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「ヾ(o´∀`o)ノ贈り物ヽ(*>∇<)ノ」
Angel Road ~永久に二人でゆく道~(献上作品)~17話完

Angel Road 12 ~永久に二人でゆく道~

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 「うそ…、うそ!うそおぉぉぉぉぉっ!?」
 そうとしかいいようがない。
 どう見ても見通しの良い海岸線。
 クルーザーの隠れる余地などないというのに(あえてやればやれないこともないが)、先程からつくしは同じ言葉を叫びながら、あっちへウロウロこっちへウロウロ。
 果ては岩場の間まで探し回る混乱ぶりだ。
 対して、司の方は、
 「あちぃ」
 と呟き、腰に手を当てグルリと島の外観を見回したっきり。
 「落ち着けよ」
 「これが落ち着いてられるかつーのッ!?…まさか、また滋さんたちが?いやいや、滋さんはまだ海外のはずだし、西門さんたちには沖縄に来ること話してないよね」
 「…あ~」
 「なに?」
 「いや、別に。それより、これからもっと気温が上がってくるから、日焼け止めもっと厳重に塗り直せ」
 嫌に冷静な司につくしが眉根を寄せる。
 「あんた、なんで、そんなに落ち着いてるのよ!?」
 「テンパたって、どうしようもないだろ。ないもんはないんだから」
 「そりゃそうだけど…」
 いくらエンジンが付きっぱなしだったとはいえ、船が勝手にどこかに行くはずもない。
 流された可能性もなくはないが、二人が船から離れていたホンのわずかの間に船影のかけらも見えないほど遠くまで流されてしまったなどありえないだろう。
 「アンカーも投げておいたんだ。これだけ凪いでる海で流されるはずねぇよな」
 「って、ことは…」 
 「誰かに盗まれたな」
 「……っ!?」
 平然としているがとんでもないことではないか!
 「ま、俺の船を盗むとはいい度胸してるが、どっかの海賊でもあるまいに、こんなところで盗む奴なんてたかがしれてる」
 「か、海賊っ!?」
 「さすがに日本海海域で海賊は出ねぇって」
 「そ、そっか」
 それはそうだろう。
 そんな事態にでもなったら大騒ぎだ。
 腐っても海上保安庁。
 そこは安心してもいいはず。
 だが、それならば。
 「今は誰が持っていったかつーより、これからどうすっかだな」
 「…それって」
 「お前、携帯持ってきたか?」
 言われて、船に置いてきたこと思い出す。
 どうせ二人っきりの島内で短時間の滞在だ。
 離れて過ごすこともないだろうし、砂浜の砂や海水で携帯電話を故障させてしまうことを恐れてあえて置いてきてしまっていた。
 「……あんたはもちろん、持ってるよね?」
 道明寺HDの専務様。
 いつ何時、会社から緊急事態で連絡が入るかわからない立場なのだ。
 「置いてきた」
 「はっ!?」
 「またぞろ緊急事態だ、なんだと、呼び出されたら面倒くせぇからな。お前との時間を邪魔されたくないし、最初から持ってきてない」
 「………」
 …逆でしょう、それは。
 ツッコミどころ満載だったが、確信犯相手に何を言っても効果などあるはずもなく、しょんぼりと項垂れる。
…ありえない。
 「ま、夕方にはうちの連中が騒ぎ出すさ。ここに来てるってことは、俺んとこの秘書やSPにも言って来てるんだ。さすがに日が落ちても帰ってこなかったら不審に思うだろ?」
 「そうかな…」
 「最悪野宿するまではいかねぇから、安心しとけ」
 「……ホント?」
 よほど心配そうな顔でもしていたのだろう。
 クスッと笑った司が、つくしの肩を抱き寄せ、ふざけたようにわざと頬に音高くキスをくれる。
 「もうっ!」
 「しけた顔すんなって。なんなら、泳いで帰るか?お前くらいなら背中に乗せて、泳いでやるぜ?」
 もちろん冗談には違いなかったが、それでもそんな冗談を言う余裕がある彼の態度に、心配で強張っていたつくしの心も緩められ安堵した。
 以前に滋たちの策略で無人島に連れ去られた時にも思ったことだが、意外にも司はこういう場所でも頼りになる男だ。
…根っからのお坊ちゃまなのにね。
 なんとかつくしも気持ちを立て直す。
もう一度、キスをしようと近づいてきた司の顔を手で柔らかく押しやって、するりと腕の中から逃れ出る。
 「泳いで帰るなんてごめんだよ!サメの餌になんてなりたくないもん。いいよ、一日くらいここで遊ぶのも悪くないから、探しに来てくれるのを大人しく待とうよ」
 海に遊びにきたと思えばいい。
 どのみち、ただエンジェルロードを見て、往復するだけではもったいないと思っていたところでもあったのだ。
 …ああ、もうっ、水着持ってこなかったのが悔やまれる。
 心で思っただけなのに、そんなつくしの気持ちは司にも読み取られていて、
 「だから、裸で泳げって」
 「泳がないわよ!」
 「しょうがねぇから、襲わないで我慢してやるし?」
 からかう司の足につくしが砂ごと水をかけて、イーッと舌を出す。
 それに苦笑して、
 「まあ、どちらにせよ、飲み物をしこたま下ろしておいたのはせめてもの幸いだったよな。さすがにそれがなかったら、日干し確実。呑気にこうしてるわけにもいかなかったぜ」
 司の呟きは、ごく小さなもので、すでに波際で水と戯れるつくしの耳には届かなかった。





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