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「中・短編」
意地張ってんじゃねぇよ!…30話完

意地張ってんじゃねぇよ!19

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 あれから…道明寺があたしのアパートの近くに現れてから一ヶ月あまり。
 結局、あたしは道明寺が果たしてあたしの内定取り消しに関与していたのか、滋さんにも美作さんにも、もちろん類にも確認できないでいた。
 だって、そうでしょ?
 あたしがそれをしたら、道明寺を信じていないってことを実証してるみたいじゃない。
 それこそ、いまさら。
 こんなことになって、そんなことをしようがしまいが、結局なんの意味もないことなのかもしれなかった。
 …なんだか、青い空が目に沁みるな。
 天気がいいから、外でお弁当を食べようなんて奇特なことを思ったのが、間違いの元だったんだろうか。
 すでに夏休みを終え、あたしはいつもどおり大学に通いだし、毎日がそれなりに多忙だった。
 就職活動は…頓挫してしまっている。
 というか、気が抜けてしまったというべきか。
 こんなことじゃ、ダメだ。
 そうわかっているのに、どうしても動き出せない。
 一応、ドラッグストアは辞めてしまった。
 外村さんにはあれから謝って謝って、でも道明寺家からも謝罪があったようで、「気にしないで」とは言ってくれてたし問題になるようなことはなかった。
 でもなんとはなしに、腫れものに触るようなっていうのかな、目に見えて避けられるようになっていたかもしれない。
 それなりに事情は説明されていたのだと思うけど、触らぬ神になんとやらという感じで。
 ある意味、こういうパターン―――あたしが関わる人たち道明寺がとんでもないことをしでかすということは高校時代から慣れっこになってはいたけど、やっぱり気持ちのいいものじゃないよね。
 懲りずに繰り返すあたしが悪いのか。
 でも道明寺が嫌がるからという理由で、彼以外の誰とも交流を持たないということはあたしにはできなかった。
 そういう意味でも、あたしは道明寺とは合わないのかもしれない。
 あいつに好意を寄せて、あいつの言うことをなんでも聞くことができる人なんて星の数ほどいるというのに、あたしはそうはできないんだから。
 考え出すと落ち込みがどこまでも底を下って、類の言うところ…地球の裏側にまで出てしまいかねない状態。
 それにそんな人間関係の事情ばかりでなくって、就職が不透明になってしまった以上、どうしても就職活動に重心は傾きがちで、バイトがおろそかになってしまうことは目に見えていた。
 無責任なことはしたくない。
 家庭教師の方も辞めるつもりだった。
 けれど、今見てる子があたしにすごく懐いていたから、「牧野先生じゃなきゃ」とありがたくも言ってくれていて、せめて年末までは…という約束でこちらはすぐ辞めることができなかった。
 …まあ、学費の支払いのこともあるし。
 完全に収入源が絶たれるのは辛い。
 道明寺はあたしと別れたからといって、学費を返却しろ、なんて言うような男じゃないけど、そこはケジメというものがある。
 …別れた、か。
 別れちゃったのだろうか。
 実はあたしにもわからなかった。 
 あの日から、やっぱり携帯電話は道明寺からの着信もメールもまったく伝えてくれなくって、今あいつが日本にいるのか、NYに滞在したままなのか、あたしは知らなかった。
 何度も…取り出しては仕舞ってを繰り返した、寺島さんの名刺。
 道明寺に連絡が付かない時には、あいつの第一秘書の寺島さんに連絡をいつでもとるようにと言われていた。
 でも、もうそれもしてはいけないことなのかもしれない。
 なんて、そんなことを考え出すと、いつも勇気がしぼんでかけるところまでできない。
 本来なら、一介の女子大生が口をきくことすら難しい男。
 やだ…日差しが目に痛すぎるから、涙が出てきちゃったよ。
 抱え込んだ膝に顔を伏せて、クスンと鼻を鳴らす。
 …バカみたい。
 ホント、バカだよ、あたし。
 どうして、こんな時にまで意地張っちゃうのよ。
 泣けばいいじゃない。
 泣きたい時に泣けないから、好きな男にまで意地張って、こんなわけのわからない状態になっちゃうんだよ。
 どうせ…どうせ、フられるなら、言いたいこと言えば良かった。
 言わなくてもいいことはすぐに口をついてでるのに、本当に言いたいことはいつも道明寺には言えなかった。
 どうしてなんだろう。
 好きだと思えば、思うほどもっと何も言えなくなってしまう。
 会いに来てくれて、すごく嬉しいんだとか。
 本当は、もっとずっと傍にいたいんだとか。
 あたしばかりあいつをドンドン好きになってしまって、いつの間にか逆転したこの関係がいつ終わってしまうのか、怖くて不安ばかりで、意地を張っていなければ我慢できなくなってしまいそうなんだ…とか。
 「お、なんだよ、お前、こんなところにいたのか?」
 聞き覚えのある声に、ぴくりと顳かみが動く。
 気がつかないフリで無視をしていたら、そのまま通り過ぎてくれるかと期待していたのに、わざわざ隣に座られてしまったら、さすがにそのままで居続けることができなかった。
 「……暇なの?珍しく女の人、ぶら下げていないみたいだけど?西門さん」
 「なんだよ、やっぱり寝てねぇんじゃん。お前くらいだぜ?この俺をシカトする女は」
 「別にシカトしたわけじゃないけど」
 本当は嘘。
 でもまあ、いつの間にか滲んでいた涙は引っ込んじゃっていたから、いい気分転換にはなるかもしれない。
 たとえあたしをカラかってばかりで、遊ぶネタにするような奴が相手でも、友達には違いない。
 そう思っていたのに…。
 「お前、いいかげん、犬も食わないなんとやら、っていうのはヤめろよな」
 「………」
 心底うんざりしたように顔を歪めた西門さんが、愚痴を零し出す。
 「来月うちの茶道会のコンベンションセンターをNYに建造するって話と、あっちの政治家を招いたレセプションにコラボする話で、俺が駆り出されてるんだが、司の奴の機嫌が悪くて、やりにくくってしかたがねぇ。普段から身内にも容赦ない奴だけどよ、俺のとこにまで無理難題押し付けてきやがって、ゴリ押し通そうとするから参ってんだよ」
 「……あたしとあんたたちの仕事に、なんの関わりもないでしょ?」
 「はあ?お前、マジで言ってんの?」
 呆れたように言われても、そのとおりだから、他に言い様がない。
 子供の頃ならいざ知らず、社会に出て、曲りなりとも道明寺財閥専務として手腕を発揮している道明寺が、私情で大事な仕事を八つ当たり的にどうこうするはずがなかった。
 …またこの人は大げさに言って、あたしを動かそうとするんだから。
 「ホント、お前って自覚がないやつだよな」
 「自覚ってなんの?」
 「司に愛されてる自覚」





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