FC2ブログ

「ヾ(o´∀`o)ノ贈り物ヽ(*>∇<)ノ」
Angel Road ~永久に二人でゆく道~(献上作品)~17話完

Angel Road 08 ~永久に二人でゆく道~

 ←Angel Road 07 ~永久に二人でゆく道~ →Angel Road 09 ~永久に二人でゆく道~
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「うわあ、すご~い」
 思いっきりレトロな漁船ばかりが並ぶ波止場に停泊した純白のクルーザー。
 いかにもレジャー仕様のその船は、司が保有するにしては小ぶりだったが、内装の豪華さは言うに及ばず。
 「どこかのクラブみたいだね」
 司に腰を支えられ、導かれた艇内。
 白と黒に統一されたソファやテーブル、ミニバー、濃紺のクッションがシックでいかにも司に似合いだった。
 「とりあえず、座れよ」
 「うん」
 つくしをソファに腰掛けさせ、ミニバーの小型冷蔵庫から取り出したオレンジジュースを、司手ずからグラスに注いでつくしへと差し出す。
 …缶のままで全然平気なのに。
 そうはいっても、そうした些細な気遣いがとてもおシャレで、つくしのわくわくした気持ちをさらに盛り上げてくれていた。
 「船なんて、いつの間に借りたの?」
 前方の操縦席に立つ司へと問いかける。
 「あ?買ったに決まってんだろ?」
 「へ?買ったの」
 「ああ。仕事のついでにオフ取れそうだし、お前が来るつーから、急いで取り寄せたんだよ。さすがに急すぎてオーダーメイドってわけにいかなかったから、既製品だけどな。こっちのディーラーに気に入った型式のが入ってて良かったぜ」
 「…はあ」
 オーダーメイドだろうと既製品だろうと、船をポンと思い付きで買うなど相変わらずの破格な金銭感覚に言葉が見つからない。
 …いまさらだしね。

 「あ~、でも、あんたんちって、もっとずっと大きな船も持ってたじゃん」
 それほど記憶にも遠い話ではない。
 高校時代。
 クルーザーには正直あまりいい思い出はないが、あれほど忌み嫌っていた司とこうして二人でいることの不思議を思う。
 …あんたとあたしじゃ、生まれも育ちも、本当だったら未来だってまったく違うはずだったのに。
 時々、今こうして共にいることが、信じられない気がする時がある。
 「お前なら、こういう方がいいんじゃねぇかと思ったんだよ」
 「え?」 
 「ゾロゾロ使用人連れてバカンス楽しむより、二人っきりの方が気を使わないんじゃねぇ?」
 「…うん、そうだね。ありがとう」
 常につくしのために。
 本来の彼の人生にはありえない価値観さえも受け入れ、容易に合わせてくれる司の気持ちが嬉しかった。
 つくしが楽しければ、自分も楽しい。
 それをいつも口先の甘い言葉ではなく、実践で示してくれる彼の想いがこそばゆく、愛しい。
 しかし、まさかとは思っていたけれど、操縦席で操縦桿を握り、何やら電子機器を操作している司へと歩み寄って覗き込む。
 「あんた、船まで操縦できるんだ?」
 「久しぶりだけどな」
 「へぇ、凄い」
 素直に感心するつくしを横目て見て、得意そうに司がニヤリと笑う。
 そんな顔をするとまるでいたずらっ子のようで、可愛いと、つくしも笑みが零れてしまう。
 クスッ。
 「なんだよ?」
 「ううん、疲れてるのにずっと操縦しなきゃならないなら大変だね」
 「いや、大した距離じゃないからそうでもないさ」
 「近いの?」
 そういえば、目的地さえも聞いていなかったとつくしが小首を傾げる。
 「ああ。もともと、そこの無人島が目当てのリゾート開発だからな」
 「そうなんだぁ」
 「たとえ長距離でも途中から自動操縦に切り替えるし、まあ完全に目を離すわけにはいかねぇが、せいぜい離着岸の時と沖に出る以外は、操作するだけなら車より楽なくらいかな」
 「ふぅん?」
 納得しかけて、怖いことを思いつく。
 いかにも誰にでもできるとでもいうような気軽な言い方だが…。
 「…………まさか、あんた無免許なんじゃないでしょうね?」
 「は?」
 驚いたように聞き返されて、さすがにそんなわけもなかったかとバツが悪く首を竦める。
 「だってほら、高校生の時だって車を無免許で乗り回したりしてたじゃん」
 「お前な…」 
 呆れた司の顔が、だが、ふと考え込む。
 「ん?そういえば、免許とってたっけか」
 「はあ!?」
 「学中の頃、一時期マリンスポーツにハマって、うちの島とかで乗り回したけどよ。あれも無免だったし、船舶免許とれる年にはNYに渡ってマリンスポーツどころじゃなくなってたしな」
 とんでもない衝撃の事実の発覚!?に、つくしの顔がムンクの叫び状態に引き攣り蒼褪める。
 そんなつくしとは裏腹に、司が髪をかき上げあっさりと流す。
 「…ま、陸と違ってマッポがウロついてるわけでもねぇんだから、別に平気なんじゃねぇの?」
 「うぎゃあああああ!!」





 「くくくく……」
 フクれているつくしをよそに、さっきから司は上機嫌に笑いっぱなしだ。
 船舶免許の無免許運転騒動?は、実は司の単なる冗談だったらしく、ずっとこの調子。
 「…あんたって、ホント、いつもいつもムカつくんだから!」
 つくしがむくれて離れれば離れるだけ、距離を詰めてにじり寄ってくる司を足先で小さく蹴って牽制して、ソファの端…これ以上ズリ下がれないというところで、つくしはそっぽを向いて、窓へと顔を反らした。
 「そう怒るなよ、ちょっとフざけただけだろ?」 
 「だったら、笑うのやめなさいよ」
 「すぐ何でもマジにとって、泡食っちまうお前が悪いんだろ?」
 「……そりゃ、そうかもしれないけど」
 どうしてこうこの連中には毎度騙されて、カラかわれる愚を犯してしまうのかと、我ながら口惜しく悔しかった。
 さすがにそろそろ機嫌をとらないとマズイと思い直したのか、司が笑いを収め、蹴られるのも厭わずつくしの真横へと差し迫る。
 「…あっちいって!」
 「機嫌直せよ」
 「別に怒ってないわよ」
 「嘘つけ」
 肩を抱き寄せられ、頬に口づけをされて真摯な顔で覗き込まれれば、大したことでもないのにいつまでも臍を曲げているわけにもいかない。
 「あたしってガキっぽいのかな」
 「ん?そんなことはないだろ?」
 チュッ。
 耳の下にも軽くキスをされ、くすぐったいのと、気恥ずかしいのとで横を見れない。
 そんなつくしをどう思ったのか、柔らかく相好を崩した司が彼女の体を柔らかく抱き寄せ、彼女の髪に鼻ズラを埋めて、小さく吐息をつく。
 「…安心する」 
 「……」 
 「普段、俺がいるところは、海さん山さんの腹黒オヤジどもが腹ン中とは真逆のことを言ったりするようなところだ。お前のそういうとこ…すぐに人の言うことを信じて、素直に怒ったり笑ったりするお前といると、ホッと息がつける。…俺が何も鎧わないで自然体でいられるのは、お前の傍だけなんだぜ?」
 「……道明寺」
 「ま、正直言えば、お前が信じるのは俺だけにしとけ、と言いたいところだけどな」
 海さん山さんとはなんぞや、という突っ込みどころはともかく、つくしのともすればコンプレックスになりかねない性質を好ましいと言ってくれる彼の言葉が嬉しかった。
 常にギリギリまで走り続けることを課せられている、彼の心のよりどころに少しでもなれているのなら…。
 彼のために何かをしてあげることも、また彼と対等に歩んでいけるだけの何かをいまだ持つことがかなっていない自分を少しは赦してやれる気がした。
 「…お、そろそろか」



◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ




web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【Angel Road 07 ~永久に二人でゆく道~】へ
  • 【Angel Road 09 ~永久に二人でゆく道~】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【Angel Road 07 ~永久に二人でゆく道~】へ
  • 【Angel Road 09 ~永久に二人でゆく道~】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク