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Angel Road ~永久に二人でゆく道~(献上作品)~17話完

Angel Road 15 ~永久に二人でゆく道~

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 …く、苦しい。
 かろうじて足が付く程度の浅瀬のはずなのに、ふくらはぎに走った鋭い痛みと緊張感に、水の上に顔を出すことができず、苦しさにつくしはもがき苦しんでいた。
 足元をすり抜けていった何かの生き物に驚いて、変な角度に足を避けたのがいけなかったのか。
 それとも、ロクに準備運動もせずに水に入ったことが引き金だったのか、こむら返りを引き起こしてしまった。
上手く水から上がることができずに、焦れば焦るほど足場を見失い、あっぷあっぷと顔を水面に出しては、再び沈んでを繰り返す。
 つくしは溺水の危機にもがき、必死に足場を探し、脱出を図る。
 「ど、どう……ぶくっ、あ……」
ゴボッ
 …助けて。
 懸命に声を上げようとするが、パニックで上手く助けを呼べない。
 それでも脳裏に浮かぶのは、いつもこんな時に必ず彼女を助けてくれるただ一人の男の面影だけで。
 酸欠でぼわっと遠のく意識のどこかで、力強い腕が伸ばされるのを感じた。
 …あの時と同じ。
 …道明寺。
 ぐっと背後から回った腕が彼女の顎下と腰を支え、一気に水面へと引き上げられた。
 一瞬の浮遊感のすぐ後に水中から解放され、ドッと酸素が肺に入り込みんで、失神しかけていたつくしの意識が急浮上する。
 「牧野ッ!!」 
 「ぐっ、げほっ、ごほっ」
 さかんに咳き込み空気を貪って、口も利けないでいるつくしを抱え、司が浜辺へと戻る。
 「…げほっ、げほっ、げほっ」
 「大丈夫か?まったく、お前ってやつは本当に」
 呆れてボヤきつつ大きく安堵の息を吐いて、それでも心配そうな司が、そっとパラソルの下、シートの上につくしの体を丁寧に下ろしてくれた。
 「ありが…とう」
 「水は飲んでないみたいだな」
 「…そ、それは大丈、夫。うっ…痛いっ」
 なんとか咳が収まってきて、体を起こそうとしたが、攣ったままのふくらはぎに走った激痛につくしが横向きに再び倒れ伏す。
呻いて、片足を抱え込んだ。
 「こむら返りか?」
 「…う、うん」
 つくしの傍らに腰を下ろしていた司が、自分の足を抱え込んで苦悶している彼女の手を外させ、足に触れくる。
 「い、いたっ!さ、触らないでッ」
 「バカ、いつまでも痛みで転げ回りたくないだろ。いいから、足伸ばして楽にしろ」
 かなり強引だったが、司が彼女の足を伸ばしたり摩ったり、マッサージしだす。
 「…たた、い~~~」
 それがまたなおのこと痛いのだが、それでも司が細心の注意を払ってやってくれているのがわかるので、つくしもぐっと痛みを我慢して耐える。
 やがて、それほど長引くことなく、徐々に収縮が治まり痙攣の痛みが和らいできて、つくしがホッと胸を撫で下ろし、強張っていた体の力を抜いて脱力した。
 「痛み、治まってきたか?」
 「うん、ありがと。もう、大丈夫みたい」
 「そうか」
 司もホッと表情を緩めた。
 「けど、もう少しマッサージしておいた方がいい。上の方は太陽に温められてかなり水温も高かったけど、下の方はどこからか海流が割り入ってるのか、けっこう温度差があったから攣っちまったんだろうな」
 「…そうなのかな」
 司の大きな手に摩られていると、実質的な効果以上に、大きな安心感で痛みが和らぐ気がした。
 「ありがとね」
 「あ?」
 「…いつもいつも、あんたはあたしを助けてくれるから」
 つくしの珍しく素直な言葉に、司の手が一時止まって、恥ずかしさで視線を反らして横を向く彼女をジッと見下ろす。
 「ジッと見ないでよ」
 「…悪い」
 じわじわとつくしの頬が茜色に染まってゆくのを見守って、司までもがつられて真っ赤になってしまう。
 しばらくマッサージを続ける司と、横を向いたままのつくしの間に無言の時間が流れた。
 一時の騒ぎが嘘のように、波のザザーンという穏やかな音だけが二人の耳に届く唯一の音。
 マッサージの気持ち良さと、衝撃的な出来事による精神的ショック、強い日差しに炙られたり泳いだりしたことでの疲労で、つくしがウトウトとしだした頃…。
 「……チッ」
 司の舌打ちで、つくしのトロンとしていた意識がハッキリと覚醒した。
 いつの間にか、ふくらはぎを撫でいていた大きな手が動きを止め、司が濡れて素肌の透けている彼女の全身を見つめていたのに気がつく。
 「………」
 つくしの視線に気がついた司が、バツが悪げに目を反らして俯く。
 「わりぃ」
 疚しそうに顔を歪め、小さく謝罪して、彼女から目を反らしたまま、触れていた手を引っ込めてしまう。
 「……もう平気か?」
 「うん、もう大丈夫。ありがとね」
 「もう礼はいいって。じゃあ、俺はまたちょっと泳いでくるから、お前はもう少し休んでろ」
 そっぽを向いた横顔が不機嫌で、怒っているみたいで、それなのになぜか、ひどく苦しそうにも見えて、つくしは胸が苦しくなった。
 司にこんな顔をさせてしまっているのは、つくしなのだ。
 それなのに、ひどく寂しい。
離れてゆこうとする手が惜しくて、哀しくて、離して欲しくなかった。
 立ち上がろうとした司の手を、気がついたらとっさに握り締め、引き止めてしまったのは、だからだったのだろう。
 「道明寺」
 「…手、離せよ」
 「行かないでよ。一緒にここにいて?」
 甘えた声音につくしは自分でも驚く。
 けれど、今は絶対に意地を張る時じゃない。
 それは本能だったのかもしれない。
 熱い吐息を吐き出し、震えているようにも思える司の手をあらためて握り直して、胸元へと引き寄せる。
 喉が乾く。
 それはつくしだったのか、あるいは司だったのか。
 ゴクリと司の喉仏が動いて、妙に唾を飲み込む音が響いた気がした。
 「いかないで…」
 たぶん…いま、二人が望んでいることは同じ。
 好きあって、好きあって…互いに、互への恋慕で身動きがとれないほどに愛しくて、恋しくて。
 大切だから、愛してるから…だから。
 「お前、わかってんのかよ」
 俺様らしくない弱々しい掠れた声音に、つくしが小さく微笑み返す。
 「いいの。だって、…あたし、あんたが凄い好きなんだもん」
 「牧野ッ!」
 振り返った司が、横たわるつくしへと覆い被さり、確かな予感と恥じらいにわななく彼女の唇を塞ぎ、激しく奪う。
 手と手を合わせ、何度も眼差しを交わし合い、想いを熱く甘やかな口づけに託して…。





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