなりへべれけ、足元も覚束無い牧野を抱き抱えて、部屋に戻った頃にはすっかり出来上がった牧野が半分眠りこけていた。
 そのままベッドにブチ込むか迷って、かなりあちらこちら締め付けたドレス姿で寝させるのもなにかと、ソファに一度座らせる。
 「へへへへ」
 ふにゃりと笑った顔が、呑助のそれで、呆れ半分、後半分はそこまで酔っ払うのも珍しい牧野の様子に苦笑していた。
 乱れて落ちてしまっている髪が目元に掛かっているのを避けて頭を撫でてやって、ソファから立ち上がってミニバーへと向かう。
 …これじゃあ、今日の心づもりはパアだな。
 こんな時間に牧野と一緒にいれるなんて、すげぇレア。
 パーティのあとは明後日の牧野の誕生日を入れて3日間のオフ。
 久しぶりにゆっくりと牧野を味わうつもりだったのに、俺が取引先の人間に捕まってちょっと目を離した隙に、かなり酒が入っていた。
 さすがにパーティ会場では普通だったが、帰りの車の揺れもあって屋敷についた時にはこんな状態。
 トロンとした目が、俺の劣情を誘ってやたらと喉が渇く。
 明日だって、明後日だっていくらだって時間はあるんだからと自分に言い聞かせても、待ち望んだ機会だけに抑えが効きそうにもない。
 グラスに注いだミネラルウォーターを口に含み、ぼんやりと俺を仰ぎ見ている牧野の唇へと水を口移しで与えてやる。
 「……ん」
 コクリコクリと喉を鳴らす合間に、洩れる甘いアルコールの匂いと牧野の甘え声。
 やべ…酔っ払い相手に、とも思うけど、髪を撫でて背中に滑らせた手が気がついたらドレスのファスナーを引き下ろしていた。
 「胸元まで真っ赤じゃん」 
 「…道明寺、あたしに言うことあるでしょ」
 唇をドレスの胸元に潜り込ませて、白い素肌に赤い花を咲かせようと吸い上げた頭上で、ふふふと含み笑いながら言う牧野の言葉に、目を瞬かせた。
 「類に聞いちゃった」
 「……あ?」 
 「年明け早々、副社長に昇格するんでしょ?…今回のプロジェクトの成功が評価されて、今の副社長の勇退の後釜だっけ?」
 …類の野郎。
 いずれ俺から牧野に話そうと思ってたのに。
 とはいえ、内々にそういった話は持ち上がってはいたけど、まだ俺が若すぎるという意見もかなりあって、本決まりではなかったからまだ牧野に話すのは時期尚早と黙っていた話だった。
 …流れたらカッコわりぃだろ?
 それをペロっと話しやがって。
 とはいえ、ほんのり微笑んだ牧野の顔がどこか寂しそうで、俺は首を傾げた。
 「…なんか、あんま嬉しそうじゃねぇよな?」
 「そんなことないよ。おめでとう、やっぱりあんたは凄い男だよ。あたしもすごく鼻が高い」
 「じゃあ、それらしく祝ってくれよ」
 「え~」
 ケタケタ笑って、酔っているとは言え相変わらず色気のないやつ。
 ……と。
 前言撤回。
 スルリと首に細い両腕が巻きついて、グイッと引き寄せられた唇に淡く…甘い牧野の唇の感触。
 触れるだけのキスを一度…二度。
 何度肌を合わせても、変わらず恥ずかしがり屋でいつまでたってもウブなこいつは、自分からキスをしてくれるなんてことは本当に珍して滅多にない。
 思わず固まっちまって、間近で合わせた視線にカッと顔に血が上った。
 たぶん、俺…今思いっきり茹で蛸だよな。
 互いの吐息さえも触れ合える距離で見つめ合って、鼻先に小さな牧野の鼻が触れている。
 「おめでとう、道明寺」
 囁くような小さな声の甘さと潤んだ目の誘惑に、頭にモヤがかかる。
 「んっ!!」
 もう我慢なんてできるかよっ!
 離れようとした牧野の頭を掴んで、唇を貪る。
 あとは、こいつの熱い肌と、しっとりと湿って俺を包んでくれる感触と―――甘く蕩けるような啼き声に酔わされ、惑わされて……。





 喉の渇きを覚えて、目が覚めて、視線を向けた先の置時計が示していたのはまだ、夜中の0時。
 …帰ったの20時前だったからな。
 日本に帰ってからも分刻みのスケジュールで、休日返上も当たり前な生活送ってたけど、こうしてある程度余裕のある時間に帰れれば、普段ももっと牧野と過ごす時間が取れるんだろうな。
 …仕事帰りに夕飯くらい一緒できるか。
 牧野が文句を言わないことをいいことに、気が付けば、こいつにも可哀想なことをしてきたとあらためて思い至る。
 俺にしてみれば一刻も早く一人前になって、周囲にも自分のことを認めさせたい。
 牧野と一緒になっても、誰にも文句を言わせないだけの実力と立場を手に入れたいと頑張ってきたつもりだったけど、余裕がなさすぎて、いつも待たされてばかり、あるいはほったらかしにされてばかりのこいつに対して思いやりがなさすぎた数年間だったと今更ながらに身につまされた。
 …ごめんな。
 疲れて眠る牧野の横顔に謝って、頬をそっと撫でる。
 いつも上手く愛してやれていない気がする。
 時々…本当に時々だけど、俺じゃなく…類や、あるいはまったく別の、本来牧野が望んでいたような平凡な幸せってやつを与えてやれる男のほうが、こいつを幸せにしてやれたんじゃないかとかいう、俺にしてはネガティブな思考に囚われることがある。
 大抵は、バカくせぇとすぐに鼻で笑って脳裏から消し去るんだが。
 ふと目に止まった枕元のスマホをなにげなく手にとり触れると、西田からのメールが入っていた。
 オフ中は仕事の連絡は入れるなとは言っておいたが、さすがに完全には無理だ。
 それに俺の第一秘書の神崎からじゃなくって、NY時代の教育係でありお袋の直属として今も辣腕を振るう西田から…っていうところが気になる。
 もちろん、西田から連絡がくるくらいだ。
 たわいないことのはずもなく、だが一度見てしまったら折り返さずにはいられないだろう自分を分かっていて躊躇する。
 …NYは今頃、昼前か。
 腕の中の牧野の顔を眺めながら、そっと上半身を起こした。
 気を使ったつもりだったけど、その動作で牧野も目が覚めたようで眠そうにんーんー言いながら顔を歪めている。
 チッ。
 いつもは起こそうと思っても一度寝入ったらそうそう起きねぇくせに、間が悪い。
 「…道明寺?」
 「悪い、起こしたか。まだ真夜中だ、寝てろ」 
 「ん」
 ベッドで座ったまま携帯の画面をくる俺の腰に懐いて、牧野がもぞもぞと身動きしながらまた目を瞑った。
 「…………ふぅ」
 …案の定だな。
 溜息をついて、西田を呼び出す。
 相変わらず3コールは待たせない。
 『……お待たせいたしました』
 「俺だ」




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