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「陽のあたる処でシリーズ(短編集)」
新婚期編

08月15日は終戦記念日

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08月20日は終戦記念日

 1945年(昭和20)年のこの日、日本のポツダム宣言受諾により、太平洋戦争が終了。
 過去のさまざまな教訓を忘れないために、毎年この日に戦没者への哀悼と未来への決意を込めて記念日と制定されました。



(※「08月07日はバナナの日」の続編?にあたります。まともな話ではなくてすみませんm_ _m)

 …というのが、日本国の世の中の常識。
 が、我らが道明寺家の面々にはまた違う意味合いが…。
 猛暑も暑いこの季節。
 お盆休みに帰省する人も、中には世の中の休日ムードにも関わらず仕事に邁進する奇特なビジネスマンも水分不足には気をつける時期。
 我らが愛すべき?道明寺HD会長・道明寺楓氏も、宿泊している大阪のホテルを出た時には、汗水一つ見せず、鋼鉄製アンドロイドなみに涼しげな顔で相対する人々を睥睨し、数々の職務を果たして今夜の宿泊先のホテルへ向かうリムジンの中。
 いつもは背筋をピンと伸ばし、明日のスケジュールにも真摯に対応しているのだが、吐く息は荒く、流れる汗が目尻を掠めるたびにわずかに顔を歪めていた。
 「…お義母様、大丈夫ですか?病院に向かわれた方が?」
 おずおずとつくしが注進するも、チラッと流された視線はまだ怜悧さを残したまま、楓はゆっくりと首を振る。
 「いえ、大丈夫です。少し、気分が悪いだけです」
 「……でも」
 「ここのところ移動に次ぐ移動だった上に、猛暑の影響を受けてしまったのでしょう。我ながら情けないことです」
 「そんな…、お義母様は体力自慢の男性でさえ大変な激務をこなして、無理に無理を重ねていらっしゃいます。明日も早朝からNYに戻られなければならないのに」
 つくしの顔が心配げにひそめられ、手に持ったハンカチを渡そうか、渡すまいかと逡巡している。
 これが人目もある外であったなら、迷うことなく『社長』である彼女に差し出していたことだろう。
 だが、こうして車の中で二人っきり『義母』と呼ぶ場所で、常に緊張に満ちて、言葉をかけることさえ尻込みせずにはいられない。
 しかし、そんなつくしの気後れとは裏腹に、
 「……その手に持ってらっしゃるハンカチを貸してくださるかしら?」
 「は、はいっ!!…あ、失礼いたしました」
 顰められた眉根に、思わず大きくなってしまっていた声を慌てて潜めた。






 さすがに腐っても?道明寺楓。
 ホテルに到着し、車から降りて、人前に姿を現す時にはいつもの彼女だった。
 だがエレベーターに乗り、特別階に到着して、人目が失せるにつれ、再び具合の悪いのが顕著になっている。
普段の彼女だったら決して許しはしなかっただろうけれど、半ばつくしとSPに抱えられるようにして寝室に辿りついた。
 一瞬、躊躇して、思い切ってつくしは切り出してみる。
 「……あの、お義母様、もしよかったらなんですけど、今夜は私の部屋でお休みになられませんか?」
 つくしには楓の部屋の隣に、別のスウィートルームが与えられていたけれど、
 「そのっ、どのみちこちらにも何部屋か寝室があるわけですし…。えっと、その、具合が悪い時に一人で眠られるのは…その、心細いというか、いや!危険なのではないかなあ、なんて思いまして…」
 「………」
 一応は、医者も呼んでいた。
 とりあえず即座に切り捨てられなかったことに勇気を得て、言い募ってみた。
 「お、お義母様のお部屋より、こちらの造りの方が主寝室と続きになってる部屋がありますし…えっと…そのぉ」
 それでも、部下を値踏みするときの司にそっくりな姑の眼差しに、いつの間にか、語調も弱々しく消え失せてしまいそうになった頃……、
 「…では、お願いしようかしら?邸では見知った使用人たちがおりますけど、知らない者を寝室にまで引き込むのは気が重いことですし…」
 …使用人。
 まあ、微妙な言い回しはあったが、おそらく悪気は無いのだろう。
 とりあえず秘書時代を通じて気心は知れている。
 素直に受け取ろう。
 …司のお母さんなんだもん。
 自分の親にしてあげることは、してあげたい。
 「はい!では…」
 楓の反対側の肩を支えていたSPに力を貸してもらって、昨日までつくしが使っていた寝室へと楓を運び込む。
 「…ここは、あなたの寝室だったのでは?」
 「あ!えっと…その、ルーム係さんが清掃に入られてますし…、こちらなら隣と続き部屋になってますから、何かあった時に駆けつけやすいかなあ、と」
 焦るつくしに、楓は鷹揚に頷く。
 「いえ、伺っただけです」
 SPが一礼して部屋を辞する。
 スーツの上着を脱ぎだした楓に、つくしが着替えを補助してベッドに横たわらせた。
 「もうすぐお医者様がいらっしゃると思いますけど、お水を召し上がりますか?」
 「ありがとう、けっこうですよ。それより、本当は今日には東京に帰れるはずだったというのに、つくしさんには申し訳なかったですね」
 「い、いえ!仕事ですから。それに予定変更はよくあることだし、お義母さまの…社長のせいではありません」
 「………でも、司はそれでは納得できなかったのではなくって?」
 「まあ、…それは」
 昼頃には予定変更が確定し、その旨を司にメールで伝えた時の反応を思い起こす。
 電話であえて伝えなかったつくしの躊躇いを見事に的中させて、仕事はどうした!?と言いたくなるほどの早業で、電話を折り返し、以下の言動―――。
 『ぬわぁにいいいいいいぃぃぃ!!てめぇ、いつも俺様を優先させろと言ってんだろッ!何が仕事だぁっ。ババアの秘書なんて、一個中隊腐るほど秘書軍団揃えてんだ。NYからでもアフリカからでも、どこからでも呼び出しゃあいいのに、なんで、わざわざ寿退社したお前を呼び出さなきゃなんねぇんだよっ!!』
 その時の鼓膜をぶち破られるんじゃないかというほどの怒声と、その後の口喧嘩を思い出し、つくしはうんざりと顔を歪めた。
 「……ぷっ」
 「え?」
 聞きなれない小さな笑い声に驚き、あげたつくしの顔の先。
 バチッとあってしまった視線に、急いで取り繕った姑の澄ました顔。
 …今?
 つい凝視してしまい、冷厳を保つのもバカバカしいと思ったのか、すぐにレアなほどに柔和に顔を崩し、楓が苦笑した。
 「いえ、司があなたに言った言葉が容易に想像できる…そう思ったんですよ」
 「…え、ええっ?!」
 「忘れたんですか?あなたが私の秘書でいた期間、あの子が巻き起こしたあれこれを…」
 「あ~」
 今となれば、ある意味イイ?思い出というやつだが、当時はいろいろ大変だった。
 それは主に、司が楓につくしを半ば盗られたカタチになってしまった彼女の秘書時代。
 クールビューティだの、氷の王子だの言われるカリスマ副社長はどこにいった?と聞きたくなるほどの、司が巻き起こした数々のくだらない珍事件を思い出すたび、いまだに顔から火が出る思いがする。
 当時何食わぬ顔をしていたが、母である楓の心境はいったいどんなものだったのか。
 「…私はあの子のああいう生の顔を見たことがほとんどありませんでした」
 そのあまりに沈痛な声音に、つくしが恥じらって俯いてしまっていた顔を再び上げた。
 そこにあったのは何とも言えぬ悲喜交々が入り混じった…母の顔。
 それは何度となく目にした表情ではなかったか。
 「大変なことばかりだと思いますが、……どうか、これからもあの子をよろしくお願いします」
 「……お義母様」
 思わぬ言葉に、つくしが目を見開き、棒立ちになる。
 そんなつくしに対して、楓はそそくさとシーツを引き上げ、つくしに背を向け後ろを向いてしまった。
 だが、寝乱れた髪の合間から覗く頬がほんのり赤いのは気のせいではないだろう。
 「で、では、私は少し眠ります。医師がいらしたら、声をかけてください」
 「は、はいっ」
 今日は嫁と姑の終戦記念日!?
 寝室を出たつくしの心は軽かった。






 草木も眠る丑三つ時。
 一人の女の眠る足元に、忍び寄る怪しい影がある。
 「…………」
 サワサワサワ、サワサワサワ、チュッ、ちゅ………?
 「……?」
 「ん…、なんです?あなた……?」
 不審に目を覚ました楓の顔の真ん前―――――。
 数週間前、荘厳な社屋の社長室で…直立不動の部下たちの見守る中、冷たい論議を交わしあい、視察地へと送り出した筈の(たぶん)愛する彼女の息子がッ!?
 「…………」
 「………っ!!うわあああああああぁぁぁぁ」






 その後の親子対面がどうなったかは、皆さんのご想像にお任せしますです、はい。





 このオチ、本当は『バナナの日』のオチだったんですが、一話でまとめられず、ここまで引っ張ってきちゃいました、なははは。
 実は最後の一コマが書きたかっただけとも言うw
 以上、お粗末さまでしたm_ _m
 もう一人称こだわりやめ!
 ま、短編シリーズだからバラバラでもいいよね。





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