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「中・短編」
不屈のヴィーナス…28話完

不屈のヴィーナス01

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不屈のヴィーナス

 CPは司×つくし。
 金太郎飴シリーズ第三弾!(※第一弾『初恋は靴底の感触』、第二弾『意地張ってんじゃねぇよ!』の続編ではありません)
 高校生設定の中編。
 原作3on3勝負がなかったら…類は英徳に残留。つくしは家庭の事情もあって英徳を退学し公立高校へ。
 つくしを退学に追い込んだことで、再び喧嘩三昧。
 類とは喧嘩別れしたままの司。
 つくしと司の再会はいかに!?
 き、金太郎…なってない??
**********


 「かったりぃ」
 気がつけば、ボやいてる。
 こういう時に限って、いやに陽の光が眩しい爽やかな午後ってやつ。
 基本、いつもは昼時に起きてきて、こういう空気には全然なじまねぇ。
 それに起きてきたからといって、気が向かなければそのままフて寝して、ガッコーなんかには数日顔を出さないのもザラ、むしろ連ちゃんで登校する方がよほど稀なことだった。
 それがここのところ、違うサイクルで動いてたから、ついその気もねぇのに、目が覚めて…、いるはずもない誰かを探している。
 そこかしこで、俺の姿を盗み見てはきゃあきゃあうるせぇ女どもの陰に、あいつの姿があるんじゃないか、なんてバカなことを考えて、その度、
 「あんなビンボー女、もう俺には関係ねぇつーの」
なんて、自分で自分に突っ込んでいる。
 …だいたい、あいつが俺を影からこっそり眺めてるなんて可愛いこと、今までだってしたことなかったじゃねえかよ。
 自虐的な自分の思考にクサクサする。
 「…クソッ、どこにいんだよ、あいつら」
 苛立つ気持ちを八つ当たりする相手を探して、視線を右左。
 ちょうど目があった野郎で鬱憤でも晴らすかと、思い立って向きを変える前に、見たくもない相手を発見して足が止まった。
 …別に俺が避けることなんてねぇ。
 そう思う自体が気にしてる証拠だって、俺だってわかってる。
 …俺に、なんか言うことねぇのかよ。
 気がつけば、念を込めた目で睨んでいたからだろうな。
 ふと俺の視線に気がついたように、相手が俺を振り返って首を傾げた。
 「おい、る…」
 「おっ!司じゃん。なんだよ、ガッコ来てたのかよ」
 「珍しいな。ここんとこ、ずっとサボってただろ?」
 聞き慣れた声とともに、後ろから首に腕を回され、かけようと思っていた声が途切れた。
 「一週間ぶりか?邸にずっと引きこもってるからよ。カビでも生えてるんじゃねぇかって心配してたんだぜ」
「そうそう。お前がいったい何日引き込もってられるか、あきらと賭けようかって話してたところだよな」
 「うるせぇ、お前らはそれしかねぇのかよっ!」
 フザけた物言いの総二郎とあきらの腕を振りほどき、それぞれの顔の前に拳と肘を突き出す。
 怖ぇえ、怖ぇというその顔はまるっきり、言ってることとは違って悪びれもしねぇ。
まあ、そりゃそうだろうな。
長い付き合いだ。
いまさら俺が文句言ったところで、こいつらには屁でもねぇだろう。
 「まあまあ、そう怖い顔すんなって。…牧野の奴が退学しちまってから、お前、また前と変わらねぇ生活に戻っちまっただろ?実は相当腐っちまってんじゃねぇかって、俺らもマジで心配してたんだよ」
 「…ハッ、バカ言ってんなよ。あのボンビー女がどうしたって?あの女がどうだって、俺には関係ないね」
 「そうか?」
 曖昧な顔で俺の顔色を伺ってくるあきらに、断固として頷いてやる。
 「まあ、確かに女はあいつだけじゃねぇし…って、おい、あっち、廊下を歩いていったのって類じゃね?」
 「類?」
 俺の方をチラッと振り返ってたように見えたが、こっちが総二郎とあきらに気を取られてる間に類はすでに廊下の角を曲がって姿を消していた。
 元々、俺らの姿を見ても、気が向かなければ声をかけてこないし、こっちが声をかけなければ平然と無視をすることも珍しくないやつだ。
 たださすがに長年の親友。
 他の連中に対するのとは違って、俺らが声をかければそれなりに応じるし、合流もしていた。
 …この前までは。
 「…って、もしかして、お前らまだ仲直りしてないのかよ」
 「………」
 総二郎が大げさにため息をつくのがウザくて、憮然と背中を向け歩きだす。
けど、すぐに総二郎とあきらが俺の両サイドに並んで、一緒に歩き出した。
 「まだもなにも、あいつとはもう縁切りしてんだ。関係ねぇだろ?」
 「おいおい、まだ、そんなこと言ってたのかよ」
 「…いいかげんにしろよな。お前のワガママでいつも俺らまで振り回しやがって」
 「知るかッ」
 それでも類の消えた方向が気になるのは、奴とまた仲直りしたいからじゃない。
 かといって…あの女のことが気になるからでもないと、俺は自分に言い聞かせた。






 「ん~、いい天気」
 空は青いし、空気は美味しいし…。
 これで、学校が遠くなければもっといいんだけど。
 ついつい溜息が出てしまうのは、通学に片道1時間もかかるから。
 他に理由なんてないし。
 「…ハァ」
 「溜息つくと幸せが逃げるよ!」
 後ろから声をかけられて振り向いたら、この学校に転校してきて初めて声をかけてくれた女の子達がパラパラと寄ってきてくれた。
 これが英徳時代だったら、すわ、焼入れかと警戒するところだけど、もうそんな黒歴史は過去のこと。
 「ねね、牧野さん。放課後一緒に、駅前に新しくできたミスドに行かない?」
 「ミスド?」
 「うん。今日、新オープンで無料試食会やってるし、この子がそこでバイトしてるの」
 にっこり笑ったのは、少しおとなしめな…えっと、たしか葛原さん。
 「ええっ、無料試食会?」
 「うん、オープニングセールとかの代わりみたい。ミスドってけっこう直営店は何かしらイベントすることが多いよね」
 「そうなんだ。ん~、どうしようかな。今日、あたしもバイト入ってるし」
 「え~、行こうよ。今日と明日の二日間らしいけど、明日だとみくがバイト入ってないから、サービスしてくれないし」
 無料で提供されてるっていうのに、まだ何かサービスしてもらおうっていうのか。
 ちゃっかりしてるリーダー格、声をかけてくれた荻野さんの言葉に笑ってしまった。
 英徳だったらありえない会話。
 100円、200円のものにこだわったりする人はいなかった。
 …でもお金に対する執着は、別にないわけじゃないんだよね。
 金額の桁が違うだけのことで。
 …明日は団子屋さんがわりと混み合う曜日だし、どうしようかな。
 できれば、まだこの新しい友達候補たちと馴染む機会が欲しかった。
 「えっと、じゃあ、一緒にバイトしてる友達に聞いてからでいいかな?」
 「うん!うん!!聞いてみて」
 「牧野さんとはもっと話してみたかったんだよね」
 「ね~」
 ここ県立・乃木平東高校に転入して3日。
 クラスメートの顔と名前を一致させるので一生懸命精一杯で、まだ特にどの子達の仲良しグループの一員に入れてもらうかってところまではいってなかった。
 なんか、こういうのもすごい久しぶりだな。
 英徳時代はどのグループもなにも、選択の余地すらなかった。
 とにかく目立たないこと。
 無事に3年間を過ごして、卒業すること。
 …やだやだ。
 気がつくとすぐに英徳のことを引き合いにだして思い出してしまってる。
 もうあそことはキッパリ縁を切ったんだもの。
 英徳を思い出せば、同時に思い浮かばずにはいられない人たちのことも。
 「あ、いけない!次、移動教室だっ」
 「え?ホント」
 「うん。委員長があらかた案内したと思うけど、ここってけっこう特別室は遠いんだよね」
 …そういえば、そうかも。
 東京近郊とはいえ、けっこう横に長いこの土地。
 校舎自体も横に長くて、余裕のある作りは逆に移動には遠い。
 「化学の大西は遅刻にはうるさいから、牧野さんも早くいこ!」
 「うん、ありがと」
 濡れた手をササッとポケットのハンカチで拭いて、荻野さんたちについでトイレを出しな、窓から覗いた景色が目に映る。
 懐かしいわけじゃない。
 そう思うけど。
 窓から覗く眺めは…むしろ木々に囲まれて、緑の深い英徳の非常階段からいつも見ていたあの風景とは、あまりに違っていた。




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