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Angel Road ~永久に二人でゆく道~(献上作品)~17話完

Angel Road 04 ~永久に二人でゆく道~

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 『…だろ?出せよ』
 個室から出て、手を洗っていると、どこか…おそらく公衆トイレの壁向こう側の声が聞こえているようだった。
 若い男数人の声のようで、内容までは聞こえないがどことなく不穏当な響きを伴っている。
 …どうしようか。
 一旦公衆トイレを出る。
 司たちはまだあーだこーだと話しているようで、こちらには特に注目をしていないからしばし悩んだ。
 …まあ、ちょっとくらい大丈夫かな。
 携帯も持っているのだ。
 移動するなら連絡してくるだろうと、気楽な気分で公衆トイレの裏側へ向かう。
 トイレの壁をグルリと回り、生い茂った木を超えたところで、ちょうど突き飛ばされた男性がつくしの足元に転がり込んできた。
 「うわっ!」
 「…な、なに?!」
 さすがのつくしも、驚いて一歩、二歩と後退って足元を見下ろす。
 「…ううっ」
 打ち付けたのだろう肩と腕を押さえて、蹲った男性…よくよく見ればどうやらまだ中・高校生くらいの少年だった。
 と…。 
 「なんだよ、お前」
 かけられた声に顔を向ける。
 足元の少年と同様、突然の闖入者に不機嫌に睨んでくる二人もまだ幼さの残る少年たちだった。
 そうは言ってもつくしより背丈もあるし、それなりに体格もいい。
 顔立ちこそは子供っぽさが残っていたが、表情はいっぱしの‘ワル’そのもので、カツアゲだか仲間うちの焼入れだか知らないけれど、蹲っている少年と無傷の二人を見れば、二人がかりで無抵抗の相手をリンチしていたことは間違いなかった。
 頭のどこかで冷静な自分が警報を鳴らしていたけれど、元々彼女の中にある正義感がそうしたことを見過ごせるはずもない。
 「誰だ」
 「外の奴かよ」
 凄んでくる少年たちを無視して、腰を落として足元の少年を抱え起こす。
 「大丈夫?」
 「…痛いよぉ」
 どうやら骨折などしているわけではないようだったが、これまでも痛めつけられていたのか顔や服から覗く素肌は青痣やら打撲の痕だらけだ。
 「あんたたち、いいかげんにしなさいよ!無抵抗の相手に二人がかりなんて、卑怯だと思わないのッ!?」
 「…は?」
 「アタマ平気か、この女」
 闖入してきた相手がいきなり怒鳴りつけてきて、二人が顔を見合わせ、キョトンと目を瞬かせた。
 そんな顔をしているとなおさら幼く見えて、もしかしたら中学生なのかもしれない。
 …まったく、どいつもこいつも。
 腐った奴らは言うことまで同じで、どっかの誰かを彷彿とさせる言葉に呆れてしまう。
 「どんな理由があるのか知らないけど、この子が大怪我をして大問題にならないうちに、もうやめなさい」
 「関係ないやつは、あっち行けよ」
 威圧してくる相手の目から視線を外さず、相手を刺激しない程度にゆっくりとつくしは立ち上がった。
 足元で縋るような目の少年を後ろへと庇う。
 「痛い目みたくなかったら、黙って戻れつーのっ!」
 そんな動作が気に障ったのか、様子見をしていた少年の一人がジレてつくしの腕をつかもうと手を伸ばした。
 それを咄嗟に払い除けて、みぞおちへと拳をねじ込む。
 先手必勝だ。
 そうでなければ、子供とはいえ男の力に女が対抗できるはずもない。
 「げっ!!ぐっ……ぅぅぅぅ、ゲホッゴホッ!!」
 「て、てめぇっ!!」
 完全に油断していた少年が急所に決められ、苦しげ蹲るのにもう一人が逆上して殴りかかってくる。
 つくしは慎重に間合いを見切り、体を低くして、相手の大根切りを避けた。
 さすがに力に任せた振り切りに、ブンッと素振る音が鳴っていたが、当たらなければ何のダメージにもならない。
 「子供だからって、腐った根性した悪ガキは容赦しないんだから!!」
 避けられて体勢を崩した少年の体を押して突き飛ばし、たたらを踏む背中に肘鉄をねじ込もうとした瞬間―――、 
 つくしに殴られ地面に懐いていた少年が、彼女の足首を掴んでつんのめりさせた。
 「きゃっ」
 なんとか踏みとどまろうとするものの、反対側の足まで掬われ後ろ向きに倒れ掛かかった。
 ドンッ!

 「……………??」
 痛みを覚悟したのに、存外に柔らかい感触。
 咄嗟に瞑ってしまっていた目を、ソロソロと開ければ…見慣れたスーツの腕が彼女の胸元を抱き支えていて、とたん、鼻腔に香った馴染んだコロンの香り。
 「え?」
 「……このぉ、バカ女。人がちょっと目を話した隙に」
 「ど、道明寺…」
 緊張して強張っていたつくしの体の力が緩んで、くたりと司に身を任せて寄りかかった。
 「な、なんだよ」
 新たな闖入者に、勢いのまま地面に突っ伏していた少年が振り返って震える声をあげる。
 一瞬で戻った緊迫感。
 しかし…。
 「こおおおおらああああああああああああ!!!!!」
 はるか向こう。
 こちらへと走ってくる役場職員の高木の姿に、尻餅をついていた少年とつくしの足を掴んで転ばせた少年がギョッと飛び上がった。
 「や、やべぇ。バックれるぞっ!!」
 「うわっ、ま、待ってくれよっ!!」
 倒けつ転びつ悪たれ少年たちが逃げ去った。






 ガミガミガミガミ。
 一難去ってまた一難。
 少し違うか。
 「…まったく、何をやってんだか!黙ってついてくるってだけのことが、お前にはできねぇのかよっ!!!?」
 いつもだったら大いに反論して、口喧嘩に発展するところだが、今回に関しては、仕事中の司の足を引っ張って、よけいな失態を見せてしまった自覚のあるつくしは殊勝に項垂れているしかなく、素直に謝る。
 「面目ないです。ごめんなさい」
 「てめぇは、フランスでもそうだったよな。あん時も、俺を心配させんのが趣味かと怒鳴ってやったのに、まだ懲りねぇのかッ!!」
 「……いやぁ、あの時はさ。不可抗力っていうか、あたしも」
 「黙れッ!!」
 「「「「「ひっ」」」」」
 天下の道明寺司様の怒声は、怒られている当のつくし以外の人間の胆も冷やすド迫力だ。
 隣で聞いているだけの一同も生きた心地がせず、ただ耐えているつくしに同情の目が集まっていた。
 気の毒に思ったのか、口を出すタイミングを図っていた高木が、司の言葉の切れ目を狙って口を挟む。
 ある意味大した度胸かもしれない。
 「まあまあまあ、そんなにお怒りにならず。お怪我もなく無事だったんですから、責めないであげてください」
 正直他人に口を挟まれたくなかったけれど、司の立場上これ以上人前で延々とつくしを怒鳴りつけているわけにもいかないだろう。
 「………お見苦しいところをお見せして、すみません」
 「ごめんなさい」
 司とつくしがそれぞれに謝る。
 それをいやいやと、高木や一同が首を振って流した。
 さすがに怒鳴ることに飽いたのか、司も苦虫を潰したような顔で口を噤んで黙り込む。
 ここぞと、身を縮め司の怒りをやり過ごそうとしていたつくしも、上目遣いで再度侘びを入れる。
 「……ホント、ごめん」
 「反省してるのかよ?」
 「しています。もう心配かけたりしません!」
 つくしが歯向かってくればエキサイトする司も、つくしにシュンとされてしまえばいつまでも怒りを持続させていられない。
 …しょうがねぇな。まあ確かに怪我もなかったことだし。
 溜息一つで怒りを収めた。
 「たくっ、ホントもう気をつけろよ」
 「はい」
 つくしもホッと息を吐き、小さく微笑む。
 緩んだ空気に、周囲の気配も和んだ。
 「あの場合は、牧野さんにアッパレですよ」
 「…アッパレですか?」
 「あの子たちは、本島の網元の息子たちなんですよ。夏休みになると毎年、親戚のうちのあるこの島に遊びにくるんですが、困ったもので、島内でも有名な悪タレ共なんです」
 悪たれ…もっと輪をかけた『ワル』だった男を目の前にしては、なんとやら。
 司もバツが悪いのか、つくしの視線の意味に気がつかないフリで知らん顔をしていた。
 いや、それさえもつくしの希望的観測にすぎないのかもしれない。
 司にバツが悪いだの、気まずい思いをするなどという、人並みの殊勝な気持ちがあるはずもなかった。
 …超俺様だものね。
 悪ガキ時代を反省する言葉どころか、つくしを虐めたことへの謝罪すらしたことがないような男だ。
 「どうも、土産物屋の智也…怪我してた子ですけどね、普段からあの子を虐めていて、どうやらカツアゲしようとしていたところだったようですよ」
 「そうだったんですか」



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