FC2ブログ

「昏い夜を抜けて…全483話完」
第八章 開花②

昏い夜を抜けて401

 ←昏い夜を抜けて400 →昏い夜を抜けて402
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 警察官たちの最敬礼の花道。
 相変わらず、人の都合も迷惑も考えない唯我独尊、傲慢、我が儘男が、我が物顔で渋々歩いているつくしの二の腕を掴み、引き摺る勢いで闊歩する。
 憮然としたまま、リムジンへ。
 「…乗れ」
 「………」
 乗るべきか、乗らざるべきか、なんとか逃れるすべを探して躊躇するつくしの背中が、無理やりグイグイと車内へと押し出され、突き飛ばされる勢いで転がり込む。
 「ぎゃっ!!」
 「のろのろすんなっ。このクソ暑いのに後ろが支えてるだろ」
 「お、押さないでよッ!!顔から突っ込みかけたじゃない、このバカ男ッ!!」
 「はん。お前の場合、顔から突っ込もうとどこから突っ込もうと、人一倍、丈夫にできてるんだから、問題ねぇだろ」
 「なんですってっ!!このぅ」
 シートに突き飛ばされた体勢のまま、つくしはブルブル震える拳を握り締め、振り返って後から入ってきた男の秀麗な美貌を睨みつける。
 車の奥にはSPだろうか、もう一人座っているようだったが、もう恥も外聞も気にしている余裕はない。
 シラッとした顔が少しも自分が悪いことをしたなど思っていないことは明らかで、慣れていても、ついそのニヤけた俺様ヅラを殴ってやりたい衝動を抑えるのが難しかった。
 …こんなところで、こいつ殴ったら、また留置場に逆戻りするよね?
 それだけが、いまのつくしの衝動を抑制している理由だった。
 「高知に向かってくれ」
 『かしこまりました』
 パーティションの向こう側の運転手に、インターフォンで伝えた司の言葉に、つくしがギョッと彼の顔を見上げる。
 「ちょっと!なによ、高知って。あたし、そんなところに行かないわよ、下ろしてよッ」
 「まあ、いいじゃねぇか。まだ、宵の口だ。あっちについたら美味いメシ食わせてやるから、少し酒でも付き合えよ」
 …何、抜かす、この男?! 
 「俺もどうせ、とんぼ帰りで九州に戻らないとならねぇんだよ。だから、ここから高知まで、2時間半くれぇか。大した時間じゃねぇが、それまでのんびりと、ドライブとシャレこもうぜ?」
 「…なっ、何が美味いメシよッ。酒よ!ドライブよッ!!間近に空港があるっていうのに、なんでわざわざそんな長距離を移動して、わけのわからない場所にいかなきゃならないのよっ」
 「わけもわからないって…高知はけっこう都会だぜ?松山ほどじゃねぇけど、四国内第3位の都市だし…」
 「へぇ、そうなんだぁ…って、そんな問題じゃないからッ!あたし、明日も仕事だし、それより第一、類!類はどうなったのよ?」
 そうだ、あのあと、類の方はなぜか東京の方へと送還されたと聞いた。
 こちらで逮捕?(かどうかはわからないが、とりあえず任意ではなく強制で連行されたので)されて、なんの手続きややり取りもなく、いきなり他所へと連れ去られたのは解せないが、この日本でよもやひどい目にあっているなどとは思わないものの、警察に連れ去られるなど尋常なことではない。
 第一、自分が留置場送りにされた罪状どころか、事情さえもいまだに不明なのだ。
 この謎だらけの事態はいったい?
 「わかってるって。だから、あっちで夜半につく羽田行きの航空券を用意してる。ジェットで東京まで送ってやれればいいんだが、あいにく、真夜中から衛星中継での交渉を九州支社の連中と行うことになってるから、時間がねぇ。ホテルもとってやっから、そのまま近くで泊まって、明日はそこから通勤しろよ」
 …なによ、それって九州からここまで一日で往復してきたってこと?
 確か、先日司と東京であったばかりだ。
 会った…どころか遊園地デートというやつで、しかもその次の日に九州に発ったはずだというのに。
 …どういうスケジュールなのよ。
 と、いうかそんな時間がない状態の時に、なぜ、この男はこんなところにいるのだろうか。
 しかも、美味いメシ?酒?仕事中なのではないのか。
 「…まあ、酒はせいぜい、1杯、2杯だな。それくらいなら、俺には水を飲むのとかわりがねぇ」
 「いま…」
 「口に出してたな」
 「……ハァッ」
 留置場から出してくれたことはありがたかったが、家族でもあるまいにこのタイミングで現れたことといい、警察に拘束されるなどという特殊な状況に置かれていた理由や事情を一切聞かれないことの奇妙を思う。
 「……ねぇ、どういうことなの?」
 「あ?」
 片眉を上げて惚けているが、おそらくつくしの聞いている意味などとっくにわかっているのだろう。
 「なんであんたが、ここにいるの?そもそも、どうしてあたしは警察に捕まらければならなかったわけ?あんた知ってるんじゃないの?…それに」
 類は…。
 「そりゃ、お前。この状況を作ったのが、俺ってことだからだろうな」
 「はい?!」
 なんですと?
 「ちょっと、時間が空きそうだっただから、この忙しい俺様が、一緒に飯でも食おうと思ってたのに、お前らが行方を晦ましやがるから、ちょっとしたツテを使って探させたんだよ」
 「…ツテ?」
 「おう、警視総監。ブタ箱に入れられちまったのは、手違いってやつでお前には悪かったが。類のやろう、よくもダミーまで使って俺を欺いてくれたぜ」
 「なんですってぇ~~ッ!!」
 つくしが絶叫した。





 「……てわけ」
 「女一人を探すためだけに、警察を動かしたってことか」
 「まあ、そうだね。普通の奴はやらないけど、司だからね」
 しかも、それで拉致監禁でもするつもりなのかといえば、おそらくそういうつもりではないだろう。
 昔の司だったら、そんなこともしかねない危うさがあったが、今の司は違う。
 つくしを失った苦悩を抱え荒み果てていた数年間。
 だが、荒れて虚ろにはなっていたが、けっして腐りはしなかった。
 おそらく道明寺としての責任感などではなく、…一人の女への意地が、彼女という人間への見栄が彼を支え、立ち直らさせたのだろう。
 つくしに軽蔑されるような人間にはなりたくない。
 たとえ、自分を捨て去った女なのだとしても。
 司の人生で唯一現れた光。
 今の類にならばわかる。
 …お前は、牧野を傷つけられない。
 同じ女を愛して、彼女によって色づいた世界を見せられた。
 その世界そのものである女を傷つけ失ってしまうことは、ただ彼女の心を得られない以上に恐ろしいことだと司もわかっていないはずがなかった。
 「まったく理解できないな。お前も…道明寺も」
 「まあ、そりゃそうだろうね。お前と俺たちじゃあ、見てるものも、大事なものも、そうしたものすべてが違うんだもん」
 「…道明寺はそれでも財閥を捨てたりはしないだろう?」
 類の心づもりなどとっくに高階も読み取っていた。
 ただ、それを周囲の状況や人間たちが許すかどうかはまた別問題で。
 そうであれば、類が望む望まぬに関わらず、高階にとっての類は唯一絶対の障害であり敵であることには違いなかった。
 それなのに…
 「どうして、お前はこの俺を遠ざけようとしないんだ」
 「…それこそどうして?俺はお前の敵じゃない」
 「だが、俺はお前の敵だ」
 ハンドルを握ってまっすぐに前だけを見る高階の、類によく似た横顔は思いつめて、どこか昏い闇の底を見据え囚われている陰惨さがある。
 「どうだろうね。…それでも、俺は、彰、お前を嫌いじゃない。お前の弱さや醜さが、時々哀れになるけど、たぶん、それが人間らしいってことなんだろうね」





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【昏い夜を抜けて400】へ
  • 【昏い夜を抜けて402】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【昏い夜を抜けて400】へ
  • 【昏い夜を抜けて402】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク