FC2ブログ

「昏い夜を抜けて…全483話完」
第八章 開花③

昏い夜を抜けて408

 ←Night And Day 完 →昏い夜を抜けて409
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「チッ、時間切れか」
 いつの間にかリムジンは高速を降り、賑やかな界隈へと抜けていたが、夜の闇に浮かび上がる車のヘッドライトはまるで祭りの灯のようで、度々混雑に掴まってしまって司の心づもりを不可能にしていた。
 「…帰るの?司」
 滋の問い掛けには答えず、視線を向けたつくしへと向き直り、司が肩を竦める。
 「お前が我が儘言ってくれるなら、お前との食事の予定を最優先したいところだが、俺はこれから九州にとんぼ帰りしなきゃなんねぇ」
 「……我が儘なんて言わないわよ」
 なんの筋合いがあってだ。
 さすがに、そこまで言うのは躊躇われて、つくしも曖昧に頷き口をつぐむ。
 「こいつも一緒に残して行くから、適当にこっちで飯食って、21時になったら高知空港へ向え」
 「やった!司がいなくなるのは残念だけど、女の子二人で思う存分、美味しいもの食べようね!」
 「あ、うん。…でも、高知空港へ向えって言われても」
 戸惑うつくしをよそに、すでに司へ次の予定へと気持ちを向けて、運転手や助手席の秘書にこれから先の予定を指図していて、そんな姿に学生時代の自由奔放でだらしなかった彼の面影はすでにない。
 「滋、ホテルに下ろすか、百貨店?それともどっかブティックにでも停めるかよ?」
 「ん~、まだ少し時間があるからショッピングをしてもいいけど…そんなに時間があるわけでもないし、目的もないから百貨店かな」
 「おう」
 なんだかんだ言って滋との間に話はついてるのだろう。
 …人の意見は聞いちゃいないし。
 聞かれても困るので、そこは口を挟まないが。
 滋との話はスムーズについたようで、司がつくしへの質問にあらためて答える。
 「飯食ってる間に、この車をお前らんとこに戻らせるし、前の車に乗ってるSP連中も置いてゆくから、お前は何も心配するな」
 「ええ?SP!?いらないよ」
 「お前にいつも張り付いてる類のSPも、俺をごまかすために今日は同伴していないだろう?」
 「………」
 尋ねられても堀田が随伴していないのに気がついたのは、だいぶ後になってのことで、元々気配を感じるような範囲にはつかないようにしてもらっていたので、それもい確かなのないことだったと言える。
 「類の奴も何を考えてるんだか」
 呆れたような司の物言いに、彼がそう言いたい気持ちもよく分かり、つくしのようなたかが庶民の女に護衛などというたいそうな人間がつけられるようになった経緯を説明したい気持ちが疼いた。
 …そりゃそうだよね。以前にあったことを道明寺は知らないんだから、あたしみたいな女に類がどんだけ血迷って、心配性になってるんだかって思うよね。
 「あ、あのね。類は別に…」
 「2,3人うちからもつけとくわ」
 「……は?」
 「それがいいよね~。大河原からもつけようか?」
 「さすがに、そこまではいいだろ。ゾロゾロ連れ歩くんじゃ、こいつみたいなパンピーは逆に萎縮しちまうからな」
 「そりゃあ、仕方ない。あたしだって嫌だよ~。司だって立場上仕方ないだけで、本当はウザイんでしょ?」
 「まあな」
 話が勝手に進んでいる。
 …いま、なんかとんでもないことを言われたような?
 つくしに護衛をゴロゴロ付ける理由などどこにもありはしない。
 あるいは、東京に帰るまで、類から強引に引き離した責任から無事に帰り着くまでの送迎としてつけてくれるつもりなのかもしれない。
 とりあえず常識的に納得して、大事な話が司にはあったのを思い出す。
 …そうだ、この間の提案のこと。
 もう司とは個人的に会わないと類と約束したのだ。
 つくしのせいではなかったが、もういきなりその約束が守られない展開になっている。
 それでも二人っきりではなかったし、類にも公認?な事態なのはせめてもの…というやつだったけれど。
 あの司との遊園地デートの日から、持ち歩いていた小さな箱を入れたハンドバックをグッと握り締める。
 「あのっ、道明寺」
 「…ついたな」
 そうこうしているうちに、あっという間に車は車止めに侵入し、運転手により後部座席のドアが開けられる。
 乗った時とは逆に、司が先に降りて、つくしへと手を差し伸べてくれた。
 その手をとるのに躊躇して…だが、単に車を乗り降りするための礼節程度を忌避する愚に自重して、今度は大人しくその手に助けられ降車した。
 「…ありがと」
 「ああ」
 自分から手を伸ばして待ち構えていた滋には、冷たく一言。
 「…早く出ろ、サル」
 「ええっ!滋ちゃんには、手を差し伸べてくれないのっ!?」
 ブツブツ言いつつ、それでも素直に降りた。
 再び車に乗り込んだ彼を見送るつくしと滋に、司が顎をしゃくる。
 「…遊ぶのに夢中になって、飛行機に乗り忘れるなよ」
 「もう!子供じゃないんだからッ、ていうか、もう一晩こっちに泊まっていこうよ、つくし!」
 「……いや、それは」
 「ふん、お堅いこいつが仕事サボってそんなことするわけねぇだろ。お前は大人しく、牧野を送っていけばいいんだよ」
 「司ったら、いくらつくしラブだからって、あからさますぎる。ぶ~」
 膨れる滋にもガン無視の司が、つくしにだけ微笑みを浮かべ別れを告げる。
 「じゃあな、牧野。また、東京で会おうぜ」
 「待って!」
 グッと握り締めたハンドバックから手を離し、運転手によって閉められようとしていたドアヘとつくしが飛びつく。
 「……ごめんなさいッ!」
 「………」
 唐突に、謝る言葉に司の微笑んでいた顔が真顔になる。
 「あんたの申し出は受けられない。あんたに何を言われたとしても、どうなるのだとしても、あたしはもう…あんたとは」
 それでも、こんな場所で…こんな衆人環視の中でそれ以上を言い募ることなどできなくって…。
 「…ふ、お前は日頃、優柔不断なくせに、俺を…時だけはいつも毅然としているんだな」
 雑踏の音に紛れて聞こえなかった言葉。
 だが、たとえ耳に届かなくても、彼の苦笑交じりの言葉の意味などつくしにだってわかった。
 彼をもう傷つけたくはなかった。
 彼の顔をもう哀しみに曇らせたくはなかった。
 けれど…もう。
 彼を幸福にしてあげることは、自分にはできない。
 ハンドバックの中から小箱を取り出そうとして、だがその前に司によって会話を強制的に終了させられてしまう。
 「またな、出せ」
 「…道明寺ッ!?」
 司の言葉に、運転手がつくしへと一礼してドアを閉める。
 「つくし、下がって」
 滋に言われ、一歩後ろへと下がる。
 車越しの司の横顔は、冷たく冴えて…もうつくしを一顧だにしなかった。
 「………」
 「…いこ、滋さん」





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【Night And Day 完】へ
  • 【昏い夜を抜けて409】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

初めまして

花より男子の二次小説からしばらく離れていましたが、最近になって再び読んでみたいという気持ちになって検索に引っかかったコチラの小説を読ませて頂きました。
昔からあるサイトさんとは毛色の違うタッチで、最初は興味深く読ませて頂いておりましたが、途中から「ん?」と思うことがしばしば。
キャラが違いすぎての戸惑いです。
このお話は類つくとのことですが、類くんもつくしちゃんもキャラが別人すぎて(もちろん他のキャラもです)
「花より男子」のキャラ名を借りたオリジナル小説と読めば、読めないこともないですが・・・。

随分たくさんのお話を小分けに毎日更新されているようで、その努力には敬意を表しますが、花男二次を謳うのなら、もう少しそれぞれのキャラを活かせてほしいなと思ったりして。
特に類くん大好きな私にとって、このお話は辛かったです。

数日ですが読ませて頂きありがとうございました。
こ茶子さんはこ茶子さんの世界で頑張って下さいね。
私は昔からされてる花男のキャラを大事に書かれてるサイトさんへ帰ります。
どうもおじゃましました。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

十人十色ですよ

受け止め方は、人それぞれなのでどうしょうもないと思う。
2次小説は、あくまで似せたようでまったく別の世界観の物語なので。
そのため、キャラ像をどう変えようが作者の自由ではあります。
が、しかし、そもそも神尾 葉子先生の『花より男子』を基準にした場合、
道明寺司と牧野つくしがカップルにならない展開は、
たとえキャラ像を似せようとも、どれも異色な物語としか言わざるを得ない。
○○と結ばれて欲しいというだけで、元になる物語を変え違った展開にした異色な物語。
そういう世界観の向き不向きに分れるのは不自然ではないですし、
ましてやその世界観にてキャラ像も自分には合わないということもあってもおかしくない。

似てはいるが違う世界観にどうしても抵抗があり、神尾 葉子先生の『花より男子』とついつい比較しまう方は、
少しでも楽しめる要素を見つけるかしないと無駄にストレスが溜まり苦痛でしかないと思います。
最初の「プロローグ」でこ茶子さんから記載あるように、
『従来のイメージとは180度の転換で耐えうる方のみご閲覧ください』とありますから。
自分のイメージを壊されたくないという場合は、読まないのが賢明な判断だと思います。
私個人では、この物語の主役であるダーク類は正直好きではありません。
まだ今の展開だと、親友ですら裏切り、黙ってたら知らずに済むから問題ないし、
どうせつくしの性格からして許すだろうし、結果予想どうりになったしと平気な顔してるとこが嫌いです。
知られてないので仲間たちにケジメもつけなくて済む。
「なーんだ、バレちゃった?」とかいって、運悪く知られてから開き直るのでしょうかね?
後で知る仲間たちは、黙ってた類のことをどう思うのかな。
たとえつくしが許したとしても、とても今までどうりな付き合いはできないと思う。
人見知りで普段は物静かだけど親友を決して裏切らない仁義なとこがある類が好きだった私としては、原作のイメージが強いのでしょうかね。
でも、そんな類にしてしまうと、つくしを悲しませるような非道な行為は絶対しないだろうから、この物語では厳しいので無理がある。
このダーク類とつくしが結ばれるのは不本意ではあるけどしかたないとしても、
主役は嫌いだけど、他のキャラがどういう活躍するのかが気になるので、
それが楽しみの1つになっています。

ときどき読んでても「なぜ?」と不思議に思うとこは結構ありますよ。
まず、この物語の総二郎やあきらは、つくしに司のことを責めないし聞こうともしない。
そればかりか親友があれほど惚れた女にも係わらず、過去の話だからといってちょっかいしだす。
類とつくしの関係も司には一切知らせない。あきらだけは、司に筋を通したっけ?
帰国した司も類とつくしが付き合うようになった経緯を不思議と聞こうともしない。
類がつくしを「監禁」「愛人」してて、身体の繋がりが何もなかったなんて考えてないと思うけど・・・
あれほど嫉妬深かった司が猛獣らしくなく、変に大人しい。
好奇心旺盛な滋もつくしに過去司のこと本当に好きだったのか、
もし好きならなぜ別れたのかと深く聞こうともしない。
先輩思いの桜子でさえ、つくしが不本意な妊娠で苦しんで、
なぜそう至ったのか深く追求しようともしない。
たとえつくしが黙ってても桜子なら強引にでも聞きだせるはず。
つくし自身も司のことが好きだったといいながら
数年間も会って詫びようとも誤解を解こうともせず
会おうと思えば段取りをつけてくれる仲間がいたにも係わらずそうしなかったくせに、類を愛してからケジメをつけると動きだす(遅すぎ)。
どうせならタマと最後に挨拶したときにでも会う段取りつけてもおかしくない。
類との複雑な状況を司に知られたくなかったからなのだろうか?
ていうかあれほど罪悪感のあった雨の日の台詞って誤解解けたっけ?
どうやって土星のネックレスを返すかとそれしかつくしの頭にない気が・・・。
それとも私の記憶違いだったのだろうか?

とまあ、所々不自然に感じてしまうところはあります。
そういうキャラ像ばっかの世界観なのだろうと
受け入れてしまえば大丈夫でしょうね。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【Night And Day 完】へ
  • 【昏い夜を抜けて409】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク