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「中・短編」
Middle story(2~5話完結)

Stole my heart 前編

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 「え?誕生日プレゼント?」
 「ああ。結局、夏休みもクリスマスもどこにも連れて行ってやれなかっただろ?珍しく今年の誕生日は一緒にいてやれそうだし、旅行は…ちょっと無理だけど、なんでも好きなもの強請れよ」
 牧野がハアッと溜息を零す。
 次に牧野が言い出しそうなことはもちろんとっくにわかっていたが、先手を打って釘を差す。
 「何もいらないとか、金かけるなとか、そういうのなしな」
 「……ううう」
 眉根を寄せた顔が、いかにも不服そうで。
 どこの世間に好きなもの買ってやるって彼氏に言われて、困った顔する奴がいるんだよ。
 まったくこの女はわけがわからねぇ。
 「…つーことで、その次に来る俺の誕生日は期待してるから」
 「ええっ!?あたしの誕生日もまだ来ないうちに、自分の方!?」
 素っ頓狂な声を上げた女に、そばを通りかかった男女がギョッと注視して、だがすぐにその傍らに立っている俺に気がつき阿るような笑みを浮かべてすぐに視線を反らす。
 …お前、わかってんのかよ。
 普段やたらと他人の目を気にして、何かと俺の非常識をあげつらねてるが、俺にしてみれば、自分が注目されているのはいつものことで。
 けど、こうやって俺と一緒にいるってことは、お前自身もすでに他の連中にとっては注目の的だってことなんだぜ?
 両手で包み込むように掲げ持ったシャンパングラスの酒を、ペロリと舐めて、上目遣いで俺へとへへへと笑うお前にドキリと胸が高鳴る。
 そんな何気ない仕草さえ可愛いとか。
 マジ、反則だろ?
 すぐにこんなパーティなんてフけて、お前と二人っきりになりたいとか思ってる俺の気持ちなんて、鈍感なお前はわかってねぇんだろうな。
 「これなんのお酒なんだろ。フルーツジュースみたいにすっごい飲みやすくて美味しい」
 「シャンパンだろ」
 「ええ?だって、これ甘いよ?」
 「今、日本だと辛口が主流だからな。甘いのが飲みたい連中はスパークリングワイン飲む奴らが多いし、お前なんかどうせスパークリングワインもシャンパンも区別つかねぇんじゃね?」
 「ぶ~、どうせ、そうですよぉ。でも、美味しいものはわかるよ」
 ふくれる牧野に小さく笑って、ガブ飲みすんじゃねぇよと、手の中からグラスを取り上げ一気に飲み干す。
 「あ~、全部飲まないでよ」 
 「……げ、甘」
 ちょうど通りかかったウェイターから、再びグラスをもらおうと振り返った牧野の手をとりそれを阻む。
 「なんでよ」
 「いくらフルーティで飲みやすいからって油断すんな。ビールとかに比べて3倍くらいアルコール度数高いんだぜ?」
 「ええ?そうなんだぁ」
 まだ名残惜しそうにしてたが、さすがの牧野も自分の酒の弱さは自覚があるんだろう。
 こいつもたいがい、俺の前で醜態晒してきたからな。
 シャンパンはけっこう俺らの集まりで飲んだりもしてたけど、俺らのその時々の気分でいろんな酒をのべつ幕なく飲ませたりしたから、どれがどれだけ強いかとか意識したことなかったんだろうな。
 「お前、気をつけろよな。他の男に飲まされてお持ち帰りとかされるんじゃねぇぞ」
 「バカ言ってないでよ。いくらなんでも、あたしはそんな迂闊じゃありません」
 「そうか?お前、しっかりしてるようで、かなりうっかりしてる女だからな」
 「なに、それ!失礼なこと言わない…」
 「…あれ?牧野」
 背後からかかった声に、スベスベの頬っぺたをつまもうとしていた手を止め、振り返る。
 俺にはちょっと片眉を上げただけで挨拶に変えた類が、牧野が常々王子様の微笑みと称するムカつく笑みを浮かべて歩み寄ってきた。
 「司と一緒に来てたんだ」
 「あ…うん、道明寺がどうしてもパートナーが必要だって言うから」
 辟易したような顔はきっとその時のやりとりを思い出しているのだろう。
 俺にとってはパーティも仕事のうちだ。
 パートナー同伴の場合も少なくない。
 NY時代は秘書や取引先相手の経営者に頼まれて、そこの関係者をエスコートすることもあったが、ここは日本なんだ。
 今はまだプロポーズを受けてくれてはいないからただの恋人だが、いずれは俺の妻になるお前が同伴するのはあたりまえだろ?
 他の女だったらこっちが嫌だと言っても押しかけてくるくらいなのに、こいつのこの素っ気無さには毎回溜息付きたくなるのは、俺の方だと憮然とした。
 「ええ?ホント、行きたいっ!!」
 牧野の黄色い声に、視線を向ける。
 俺に噛み付いていた時とはまた違う、嬉しそうな顔で牧野が目をキラキラさせていた。
 「…なんの話してるんだよ」
 「内緒」
 「は?!」
 「類っ!」
 間髪入れずにふざけた答えを返しやがったのは…もちろん牧野じゃなくって、類の方。
 意地悪げに口角を上げた顔が、俺の反応を楽しんでるのなんか見え透いてるつーのに、類の腕にかかった牧野の手がなおさら俺の頭にカッと血の気を上らせた。
 が、さすがに俺の視線に気がついたのか、慌ててその手を離して、牧野が俺の腕へと手をかけ覗き込んでくる。
 「ほ、ほら、この前話したじゃん。今ヨーロッパでも人気のアーティストが日本来日で凄い盛り上がってるって。そのチケットって、先行予約してても中々手に入らなくってさ。職場の友達と行きたいねって言ってたって話を、この間みんなに会った時に話したら、類が花沢物産も来日公演のスポンサー企業の一つだから、もしかしたらチケットとれるかも、って…」
 そういえば、ちょっとした雑談ついでという感じでそんな話をしていたか。
 俺にしても、いつものたわいないおしゃべり程度、牧野が好んでチケットを取りたいほどファンだなんて知らなくて、軽く流してしまっていたのを思い出して顔を顰めた。
 「……それならそうと、俺に言えよ。類にできることが、俺にできねぇはずねぇだろ。なんでこいつに頼むんだよ」
 つまんない対抗意識だと自分でもわかってる。
 でもこいつが俺に頼らないで、類に頼るのが面白くない。
 「あ……、それはその」
 口ごもる牧野の背中を類がポンと叩いて、俺と牧野の話に類が割って入った。
 「頼まれたわけじゃないよ。牧野は遠慮してたけど、仕事のついでに俺がちょっと口聞いたら、チケットとれちゃっただけ」
 「……類」
 類に庇われて、ホッと息をつくのさえもが気に入らない。
 だけど、だからといって、そんな些細なことでいつまでもグチグチと牧野を責め立てるのも我ながらガキ臭すぎて。
 「職場の友達…って女?」
 「も、もちろん!」
 あえて話題を変えるつもりで、尋ねた問いかけにあきらかに牧野が安堵したように小さく微笑んだ。
 「けっこうアイドル色が濃いグループだから、女の子のファンが大半なんだ。でも、ミュージシャンとしても超一流の子達ばかりでね。一つ一つの曲がすごくハートに響くっていうか、ズンってきて素敵なんだよ!」
 「へぇ」
 牧野の話に、俺も適当に話を合わせながら、どうにも面白くない気持ちがしこりのように残ってなくならなかった。
 大したことじゃない。
 わかっているのに…。




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