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Angel Road ~永久に二人でゆく道~(献上作品)~17話完

Angel Road 11 ~永久に二人でゆく道~

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 「なにこれ」
 つくしは目の前に起きている現象に、驚いてポッカリと口を開け放つ。
 「お、虫入るぞ」
 ふざけて、つくしの口の中に手を入れてこようとした男の手を容赦なく叩き落として、目の前の光景に見入ってしまった。
 「……エンジェルロード。これを見に来たんだよ」
 エンジェルロード…天使の散歩道。
 確かに先程まで海で区切られ、離れ離れだった三つ子の島の海岸線が、細長い砂洲の道で繋がれ続いている。
 「エンジェルロード?」
 「ああ。実はこの辺の島と島の間は深く見えてけっこう浅瀬なんだよ。潮の干満によって道があらわれたり海に消えたりする。陸地と島が、干潮時に干上がった海底で繋がってるんだ。いわゆるトンボロ現象ってやつ」
 「へぇ!初めて聞いた」
 「小豆島なんかが有名。国内では後は、鵜ノ島や三四郎島、友ヶ島、城ヶ島。他にもいくつかあるな。もちろん海外にもあるが、実はエンジェルロードと呼ばれるのは、小豆島のやつだけなんだけど、あそこのは、他社の私有地だから途中までしか自由に行き来はできない。なんかムカつくだろ?」
 「はは…そう?」
 自由にならないことなど、庶民には当たり前すぎて、司に同意できずに空笑いする。
 けれど…。
 「凄いね。もしかして、なんか逸話とかある?」
 司はけっこうロマンチストだ。
 微かに染まった頬の赤みが、暑い日差しに焼けたせいではないのは間違いない。
 「……歩こうぜ」
 「あ、…うん」
 手を引かれて、つかの間の天使の散歩道を二人で歩く。
 干潮とはいえ、わずかに押し寄せる波の水が、サンダル越しの素肌に冷たく気持ちがいい。
 海の打ち寄せる音と、砂を踏みしめる互いの足音だけがその場に聞こえる音のすべてで…。
 「お前をわざわざこんなところまで連れてきて、よその観光商戦に乗せられたと思うかも知れねぇけどよ」
 「え?あ…うん」
 「惚れた奴と手を繋いで渡ると、砂洲の真ん中に天使が舞い降りてきて願いを叶えてくれるんだと」
 惚れた奴…いつでもハッキリと口に出してくれる司の言葉が、いつも嬉しい。
 素直じゃないつくしにはとても真似はできなかったが、彼女の想いも同じで。
 それがそんな逸話のある場所で囁かれれば、なおのことじんわりとした甘い喜びに心が満たされた。
 「…それで連れてきてくれたの?」
 「いや…」
 だが、予想に反して司の言葉は否定だった。
 それならば、なぜ?
 「いずれ、ここを開発したら似たような逸話をでっち上げることになる。けど、そういうんじゃなく…」
 「そういうんじゃなく?」
 彼が何を言おうとしているのだとしても、司の気持ちはすでにつくしにはわかっていた。
けれど、どうせなら彼の口から聞きたい。
 つくしが真っ直ぐに司だけを見つめる。
 二人見つめ合い、
 「ただ一緒に来たかったんだ」
 「………」
 「初めてこれを見て、俺でもすげぇなって思ったから、お前と見たかった。歩きたかった。ただ一緒にこうして過ごしたかったんだよ」
 「……道明寺」
 その目に映っているのは、ただつくし一人だけ。
 いつものように。
 そして、つくしの目にも司以外のなにものも見えない。
 「景色なんてまったく興味のねぇ俺が、気に入ったんだ。お前なら、もっと喜ぶだろうってな」
 「…うん、凄い素敵だよ。連れてきてくれて嬉しい」
 司のストレートな言葉に、つくしも素直な言葉が口をついてでる。
 そんな彼女に、胸が痛くなるほどに綺麗で…それはそれは嬉しそうな笑みを浮かべた司が、つくしを柔らかく抱き寄せ顔を寄せた。
 つくしも司の背に手を回し、身を任せて、そっと目を閉じる。
 優しい触れるだけのキス。
 「……お前と見れれば、俺一人で見るよりずっと綺麗なんだよな」
 見上げる先にある熱視線に溶かされそうで、たまらずすぐにつくしはまた目を閉じた。
 恥じらって震える彼女の唇に、再び司の唇が触れて塞ぐ寸前…、
 「綺麗なものも見るのも、美味いもんを食うのも、楽しいことをするのも…、俺一人じゃぜんぜん嬉しくねぇんだ。けどお前と一緒だから綺麗だと思えるし、飯も美味いし、なんでも楽しい。…これから先も、こうやって二人でいろんなもの見て、食って、楽しんで…ずっと一緒にいようぜ」
 「うん」






 「ふふふ」
 嬉しそうなつくしの顔が輝いている。
 当然、それを見る司の顔も輝いて、そこにいるのは誰が見ても幸せな普通の恋人同士でしかありえなかった。
 「お前、もうこのまま、NYについてこいよ」
 「ええっ~?!」
 「来年には日本に帰る予定だけど、それまで待ちきれねぇ」
 「大学だってあるんだから、無理だよぉ」
 つくしもつい雰囲気に流されて頷きたくなるが、うっかり冗談でもそんなことをしてしまったらこの男のことだ、現実になりかねない。
 …ううん、絶対になっちゃうよね。
 遠距離とはいえ、伊達に何年も付き合ってはいない。
 それでも、この甘い時間に浸って、つくしにしても司を邪険にすることはできなかった。
 「…じゃあ、冬休みは来いよ」
 「ん…どうしようかな」
 「チケット送るから、絶対来い」
 「…でも、お屋敷にはお母さんもいらっしゃるでしょ?」
 正直、過去、司の誘いに乗れなかった理由の一つには、楓の存在が大いにあった。
 …一応黙認?されてるみたいだから、悪夢再びってことはないだろうけど。
 いや単に無視なのか。
 できれば、誕生日にハードなバトルを繰り広げたくはなかった。
 だが、そんなつくしの逡巡を司はとっくに見越していて。
 「ババアのことは心配すんな。クリスマスだ新年だ、と言ったってババアにそんなのは関係ないからな。去年もその前も、NYにはいなかったぜ」
 「あ~、そうなんだ。い、いやいや」
 ホッとしかけて、それでも司の母親だったと、慌てて否定する。
 「どちらにせよ、俺も今、邸に住んでねぇし」
 「え?そうなの?」
 「ああ、言わなかったか?一々郊外の屋敷まで戻るのが面倒くせぇし、本社の近くにマンション買ったんだよ」
 「う~ん」
 言われたような、言われてないような。
 たいがい寝ぼけているような時間帯にかかってくる電話での会話だったし、そうでなくても互いに忙しくて言い忘れている事柄も多い。
 さかんに首を捻っているつくしを覗き込んで、司が哀願するようにつくしの手を取り、手の甲にキスを落とす。
 「ひゃっ」
 真っ赤になってゆでダコ状態のつくしにトドメの一撃。
 「お前と少しでと一緒にいたいんだ。今年こそクリスマスとお前の誕生日、俺と過ごせよ?」
 口じりは俺様だったが、どこか哀願口調の命令。
普段だったら、とても意地を張って絶対に頷けない。
 けれど、今なら。
 「チケット代くらいはあんたのお陰で、バイト代が貯ってるからなんとかなるよ」
 「まったく、お前用の通帳だって作って振り込んでやってんのに、何遠慮してんだよ…つーか、え?もしかして、OKってことか?」
 期待に満ちた司の顔を照れくさく見上げて、懐いてぶら下がっていた腕に顔を伏せて、つくしがコクリと頷く。
 「…ん。お世話になろうかな」
 「やり!」
 「わっ」
 満面の笑みになった司が、嬉しさのあまりつくしを腰の高さに抱き上げ、くるくると回りだす。
 「ちょ、ちょっと!怖いってば!!」
 半分は本気で怖がって、それでも楽しい気持ちにつくしもはしゃいで笑い出す。
 いつもとはまったく違う視線の高さ。
 見つめ合って、またキスをして、笑って…ふと、つくしが首を傾げた。
 …あれ?
 「約束したからな、いまさらキャンセルはなし」
 「う、うん」
 しかし、すっかりつくしは上の空になってしまい、司ではなくその背後…さっき船で降りた場所のあたりを見つめていた。
 「なんだよ?」
 司も怪訝に振り返る。 
 「お…ねぇな」
 気のせいだと思っていた。
 と、いうか、信じたかった。
 けれど…。
 ストンと抱き抱えていたつくしの体を砂浜に降ろして、司が顔を顰めた。
 「船…どこ行きやがった」





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