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意地張ってんじゃねぇよ!…30話完

意地張ってんじゃねぇよ!16

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 ショック―――。
 そんな一言ではとても片付けられない。
 どんな挨拶をしたのか、どう締めくくったのか、意識しないままに電話を切って、呆然と立ち尽くしてしまった。
 もしかして…、そう思わないことがなかったとは言えない。
 でも、就職を希望していることはまだ道明寺には話していなかったし、もし知られてしまったにしても、話し合う余地くらいくれるものと信じていた。
 4年前のことがあるのに。
 あたしが高校を卒業して決めた就職先を、道明寺がどうしたか。
 すでに過去に経験していたことだったのに、なぜあたしは無邪気にあいつを信じていられたのだろう。
 あたしが英徳学園の大学部に進んだのは、けっしてあたしの意思ではなかった。
 そりゃそうだ。
 たとえ家庭の事情を無視して、無理をして進学を選んだにせよ、間違っても英徳に残留などあたしが望むはずもなかった。
 けれど、それを納得してしまったのは、心のどこかでまだ勉強をしたい、社会にでる前にもう少し学びたいという気持ちがあったから。
 そして、遠距離にいて、しかもとてもじゃないけど、本来ならあたしの事情など鑑みる余裕も暇もないはずの道明寺が、それでもあたしのことを気にかけてくれていたことがとても嬉しかったんだ。
 実際に、大学時代の4年間はとても貴重なもので、充実した日々を送らせてもらったと感謝していた。
 社会に出れば社会に出たで、学んだこともあるとは思う。
 けれど、大学に進んでいなければけっして経験できなかったことはたくさんあったし、単純に道明寺との未来を考える上でも高卒であることと、大卒であることには大きな隔たりがあっただろう。
 …でも、これは違う。
 道明寺とあたしの関係がどんなものであろうと、未来に『結婚』という同じ方向の目標があるにしても、あたしは道明寺と同じく自分の人生を生きている人間であって、あいつの所有物ではないんだから。
 今、ここにはいない男の顔を思い浮かべる。
 腹立たしさと、悔しさと、…切ない感情。
 こんなにムカついてるのに、それでもあいつが恋しいなんて。
 矛盾した感情に涙ぐみそうになって、ぐいっと子供のように袖口で涙を拭う。
 「牧野さん?」
 呼びかけらて、すっかり忘れていた人の存在を思い出した。
 …そうだった。
 あたしは一人でいたんじゃなかった。
 ついつい激しい感情に支配されて、一緒にいた人の存在を脳裏からすっかり忘れ去っていた。
 「だ、大丈夫?」
 「…すみません、ちょっと」
 「えっと、もしかして、その…え~」
 尋ねようとして、極めてプライベートな内容だったと気がついたのだろう、困った顔の外村さんが目を泳がせて、次の言葉に困っていた。
 「……内定、取り消しだそうです」
 「そ、そうか」
 「あの…すみません。あたし、けっこうショックだったみたいで、その…」 
 「あ、ああ。そうだよね。うん、わかるよ。なんて言っていいか、慰めの言葉も思いつかなくて…」
 「いえ」
 慰めの言葉なんて、今何を言われたって何も頭にも、心にも入ってきそうにもない。
 今はただ、一人にして欲しい、それだけの一念だった。
 「そういう事情…なんで。ここまで送ってきてくれて、ありがとうございました」
 とにもかくにも、と、ちょっと強引な展開だけど、一息に別れの言葉を言って、踵を返した。
 …あ、やば、また涙出そう。
 「え?あ。ま、牧野さん、ちょっと、待って!」
 そのまま歩き出そうとした途端、肩に手をかけられ、引き止められかけた。
 「家の前まで送って…」
 バキッ!
 「わっ」
 小さな悲鳴が上がって、鈍い音と同時に、外村さんの手が肩から外れて、その当の外村さんがあたしの真横を吹っ飛んでいった!?
 ドッ!!
 唖然と振り向いたのは、無意識だった。
 けれど、その視線の先、よく見慣れた男の顔があったのは、全然予想外じゃなかったかもしれない。
 ちょっと前まで、愛想尽かされちゃったのかな、なんてセンチメンタルに心配していたのに。
 「ハァハァハァ、だ、大丈夫か。牧野!?」
 走ってきたのか、息を切らせた道明寺が、あたしの両肩を掴んで覗き込んでいた。
 「……道明寺」
 「な、なにが」
 あたしの言葉と外村さんの声が被って、その声に道明寺がギッと眼光鋭く、外村さんを睨み据えた。
 「ひっ」
 「…てめぇ、どこのどいつだ。俺の女、泣かせやがって。その汚ねぇ手を肩にかけて、命の保証があると思ってんじゃねぇだろうな!?」
 凄む道明寺の威迫に、地面に転がったままだった外村さんの顔が瞬時に恐怖に引き攣った。
 少しでも離れようとだろう、そのまま後退って甲高い悲鳴をあげている。
 「ひぃぃぃぃっ~~」
 …………。
 「ひぃ、じゃねぇっ。耳の奥から手ェつっこんで、奥歯ガタガタ言わす…」
 ドガッ。
 「痛ってぇっ!!」
 気がついたら蹴っていた。
 道明寺を。
 ちょうど、外村さんの襟首を掴もうと、道明寺が屈み込んでいたところだったから、バランスを崩してたたらを踏んでたけど、さすがに蹴り倒せなかった。
 言いたいことがたくさんあるはずなのに…。
 「ちょっ!てめぇ、なにしやがるっ。蹴るのヤメロッ!!」
 ゲシッ、ガンッ、ドガッ!!
 連打で蹴りつけてやるけど、さすがにまともにはヒットしない。
 ひとしきり無言で蹴ったり、叩いたり、殴ったり…。
 「よせってっ!」
 でも、この男にまともにやって勝てるはずなんてあるはずもなくって、結局は両手を掴まれてしまった。
 「………山猫かよ、この暴力女」
 呆れたような声音が、まるで子供でもいなすようで、全然本気になっていないところが、よけいに頭に来る。
 あたしのことなんだと思ってるの?
 あんたがちょっと手をひと振りしただけで、どうとでもできる相手だって?
 こんなふうに。
 実際にそのとおりかもしれなかったけれど、ずっと対等でいたかったあたしはなんだったのかと、また涙が溢れそうだった。
 「おい、泣いて…んのかよ、お前」
 「……うううっ」
 こんな奴のまえで泣きたくなんかないのに、次から次に涙が溢れて、嗚咽まで止まらなくって…。
 どうしてあたし、泣いてるんだろう。
 たかだか、手を掴まれちゃったくらいで。
 もちろん、そんなことが理由なんじゃなかった。
 だけど、今は憤りとか、哀しみとか、いろいろなもので一杯の頭が、まともな思考を思いつかせてくれない。
 戸惑って力の緩んだ道明寺の手を振り切って、その場を立ち去ることくらいしかできそうになかった。
 「おい!待てよッ」
 「ついてくんなっ!!」
 「…ついてくんな、て」
 それでも足元に転がっていた外村さんの傍らにしゃがみこみ、安否を伺う。
 「すみません、立てますか?」
 「う、う、うん。だ、大丈夫」
 おっかなびっくり、どうやら道明寺とあたしが知り合いらしいと見当がついたみたいで、あたしのことも、まるで珍獣でもみるかのようにビクビクと伺いながら、頷いて外村さんがヨロヨロと立ち上がった。
 「……いててて」
 見た感じ、顎が砕けてたり、どこか骨折してるようには見えなかったけど、たぶんあたしの肩を掴んでいたからこそ手加減されたんだろうな。
 単純に、あたしが巻き添えを食って吹っ飛ばないように。
 けれど今は、そういう気遣いをするくらいなら、冷静に現状を見極めてよ、という文句すら思いつかないくらいに頭がぐちゃぐちゃだった。
 「牧野ッ!?」
 「ふざけんなっ。あんたなんて、大嫌いっ!!」





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